休憩をはさんで始まった第2部。ここからは西国三十三番巡礼歌集のコーラスに参加した「奈良松ぼっくり少年少女合唱団」出身の古河さち子さんと村尾あいさんが加わりました。「Run River Run」(揖斐川マラソンのテーマ曲)、「旅の終わり」、「ひとつの舟に乗り合えば」、「それぞれの秋」、「捨ててこそ」、「バラの花をください」、「新しい朝」と演奏が続きます。「新しい朝」はABCラジオパーソナリティの道上洋三さんが作った曲がサビの部分になっており、なんとご本人が客席から登壇、「頭の手術を終え入院中に、ふと浮かんで出来た曲だ」と紹介されました。現在の高石さんにとってもこの曲はとても大切な曲になっているそうで、歌詞中の「ただ、生きている、それだけでいい」という箇所はガン養生でウォーキングを続ける奥さんとの応援歌になっている曲だといいます。
そして毎年の年忘れコンサートに欠かせない曲、それが今年は「平成二十年、冬が行く」です。1年間の様々な出来事を振り返りながら高石さんが歌い語る叙事詩です。私を含めて観客1人ひとりもそれぞれのこの1年間を重ね合わせながら聴いていました。この曲、演奏しながら歌詞を書きとめた用紙をめくると、それが譜面台から数枚こぼれおちていくその様子に、ホントについさっきまで歌詞を書いていたというリアル感が強くあって、まさにそこにフォークソングの原点を見る思いがしてとても気に入っています。
「いただきます」(有機農業を勧める歌)、「水は頑張らない」(キャンプソング・水ものがたり)、「もう一歩」、「私を待つ人がいる」、そして「陽気にゆこう」。新しいCD『もう一歩 高石ともや詩歌集』に収録された曲もあります。人生の終盤に向かう高石さん、もう頑張らなくてもいいんだよというその一方で、もっともっとあれもできるんではないか、これもがんばれるんではないかという思いも持ち、迷いながら歩む姿を歌います。「水は頑張らない」は上から下へとさまざまに相手に応じて自然に流れる水のような生き方を、そして「私を待つ人がいる」は、待ってくれている人がいると思うことで人は生きながらえるエネルギーが出てくると、ナチスの絶滅収容所に入れられた人たちの例をあげながら語ってくれました。
コンサートが終わりホールを出た地下道の入口に高石さんのポスターが貼ってありました。失礼ながら顔写真はもうおじいさんの顔です。高石さんはいつも走ってきました。だからこれからも走り続けるでしょうが、でもそれはきっとこれまでとは違った新しい走りなのかも知れません。
フォークソングはいいです。2009年、激動の時代。フォークソングはもっともっと広く歌われるようになると思うのですが、どうでしょうか? 私はもっと歌いたい、そう強く思いました。こんな企画の案内もありました。あなたも一緒に行きませんか?