プログラムはモーツァルトとブラームスのクラリネット五重奏。モーツァルトは14種類の録音を持っているけれど生で聴くのは初めて。クラリネットの演奏会は25回以上は行っているけれど、五重奏の演奏会は本当に少ない。五重奏を生で聴いたのは1回だけ、上田希さんの日本音楽コンクール優勝記念演奏会だけだった。そのときはウェーバーの五重奏、忘れられない快演だった。
クラリネットを演奏する人はいっぱいいる。プロ以上の聴かせる演奏をできる人は日本に何百人といる。それでも生の演奏に接する機会というのはさほどに少ない、それこそがクラシック音楽の世界なのだろう。今回も演奏は家のステレオでは全く望むべくもない太い広がりのある包み込まれるようなダイレクトな音楽ではあったけれど、こういう機会の少ないことに改めて失望感も感じてしまう演奏会ではあった。
阪急電車が三宮を出るとものすごい風雨で徐行運転になった。こんな中で演奏会が始まるとは思えないほどだ。十三には5分遅れで到着、予定していた宝塚方面の電車は出た後、10分遅れの電車に乗るはめになった。庄内には15時50分に着く。オペラハウスまで5分だからぎりぎり開演に間に合った。ただ、建物が途切れたところで突風にあおられて傘が壊れてしまう。08年と09年の四国通し打ちで耐えた傘だっただけにすごく残念だ。来年は新しい傘を用意しなければならない。台風のおかげで余分な出費を強いられることになる。
第3部は美しくて親しみやすい曲が多くてとてもリラックスできた。吹奏楽の演奏会ではこれが基本だと思う。ぼくは大学に入るまでスペインのマーチは知らなかった。大学時代指導していただいた読売日本交響楽団の市岡史郎先生が「アンパリトロカ」が大好きで、たびたび演奏された。ぼくの時代には演奏会で採り上げることはなかったけれど、何回か聴くたびにぼくも好きになっていった。曲もかっこいいし吹奏楽自体もかっこよく見せてくれる曲だ。「ヴェニスの謝肉祭」はチューバとコントラバスのソロデュエット、コントラバスのソロがこれだけたっぷりよく聞こえるアレンジはあまり聴いたことがない。
そして最高だったのがアンコールのステージマーチングショウ、吹奏楽のアンコールではつまらない曲を聴かされることが多いけれど、これはその対局にあるすばらしい演技だった。名前は変わっても阪急のスタイルが全曲を通して色濃く感じられれるのが嬉しい。鈴木竹男先生の優しい笑顔が思い出される。
第1部 陽はまた昇る P・スパーク
ドラゴンの年 P・スパーク
レジェンド M・ケンツビッチ
歌劇「サムソンとデリラ」
より“バッカナール” C・サン=サーンス
第2部 威風堂々第4番 E・エルガー
イエスタデイ J・レノン&P・マッカートニー
ヘイ・ジュード J・レノン&P・マッカートニー
ラデツキー行進曲 J・シュトラウス
第3部 エスパニア・カー二 P・マルキーナ
スペインの風 C・アーンクリフ
アンパリト・ロカ J・テキシドール
スペイン チック・コリア
フニクリフニクラ~チャルダッシュ~ベニスの謝肉祭
カルメン組曲 ビゼー
アンコール 瑠璃色の地球
ステージマーチングショウ
グッドフェローシップマーチ
1部はすっかり眠りこけてしまった。演奏がまずかったということはないし退屈だったということでもない。この10日間というもの緊張の連続で相当ストレスが蓄積していた。その澱やしこりが久々に聴く生の音楽で解きほぐされていったのかも知れない。2部のビートルズは本当に懐かしかった。いわずと知れた New Sounds in Brass の第1集、40年前のアレンジだ。当時ぼくは演奏もしたし指揮もした。
1部 A Song for Kwansei 山田耕筰
「ロデオ」より カウボーイの休日 A・コープランド
歌劇「ラ・ボエーム」第2幕より G・プッチーニ
バレエ音楽「三角帽子」第2組曲 M・ファリャ
2部 A Weekend in New York P・スパーク
交響曲第2番 J・バーンズ
アンコール エニグマ変奏曲より エルガー
「雪娘」より道化師の踊り チャイコフスキー
関学の演奏会に来るのは昨年の春以来になる。定期演奏会はここ30年で23回は来ているし、この10年は休まず来ていたから、昨年予約していながら急用で来られなかったのは、辛かった。今年も前売りを買っていたけれど、前日までどうなるか分からなかった。でも無理をしても来てよかった。ぼくが関学の演奏会に来る目的の第一はエンディングの賛美歌を聴くことにある、賛美歌を聴いて泣く。涙はこぼれないものの、毎回胸がじーんと熱くなってウルウルする。これがなくなったら来るのをやめてもいいと常に思っている。でも30年を過ぎてもやめられずにいる。今回は1年半ぶりということもあって、さらに新鮮な感じがして本当に涙がこぼれた。音楽を聴くだけで涙がこぼれるというのは本当にありがたいことだと思っている。
