まいど、日本機関紙出版です。

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カープ少年と衣笠祥雄

2018年04月28日 | 丸ちゃんの私的時間
GW到来で今年も鯉のシーズンがやってきた。昨日までは5連勝で首位をがっちりキープ、一昨日のゲームは先日亡くなったレジェンド衣笠祥雄さんの追悼試合。これからカープの新たな伝説を作ってくれるであろう鈴木誠也が4番に復帰2日目で、衣笠さん同様のフルスイングの満塁ホームランで勝利を飾った。

さて訃報に触れて、1975年の初優勝やそれに至る弱小球団時代の頃のことを思い出す。と言っても当時、広島と島根の県境近くの田舎に育った私にとって大都市・広島にある市民球場は遠い存在で、試合観戦は専らテレビの巨人戦の放送しかなく、カープファンの少年が自然と育っていった。

高校3年生の時だった。1975年10月15日の午後、相手は後楽園球場の巨人。カープ創設26年目の待ちに待ったその瞬間がやってきた。授業中にもかかわらず、先生がラジオを持ってきて教壇に置き、授業そっちのけでクラス全員が耳を傾けた。いやおそらく全校の生徒と先生がまさに興奮の渦の中にいたんじゃないだろうか。

そのチームの中心選手が衣笠さんと山本浩二さん(解説者)で、以後カープは赤ヘル軍団と呼ばれ何度も優勝、さらに日本一にもなった。それから衣笠さんは前人未踏の大記録を樹立し、「鉄人」と呼ばれる球界のレジェンドになっていった。

カープの歴史は原爆で廃墟となった広島の戦後復興とともにある。市民がお金を出し合って球団を支えてきたというまさに市民球団で、広島の再生とカープの初優勝は市民にとって一体の夢となって実現した。

衣笠さんは「野球を思う存分できることは、戦争で志半ばで倒れた人もいることを思えば、なんと幸せなことだろう」と自著で打ち明けていたそうだ。

退団後は、いつかは再びカープのユニフォームを着てくれるものだと思っていたが、結局その時は訪れず、解説者・評論家として活動した。ラジオやテレビをつけると、少し甲高い乾いた声の解説が聴こえてきて、それがすぐに衣笠さんだと人懐っこい顔が浮かんできた。その解説はいつも選手を励ましファンにとってもとても優しくあり続けた。もう二度とそんな鉄人の声を聴くことも姿を見ることもできなくなったことが実に寂しい。



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次の新刊が出来! 「憲法が生きる市民社会へ」

2018年04月27日 | 新刊案内
本日、なかなかいいブックレットが出来上がって来ました!(自画自賛)

なんとなく、今日の東アジア史にとっての歴史的な出来事に通じるものが書かれてあるように思います。

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近刊のご案内~『憲法を生かす市民社会へ』

2018年04月12日 | 新刊案内

今月、3点目の新刊は、内田樹さん、石川康宏さん、冨田宏治さん三氏の鼎談本です。

テーマは、今の世界をどうみるか、日本をどうみるか、対米従属と安倍改憲、そして希望の灯をどうともすか。

世界から足元のことまで幅広く、今の私たちにとって、ぜひとも押さえておきたいものの見方、捉え方をそれぞれの立場から独自の観点でお話されてます。

きっと、おもしろい本だと思いますので、読んでね!

憲法を生かす市民社会へ

未来へのビジョン無き政権の下、著しい政治の劣化と格差と分断が進行する一方で、憲法の理念に市民運動の意識が追いついてきた――。グローバルで身近な視点から対米従属、沖縄、天皇、改憲などをめぐって展開される、いま最も読んでおきたいとっておきの白熱鼎談!

◎本体800円

◎A5判 90ページ

◎出来予定:4月27日

◎発売予定:5月10日

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新刊2点、同時に出来!

2018年04月10日 | 新刊案内

本日、新刊が2点同時に出来!

