チドリ目にはチドリ科、シギ科に属する野鳥が多くいますが、日本で見ることが出来るタマシギ科の野鳥はタマシギ(英名:greater painted-snipe)だけです。
2属しかいないタマシギ科のもう1属はオーストラリアの「Australian painted-snipe」、ウイキペディアで検索すれば写真が出てきます。
タマシギは一妻多夫と言われていますが、バードリサーチニュース生態図鑑によれば<抱卵期までの行動観察によれば,メスは複数のオスと同時につがいになることはなく(Komeda 1983),連続して1羽ずつのオスと複数回繁殖を行なうものと考えられる>
<メスは主に夜間にさえずりオスに求愛する。雄とつがいになると1週間程度のつがい形成期間を経て造巣する>・・・造巣作業をオスメス共同で実施しているのをこの場所で観察しました。
<産卵期間を経て,すべての卵を産み終えるとメスは巣を離れ,次のオスとつがいになるための求愛行動に移行し,抱卵と子の世話はオスのみが行なう>
<最大で4羽のオスと7回以上つがいになった例がある。同様な繁殖様式(連続的一妻多夫)はシギ科およびチドリ科の鳥類にしばしばみられるものであり,効率的に繁殖を行なうことができるという適応的意義があるものと推測される>
<抱卵期間は19-20日.ヒナは早成性で,孵化後すぐに巣を離れる。孵化後すぐに標識したヒナで,標識後25日程度で親から独立した例があること,風切羽が伸長中の段階で親が周囲にいないケースも複数あったことから,短い期間で独立する場合が多いものと思われる>
<環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されているタマシギの渡りや移動分散についてはほとんど情報がないが,千葉県では繁殖していると考えられる個体およびその場所で生まれた個体が12月まで同地に留まった例がある>
<湛水休耕田がタマシギの個体群存続にとって重要な役割を担っているが、時代とともに集約化されていく農地の中で,タマシギなどの湿地性鳥類と共存可能な環境をどのように管理していけるかがタマシギ保護の課題となっている>