コペンハーゲン・タウンウォッチング(1995年)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/76/89a0448abf7cd1e8154adfe44a41b421.jpg)
コペンの航空写真(グーグルアースより)
1 タウンウォッチングの魅力
初めて訪れるまちをぶらぶら歩きながら、次々と変化する情景を楽しむのは胸躍る体験である。
この面白さは、まちをつくりあげてきた背後の生活、文化、社会、歴史などを垣間見ることができるためであろうか。
タウンウォッチングは私の趣味であり、新しく訪れるまちを見ると、自然に足が動いてしまう。
コペンハーゲンの建築博物館で買った一冊の地図が私の街歩きの意欲をさらに助長させてしまった。この地図には、4つの町並み・建築視察コースが示されている。それぞれのコースは赤いルートとポイントになる地点の写真と簡単な説明が示されているだけのものである。コペンハーゲンで1日半の自由時間があったので、半信半疑ながら地図に沿って歩くことにした。
4つのコースのうち、中心市街地南北コースを選び、朝9時にアーン・ヤコブセンのナショナルバンクを出発し、地図の指示通り歩き始めるとすぐ、ルートの構成の見事さに驚いた。大きな建物をくぐり抜け、さらに左に折れると、いきなり国立図書館の見事な庭園が現れ感動した。さらに、行くとクリスチャンボー城デンマーク国会の建物が広場を通して、よいアングルで見ることができる。
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国立図書館の庭園
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デンマーク国会の前の広場
地図のルートは、点と点を結ぶ単純なものではなく、道の選び方が十分に吟味されている。多分、都市計画・建築を志すものが練りに練ってつくられたコースなのであろう。歩くと、作者の説明が聞こえてくるように、見るべきものが現れてくる。それは、遠くに見える教会の塔であったり、建物のファサードであったり、中庭であったり、広場であったり、建物の壁面のつたであったり、多種多様である。映画のドラマを見ているようで、あったという間に3時間であった。
結局、それぞれのコースを1日半で3コースを歩いてしまった。点から点へと移勤する観光とは違った、連続する空間体験であった。
コペンハーゲンタウンウォッチングで感じたことをいくつかあげてみたい。
2 中庭の空間
街区のほとんどは道路側に面して建物があり、残された部分が自然と中庭になっている。中庭は、都市空間の一般的なパターンとなっている。ルートの中には、中庭を見たり、中庭を通り抜けたりする場面が多かった。中庭の空間は確かに、面白い。中庭が商業空間、広場、駐車スペースになっていたり、集合住宅では公園、広場、サービスヤードになっていたり、様々な使い方をしている。しかし、この中庭は、公共空間なのが私的空間なのかはっきりしない。中庭の入り口に扉のついているものが多く、扉がしまっていて、中に入れない時もあった。しかし、ほとんどの中庭は通り抜けができ、通り抜けても文句を言われることはなかった。
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中庭その1
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中庭その2
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中庭その3
3 歩行者・自転車のまち
運河に囲まれた旧市街地は、幹線道路が少なく、ほとんどが歩行者の道といってよい。歩いていても、車の危険を感じたことはなく、駐車場はほとんど見あたらなかった。
コペンは、世界で初めて歩行者商業モールを実現した都市である。おそらく、都心部へ乗り入れる車の制限を行っているのであろう。
車の代わりに自転車が多く使われているのだろう。幹線直路には必ず自転車専用レーンが整備されており、また、自由に乗り捨てできるレンタサイクルシステムがある。
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自転車の利用がさかん
4 管理の行き届いた公園
散策ルートの中で、フレデリックスペア庭園、植物園、その他近隣公園クラスの公園を2ケ所訪れた。どれも、手人れが行き届き、きちんと修景された美しいものであった。フレデリックス庭園の並木や植物園の花壇は、映画のワンシーンになるような劇的な空間であった。これらの公園は市街地を環状に幾重にも取り巻くように配置されている。これらの公園で気がついたことが二つある。一つは、管理に相当金をかけているらしいということ。どこでも管理人がいて、忙しそうにゴミなどをひろったりしていた。木の剪定や花壇などを維持していくのは、大麦な労力なのではないか。もう一つは、公園の周囲に柵と門があり、夜間などは、人れない仕組みとなっているのであろう。公園がホームレスのすみかにならないようになっている。
税全の高いといわれる北欧の国々は、公園や道路など都市の維持管理に多くの費用を費やしていると考えられる。
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公園その1
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公園その2
5 運河や港の水辺空間
コベンは、貿易で栄えた国際商港部市である。中心市街地をほぼ環状に連絡する広い運河がある。過去に運河は、輪送路として重要な役割を果たしたと考えられるが、現在は、一部埋め立てられ、海と連絡していないため、公園・修景としての機能のために存在しているのであろう。運河の背景となる都市のスカイラインは情緒があり、美しい。運河の水際は並木や遊歩道が整備されており、ここも公園と同じようにきちんと管理されている。
この運河以外にも、コペンには楽しい水辺空間がいくつかある。
港に沿ったアマリエバーヴェン公園から、港に沿った遊歩道の景観も素晴らしいし、ニューハウン地区の商業地も細い運河沿いの空聞をうまく利用している.ヨットや船の姿力匍区の雰囲気を盛り上げている.
