まいど、日本機関紙出版です。

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土佐いく子の教育つれづれ~またあしたね〈37〉

2015年01月30日 | 土佐いく子の教育つれづれ

「知ることは愛すること」 ある学生のレポート

◎救いのある教室

 これは、大学で出会ったある学生のレポートである。彼女は、大学に通いながら子育てをしている。ところが、彼女は「ずうっと学校が嫌いで、この教職の授業も『敵状視察』に来ているつもりだったけど…」と書いていた。
 
「この授業に出て、救いのある教室もあると思えるようになった」という大学院生、桂結衣さんの命が輝くようなレポートだ。学校の値打ちをしみじみ考えさせられた。

  ◆   ◆   ◆

 指さす先の花の名を全部答えてくれたらなぁ、「ああ、この人は本当に花が好きなのだ」ときっと思うにちがいない。

 どう思うか思われるかは別にして、恋をした相手のことを一つ知る毎に一つ心に灯りがともっていくようなあの気持ち。知るということろ愛するということとは、どうしてだろう、こんなにも結びついている。(一歳半の息子の心の中でさえ、既にその結びつきは、確かに存在するように見える)。

 教室の中で、あるいは教室の中から、私は一体どんなことを知り、どんなことを知ってもらってきただろう。私は、そこで、たくさんの知識を教えてもらった。今学問を愛する基盤に、確かにそれはなっている。それから友だちのあれやこれや。友情と恋は心のどこの部分が暖かくなるかが違うだけ。彼ら彼女らと何かするたびに、それが何であれ、新しく柔らかい光が点いた。他には――もうその他が私にはうまく思いつかない。本当は、教室には、もっとたくさんの人がいたのに。

 教室というのは、小さな場所ではあるけれど、世界そのものだし、世界の練習場だとも言える。教室には、世界には気が合う人ばかりではなく、価値観が合わない人、ソリの合わない人も絶対いて、排除して自分に都合のいいものを作ることなんてできない。その人たちを「大好きだ」と思い込むことと愛するということとは違う。愛するということは、その人の命の存在する場所を認めるということだ。「好きな人」というところでなくてもいい。「イヤなやつ」という場所でもいい。それでも、その人の生をないもののように知らん振りすることの悲しみとは比することもできない。少なくとも私は、教室というところで知らん振りし続ける命が、人生があることを次第に自分の中に受け入れてきてしまった。初めてピカピカの教室に入った時の全ての命、全てのものへのあの「知りたい」という気持ちを奥深くしまって…。

 教室で、知り合うということ、知り続けるということ、その「学び」は、何者からも奪われてはいけない。世界を愛する権利を、子どもに失わせてはならない。

 日記や作文によって、先生が生徒のことを知る。先生は生徒を少しずつ愛してゆける。この授業で学んだ最も大切なポイントは、その先だ。愛することを教師の特権にするのはただの歪んだ支配欲でしかない。生徒も先生を、生徒が生徒を、先生が先生をそれぞれが生きるところの家族、地域を知り、愛する権利があるということだ。人は、もっと他人に興味をもっていいのだと世界はそういうふうにあるのだと学べるところを担保するのが教師という仕事なのではないだろうかと。

 中・高の教員の場合は、担任として関わる時間はぐっと減るだろうが「教員として生徒を把握しておく」では決してなく、人として互いに知り合うという立脚点を見失わなければできることは存外多いのではないだろうか。それに物理を教えるにも、ただ物理を教えるだけでなく、それによりどんな世界を知ったのかを大切にシェアすれば、それは一つの世界の愛し方の扉を開くことにほかならない。学校が知り合い、愛し合う場としての世界の縮図であるとすれば、実際にその世界に生きる者として(学校なんて〝クソクラエ〟などと思った過去の私)、学校そのものとも、もっと知り合い、愛し合いたいと今は思う。

 花を好きな人は、その名を自分一人のものとして内緒に抱え込んだりしない。知り愛した者は、また誰かに知らせていく。教室が、学校が、世界が知り愛し、そこで完結したりせず、のびやかにまた次へと広がっていく。その営みが自然にできる場であるように、私はこれからの日々を大切に生きる。

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最新刊『パソコン編集入門 〈パーソナル編集長〉バージョン11対応版』を新刊委託へ!

