港区まち創り研究会(まち研)ブログ

港区の情報、まちづくり情報をお伝えします。
海外の街あるきの報告もあります。

世界の街から61---フィンランド タピオラ ニュータウン

2012-09-09 16:05:35 | フィンランドの街から
今日は、また飛んでフィンランドのタピオラニュータウンを紹介する。
 タピオラニュータウンはヘルシンキの郊外、バスで30分の距離にある。計画人口は17000人、面積230haの比較的密度が低い小規模なニュータウンである。
私が訪れたのはおよそ20年前であるが、こんな美しいニュータウンがあるのかと目を開かれた記憶が残っている。今から50年前にフィンランドの建築家アルバー・アールトなどが計画に携わって建設された。住宅棟は森の中に点在しており、戸建住宅も生垣で覆われている。ほんとにこんな緑に包まれた街なら住んでみたいと思った。大きな人工の池を中心にしたセンター地区がある。さすがデザインの国フィンランドで、センター地区全体はおとなしいデザインであるがデザインレベルが高い。ニュータウンのモデル都市として世界的に有名である。
このニュータウンのその後の様子が知りたがったが、最近、このタピオラ・ニュータウンについて触れられたレポートを見つけた。
 公益財団法人ハイライフ研究所のレポートで明治学院大学経済学科准教授服部圭郎氏が書かれた「ヨーロッパから学ぶ「豊かな都市」のつくり方」である。
ヨーロッパ諸国のまちづくりの自転車利用の話など「脱自動車」の動向をとらえたとてもよいレポートである。その中の一つの例としてタピオラニュータウンについて述べられている。
現在のタピオラの人口は18500人、雇用が18600人と職住のバランスのとれた都市として発展している。タピオラの「脱自動車」の動きとして、二つあげている。地下鉄が建設中で2014年、ヘルシンキとタピオラが結ばれる。もうひとつは環状道路の地下化の計画である。タピオラとオタニエミの間にある環状道路を地下化し、道路の上部を歩行者に開放し住宅地の環境を守る計画である。住宅地の環境を守るための道路を地下にする例は世界でも珍しい。
緑や空地がふんだんにあり人口密度が低いタピオラニュータウンで道路を地下にする発想は日本では全く考えられない。さすがに、環境を大事にするタピオラの市民の考え方はすごい。東京あるいは港区のまちづくりでも「脱自動車」の考え方ももっと取り入れてほしいと思う。(文・写真 安藤)

タピオラ

タピオラ 中心地区

中心地区

街のデザインレベルが高い

人工の池

駐車場も緑化されている

集合住宅

林にある集合住宅

集合住宅

集合住宅

生垣に覆われた戸建て住宅

オタニエミ大学
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世界の街から25 フィンランド ヘルシンキ

2011-10-15 09:52:37 | フィンランドの街から
世界の街から25 フィンランド ヘルシンキ

ヘルシンキ市街地
ヘルシンキは、フィンランドの首都であるが、人口は59万人と少ない。もっとも、フィンランド全体で人口は500万人しかいない。
中心地区の街路のパターンは碁盤目状をやや変形したもので、基本は1808年の大火の後、ロシア支配化の時代につくられた。
大きな特徴は、市有地が全体の60%以上を占めているので、計画的に都市全体をコントロールできる。
市街地が拡大するには、かならずグリーンベルトをはさんでいくという考え方に基づき、市域の35%の緑地があり、市域全体に幅広いグリーンネットワークが形成されている。
 中心地区の車の乗り入れを徹底的に規制しており、中心地区の駐車料金を高くしている。
郊外の駅に大きな駐車場を配置して、電車へ乗り換えを図るパーク・アンド・ライドシステムを導入している。公共交通機関として、路面電車、バス、地下鉄があり便利なため、中心地区に走っている車は少ない。

パークアンドライドシステムの郊外の駅と駐車場

路面電車の道も緑化されている
 帯状のエスプラナディ公園を挟んだエスプラナディ通りが街の繁華街になっている。札幌の大通り公園に似ている。大通り公園と違うのは、高い木が多く小さな森のような感じである。また、長さも短い。

エスプラナディ公園

エスプラナディ通り
 エスプラナディ通りを東に少し歩くと、すぐ海が見え港に行ける。港の前には、市場のある広場がある。市場や魚や野菜など日用品が売っていて、庶民的である。

庶民的な市場
 市街地には高層の建物はほとんど見られない。フィンランドは森林の国だから、樹の高さを超えないように、規制しているようである。また、公共建築物や教会の他は大きな建物もほとんどないので、市街地がやさしく、親しみやすく見える。
 さすがデザインの国で、街並みは落ち着いて格調がある。建築家アルヴアー・アアルトの作品がいくつかあり、フィンランディア・ホールを見る。いかにもアアルトらしいデザインで、優雅である。アアルトがインテリアの設計をしたレストラン・サヴォイで食事をした。

フィンランディア・ホール

ホール内部

サヴォイ・レストラン
 また、スオマライネン兄弟の設計による岩をくりぬいてつくられたテンペリアウキオ教会を見る。サイドからの光の入り方が神秘的である。

テンペリアウキオ教会
 また、中心地区には新古典主義のヘルシンキ大聖堂と元老院広場があり、街の一つの目玉になっているが、やや権威主義的である。

ヘルシンキ大聖堂

元老院広場
 街全体の印象は、品の良さ、親しみやすさ、落ち着き、やさしさが感じられるまちである。
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