まいど、日本機関紙出版です。

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『従軍慰安所〔海乃家〕の伝言』~現在、おすすめの本

2007年04月26日 | 好評発売中の本

 安倍首相の従軍慰安婦問題についての発言が話題になっています。この本は戦時中、日本海軍特別陸戦隊指定の軍属〈ご用達〉の慰安所を経営していた父親を持つ息子が、かつての思い出を記したものです。当時の上海で最大規模であったこの慰安所には、日本女性10人、朝鮮女性10人、中国女性20人あまりがおり、まさに泥沼地獄といった様子であったと表現しています。
 以下に本文記述の一部を紹介します。

 「一番最初に印象に残っていることは、女の子の足ですね。病気で死にかけの足。何気なしに二階に上がって、一番奥の部屋に行き、そこの誰かが寝ていると聞かされていたんで、それにまた興味があって、のぞいて見たんです。恐ろしかったですよ、腫れ上がっているんです。色はいやに黄色くて、不気味な腫れ方で、普通の女性の足の倍近くはありました。(親父は)『病気で寝ている。お客もとられへん』と言っていました。(中略)その人は一週間か十日ほどでしたか、いく日もしないうちに死にましたよ」

 「死体は海軍に預けた、海軍が死人は全部処理してくれた、すべてそういうことは軍に報告しなさい、ということのようでしたね」

 「(本館の)一階には、海軍が作ってくれた防空壕がありました。帳場の端のほうにね、詰めれば十人くらいは入るもので、海軍の施設部が来て、掘って作ったんです。(中略)確か昭和十九年の終わりころのことでした。うちの親父が、上海に空襲があったら困るから、と海軍に要請して、土を上に1メートルほどかぶせ、中には座れるうに椅子も作ってくれました」

 「うちの店は海軍の管理下でやっていて、最終的な決定権は、やはり海軍にあり、日常経営権は、それなりに親父が委嘱されていたものですよ」

 「ただし、刃傷沙汰や喧嘩が起きるとか、そういうことについては、工部局、つまり上海でいう警察ですが、そんなところに言っていくことはまずなくて、すべて、海軍に通知することになっていました。上海海軍特別陸戦隊の、憲兵みたいな所の偉い人が来て、全部処理してくれましたから・・・」
 
 「商売上の苦労は、なかったようです。まあ言ってみれば、日本帝国海軍に、オンブにダッコ、というなんとも今では想像もできない、楽な稼業だったんです。海軍との間では『金は、お前のところが儲けたらええねん』という感じでしたよ。ただ、『軍部の遊ぶところを、海軍がこしらえたんだから、それを遅滞なくスムーズに提供しなさい。あとのことは何も言わない。すべての責任は海軍が持つから』ということですよね。一種の官僚機構で、その末端だったんですね。だから、海軍特別陸戦隊から、私たちにも軍属の証明書をくれたんですよ。(中略)慰安婦たちも軍属で、みんな軍属の身分証明書を持っていました」

『従軍慰安所〔海乃家〕の伝言』
●海軍特別陸戦隊指定の慰安婦たち
華 公平 著
四六判 148ページ 定価1264円

●もくじ紹介

 上海市街中心図

 第1章 従軍慰安婦5人と汽車で上海に
    ・昭和19年7月、上海日本工業学校に転校
    ・慰安婦5人と神戸港を出発
    ・行けども行けども車窓に高粱畑
    ・着いたわが家は従軍慰安所
    ・第一印象は瀕死の慰安婦の〝足〟だった
    ・死体も食事も海軍がトラックで
    ・試験は軍人勅諭の五ヵ条だけ
    ・興味は上海第二女学校の女子学生に
    ・〔海乃家〕本館は14~15部屋

 第2章 そのとき〔海乃家〕の従軍慰安婦たちは
    ・従軍慰安婦[さくら]さん回想
    ・従軍慰安婦[いさむ]さん回想
    ・従軍慰安婦[一二三]さん回想
    ・従軍慰安婦[小鈴]、[すみれ]さんの爆死
    ・空襲下、陸軍大隊長ら呑めや歌えの・・・
    ・[清香]さんらと、軍属証明書の交付
    ・来客あふれ、ピーク期の店内