2015年01月28日 | 編集・営業ふらふら雑記

今日は、今年最初の新刊『パソコン編集入門 パーソナル編集長ver11対応版』の委託分の出庫作業でした。各取次の搬入部数は相変わらず厳しいものですが、今後の注文に期待をいだきながら作業しました。

このパソコン編集入門シリーズを始めたのは「パーソナル編集長」のバージョン6からでした。その後、すべてのバージョンアップに対応しては出せていないのですが、今回の改訂版で5作目になります。

当初はこのソフトの普及宣伝も兼ねて、体験版CDを添付していましたが、今は、販売サイトからDLできるようになったのでその手間は無くなりました。

こういう技術系、実用書系の本は、幸いに一定の読者の需要が存在するので、そんなに外れがないようです。最近は大学などの授業のテキストにも使われたりしています。

まだパーソナル編集長を使っていない方は、ぜひとも使ってみるといいと思います。ワードよりもとても使いやすいのです。決してプロ仕様ではありませんが、現在はこれに対応した入稿態勢を整えている印刷所も増えています。

 

 

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「毎日新聞」に広告掲載! 東日本は今朝、西日本は明後日になります。

2015年01月27日 | 編集・営業ふらふら雑記

今朝の「毎日新聞」(西日本は29日掲載)に広告を出しました!

少しでも多くの人に知ってもらわないとね。

 

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ついに、政党助成金廃止法案が国会へ提出へ!

2015年01月26日 | 丸ちゃんの喜怒哀楽へなへなジャーナル

本日、日本共産党が衆議院事務総長あてに「政党助成法廃止法案」を提出いたしました。

国会の議論が国民の注目を集めることを期待します。

 

 

 

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2冊の本で介護保険制度への怒り、そして行動へと広がる学習会を展開!

2015年01月24日 | 編集・営業ふらふら雑記

今週は3カ所で行われた日下部雅喜さんの介護保険学習会に本の販売に行きました。いずれも30人~50人規模の集まりでしたが、これからの介護保険への不安や怒りを感じているさまざまな階層の人たちが参加されていました。

学習会のテーマは主に3つ。①今、介護保険制度がどう変わろうとしているのか、②介護保険料の仕組みと問題点、③第6期介護保険料改定の動きに対して何をすべきか。

介護保険料は40歳以上の7300万人全員が支払わされていますが、低所得の高齢者ほど高負担になります。年金から自動的に天引きされしかも掛け捨て。年金額は下がっていくのに、介護保険料は上がる一方です。

利用もしていないのに高い保険料だけは徴収されることへの怒りがどんどん広がっています。しかも利用するにしても、制限がどんどんかけられ、いったい何のための制度なのかと思いたくもなります。

その一方で、今年は特に防衛費の大幅な増額。これについても介護保険に対する国の姿勢と対比しながら日下部さんは厳しい批判を行っています。

そんな介護保険制度のインチキさも知ってもらおうと、今はうちの本だけでなく、日下部さんが書かれた『介護保険は詐欺えある』(三一書房)という本も、他社本ですが一緒に販売しています。

ではみなさん、制度についてもよく知り、怒りをもって、これから役所や議会に声をあげていこうじゃありませんか!

  

 

 

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『財界主権国家・ニッポン』(上脇博之/著)の紹介記事3点!

2015年01月19日 | 書評・紹介記事

『財界主権国家・ニッポン』がこの間、3紙誌に紹介されました。ありがとうございます。

画像クリックで読めます。

「全国商工新聞」(2015年1月19日)

「小倉タイムス」(2015年1月11日)

「前衛」(2015年2月号)

 

 

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今朝の『東京新聞』に広告掲載!

2015年01月19日 | 編集・営業ふらふら雑記

今回初めてですが、『東京新聞』に広告を出しました。

といっても現物はまだ確認していませんが、それなりの反応がきています。

これを機に今後はこの新聞にも広告が出せるように、がんばりましょう!

