港区まち創り研究会(まち研)ブログ

港区の情報、まちづくり情報をお伝えします。
海外の街あるきの報告もあります。

世界の街から65---アイルランド キルケニー

2012-10-10 08:27:49 | アイルランドの街から
ダブリンから南の中央部にある人口約2万人の小さな都市である。中世アイルランドの中心都市であった。市街地はノア川沿いに形成されている。
 鉄道駅から歩いていくと、比較的新しい市街地が見える。三角屋根にカラフルに壁が塗られた童話の世界のようなキッチュな建物が並んでいるのが面白い。
 ノア川を渡ると中世の都市の姿が現れる。
 圧巻はキルケニー城である。12世紀にたてられ、17世紀、19世紀に改築している。
バトラー家の居城として建てられている。現地産の石灰岩を使った外壁が重々しく中世の雰囲気を醸し出している。敷地が広く城の前に広大な芝生の広場がある。
 城の近くに、かって城の厩舎だった建物を利用したデザインセンターがあり、その後ろにクラフトセンターがある。アイルランドの工芸品が展示販売されている。
 中心商業地の通り(パーラメントストリート)は、結構にぎやかでしっかりした建物が並んでいる。ところどころ歴史的な建物も残されている。石灰岩が使われた建物が多い歩行者専用の路地があり、面白い空間になっている。キルケニーは小さい街でありながらも、中世の遺産をしっかり守り、魅力的なにぎわいのある街並みをつくっている。

新しい市街地 キッチュな街並み

ノア川

キルケニー城

キルケニー城

キルケニー城前の広い芝生広場

デザインセンター

クラフト館

デザインセンター内部

中心商業地 パーラメントストリート

中心商業地 パーラメントストリート

路地空間

小さなトンネルのある路地
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世界の街から64---アイルランド コネマラ地方、ゴールウェイ、モハーの断崖

2012-10-08 23:07:59 | アイルランドの街から
コネマラ地方
 ダブリンを出て西に向かい、アイルランド西部の海岸部を目指して車を走らせる。ダブリンから離れると何百キロ走ってもほとんど人家がない。遠くに、牛や羊の牧場が見えるだけである。都市と農村とが極端に違う。道路の舗装もあまりよくなく車もがたがたゆれる。コネマラ地方に着く。コネマラ地方の泥炭層が広がる地域には驚かされる。木や草がほとんどなく、荒涼とした黒い岩の台地が続く。車や人や動物にも会わず、まさに、地の果てに来たような感を受ける。地球にもこんな所があったのか認識を新たにする。
さらに、車を走らせていくと木陰から湖が急に現れ、湖のほとりに修道院が見える。カエルモア修道院である。建物と景色がマッチして美しいがほんとに、周りになにもない寂しい場所である。修行をするには、こんなシチュエーションが必要なのだろうと思う。
私の父もコネマラを訪ねていて、こんな詩を書いている。

旅の果て  ―― エール、コネラマ地方で――      安藤 一郎
  荒地の露出した石塊をめぐり
  海岸沿いに
  うねり曲がっていく
  その見知らぬ道――
  大型バスから降り立った私たちのほか
  人影は全くない
  漁家もない過疎地帯で
  頭上は 他国の空
  船一つ見えぬ水平線から 斜めに
  白いカーペットをひろげ敷いたように
  横雲がなびいている (以下略)

ゴールウェイ
 アイルランド西部の観光の拠点都市がゴールウェイである。人口7万人、日本で言えば小都市であるが、アイルランドでは4番目に大きい都市で、国立大学があるとは恐れ入る。漁村から発達した都市で、やはりコンパクトな都市である。中央部の商店街の通りは車が規制され歩行者が気楽に歩けるのがよい。中央部に大きな広場があり、人々が集まり、のんびり時を過ごしている。
有名なフェスティバルが開かれる時は、世界中から人が集まり活気を呈するようだが、私が訪れた時は、にぎやかとは言えず、快適な小さな街という印象だった。コンパクトなので、歩いて街の主要な地点に行ける。ゴールウェイの国立大学は150年以上も前の建物で、重々しい歴史を感じさせる。大聖堂も立派な建物であった。

モハーの断崖
 西部の観光名所の一つがモハーの断崖である。海から200m以上垂直にきりたった断崖がすごい。断崖が連続して続いている。下を見ると、大西洋の荒波が岩を打ち付けている。崖のそばによると、足がすくむ。観光客を相手にハープを弾く女性がいた。いかにもアイルランドらしい。

