港区まち創り研究会(まち研)ブログ

港区まち創り研究会の活動の状況やまちづくりについての様々な情報をお伝えします。
海外の街あるきの報告もあります。

ロンドンでもレンタ・サイクルの利用がさかんです!

2013-12-12 14:50:42 | イギリスの街から
 会員の関根さんから日経トレンディの情報です。
 フランスのパリ、デンマーク、オランダなどともにイギリスのロンドンでもレンタ・サイクルの利用がさかんなのですね。オリンピック開催に向けて、港区もレンタ・サイクルを推進したらどうですか。以下が記事です。
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オランダやデンマークといえば、通りを自転車で行きかう人々の姿が街の風物詩になっており、自転車が生活のなかの重要な交通手段になっている国だ。最近、英国ロンドンでも自転車が人気を集めており、サイクリストの数が急増している。今回はロンドンの自転車事情についてリポートしよう。
 以前、「ロンドンに到来したサイクリング革命とは?」でも紹介したが、ロンドンでは2010年に『バークレイズ・サイクル・ハイヤーBarclays Cycle Hire』という貸し自転車スキームが導入された。これは、ロンドン中心部随所にあるドッキング・ステーションから誰でも自由に自転車を借りることができるというもの。返却は最寄りのドッキング・ステーションに戻すだけでOKという乗り捨て方式だ。ボリス・ジョンソン・ロンドン市長が積極的に導入に関わったことから、ロンドン市民からは“ボリス・バイク”とも呼ばれている。
 バイクの貸し料金は、24時間2ポンド(約300円)、または7日間10ポンド(約1500円)で、乗車時間が30分以内なら追加料金ナシで何度でもアクセス可能、乗車時間が30分以上になると、使用時間によって加算される仕組みになっている。
 支払いはドッキング・ステーション・ターミナルに設置されているタッチスクリーンでクレジットカード/デビッドカードを使って行う。頻繁に利用する人はオンラインでメンバー登録すると、年間90ポンド(約1万3500円)で割安に利用することができる。
 現在、ドッキング・ステーションはロンドン中心部に570カ所以上、自転車数は8000台以上があり、今後、ドッキング・ステーションは、さらに拡張される予定だ。ボリス・バイクの人気もあって、ロンドンで自転車に乗っている人の数は以前より格段に増えたことが実感できる。(以下略)

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世界の街から100---ロンドンの再開発

2013-08-21 11:23:58 | イギリスの街から
私(安藤)が、ロンドンのテームズ川沿いのドックランズの再開発とバービカン地区の再開発を大分前に視察したことがある。その時、感じたことをまとめて見た。
 バービカン、ドッグランズの再開発に共通していることは、開発の動機が明確であること、大規模であること、多様な用途が混在する総合的な複合開発であること、長期間計画が練られて、強い国家権力の基で実行されたことなどである。
 住む人にとってよく練られた計画であるとともに、地域の活性化に大きく寄与している。


・バービカン地区の再開発
 かつては路地や倉庫が迷路のようにあった都心地区で第2次世界大戦の空襲で全面的に破壊された。10年間放置されていた後、業務・商業・住居などの複合用途ビルにより大規模に再開発し1982年に完成した。37階超高層住宅3棟など住宅が2000戸ある。住宅関連施設の他教会や音楽学校もあり、さらにヨーロッパ最大級の複合文化施設であるバービカンセンターがある。バービカンセンターは音楽ホール、映画館、アートギャラリー、図書館などがある。また、立体的な歩行者路が整備されている。多様な用途を含む総合的な再開発は世界の大規模再開発の一つのモデルとなった。

・ドッグランズの再開発
 ドッグランズはテームズ川沿いの港湾、倉庫、造船所などで使われていたところである。
 船舶の大型化、コンテナ化などの物流革命により、ドックランズは使われなくなっていった。そこで1980~1990年代にかけて、ドックランズを住居・ビジネス・商業・軽工業の複合用途に再開発された。
 ドックランズとシティの間は無人運転の新交通システムが導入された。
 これらの開発により、人口は2倍になりカナリー・ウォーフなどは超高層ビルが林立し一大ビジネス拠点に変わっていった。
 テームズ川沿岸は商業施設・住居や広場を整備し、テームズ川沿いの景観を生かし魅力的なスポットに変身させた。