書店での販売は来週中頃からです。よろしくお願いします。

 

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次の新刊は『子どもの元気育てる宝塚の学校給食 レシピ&ストーリー』

2018年04月09日 | 新刊案内

足掛け3年、遂に出版となりました! 

子どもの元気育てる宝塚の学校給食 レシピ&ストーリー

兵庫県宝塚市では1957 年小浜小学校が単独で自校調理場方式完全給食を実施以降、義務教育9年間の直営自校方式の給食を目指してきました。教育委員会の学事課長は「こだわりは手作りの味です」と話します。

材料は原則国産(野菜、果物はすべて国産)、出汁は化学調味料は使わず、いりこ、削り節、昆布からとり、食品の持つ自然の味を生かすために薄味に仕上げ、フライや天ぷらも冷凍食品ではなく全て給食室で衣を付け、ふりかけもジャムもゼリーも手作りです。パンも市販のものとはちがい、添加物および脱脂粉乳も入っていない。

なぜこんな給食が提供できるのでしょうか。国も自治体も「効率化」という名のもとに、本来自治体が果たすべき公共部分をどんどん切り捨てていく中、学校給食を支えるために果敢に挑戦し続ける宝塚市の秘密のストーリーを、「めっちゃ美味しい」と子どもたちが絶賛するレシピと合わせて公開します。

◎本体 1200円

◎B5判 70ページ(カラー)

◎4月10日出来、書店発売は4月18日予定

◎Amazonで予約受付中

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天皇の沖縄訪問に思う

2018年04月01日 | 丸ちゃんの喜怒哀楽へなへなジャーナル
日本国憲法は、天皇・摂政、国務大臣・国会議員・裁判官その他の公務員に、「憲法を尊重し擁護する義務 obligation to respect and uphold this Constitution 」を課しています(第99条)。

憲法制定者である国民が、天皇や公務員に憲法尊重擁護義務を課しているわけで、憲法制定者である国民は、憲法遵守義務を課せられる対象ではありません。

これも立憲主義の一つの表れですが、実は今もっとも憲法を尊重し、擁護しているのが天皇・皇后だということは誰の目にも明らかではないでしょうか!

別に私は天皇主義者でもなんでもありませんが、天皇・皇后の退位を前にしての、今回の沖縄訪問のような行為は、まさに自らが憲法第99条の体現者であるように見えます!

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わが故郷の三江線廃線は仕方がないことなのか…。何を今更と言われそうやけど。

2018年04月01日 | 丸ちゃんの喜怒哀楽へなへなジャーナル
わが故郷の鉄道が廃線になった。昨日で営業を終えたJR三江線だ。営業距離は108・1㌔㍍、国鉄分割民営化後、本州のJR廃止路線としては最長距離となる。

振り返れば、高校時代の3年間毎日乗っていた。もちろん国鉄時代の話で、最寄りの駅は船佐駅。と言ってもその駅に行くまで家から10キロを自転車、そして後にバイクで通う必要があったが。約15分間乗って、終点は広島市と岡山県新見市を結ぶJR芸備線の三次駅。高校は三次駅からさらに15分ぐらい歩いた場所に今もある。

三次駅の一つ手前の尾関山公園駅辺りの三江線の鉄橋(出所:毎日新聞)

三江線は島根県の江津市と三次市を結ぶ路線で、山陽側と山陰側を隔てる中国山地を突き抜ける計画で、1930年にまず江津側の一部が開通したが、工事が戦争で中断、その後55年に三次駅〜式敷駅間が開通し営業が再開された。高校に通っていた時もまだ全線は開通していなくて、利用していた路線は三江線の南側部分だったので、三江南線と呼ばれており、全線開通したのは高校卒業直後だった。

当時、田舎の高校生が沿線の景色を楽しむなんてことはなかった。線路は単線でオレンジ色のわずか2輌のディーゼル車が、朝夕を中心に1日に数回行き来する程度だったが、江ノ川という大きな川が眼下を流れ、対岸には急峻な山々が連なるという景色で、今振り返れば、なかなかの絶景が車窓から眺められる路線だったわけだ。