コペンハーゲンだけでなく、北欧の都市は水辺空間が際だっている。例えばストックホルムの海辺の水辺空間は、歴史的な建造物を背暴に世界でも有数の美しい都市空間となっている。
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美しい運河の景観
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アマレバーヴェン公園からの遊歩道
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ニューハウン
6 変化の多い都市空聞
市街地中央部は、ほとんど新しい斬新な建物は見当たらなかった。クリスチャンハウン地区やニューハウン地区などの再開発もクリアランス的なリニューアルでなく、修復、改善を主体にしたもので、周辺の町並みと区別がつきにくいものであった。市街地中央部のほとんどが歴史的建造物の集合といってよい。
しかし、町並みは、地区毎にその景観の姿を変える。都市の年綸を見るように市街地が形成された時代の姿を現わしているのであろう。特に、印象が深かった地区をあげると、城塞周辺のニューボーダー地区の歴史的な黄色い住宅建物群、象の柱脚を通り披ける力-ルスバーグビール工場周辺の異様な空間、計算された広場空間として大理石教会と宮殿の周辺、ストロイエ通りの裏側のまちなみ、微妙にパステルカラーで塗り分けられた共同住宅と力-ブした路地空間、運河の西側の集合住宅池など際限がない。
また、歴史的建造物である教会及び広場がそれぞれの地区の景観のシンボルとなっており、変化ある都市空間を構成しているのが記憶に残る。
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ニューボーダー地区の歴史的住宅群
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宮殿周辺広場
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パステルカラーのカーブした路地
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カールスバーグ工場周辺象の門
7 おわりに
北欧の都市ストックホルム、ヘルシンキ、コペンハーゲンはどれも清潔で、管理が行き届いた美しい都市であった。スロープが整備されバリアフリーに配慮していること、公園の管理がすばらしいこと、サービスハウス(高齢者住宅)が都市のよい場所を占めていることなど、都市づくりでも学ぶ点は多々ある。
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コペンの航空写真(グーグルアースより)
1 タウンウォッチングの魅力
初めて訪れるまちをぶらぶら歩きながら、次々と変化する情景を楽しむのは胸躍る体験である。
この面白さは、まちをつくりあげてきた背後の生活、文化、社会、歴史などを垣間見ることができるためであろうか。
タウンウォッチングは私の趣味であり、新しく訪れるまちを見ると、自然に足が動いてしまう。
コペンハーゲンの建築博物館で買った一冊の地図が私の街歩きの意欲をさらに助長させてしまった。この地図には、4つの町並み・建築視察コースが示されている。それぞれのコースは赤いルートとポイントになる地点の写真と簡単な説明が示されているだけのものである。コペンハーゲンで1日半の自由時間があったので、半信半疑ながら地図に沿って歩くことにした。
4つのコースのうち、中心市街地南北コースを選び、朝9時にアーン・ヤコブセンのナショナルバンクを出発し、地図の指示通り歩き始めるとすぐ、ルートの構成の見事さに驚いた。大きな建物をくぐり抜け、さらに左に折れると、いきなり国立図書館の見事な庭園が現れ感動した。さらに、行くとクリスチャンボー城デンマーク国会の建物が広場を通して、よいアングルで見ることができる。
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国立図書館の庭園
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デンマーク国会の前の広場
地図のルートは、点と点を結ぶ単純なものではなく、道の選び方が十分に吟味されている。多分、都市計画・建築を志すものが練りに練ってつくられたコースなのであろう。歩くと、作者の説明が聞こえてくるように、見るべきものが現れてくる。それは、遠くに見える教会の塔であったり、建物のファサードであったり、中庭であったり、広場であったり、建物の壁面のつたであったり、多種多様である。映画のドラマを見ているようで、あったという間に3時間であった。
結局、それぞれのコースを1日半で3コースを歩いてしまった。点から点へと移勤する観光とは違った、連続する空間体験であった。
コペンハーゲンタウンウォッチングで感じたことをいくつかあげてみたい。
2 中庭の空間
街区のほとんどは道路側に面して建物があり、残された部分が自然と中庭になっている。中庭は、都市空間の一般的なパターンとなっている。ルートの中には、中庭を見たり、中庭を通り抜けたりする場面が多かった。中庭の空間は確かに、面白い。中庭が商業空間、広場、駐車スペースになっていたり、集合住宅では公園、広場、サービスヤードになっていたり、様々な使い方をしている。しかし、この中庭は、公共空間なのが私的空間なのかはっきりしない。中庭の入り口に扉のついているものが多く、扉がしまっていて、中に入れない時もあった。しかし、ほとんどの中庭は通り抜けができ、通り抜けても文句を言われることはなかった。
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中庭その1
