職員室通信・600字の教育学

小高進の職員室通信 ①教育コミュニティ編 ②教師の授業修業編 ③日常行事編 ④主任会トピックス編 ⑤あれこれ特集記事編

ライオンに出会ってから走って逃げ切る走力より、数キロ手前で「なんか危ない」というザワザワ感を

2007-10-06 06:17:54 | Weblog


★学校説明のため来校した北高の先生方。右は説明を聞く森T


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◆価値がないので没にしたいのだが、なんとなく気になる……ということで、しばらく保存していた記事がある。
 以下にコピーする。

〈切り抜き・読売〉
 三輪中は、「安定した学校」(筑前町議)と映っていた。
 バレーボール部に所属していた男子生徒も、きちんとあいさつする少年で、同級生らから「キモイ」「目障りだ」と言われても笑顔を絶やさなかったという。
 このため、いじめていた生徒の一人は「笑っていたからいじめになるとは思わなかった」と振りかえる。
 三輪中では、生徒の様子を話し合う会議が定期的に開かれていたが、いじめの解決はクラスの担任教諭任せの傾向が強かったようだ。
 教師同士が情報交換する機会を作り、学校全体でいじめの解決に取り組む体制があれば、男子生徒の笑顔の裏側が把握できたかもしれない。
 男子生徒は自殺した当日、クラスで何度も「死ぬ」と漏らしていた。
 同級生と話し合って、遺書まで作成していたが、学校側には情報として伝わっていなかった。
 生徒との信頼関係を築くとともに、「相談しやすい」雰囲気を作り、学校全体が「組織的な感受性」を高めることが何より求められている。(吉田尚大)
                     (切り抜き以上)

◆「~ようだ」「~かもしれない」と、大切なところはぼかしているクセに、対象(ここでは三輪中)だけはきっちり詰問調で糾弾する。
 そして、最後は抽象的、総花的な理念を提示しつつ、「~求められている」でしめくくる。
 報道機関によくあるパターンだ。
 やや不快感が先にたった。
 にもかかわらず、後生大事にもちつづけていたのは、なぜか?
 それは「組織的な感受性」という語がひっかかったからだった。


★朝の選挙運動をする立候補者たち


◆全方位的に優れた感受性の持ち主はいない。

 たとえば、わたしは国語教材の初読場面で「一文ずつ読んでもらいます」と指示して、読めない漢字や読みにくい語句が出てきたら、教える、教え合うという方法はとらない。
 みんなの前で読めない子どもをみると、キュゥゥ~ンと胸が痛くなるからだ。
 だから、わたしは自分がまず範読しながら、読めない漢字にはよみがなを振らせる。
 徹底して振らせる。(ただし、後で消せるようにエンピツで)
 それから、念のために各自黙読させる。
 その段階でも、まだ読めないという場合は、回りの生徒や机間のわたしに質問させる。
 「一文ずつ読んでもらいます」は、それからだ。
 この点では自分は、いきなり「一文ずつ……」という教師より感受性が優れていると思っている。

 しかし、その他の方向、特に危機に対する感受性は、自分でもあきれるくらい、あるいは松代Tにもあきれられるくらいに、鈍い。

◆だから、「組織的な感受性」を高めたいのだ。
 高めたいと思う感受性の方向を粗く2つ示す。

 ひとつは、次の(1)~(4)の「一人残らず、すべての子ども」ということに対する感受性だ。

(1)教師は、一人残らず、すべての子どもの可能性を信頼すべきである。
(2)教師は、一人残らず、すべての子どもの個性力量に依拠すべきである。
(3)教師は、一人残らず、すべての子どもに生きる勇気を与えなくてはならない。
(4)教師は、一人残らず、すべての子どもに知識と知恵と技を育てなくてはならない。

 もうひとつは、危機への感受性だ(生徒指導を含む)。
 危機は、見えないところを起点としている。
 目に見えるようになってきたときは、危機の度合いがかなり進行している。
 見えてから(わたしのよくいう「ベストの対応」をしようと)豪腕を発揮する(←これも大切な能力だが……)よりも、危機がまだ「見えない」段階でそれに気づく感受性を高めるほうがベターだ。

 わたしの敬愛する哲学者・内田樹はよく次のような話をする。
 ライオンに出会ってから走って逃げ切る走力を身につけるより、数キロ出前で「なんか、あっちのほうにゆくと危ない」というザワザワ感を感知する能力を身につけるほうがずっと効率的である、と。

◆今回は高めたい「組織的な感受性」の方向だけを示して終わる。
 なお、ここでいう組織とは、もちろん、学年部会・校務分掌部会・教科部会・3K会・主任会・運営委員会・職員会議などを指す。


★避難訓練

◆メ モ

(1)1学年は読書好きの生徒が多い。
 昼休みの図書室は1年生であふれている。
 1学年での指導もあると思うが、小学校の先生方に質問してみると、この学年は、小3から教科書の単元に関連する「書物リスト」を作り、それを参考に図書室で読書させるということをやってきたそうだ。文学が、政治が、経済が語れる中学生になれるかもしれない。期待している。

(2)10/7(日)9:30 岬台連合町内大運動会が開催される。
 生徒を積極的に地域の行事に参加させ、同年代の友人や教師・家族以外の地域の方々との活動を通して、思いやり、協調性、感謝の心、連帯感、地域の一員としての自覚を育てたい(←経営の重点2)。
 岬台地区の生徒については、部活動等との調整をして、参加を奨励するようお願いしたい。

(3)〈私にはかつての同僚で尊敬する先輩が3人いる。小出氏、平野氏、坂本氏。個性も違うし、出身地も違う。しかし、この3人の先輩に電話すると、どの声もおなじようだったのである。あたたかい、ゆったりとした、相手を立てるような言葉遣い。細やかな配慮。いつかけても同じだった。私は、教師の実力は、電話の声にも出ると思っている。〉(向山洋一著『プロ教師への道』)


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