バービカン再開発 住居ゾーン 立体歩道がある

バービカン再開発 池や広場などを配置している

バービカン再開発 高層棟も見える

バービカン再開発 低層住居棟 緑を配置

バービカン再開発低層住居棟

バービカン再開発 オフィスをある

ドックランズ 新交通の駅舎

ドックランズ 新交通の駅舎の屋根

ドックランズ カナリーウォーフの超高層ビル

ドックランズ カナリーウォーフ

ドックランズ カナリーウォーフ ホテル

ドックランズ お洒落なバス停

ドックランズ テームズ川沿いの開発

ドックランズ ロンドン橋近くの開発

ドックランズ ヨットハーバーに

ドックランズ 屋根付き広場の整備
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世界の街から35-----イギリスのバースの街並み

2012-03-12 18:58:20 | イギリスの街から
今回は、イギリスで建築家が街づくりに大きく関与したバースというちょっと変わった街をご紹介する。
バースはBATHの語源ともなった街で、紀元前から温泉が発見され使われていた。紀元65年からローマの支配下になり、ローマの浴場として数百年使われていた。いまでもローマ浴場跡(ローマン風呂)として残されている。
バースが大きく発展したのは18世紀で、起業家ラルフ・アレンが上流階級の住む町づくりを構想した。建築家としてジョン・ウッドを採用した。
ジョン・ウッドは、バースに新しいローマ時代の街をつくろうとした。
それが、ザ・サーカスやロイヤル・クレッセントという半円形の建物となった。
ジョン・ウッドは工事半ばで亡くなったが、息子が後を継ぎ、親子2代で完成させた。
ジョン・ウッド設計の建物はバースに30以上あるという。
ロイヤル・クレッセントは大きな半円形と広い広場があり、円形はそれほど意識されないが、解放感があり美しい。ザ・サーカスは、円形の建物と中央部の樹林との調和がよい。
鳥瞰図を見ると、ローマンバスを中心に市街地が構成され、エイヴォン川が中央部をながれている。河を生かしつつ公園、広場が巧みに配置され、古典的な建物が並び歩いていてもあきさせない見事は都市の構成となっている。
街並みは世界遺産ともなっているが、イギリスでぜひ訪れてみたい都市の一つである。

鳥瞰図その1

鳥瞰図その2

ロイヤルクレッセント 大きな半円形の建物

ロイヤルクレッセント

ザ・サーカス  半円形はやや小さい

ザ・サーカス

ザ・サーカス  中央部の樹林

ローマン風呂の入口

ローマン風呂内部

大聖堂

小劇場

歴史を感じさせる市街地

エイヴォン川とバルトニー橋

河畔でくつろぐ人々

美しい公園

市街地にあるトピアリー
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世界の街から33---イギリスのミルトン・キーンズ

2012-01-20 16:42:19 | イギリスの街から
・計画都市ミルトン・キーンズ
 ミルトン・キーンズはロンドンから70kmの距離にあり、計画人口25万人を目指したイギリス最大のニュータウンである。1970年に計画が発表され、着工された。詩人ミルトンと経済学者ケインズの名前を合わせて命名された。その後、人口は順調に定着し、現在およそ20万人の都市に成長している。住宅だけでなく、工場・オフィスも誘致され職住一体型の都市である。筆者がこの街を訪れたのは、およそ10年前である。

・歩車分離の徹底と碁盤目状の道路パターン
 この都市の計画の最大の特徴は、道路の速度により、道路構成を行っていることと歩車分離の徹底である。一方、専用化された道路は、碁盤目状に配置され、大きな交差点はロータリーになっているので準高速道路並みに走行できる。道路の沿道に、街路樹がびっしり配置されあまり景色が見渡せることができない。一方、住宅地内の道路は、車の速度を落とすような設計となっている。確かに、交通渋滞はほとんどなく、歩行者と接触する危険はない。車の利用を前提として、つくられた都市である。バスもあるようだ。

碁盤目状の車専用道路(高速で走れる)

全体都市図(機能が分散配置している)

高速道路(上)と低速道路(下)の分離

センター地区からのびる歩行者路

・低密度都市と農村集落の取り込み
 この計画区域に人口約4万人の農村集落があったが、保存しながら計画の中に取り込んでいる。この点は評価できる。都市全体は27戸/haと低密度である。
 広い公園・緑地もあり、自然豊かである。しかし、実際歩いてみると、農村のような風景でこれが都市だろうかと疑問を持つ。最初に行った住区は、大きな湖があり、湖からたくさんの水鳥が道の上を歩いており、人間は一人も見えなかったのに、ショックを受けた
イギリス人の理想は、農村に住むことという話を聞いたことがある。そんなイギリス人の嗜好が計画都市に現れているのかも知れない。日本人の感覚からすると、あまりにも寂しいという気持ちになる。老夫婦になった時に、どんな生活になるのだろうかとぞっとする。
 実際、自殺者が多いという裏話を聞いたことがある。

水鳥ばかりで人間の姿が見えない

戸建て住宅地はこんな感じ

集合住宅も低層である。当時、1戸300万円位で買えるといっていた

既存の運河を計画に取り込んでいる

緑道だが、寂しい

職場ゾーンのオフィス

・センター地区
 唯一、都市らしいところで、大きなショッピングセンターがあり、人もかなりいたが、にぎわうという感じでもない。シネマコンプレックスの建物もとなりにある。しかし、都市生活を楽しめるという雰囲気はない。

ショッピングセンター

シネマコンプレックス

・まとめ
 イギリスのニュータウンを代表する計画都市として、交通、住宅、自然、景観などよくできた都市と言えるだろう。
 頭で考えた機能的都市として完璧なのかも知れないが、都市の楽しさ、魅力はあまりないと言わざるを得ない。都市全体、寂寥感が漂う。住みたくない都市の一つである。
 建築評論家松葉一清氏もこのミルトン・キーンズを訪れてやはり相当がっかりした様子が著書「失楽園都市」に書かれている。失楽園都市はミルトンの叙事詩「失楽園」にかけている。
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世界の街から19---イギリスのガーデンシティ・レッチワース

2011-08-30 20:30:19 | イギリスの街から
世界の街から19――イギリスのガーデンシティ・レッチワース

レッチワース 航空写真

 イギリスのエベネザー・ハワードが提唱したガーデンシティ構想を初めて実現した都市がレッチワースである。ハワードは大都市郊外に人口3~5万人程度、公園や森、農地が多くある住宅地を考えた。「田園と都市の結婚」を目指し、地域コミュニティの形成を理想とした。ハワードは最初は夢想家として、社会から評価されていなかったが、熱意と努力により、苦労の末1903年最初のガーデンシティ・レッチワースを着工することができた。

設計はレイモンド・アンウィンという建築家が行っている。ガーデンシティの建設・運営は土地開発会社が一元的に行い、住民や企業に賃貸している。住民自身が公共施設の整備を進めた。

アンウィンの最初の計画図

現在の土地利用計画図 黄は商業 青は工業 緑は公園
 このガーデンシティの考え方は、世界中に大きな影響を与えた。ドイツの多くの住宅知開発、日本では、小林一三の阪急電車沿線の住宅地開発、渋沢栄一の田園調布の開発、イギリスの戦後のニュータウン計画の基本となっている。


● ガーデンシティ・レッチワースの印象
 私がレッチワースを訪れたのは10年以上も前で、滞在も1日だけだったので、その時印象に残ったことをお伝えしたい。
  ・ 100年以上も経た街であるが、まだ活気があり、暖かみと、親しみやすさを感じた。
    しっかりしたコミュニティが根付いていることがうかがえた。
・ 駅舎は小さくてかわらしい。

駅周辺
・ 大きな建物はなく、商店街も3階建てでデザインも統一されている






・ 商店街は人通りも多く、にぎわいがあった
・ 街全体に緑が多く、歩行者が楽しんで歩ける歩行者道と広場を都市の軸線にしている。

歩行者道の軸線

歩行者道の軸線
・ 住宅地の前庭が広く、住民が庭を熱心に手入れしている。前庭を通る人とコミュニケーションを図っているようだ。私が通りを通ると、声をかけてきて、どこから来たのか、私の親戚の一人が日本に行ったことがある、などと話しかけてきた。

