761 三鷹（東京都）早咲きの桜よ、私は遅咲きか

いくら暖冬だとはいえ、まだ２月。しかし井の頭公園の早咲き桜広場はとうに花盛りで、すっかり春めいている。この風情に幼子も心が弾むのだろう、女の子が花の下で思いっ切りジャンプした。花粉症の私には嬉しくない季節なのだが、この時期の散歩はやはり花に惹き寄せられる。さすがにジャンプはしないけれど、ベンチに座ってゆっくり眺めを楽しむ。そして「今月は忙しかった」と振り返る。なるほどこれが老年の日常というものか。

（三鷹市ジブリの森）

【11日・土曜日】両国の骨董市に出向く。市というには看板倒れで、乏しい出店数にがっかりさせられたのだが、遠出のウォーキングと割り切って、本所と新宿をぶらぶら歩く。気持ちのいい青空のもと、一人気の向くまま街を探検するのは悪くない。このことは既に書いた。

（三鷹駅前の再開発工事）

【12日・日曜日】妻が遂に決断した。「スマホにしましょう」と。ガラケーに慣れ親しんでいる私は、それで特段の不便は感じていないのだが、いろいろ調べていた彼女は、ドコモの「シニア割り」を活用するとさほどの出費増にならないことが分かったと、キッパリ「一緒に替えましょう」。ドコモショップの開店５分前に並び、昼食抜きで手続きが終わったのは午後４時近く。疲れた！

（立川駅ビルの最上階にあるパスポートセンターから望む）

【13日・月曜日】パスポートの切り替えに立川のパスポートセンターへ行く。妻の期限が６ヶ月を切ったのだ。私はまだ１年近く有効なのだが、この際、一緒に更新することにした。期間10年を申請して「これが最後になるのかなぁ」と、しみじみしている自分に驚く。

（IKEA立川店のレストランで）

シネマビルを覗くと、妻が観たいと言っていた映画が始まる時刻だ。慌ててチケットを買ったのが失敗で、アニメ映画が始まって驚いたが後の祭り。だが『この世界の片隅で』というアニメは、思いがけず秀作だった。イケアのレストランで昼食。北欧風インテリアを眺めていると、窓外をモノレールが通過していく。車体の、オレンジのデザインを観て、ドイツにいる気分になる。

（ほぼ50年ぶりに運転してみる自動車教習コース）

【14日・火曜日】運転免許更新のための高齢者講習を受講しに、武蔵境の自動車教習所に行く。昨年末に「あなたは今度の更新時に70歳を過ぎているから、講習を受ける必要があります」というハガキが届いたのだ。年寄りの事故が増えているとはいえ、まるで年寄りいじめの不愉快な制度だ。しかし私の反応・動作検査の結果グラフを見た係員が、「こんなに優秀なグラフは見たことがない」と漏らしたのを耳にして、満更でもない。

（立川駅ビルの屋上）

【15日・水曜日】税務署で確定申告。拍子抜けするほど空いている。書き込む欄も歳とともに空いてくる。

（孫と傑作）

【21日・火曜日】孫がやって来る。今年も元日に来る予定だったのだが、私が大晦日にインフルエンザで倒れ、来てはいけないと止めておいたのだ。２歳４ヶ月になった孫に彩色ペンを与えると、私がちょうど読んでいる『ヒトはなぜ絵を描くのか』という本に紹介されている、チンパンジーそっくりの「絵」を描いてご満悦である。

（立川駅の雑踏）

【23日・木曜日】銀行から「投資信託の動きが芳しくない」と連絡が来る。わずかな投資額ではあるものの、年金暮らしに穴埋めの機会はない。そのうえトランプごときに振り回されている相場に腹がたつから、解約する。

（同）

【今日・月曜日】代休の娘が家に来て、私のパソコンを占領している。「やることがない」という老年性退屈に耐え切れず、散歩に出る。満開の河津桜や寒緋桜の写真を妻に送ろうとするのだが、スマホは未だ操り難い。（2017.2.27）