 第3章 海軍の関与と〔海乃家〕回想
    ・経営は委嘱、海軍軍属の身分証明書もつ
    ・上海に君臨する海軍特別陸戦隊
    ・父はもと戦艦「浅間」の乗組員
    ・満員続きで「別館」を新開店
    ・一花五円――の花代
    ・水揚げの配分は、子方4割だった
    ・朝鮮女性多い軍人専用・横浜橋従軍慰安所
    ・下士官・兵用とは別に士官用慰安所も
    ・兵器主任がくれたピストル2挺と国府軍
    
 第4章 敗戦前夜の〔海乃家〕と海軍と
    ・うちの二階に李香蘭がいる――と水越君
    ・青天白日旗8月13日に各所にあがる
    ・一時慰労金だせ、と慰安婦押しかける
    ・慰安所の部屋すべてに引揚者が住む
    ・海軍の放出物資で食いつなぐ毎日
    ・父は55大隊長、豊栄丸で鹿児島上陸

 第5章 父、母と上海イメージ
    ・父は和歌山出身、12歳で働きはじめ
    ・誘われて、上海虹口市場「煮豆屋」大繁盛
    ・母は大反対だった従軍慰安所経営

 第6章 上海再訪 感傷旅行
    ・学校友だちと思い出のカケ足旅行
    ・通学時代の揚樹浦と、きれいな上海の街
    ・公平路公平里425号――本館の面影
    ・人殺しに正義はない、といましめたい

 あとがき

●収録写真から


慰安所当時の〔海乃家〕本館入り口


〔海乃家〕関係者の花見、虹口公園にて

問合わせ・注文はこちらへ


 

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「生活保護制度」の裏側、本に~『大阪日日新聞』に紹介記事掲載

2007年04月17日 | 書評・紹介記事

『生活保護物語』(浦田克己著)が『大阪日日新聞』4月11日号に紹介されました。著者の浦田克己さんは「人の不幸の上に幸せが成り立つ社会ではなく、手を取り合って助けあえる社会に」と記者の取材に応えています。

この本をくわしく見る

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最近の読者はがきをご紹介します。

2007年04月10日 | 読者はがきから

●『窓をあけると虹の空』 (葛目己恵子著)を読んで
 
 ・今年の2月、京都で行われた「せんせのがっこ・全国版」に葛目先生の講座が設けられ、初めてお話を直接うかがうことが出来ました。以来、葛目先生の大ファンです。人間として、教師として何を大切にしたらよいのかを、確信させてくださる先生。落ち込んだとき、迷ったとき、葛目先生の言葉を思い返すと、また元気が出てきます。私も葛目先生のような人間くさい教師になりたいです。(宮津市・女性・40歳・公務員)

 ・自分の子が通う保育園の園長先生からすすめられて、最初はお借りして読みました。文体が話し言葉で読みやすく、イッキに読みました。そして、葛目先生のお考えに〝うん、うん〟とうなずきながら、その行動を想像しては自分の経験に重ね合わせながら読みました。生まれつき悪い子なんておれへんという言葉に同感です。どの子もかわいい、かわいい子・・・親だけでなく社会全体で大人が子どもを育てていかねば、と思います。疲れて情熱を失いかけている同僚とこれから教員をめざす友人に3冊買いました。ステキな本をありがとうございました。(別府市・女性・37歳・小学校教諭)

 ・佐藤圭子さん(『大阪民主新報』編集長)の素敵な取材がこの本を搬出したと思います。妻が一夜で読み通しました。私も近いうちに読みます。(函館市・男性・61歳・パート)

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いきいき子どもカットにワクワクほのぼの~カット集『子どものいる風景』紹介記事