コネマラ地方の泥炭層の荒涼たる台地

コネマラ地方の泥炭層の荒涼たる台地

カエルモア修道院

ゴールウェイの中心市街地地図 オレンジ色の道が歩行者空間

ゴールウェイの中心商業地 歩行者空間になっている

中心地区にある広場

歴史を感じさせるゴールウェイ国立大学

大聖堂

モハーの断崖

モハーの断崖

ハープを弾く女性


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世界の街から63---アイルランド ダブリン

2012-10-06 08:27:48 | アイルランドの街から
 私(安藤)がアイルランドを訪れたのはおよそ10年前である。アイルランドは寒い国のようなイメージがあるが、暖流のおかげで冬でも零下にならないが、夏もあまり暑くなく過ごしやすい気候である。日本から直行便もなくあまり知られていない国である。北海道位の大きさで人口は約450万人、そのうち50万人が首都ダブリン市に住んでいる。
イギリスの支配下にあった時期が長く、1949年にイギリス連邦から独立して共和国になった。イギリスから搾取を受けていたため、独立した頃はヨーロッパの最貧国で、ヨーロッパの僻地と言われていた。かっては食料飢饉にも苦しんだ時期があった。
しかし、近年経済の成長はめざましく、2008年のデータでは人口一人あたりGDPは、なんとアメリカに次いで世界第4位で日本よりはるかに高い。何でもIT企業が集積し、ソフトウエア産業が発展しているそうである。
 私が訪れた時は、歩いている人の服装はみな驚くほど質素で、外国人に対してもフレンドリーで、とてもよい印象を得た記憶がある。搾取されていた過去の記憶をきちんと受け止めているのだろうと推測した。
アイルランドの人口10万人当たりの犯罪の発生率は0.32とEU27国で最も低くなっているのも肯ける。

・コンパクトシティ ダブリン
 首都ダブリンは都市圏では100万人を超える大都市であるが、中心部は4,5階建ての建物がほとんどで落ち着いた美しい街並みとなっている。きちんとコントロールができているのだろう。半地下を使った建物が多いのが目に付いた。
 2004年LRT(路面電車)ルアスが2路線開通したが、私が訪れた時はバスと郊外に行く電車以外には市内を走る交通機関はなかった。ほとんどの人が中心市街地から歩いて生活しているような感じだった。ダブリンには、パブが多く家族連れでも夜パブで過ごす習慣があるので、通勤には車はあまり使われなかったのであろう。
 歩いていける距離に多くの人が住んでいるのは、都市がコンパクトにできているからと考えられる。
 繁華街のオコンネル・ストリートやグラフトン大通りは、車の通行を規制しており、魅力ある歩行者空間となっている。ここで、時々、パフォーマンスが行われ歩行者を楽しませている。この繁華街には、ものすごい人が歩いているのに驚く。皆、歩くことを楽しんでいるようである。
 ダブリンも人口が増え成長しつつあるので、最近地下鉄の計画が発表された。
2009年には市営のバイクシェアリング(自転車)ができ、かなり便利に使われているようである。バイクシェリングはコンパクトなダブリンでは適した交通手段であろう。
 再開発も行われているようであるが、中心市街地の縁辺部で中心市街地はきちんとコントロールされているようである。
 超高層ビルが林立しなくても、密度の高いコンパクトシティが形成され、車より歩行者や自転車が便利な街ダブリンは一つのまちづくりのお手本である。しかも、着実に経済発展をしているし、犯罪の発生率も比較的少ない。
超高層ビル=経済発展と考えている人は一度ダブリンを訪れるとよい。

4,5階建ての建物が多い 半地下を利用している

新しい集合住宅はきちんと統一されている

グラフトン大通り 人がいっぱい歩いている 繁華街でも高さは低い

グラフトン大通り ちょっとした大道芸が行われている

とにかく歩いている人が多い

趣のある街なみ

路地空間

オコンネルストリートにある中央郵便局

人通りが多い

新しいデザインのビル

ダブリンのシンボルのトリニティ・カレッジ

800年前に立てられたクライストチャーチ大聖堂

公園の入り口

新しい産業の拠点地区


テンプルバーの中の木をいかしたアイルランドパブ 中もきれいである
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする