税金面で優遇されているシンガポールに移住した「日本人富裕層の実態」が最近読んだ小説の中に出ていましたのでバラの花の写真と一緒に紹介しましょう。<・・・>が小説からの引用
<けた外れのカネを持つ日本人や日系コリアンと会っても、多くの家庭が崩壊している。もともと税金のために移住しており、シンガポールが本当に好きで来たわけではないのだ。金持ちやその息子の場合には節税という、はっきりとした目的があるから我慢もできるが、女性にはその意識が希薄だ>
<しばらくすると、まず妻や息子の嫁が「日本に帰りたい」とか「日本に残した親の面倒を見たい」などと言い出し、移住した一家がもめ始める>
<「お金を残すのはお前たち家族のためなんだ」男たちは、たいていそう言い張る。実は自身の欲に突き動かされているのだが、それを家族のためという大義名分で言い訳していることに気付かないふりをしている>か、実際に気が付かないのか。
<「俺は我慢をしているのに、お前たちはどうしてわからないんだ」(と男が言うと)「私は日本がいい。少々貧乏でも、やっぱり日本に住みたい」こうした争いの末、女たちは夫や息子を残してさっさと帰国してしまう>
<カネがあって愛人ができたというケースもあるが、結局夫婦は離婚。シンガポールの「あがり」(働かなくても豊かに生活できる)富裕層で家庭円満な人を探すのは難しい。最初に脱落するのは息子の嫁が多いという。これはシンガポール投資を勧める投資顧問業者の証言である>
<(富裕層の)妻たちには、もともと移住しようというモチベーションがなく、語学が不自由でローカル社会に溶け込めない。二、三年で帰国する現地駐在員とは世界が違い、友人のいないことが多い。中には自殺騒ぎを起こした人もいる。「こんな空しい思いをするくらいなら」と結局、節税を放棄して日本に帰国してしまうニューセレブも多くいる>
<シンガポールのプライベートバンクの中には相続税逃れで移住しようという資産家に(事前に)警告するところも出てきた。外資系のあるバンカーは節税のためにシンガポールに移住したいという金持ちに「我慢できませんよと、はっきり言います」>
さらに節税の<ブームに乗るのもいいですが、税金のために人生後半の貴重な5年間(今の日本では5年間を過ぎると非居住扱いとなる)何もしないで、(外国で)毎日ぼーっとしていられますかと、はっきり言います。国税庁が5年ルールを10年に改正してしまうリスクもあるんです」>・・・金持ちの節税も容易ではないようです。
参考文献:プライベートバンカー カネ守りと新富裕層 清武英利著