・ 住宅地の小さなコミュニティで使う緑のコモンスペースが街区の中にある。

街区の中の緑のコモンスペース
・ 駅に近い公園は広く、いろいろなスポーツを楽しむことができる。
・ 職の場として、工業団地があり、まだ活動しているようだった。

● ガーデンシティ・レッチワースの特質
・ 街のにぎわい、職場、緑、公園、田園、住宅地がうまくバランスしている。ハワードの考えた都市の理想が実現されている。
・ 土地開発会社が都市全体を所有し、管理しているので、公共的なスペース、共用部分の管理がしっかりしているので、財産価値も高い。
・ そのため、地域の共用空間が多く存在し、利用や管理も住民が協働して行っているため、コミュニティがしっかり根付いている。

住宅地景観

● ガーデンシティ乗っ取り事件
1950年代に土地投機会社が乗っ取りを企てる事件があった。1960年代には、会社の経営がホテルヨーク(株)に移る事態にまで発展した。公共的資産が投機会社に買収されると、ガーデンシティ全体の環境の悪化を招く恐れがあると、レッチワース市議会と住民が警戒しはじめた。
レッチワース市議会は条例をつくり、公社を設立し、公社に土地の所有権を与え、公共的な資産についての管理も公社が行うことになった。
こんなことが起きたのは、ガーデンシティがある程度成功を収め、資産価値が向上したためと考えられる。

● ニューガーデンシティ舞多聞
最近、神戸市垂水区でハワードの考え方に基づいたガーデンシティ舞多聞「みついけプロジェクト」が完成した。プロジェクトの実行体制は都市再生機構、神戸芸術工科大学、住む予定の住民などで神戸芸術工科大学学長・建築家の齊木崇人氏が全体をまとめている。定期借地権方式で、それぞれの敷地も広く、ガーデンシティにふさわしい街並みになっているようだ。このプロジェクトも視察した後、報告したい。

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世界の街から7 イギリスのニュータウン テームズミード

2011-07-16 22:01:01 | イギリスの街から
計画的な街の一つの例として、イギリスのニュータウン、テームズミードのご紹介をします。私がテームズ・ミードを訪れたのは、およそ40年前でちょうど完成したばかりであった。(写真はその時撮影された古いもので恐縮ですが。)
テームズ・ミードは、ロンドンの南およそ10km、テームズ川沿いの位置にあり、計画人口60,000人、1970年に完成された。建築家により計画的につくられた日本でいうベッドタウンである。歩く部分と車の走る部分を立体的に分離し、2階の広いデッキはすべて歩く人に開放している。イギリス流の歩車分離を徹底した街である。
世界にはこんな素敵な街があるのかと感動したのを今でも覚えている。


テームズミードのマスタープラン。3期に分けて建設された。
・のびのびとした安全な歩行空間

車と人の立体分離

子供が安心して遊べる広いデッキ

乳母車も快適に走行できる

近隣店舗地区
 2階の広いデッキは完全な歩行者のための空間となっていて、子どもが遊んでいても不安を感じないし、乳母車なども快適に走行できる。このデッキは都市全体をつないでいる。
 歩行者と車の立体分離の考え方は、その後、日本にも駅前広場の整備などにもとりいれられている。

・集合住宅の多様な形態とデザインの質の高さ






 40年前の日本の集合住宅のデザインは、いわゆる公団アパートの形態が主流であったため、このニュータウンの集合住宅の多様な形態とそれぞれのデザインの質の高さに目をみはるような驚きであった。

・水を生かしたデザイン





 テームズ河の水を都市に引き込んで広い池をつくり、その水辺空間が都市の魅力となっている。日本では、安全のため、なかなか実現できないと思われる。

・ニュータウンのその後
 最近、あるブログでこのテームズ・ミードを訪れた記事があったが、近年、かなり荒廃しているようだ。あちこちに落書きがあり殺人事件も起きている。人口も減っているようだ。イギリスの複雑な社会事情などが背景となっているようだが、都市のコミュニティが育たず、管理がうまくいっていないことに起因している。
 どんなよい器があっても、住むのは人間であり、きちんとしたコミュニティが育たなければ、都市は崩壊する危険があるということを感じた。
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