出所:ブログ「車窓と旅情」より

この江ノ川だが、一般には川は山から海へと流れるが、この川は中国山地を突き抜け瀬戸内海側から日本海側に流れるという珍しい川だと当時教わった。この川の魅力については、カヌーイストの野田知佑さんが『日本の川を旅する』(新潮文庫)中に書かれている。

さて廃線というと、過疎化での利用者減、そして赤字経営へというのがパターン化されてる。この三江線もその例に漏れず、通学で利用していた当時はまだ2輌編成だったが、その後1輌編成になり、最近では1日の利用者が100人以下という日が常態化してたという報道もある。さらに急峻な流れの大きな川沿いに走っているので、水害が頻繁にあり、その復旧費にJR西日本が耐えられなくなったとも言われている。

しかし、全国で次々に廃線が増えているが、赤字だからもうやめるということでいいのだろうか?
ここからは関耕平氏の「住民と自治」2017年9月号の論文「三江線廃線と沿線地域のこれから 地域の持続可能性とローカル線の役割」を紹介しながら考えてみたい。

鉄道の廃止は、それまでその鉄道によって築かれてきたさまざまな集積機能、生活圏、文化などの崩壊にもつながり、地域の切り捨てそのものを意味する。三江線沿線地域は昨今、UターンやIターンなどで田園回帰の傾向が見られる典型地域だけに、なんとかならなかったのかと思う。

廃線について沿線自治体や利用者の声がどのように反映されたのだろうか。この点では、「2000年の鉄道事業法改正で、鉄道の廃止が許可制から届出制へと移行、沿線地域の死活問題ともいえる鉄道の存廃が、一民間企業(ここではJR西)の経営状況や意思決定で決められ、当事者である沿線自治体や住民が関与できないというシステムが成立してしまった」そうで、基本的にはもはやどうにもならないとの感がする。

第3セクター運営ということもあるが、それも地方自治体財政が地方交付税に多くを依存している下では、赤字補填に使えるようなお金はない。また、JRは地域住民に代替のバス運行を示したそうだが、休日には運行を止めるといったようなかなりいい加減な提案だった。

さらに都道府県の姿勢が大事だとも指摘されている。例えば三重県では、知事の断固たる姿勢で、災害で廃線を打ち出された名松線を長い時間をかけて復旧させ、廃線を中止させているが、島根県の姿勢は常に行司的立場にあって、その姿勢には沿線自治体から強い不満の声が上がったが、この県の姿勢が廃線への流れを強めたという。

今回の三江線廃止はこの数カ月間大きなニュースにもなり、全国の鉄道ファンが押し寄せ、ここにきて天空に浮かぶ駅や沿線の絶景が改めて注目されたが、なんとかしてそんなことを活かせる手立てはないのだろうかと思う。

天空の駅、宇津井駅(出所:おくたま経済新聞)

地元では廃線決定後も、沿線住民・自治体による鉄道資産の活用と沿線地域の再生に向けた動きとして複数の団体と個人とで「三江線地域フォーラム」が結成され、廃線利用の地域起こしの動きもあるそうだ。

関耕平氏は最後にこう記す。
「歴史を振り返れば太古の昔から江の川流域を通じた交易があり、近代になってこれを代替してきたのが三江線であった。こうした流域や三江線沿線の地域・人の「つながり」、一体性が再生されていくなかで、流域・沿線地域全体の発展を担う主体が形成されつつある。この動きを国や県行政がしっかりと後押しできるかどうかが問われている」

今、この国では鉄道廃線に限らず、規制緩和や資本の論理、企業の論理で次々に地域生活が崩壊しているように思う。おそらくJRが国鉄のままだったら、そう簡単に廃線というようなことにはならなかったんじゃないだろうか。民営化はやはり企業論理が最優先。安全は二の次になり、さまざまな事故が起きている。そこにどう規制をかけていくのか。いろんなことを考えてしまう、わが故郷の鉄道廃線事情やね。
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