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戦争をする国になることに手を貸してはいけない~元特攻隊員の本を読んで

2015年01月07日 | 編集・営業ふらふら雑記

ある本作りの関係で、『特攻 自殺兵器となった学徒兵兄弟の証言』(岩井忠正・岩井忠熊、新日本出版社、2002年)を読みました。

書名のとおり、あの戦争で兄弟で特攻隊員となり、戦後を生き抜いてきた方の証言です。

特攻といっても飛行機ではなくて海上と海中の特攻兵器です。お兄さんは「回天」(かいてん)という人間魚雷の部隊と、もう1つは「伏竜」(ふくりゅう)という、これは予想される敵の本土上陸作戦で、潜水服を着て敵の上陸地点の海中に潜み、押し寄せる上陸用舟艇などを海中から攻撃する部隊ですが、この2つの部隊に所属していました。

また弟さんは「震洋」(しんよう)という今で言うモーターボートの特攻船の部隊に所属していました。2人は大学生でしたが徴兵猶予停止となり徴兵検査を受けてともに海軍に入ることになりました。

詳しい証言の内容はぜひとも読んでもらえればいいのですが、この本は私にとってはとても衝撃的でした。というのも、私たちは口では簡単に「戦争に反対する」とか「戦争をさせない国にするために」とか言っていますが、本当にそのことをどこまでわかっているのか、ということを突きつけられたように感じたからです。

当時、慶応大学と京都大学の学生という頭のできる優秀な若者でした。そして2人とも口に出して公言することは無かったけど「この戦争は間違っている。日本は負けるだろう」と思っていました。でも結局は特攻隊員になり、確実に死ぬことから逃れられない日々を過ごしてきたのです。

私も含めて現代に生きる戦争を知らない若い人たちはあの時代を生きた人たちに向かって「だったらなぜ戦争に反対しなかったのか」と問いかけることがあります。それは当然の問いかけです。でもそれは本当にあの時代のことを理解した上での問いかけなのでしょうか。

その理解するということについて、まだまだ私たちには知らないことが無限にある。あまりにも歴史について知らなさすぎるのではないか。そんな思いを強く持ちました。

今の時代状況について戦争体験者の人たちが「当時によく似てきた」と言われます。それを聞くたびに「そうなんだ。それはなんとかしなければ」と思うのですが、でもなかなかそこから自分で1歩、動き出すことは難しいのが私たちの毎日の現状です。

しかし、そこを変えていかないといけない。もっともっと歴史を学び、それを力に行動していかないと、本当はとても大変なことになる。放っておけば、再び日本が戦争をする国になることはそれほど遠い日のことではないでしょう。

そして私は恐ろしく思いました。私自身がそのことに手を貸すことになるのではないかと…。そのことをこの本は教えてくれます。

http://urx2.nu/fYqj

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特攻映画のロマンチシズムに酔いしれている場合ではありません!

2015年01月05日 | ツイッター

2015年の仕事始めです。

昨日も書きましたが、戦後70年の年、安倍政権とのたたかいの正念場の年になるでしょう。

この時に、どんな出版で応えていくのか。当面は仕掛り中の企画の実現を進めながら、臨機応変に対応できるスピード感ももっていきたいと思います。

特攻映画のロマンチシズムに酔いしれている場合ではありません!

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戦争と虚偽の宣伝に反対する出版で

2015年01月04日 | 編集・営業ふらふら雑記

2015年、新しい年が始まりましたが、今年は昨年以上に忙しくなりそうです。

小社の母体である日本機関紙協会大阪府本部の綱領には「戦争と虚偽の宣伝に反対する」という一文があります。なのでもちろん出版活動についてもこの立場は当てはまります。

その主たるテーマはやはり安倍政権がらみのものになります。

日本が戦争のできる国にさらに一歩踏み出した今、それに対する反撃、抵抗、さらに提案も含めたより広い視点での出版に取り組んでいきたいと思います。ここはやはり正念場になります。

と言っても、そんなに政治色一辺倒の本作りはしたくはありません。できるだけ読者の24時間、喜怒哀楽の生活に寄り添った本を出していきたいのです。

ということで、今年もご支援よろしくお願いします。また、ぜひみなさんからの企画提案もお待ちしています。

 

 

 


 

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