蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

旧樋爪家茶室  七尾城跡

2013-06-17 22:08:05 | 古民家、庭園
七尾城史資料館の玄関前に、日本一小さい茶室と呼ばれる、樋爪家の茶室が移築されている。


屋根はちゃんと設けられているのだが、その下は吹きさらしのような、壁もろくにない腰かけ待合のような空間である。


わずかに半畳程の空間が、亭主のために用意されている。
この空間では、客を招き入れ対坐するのは不可能だ。




亭主だけのための茶室だとしても、入り口や天井はちゃんと工夫されている。

七尾の古屋敷町(地名であろう)の舘の庭にあった茶室である。


大将寿し  七尾市

2013-06-16 21:32:35 | 寿司
戦国時代の七尾城は今の市街地からかなり離れた山の中にある。
ところが七尾の駅前、役所近くに大手町という地名が残る。
しかも、その大手町に飲食店が並ぶ小路があり、その一画にあるお店である。


いろいろと謎のある七尾市大手町だが、七尾の港からは目と鼻の先にある。


まずは、ふぐ刺しで。
天然ものの歯ごたえはないが、それでも淡白な白身の中に潜む旨みは大変なものがあった。


続いてキスの天麩羅。
こういう白身魚には、どうしても日本酒を合わせる事になる。


2品でゆっくりウォームアップしてから、本命の特上にぎり。
鮮度の良いネタがつやつや。


マグロにタイに甘エビ。
マグロは日本海産の、大きくは無いが味ののったものと思われる。


貝二種にウニ。全部が地元で獲れたものではないかもしれないが、やはりウニの軍艦巻きには華がある。


イクラもうなぎも、ネタとして好みである。


ご馳走様でした。


懐古舘  七尾市

2013-06-15 22:19:22 | 古民家、庭園
懐古舘という名がつくが、旧飯田家住宅ともいえる。
七尾城(16世紀後半には上杉信玄により焼き打ちにされた)の麓に、庄屋の住まいとして建築されて200年になる。


古民家の間取りとして、珍しい形をとるようだ。
向って右にある式台の位置、そしてその直ぐ右側に内苑が位置するのもあまり見かけない形である。




かろうじて、庭園をガラス越しに撮影することができた。


隠し井戸は、本当に穴の奥に掘られている。
毒殺を恐れて設置されたという説があるようだ。


主庭と90度、軸がふれた奥庭である。


岩ガキ

2013-06-14 22:30:50 | 日本料理
能登半島の東側の七尾湾は、入り組んだ海岸線の構造が自然の防波堤となり海が非常に穏やかだという。
そのような環境は、牡蠣の養殖に適していて冬場の本格的なシーズンには多くの牡蠣料理のお店が開くようだ。


夏場は、その条件を利用して良質の岩ガキが食べられる。
七尾港の隣にある、能登食祭市場では、持ち帰り用の牡蠣をその場で開けて食べさせてくれる。
この大きさで一つ300円。信じられないほどに鮮度がよく味が濃い。

これは実にお勧めである。


室木邸  石川県七尾市

2013-06-13 21:17:30 | 古民家、庭園
室木家は、江戸末から明治の半ば頃にかけて七尾の土地で繁栄した家である。


格式の高い門が、その昔の繁栄を物語るが、その後ろの母屋は未だに茅葺屋根が残されている。


舘は七尾湾に面し、東向けに建てられている。
主たる庭は、舘の左側、南向きに造られている。
門からは、身分の高い人向けの中央玄関への真直ぐの道、向って右側の普段の人々の出入りのための道、そして庭へ直に出這入りを許された更に身分の高い人のための庭への左側の道が設けられている。




上座敷には凝った造りの書院が設けられ、庭を見るには最高のポイントである。
下座敷には、孫文の書が架かる。


まずは書院の外の廊下から庭園を眺める。
鶴が羽を広げた姿をかたどった池を中心に、苔の豊かな石組が展開する。






座敷の前には庭を歩くための下駄が用意されていた。待ってましたとばかりに、庭を回遊する。
置かれている石の数も多く、たった一歩で目に入る庭園の姿が一変する。




家の西面にも、主たる庭程の格はないが、それなりの庭が造られている。


囲炉裏では、鉄瓶が静かに音をたてていた。


内海は目の前である。
能登半島の東側と西側で、海の表情があまりに違うのに驚いた。


松乃鮨  七尾

2013-06-11 23:29:50 | 寿司
能登半島の東側、七尾湾は入り組んだ内海で、貝類が豊富に獲れるようだ。


七尾港と道一本隔てたところに、松乃寿しさんがお店を開いている。
観光客が多いエリアだが、駐車場には地元ナンバーがほとんどであり、さらにお腹も空いていたのでこちらのお店にした。
地物尽くしを注文したら、実に繊細な仕事に出会う事ができた。


