ゑの巣

ここでは管理人個人の日々の妄言、妄想、創作などを世に晒しています。ごゆるりと。

綺麗の裏に臭いあり

2016年02月06日 20時43分27秒 | Weblog
学生の時分、実習でテンペラ画法を学んだが、その技法に
おいて酢と卵と膠が用いられるため、結構な臭いを発する
(しかも実習が夏にあったので尚更臭い)ことをふと思い出す。

デジタルやアクリルで絵を描くようになって、すっかり
忘れていたが、絵を描く行為は本来、結構な臭いに囲まれて
行われるものである。
油絵の具で用いられるテレピンは松脂臭いし、ペトロールは
石油臭い。テンペラや日本画で用いられる膠は獣臭く、
技法によって酢やアンモニアを使用するケースもある。
人によってはラッカー系の塗料を使う人もおり、これらは
弱かれ強かれ、いわゆるシンナー臭さを伴う。

いずれもこれらは作品として完成した段階で、残らず消えて
しまうものであるから、鑑賞する側からすれば制作時の
涙ぐましい(揮発したテレピンは目にくる)苦労は全く
気付かれないものとなる。
特に昨今は、異常ともいえる情報の氾濫に比して、驚くほど
においについての情報は付いてきていないような状態で、
とは言え、半ば神経質とも思えるほどに匂いに気を使う人は
多く(無臭のデジタル世界の理に自分自身を近づけようとする
行為と捉えれば合点が行くが)、かくも不思議な立ち位置に
ある、においという切り口からものを見るのは中々に
面白いと感じた次第である。

なお、個人的にはテレピンの松脂臭さも、膠の獣臭さも、
シンナー臭もアクリルメディウムの臭いも結構好きな部類である。
集中力が増すというか、何かを制作しているときの精神状態に
引き戻される感覚があって良い。
試したことはないが、おそらく今のデジタルの制作環境にあっても
これらの臭いの効果は有効であると思われる。

だがしかし、腐ったアクリル絵の具、テメーはダメだ。
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