2007年04月09日 | 書評・紹介記事

 月刊誌『教宣調査資料集』4月号『読んでたのしいカット集 子どものいる風景』書評記事が出ました。

 カット集は使うためのものなのにどうして「読んでたのしい」のか、と思いながら、ページを開いて納得。子どもたちのいきいきとした表情や動きにワクワクし、添えられた子どもたちのセリフにほのぼのとしてくる。確かに読んでいるだけで楽しい。作者の藤木桂子さんは日々子どもたちと一緒に過ごす小学校教師。だが、本当に子どもたちのことが好きでないと、こんなにいきいきと描けないだろう。
 このカット集は、学級通信や教職員の組合ニュースに描いてきたカットやイラストをまとめたものだが、教育関係のメディア以外にも幅広く活用できそうだ、テーマは入学・卒業から授業風景、遠足、遊びなど子どもの暮らしが中心だが、家族や働く大人のカットもあるし、憲法・平和の項目もある。また、大人のミニコミ誌にかわいい子どものイラストを載せるのもいい。くっきり、すっきりしたシンプルな絵なので、地域新聞、会報、同人誌などいろんなメディアに合いそうだ。巻末の「藤木流カットの描き方」もうれしい。○と△と線だけで、人物をこんなに多彩に表現できるのか、と感心する。(CD-ROM付き)

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『子どもたちに表現のよろこびと生きる希望を』~父母に子育てのエールを 教師に教育のロマンを

2007年04月06日 | 好評発売中の本

 子どものことを語ることって、こんなにも楽しかったのか。子どもがうれしいなら一緒に喜び、悲しいのなら共に悲しむ。その安心感があれば、子どもは自分から生活に向きあっていく。そのドラマを土佐さんは語ってくれる。(村山士郎 日本作文の会前委員長)

 この本をたくさんの若い先生方やお母さん方に読んでいただいて、子ども発見をしてださることを願っています。
 そして若い先生方が「作文教育ってなかなかいいですね。私もやってみようかな」と、あなたの教室からも子どもたちの日記や作文を書く鉛筆の音が聞こえてくるのを待っています。必ずや子どもがかわいくなり、あしたの教育に明かりが見えてくることを信じています。(著者 エピローグより)

『子どもたちに表現のよろこびと生きる希望を』
A5判 296ページ 定価1700円
2005年5月初版 現在第2刷 好評発売中

●もくじ紹介
どの子にも表現の喜び、書く力、生きる力を
―――自立と学力のカギ、今こそ作文教育を――

  はじめに

〔1〕章 今の子どもをどう見、どうかかわるか
― 子ども観が問われている ―
(1)けなげになお明日に向かって生きている3年生の子らと
(2)子どもがつかめなくて悩む日々を越えて
(3)「今までに出会ったことのない子どもですね」と言われた勇太と

〔2〕章 子どもと出会ったその日から表現の仕事は始まる
― 作文教育と学級作り ―
(1)子どもとの出会い
(2)子どもの声を聴き、知ることに徹する新学期
(3)私のことを大切にしてくれているという実感を
(4)様々な表現から子どもを読む教育的感性を
(5)失敗、弱さ、ホンマが出せる教室を
(6)感動とドラマが生まれる教室を

〔3〕章 安心の関係の中でこそ表現は生まれる
(1)私にも書けるという安心を
(2)書かせることをあせらさずに
(3)かっこよくない自分のことも書いていいよ

〔4〕章 どの子にも書く喜び、書く楽しさを
(1)ぜったい今度の作文にこれ書こうルンルン
(2)「作文っておもしろいなあ先生」
(3)好奇心いっぱい聞いてほしい、伝えたい
(4)書く喜び楽しさが育たないのはなぜ?