関西の吹奏楽指揮、オールスターズ。
1部 「ベルファゴール」序曲 O.レスピーギ/木村吉宏 編曲
指揮 芹川和輝(学生)
交響詩「ローマの祭り」 O.レスピーギ/高橋徹 編曲
指揮 辻井清幸
2部 バレエ組曲「シバの女王ベルキス」 O.レスピーギ/木村吉宏 編曲
指揮 木村吉宏
交響詩「ローマの松」 O.レスピーギ/木村吉宏 編曲
指揮 森下治郎
アンコール
ヴァレンシアの寡婦よりダンス ハチャトリアン
行進曲「国民の象徴」 バグレー
夕食をいつもより早めにすませ、何とか開演前に到着した。意外なことに当日券は販売されていた。でも1階の最後部で立ち見をしている人が20人くらいいたから、座席はなかったのかもしれない。ぼくの席は3階のRRB、ステージのトランペット、トロンボーンの前列の真横にある。でもこの席は悪くない。ステージに近いので、反響や残響がくる前に、ダイレクトに全ての楽器が来るので、バランスは悪くないし、楽器間のつぶし合いもあまり感じられない。もしかしたら、吹奏楽を聴く場合このホールでもっとも聴きやすい席かもしれない。ただ打楽器が近いので、ほかの席より気になることは多い。
電車の都合でアンコールは聞けなかったけれど、プログラムの4曲は隅から隅まで集中して聴くことができた。吹奏楽の演奏会でこれだけ集中して聴くことはあまりない。さほどに、近大の演奏は密度の濃い、充実した内容だった。特に「ローマの松」はすばらしかった。第1曲の「ボルゲーゼ荘の松」は全てのクラシック曲の中で最も吹奏楽アレンジに適した色彩感、躍動感に満ちた曲だと日頃から思っている、そのぼくの期待に違わぬ文句のない演奏だった。全てのセクションが何を吹いているか聞き取ることができたし、それぞれが生き生きして殺し合うこともない、本当に豊かな音楽で涙が出そうになるくらいだった。
1部 Marching Stage
第2組曲よりパソドブレ A・リード
カルメンよりハバネラ ビゼー
アランフェス協奏曲 ロドリーゴ
高貴なる葡萄酒を讃えて G・リチャーズ
エル・カミーノ・レアル A・リード
マラゲーニャ
2部 Big Band
コットン・テイル
スリーピーラグーン
パディード
インナセンチメンタルムード
ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド
Wind Band
2001年宇宙の旅
オペラ座の怪人
美女と野獣
ペルシャの市場にて
アンコール A列車でいこう
タイム・トゥ・セイ・グッドバイ
猪俣猛氏のドラムスを聴くと、本当に心地いい。ドラムスというものがこんなにも気持ちよいものだったのかと、毎年思い知らされる。普段どんな音楽を聴いてもそんなことを感じることはない。彼のバランス感覚と音色のスマートさ美しさ、そしてもちろんトッププロのリズム感覚。どんなメロディ楽器よりも音楽的で我々の心をワクワクさせてくれる。こういう最高の音楽を入場料無料で聴けるなんて本当にありがたいことだと思う。手を合わせながら11月ホールを後にした。
TAKUMI/匠 松谷卓
カントゥス・ソナーレ 鈴木英史
マゼランの未知なる大陸への挑戦 樽屋雅徳
2部 ディヴェルティメント第2番 W・A・モーツァルト
クラリネット三重奏
落ち葉の舞う季節 渡部哲也
木管三重奏
Musical Stage ~Sound of Music~
定期演奏会からさらに1年生3名が退部、21名のさびしい舞台になっていた。それでも1部の3,4曲目は0B5名、新入生3名の賛助を仰いで十分聴き応えのある音楽ができていた。1年生が最低10名は入るから30名の編成になる。30名いれば立派な音楽ができる。失望するに値しない。
1部 関西大学学歌 山田耕筰
グリーンスリーブス A・リード編曲
詩人と農夫序曲 F・スッペ
組曲「仮面舞踏会」 A・ハチャトリアン
2部 マインドスケープ 高昌帥
第六の幸福をもたらす宿 M・アーノルド
アンコール アメイジンググレイス
ホールニューワールド メンケン
ヒューマノス Jvd・ロースト
行けるかどうか判らなかったけれど、何とか3ヶ月ぶりに姫路を脱出することに成功しました。CDを送ってもらうことになっていたけれど、音だけでは絶対全部を感じることはできないと思っていた。今年は、創部以来最も大変な年だったはず、その最後をどうしても見届けておくべきだと思っていた。ぼくが知っている限り最も少ない40名という人数だったけれど、2部の音楽は聴き応え十分だった。マインドスケープは大阪大会、関西大会よりも輪郭がはっきりしていてよくまとまっていたし、アーノルドも、ぼくがコンクールで幾度となく聞いてきた他の団体の演奏よりも、バランスよくきれいにまとまっていた。本当に胸に染み入るものがあった。それに比べると、1部の音楽は差がありすぎるような気もしたけれど、何といっても2部の指揮者は二人とも全国大会金賞の指揮者、それだけの差が出るということは、それだけ実力のある値打ちのある指揮者だとも言える。学生指揮者の限界を見せつけられたような気もするけれど、この体制は維持していく方が賢明であると認めないわけにはいかない。