鰤(もう少し若めのイナダかもしれない)に、鯵。


甘エビに、カワハギ。このカワハギの胆の味の豊さが忘れられない。


そしてズワイガニ。これも鮮度のよい、味の濃いものだった。


キス(だったと思う)に、アカニシガイ。貝は、七尾湾の獲れたてだという。


サザエの軍艦巻きに、白エビ。白エビをいただくのにはよい時期に訪れたようだ。
ネタは見事だが、それ以上にシャリの握り具合が上品で素晴らしい。
伝統的な握りはおむすびのような食感になるが、このお店で出すのは洗練の極みの握りだと思う。


別に構えた所もなく、驚くべき水準の寿司を出す。日本海沿いの寿司屋さんは、外見では判断が難しい。
見事な技、ご馳走様でした。


座主家  七尾市

2013-06-10 22:44:20 | 古民家、庭園
18世紀前半の建築。中能登地方に残る最古の住宅である。


屋根の柔らかいカーブが古い時代の建物である事を告げる。
国指定の重要文化財だが個人の持ち物で、内部は公開されていない。
という事は、入り口の石段の所まではよいとしても、断りなく庭にまで入り込むのは問題だろう。


平成18年に修理されているが、塗り壁がなかなかよい味を出していると思う。


撮影できる角度が限られていて、ちょっと単調になりがちである。


敷地を見回すと、子猫の姿を発見。


さらにもう一匹、もっと人になれたのが出てきて、愛嬌をふりまく。
なかなかの美猫と思った。


中吉  小諸

2013-06-08 20:28:29 | 日本料理
築130年の町屋を使った料理屋さんである。


古い町並みのある旧北国街道を小諸の中心から少しだけ東方向に進んだところにあるお店である。




当日の朝に予約を入れたのだが、とても居心地のよい部屋に案内された。
机の上板は江戸時代の戸板のようである。


まずは前菜。
ジャガイモにタラの芽。そして漬物。オーソドックスだが、味付けに工夫を感じる。


続いてサラダ。
レタスの水切りは完璧。それの上に載せたライスペーパーの揚げ物(ただしとても薄く繊細に作られている)はパリパリで、見た目以上にインパクトが強い。


牛肉の蒸し物は、ランチの枠をはみ出さないギリギリのもの。クルマで来たことをいささか後悔した。蒸し物は素材の味を引き出すが、つけタレも甘すぎないよい加減だった。


人数が多ければ、こういう部屋も入れそうだ。


ご馳走様でした。


小諸の町並2

2013-06-07 23:44:14 | 古民家、庭園
時間が限られていたのだが、小諸の旧市街を短時間歩いてみた。


「缶詰食料 K&K」という看板は、作られた当事は信州では先進の技術を取り入れた感じではなかったろうか。
それにしてもK&Kとは。


造りからすると、昔はお店をされていたように推測される。
格子の戸が美しい。


倉の看板を見ると、醤油などの醸造元らしい。小諸の周辺も年間を通じて日照量が多く、豆などもよく育つ。
それに浅間からの伏流水を合わせれば、よい醤油ができそうだ。


小諸の町は全体に古いものがよく保存されていて、表通りを少し外れたところにも昔の息吹を感じることができる。


真田家の庭  松代

2013-06-06 23:15:29 | 古民家、庭園
幕末に建てられた真田家の隠居所であるが、大掛かりな修繕が必要となり、数年間は公開することができなかった。
さらに、修理完了直後には庭にまで手が回らず、ちょっと寂しい姿となっていたのだが、たった2-3年で、見違えるような姿になっていた。


奥座敷や寝室には凝った演出がなされているが、自然の力が注がれる庭はそれに負けていない。


奥座敷の前に展開する庭の姿は緊張感に満ちているのだが、今の段階ではごちゃごちゃし過ぎているように思う。
一段後ろに引いた、中の間あたりからの借景の姿の方が生き生きとして、そして今の時代に生きる風景の貴重さを感じさせるように思う。


初夏の里山は、本当に様々な姿を見せると思う。植生により、滑らかなように思いこんでいる山肌の色合いがダイナミックに変化する。
それを、城下町の庭から眺められるというのは、大変な事だと思う。


このお庭、石組の見事な姿が見られる。
史料をよりどころにした復製なのか、もともと存在した石組を修復したのか、その辺りは分からないが、それなりの目利きが関与しないとこうはいかない気がする。


中庭の松も、それらしい姿を見せている。
ここまでの姿にするまでは、いろいろと育てる側の計算もあったのだろう。