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/6b/9db518f5f3cbc2d38fde429a50a2f8e4.jpg)
中庭その2
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中庭その3
3 歩行者・自転車のまち
運河に囲まれた旧市街地は、幹線道路が少なく、ほとんどが歩行者の道といってよい。歩いていても、車の危険を感じたことはなく、駐車場はほとんど見あたらなかった。
コペンは、世界で初めて歩行者商業モールを実現した都市である。おそらく、都心部へ乗り入れる車の制限を行っているのであろう。
車の代わりに自転車が多く使われているのだろう。幹線直路には必ず自転車専用レーンが整備されており、また、自由に乗り捨てできるレンタサイクルシステムがある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/32/ce05b0b3d5b4abc8cce26172f99e220a.jpg)
自転車の利用がさかん
4 管理の行き届いた公園
散策ルートの中で、フレデリックスペア庭園、植物園、その他近隣公園クラスの公園を2ケ所訪れた。どれも、手人れが行き届き、きちんと修景された美しいものであった。フレデリックス庭園の並木や植物園の花壇は、映画のワンシーンになるような劇的な空間であった。これらの公園は市街地を環状に幾重にも取り巻くように配置されている。これらの公園で気がついたことが二つある。一つは、管理に相当金をかけているらしいということ。どこでも管理人がいて、忙しそうにゴミなどをひろったりしていた。木の剪定や花壇などを維持していくのは、大麦な労力なのではないか。もう一つは、公園の周囲に柵と門があり、夜間などは、人れない仕組みとなっているのであろう。公園がホームレスのすみかにならないようになっている。
税全の高いといわれる北欧の国々は、公園や道路など都市の維持管理に多くの費用を費やしていると考えられる。
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公園その1
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公園その2
5 運河や港の水辺空間
コベンは、貿易で栄えた国際商港部市である。中心市街地をほぼ環状に連絡する広い運河がある。過去に運河は、輪送路として重要な役割を果たしたと考えられるが、現在は、一部埋め立てられ、海と連絡していないため、公園・修景としての機能のために存在しているのであろう。運河の背景となる都市のスカイラインは情緒があり、美しい。運河の水際は並木や遊歩道が整備されており、ここも公園と同じようにきちんと管理されている。
この運河以外にも、コペンには楽しい水辺空間がいくつかある。
港に沿ったアマリエバーヴェン公園から、港に沿った遊歩道の景観も素晴らしいし、ニューハウン地区の商業地も細い運河沿いの空聞をうまく利用している.ヨットや船の姿力匍区の雰囲気を盛り上げている.
コペンハーゲンだけでなく、北欧の都市は水辺空間が際だっている。例えばストックホルムの海辺の水辺空間は、歴史的な建造物を背暴に世界でも有数の美しい都市空間となっている。
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美しい運河の景観
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アマレバーヴェン公園からの遊歩道
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ニューハウン
6 変化の多い都市空聞
市街地中央部は、ほとんど新しい斬新な建物は見当たらなかった。クリスチャンハウン地区やニューハウン地区などの再開発もクリアランス的なリニューアルでなく、修復、改善を主体にしたもので、周辺の町並みと区別がつきにくいものであった。市街地中央部のほとんどが歴史的建造物の集合といってよい。
しかし、町並みは、地区毎にその景観の姿を変える。都市の年綸を見るように市街地が形成された時代の姿を現わしているのであろう。特に、印象が深かった地区をあげると、城塞周辺のニューボーダー地区の歴史的な黄色い住宅建物群、象の柱脚を通り披ける力-ルスバーグビール工場周辺の異様な空間、計算された広場空間として大理石教会と宮殿の周辺、ストロイエ通りの裏側のまちなみ、微妙にパステルカラーで塗り分けられた共同住宅と力-ブした路地空間、運河の西側の集合住宅池など際限がない。
また、歴史的建造物である教会及び広場がそれぞれの地区の景観のシンボルとなっており、変化ある都市空間を構成しているのが記憶に残る。
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ニューボーダー地区の歴史的住宅群
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宮殿周辺広場
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パステルカラーのカーブした路地
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カールスバーグ工場周辺象の門
7 おわりに
北欧の都市ストックホルム、ヘルシンキ、コペンハーゲンはどれも清潔で、管理が行き届いた美しい都市であった。スロープが整備されバリアフリーに配慮していること、公園の管理がすばらしいこと、サービスハウス(高齢者住宅)が都市のよい場所を占めていることなど、都市づくりでも学ぶ点は多々ある。