来年の3月までは23名、さらに厳しい状況が何年も続く。何とか楽しく乗り切って貰いたいと心から願う。
それはさておき、ぼくも大学2年生の時このラレミファを演奏したことがある。でも、その音楽の深い意味は全く理解していなかった。ただ音符をできるだけ正確に音に換える作業しかしていなかった。楽器を持って2年目だったので、それすら思うようにならず、音程が正確にとれず、部分的にカットされてしまったりした。芸術に触れるまたとない機会だったのに、全然生かせなかった。せめて「ラ」の意味だけでも分かっていたなら、全然気分が違っていたのにと、今になって悔しい思いをしている。
指揮者井上道義さんの言葉
「どんな時代に生きてる人でも、その時の枠というか、縛りがある。それを全部取っ払うのがアーティストなんだよね。彼は完全に自信があった。完全に自分の才能に対する自信が揺るぎのないものだった。」
ロシア文学者亀山郁夫さんの言葉
「彼が闘い獲ろうとしたものは、政治的信条、あるいは自分の生きている現実、体制に対する批判、そういうことを超えて、自分の芸術的個性をどこまで拡張できるか、与えられた条件の中で。そういう格闘そのもののプロセスがショスタコーヴィチのいわゆる信念だったと思いますね。」
指揮:井上道義 ヴァイオリン:郷古廉
グノー :小交響曲 変ロ長調
メンデルスゾーン :ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
モーツァルト :交響曲 第36番 ハ長調 K.425「リンツ」
アンサンブル金沢の演奏は5年前にも同じホールで聞いている。その時はややがっかりするような演奏だった。弦楽器があまり鳴っていなくて、ピアノ(ベートーヴェンの皇帝)とのバランスが悪かった。管楽器とのバランスもあまりよくなかった。室内オーケストラだからそんなものかなとも思ったけれど。同じホールでニューヨーク室内管弦楽団が演奏したときはその倍くらいの音量だったから、やはり失望するような演奏だったのだろう、だから二度とこのオーケストラの演奏を聞くことはないと思っていたけれど、今回は躊躇なくチケットを買った。その時とは指揮者が違う。ぼくが現在お金を払っても見たいと思っている日本人指揮者は3人だけ。小澤征爾、小林研一郎、そして井上道義。
30年くらい前に「題名のない音楽会」で彼の振る「ロメオとジュリエット」を見て以来、テレビでは何度かその姿を見ていて、かっこいいなと思い続けていたけれど、生で見る機会は一度もなかった。今回初めてその姿を見て、想像以上に無駄のない的確な洗練された指揮で惚れ惚れするばかりだったけれど、それ以上に驚いたのは、オーケストラの音が5年前とは全然違っていたことです。完璧なバランスと、アンサンブルが構築されていました。前回のような違和感は全くなくて、弦楽器はよくまとまって大きな力を常に響かせている。生オーケストラの値打ちを十分感じさせてくれる演奏でした。
ヴァイオリンの郷古さんは15歳の高校1年生、5年前に学生音楽コンクールで全国1位、国際的なコンクールでもジュニア部門で優勝している実力の持ち主です。そして使っている楽器はストラディバリ(もちろんレンタルですが)、名器の響きを初めて生で聴くことができた。
オーメンズ・オブ・ラブ 和泉宏隆/真島俊夫編曲
メリーゴーランド 内山智恵/佐々木邦雄編曲
ドゥーン川のほとり P・グレンジャー
ディズニー・メドレー2 佐橋俊彦編曲
第2部
オープニング・メドレー
エブリシングス・カミング・アップ・ローゼズ
AltoSaxとBandのためのメモリー
クラリネット・サンドイッチ
君微笑めば
ブルース・オン・パレード
ヴィバ!アメリカ
アメリカン・グラフィティ19
アンコール
愛がすべて
オブラディ・オブラダ
客演指揮、編曲=岩井直溥。
客演、ASax:田中靖人/Drums:そうる透
アルトサックスの田中靖人さんは東京佼成ウインドオーケストラのメンバー、ソロアルバムも4枚リリースしています。やはり、プロの音は全然違う。こういう音は普段ほとんど聞くことがないから、ただただうっとりするばかり。交通費2400円、前売り券1500円が全く高いとは思えなかった。