ますます進む高齢化社会、そして貧困と格差、さらに医療や社会福祉のさまざまな現場でこれからますます必要とされる職業が、ソーシャルワーカーという存在です。
ソーシャルワーカーとは何か。
さまざまな職種があり一概には言えませんが、その存在はどういうものなのでしょうか。
公益社団法人日本精神保健福祉士協会の倫理綱領に次のようなことが書かれています。
「ソーシャルワーカーは、ずべての人間を、出自、人種、性別、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況等の違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する」
「ソーシャルワーカーは、差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現をめざす」
実際に現在、ソーシャルワーカーとして働いている方たちが、この倫理綱領をご存知かどうかはわかりませんが、素晴らしい職業であることがわかります。
そして読めばわかるように、まさに今現在、日本だけでなく世界中で必要とされている職業なのですね。
この本の著者の黒岩晴子先生(佛教大学社会福祉学部教授)は、教壇に立つ前は、医療ソーシャルワーカーとして被爆者支援を行ってこられました。
その後、大学で介護福祉士や社会福祉士の養成教育に携われるのですが、その教育現場と医療現場の実践の乖離を目の当たりにし愕然とされたそうです。
社会福祉関連の書籍やテキストに、被爆者のソーシャルワークのみならず、社会福祉の歴史や制度やサービスのことなどがほとんど取り上げられていなかったのです。
被爆者にはいまだに「福祉」が実現していない。
そのことが社会福祉を学ぶ若い人たちにも理解されていない。
そう感じた先生はそれ以来、授業では必ず原爆投下の事実を伝え、原爆被害や被爆者の問題を取り上げてきました。
今、社会福祉は「平和なくして福祉づくり出来ず」の基本に忠実でなければならないと思います。
なにも社会福祉だけに限らず、平和であることはすべての人間の営みの基本です。
特にソーシャルワーカーの価値に関わって、被爆者援助は自ずから反原爆・反戦争につながります。
「いのち」「くらし」「こころ」に寄り添う福祉専門職をめざす人々に、この本を薦めます!
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