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大和ミュージアムでの人間魚雷回天
太平洋戦争を発掘する
/
2007年09月08日 19時10分56秒
1944年6月、マリアナ沖海戦で敗北した日本海軍は、安上がりで短期間で調達できる特殊奇襲兵器を開発する方針を打ち出し、人間が操縦する魚雷(回天)を組織的に開発している。
後ろから見た回天
当時、若手士官から必死の提案があったので止む無く認可したかのように伝えられているが、国を守るよりも組織を守ることを優先した海軍が、回天の開発・特別攻撃隊の編成という組織の責任を回避する目的で、事実と違う記録を残したというのが真相らしい。
1945年1月には、大本営と政府主要閣僚の集まる最高戦争指導会議において、全軍特攻化が、日本軍の最高戦略となり、海軍幹部は「一億特攻の魁(先駆け)」というスローガンを使って多くの将兵を死に追いやっている。
そのスローガンを前線の将兵に伝えた草鹿中将をはじめとする海軍参謀は、多くが終戦後も生き残り、高額の恩給を貰って余生を楽しんだのである。
1944年8月、海軍省が正式に兵器として採用した回天は、九三式三型魚雷の本体に外筒をかぶせ、やっと一人が乗れるスペースと潜望鏡を設けた有人魚雷である。
実物が呉市の大和ミュージアムに展示されているが、魚雷の上部に簡単な鉄板でスペースを作っただけという代物で、一旦乗り込むと脱出できない構造の兵器であった。
搭乗員は、潜望鏡で敵艦の位置を確認し潜航操舵、敵艦へ確実に命中させるというが、魚雷をベースにしているので、舵が利き難く非常にコンントロールの難しい兵器で、敵艦に直角に当たらなければ爆発しない構造となっていた。
魚雷
従って人間魚雷回天の戦果は、航空機による特攻攻撃を敢行した神風特攻隊と同じように日本側が期待していたよりもはるかに少なかったようである。
最近、イラクで頻発している自爆テロは、「テロで犠牲になれば天国に行ける」という教えを信じ、テロと天国をギブアンドテイクの関係でとらえ、イスラム教信者としての崇高な宗教行為で自発的に敢行するのである。
一方、戦争末期の特攻攻撃(大和の沖縄出撃、回天特攻隊、神風特攻隊等)に参加した若者は、特攻で日本が勝つ、あるいは天国に行けるとは誰も考えない犬死行為であることを知りながら敢えて死んでいったのである。
前方から見た回天
自爆テロは(宗教的)個人利益を求める死であり、特攻は個人的利益を求めない死なので同じようで両者は全く違うのである。
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