〔5〕章 入門期の作文指導
(1)考えさせられた1年生の言葉の問題
  (2)ことばで遊ぶ
  (3)絵と口頭作文から
   (4)いよいよ日記や作文を

〔6〕章 何をどう書かせるか
  (1)書くことの意味
  (2)書きたいことを書きたいように書きたいだけ
ありのまま書くという原則を貫いてきて
  (3)書く前・書くとき・書いた後の指導

〔7〕章 子どもの作文をどう読むのか
(1)一行の文も子どもの「生の証」
(2)日記や作文をどう読むのか
(3)赤ペンって何だろう
(4)こんな赤ペンを
(5)作品研究

〔8〕章 作文を読み合う教室
(1)朝の教室でゆっくり読み聞かせ
(2)サークルの仲間にもらった作文や文詩集を
(3)作文を読み合う授業
(4)読み合うことのねうち

〔9〕 章 子どものくらしに心よせ、くらしを語り合う教室に
(1)子どものくらしに心よせて
(2)くらしを読み、語り合う

〔10〕章 日記と作文
   (1)①やっぱり日記は書かせたい
   (2)日記と作文どこがどう違う
    (3)日記から作文へ
   (4)今こそじっくり作文を

〔11〕章 通信や文集が生きて働く教室を
   (1)書きながら子どもと自分を見つめて
   (2)何をどう書くか
   (3)こころがけたいこんなこと
  (4)私の通信や文集から

〔12〕章 書かない子、書けない子をどうする
(1)原因と背景をていねいに
(2)ほんとうに書けないの?
(3)日記を書き始めた愛ちゃん
(4)父母へおねがい

〔13〕章 子どもの作品とプライバシー問題
(1)「えっ!そんなこと親に聞いていいんですか?」
(2)「お母さん、ピアノ弾いてたらまた元気になるよ」
(3)「先生来た、はよ戸閉め」
(4)心がけたいこんなこと

〔14〕章 表記・表現の力はどうつけるのか

〔15〕章 ことばが育つ教室に
(1)詩のある教室
(2)本のある教室
(3)文学の授業を大事にする教室
(4)文字をていねいに書き、視写や聴写も

〔16〕章 父母と手をつないで
(1)父母の話をひたすら聴く
(2)こんなことしながら仲良くなって
(3)どっこい生きてる父母も子も
(4)父母も書く

〔17〕章 今、なぜ生活綴り方の出番なのか

  終わりに

●ページを見る

 

  

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高槻の山中に本の宣伝看板~『だまされない 極意』

2007年04月05日 | 行事のご案内&報告

高槻市の真鍋博さんより、次のお便りと写真が送られてきました。ありがとうございます。

「高槻の山間地、ポンポン山に登るハイカーや車や歩く人の目に付くように、大きく書き出しました。今の日本に必要な本として、拡げたいと思います。皆さんの健康を願って! 日本社会の健康に向けて!」

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これからも現場教師の役立つ仕事を~土佐いく子先生

2007年04月04日 | 編集・営業ふらふら雑記

 新刊の打ち合わせで午後3時、土佐いく子先生の加賀屋小学校を訪問。玄関脇の桜が満開で、まさに見ごろに。でもせっかくの入学式の時には見られないかもしれない。残念。
 今度の本は、あちこちから続編をと求められている子育てをテーマにしたもの。雑誌連載の原稿では分量が不足のため、引き続き他誌での連載開始と書き下ろし、これまでの発表原稿の見直し、講演録の起こしなどで何とかメドが立つ。刊行は来春予定になりそう。
 先日大月書店から出された『明日の授業に使える小学校国語3・4年』を共著で執筆、この1年間若い教師の現場に役立つ内容にと心注がれたとのことで、ずいぶん好評だとのこと。
 今年1年で先生もいよいよ定年退職。現場を離れられるが、引き続き、改悪教育基本法のもとでがんばり続ける現場教師のために役立つ仕事をしていきたいと話しておられる。



『子育てがおもしろくなる話』
四六判 216ページ 定価1325円
現在、第13刷 好評発売中

『子どもたちに表現のよろこびと生きる希望を』
A5判 302ページ 定価1700円
現在、第2刷 好評発売中

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子どもたちの生き生きした表情や動き~『大阪教育』2007.4月1日号掲載

2007年04月03日 | 書評・紹介記事

読んでたのしいカット集『子どものいる風景』が『大阪教育』2007年4月1日号に紹介されました。

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