まいど、日本機関紙出版です。

〒553-0006 大阪市福島区吉野3-2-35
 TEL06-6465-1254 FAX06-6465-1255 

生活保護について考える2冊の本

2012年05月30日 | 現在おすすめの本

小社の生活保護関連本、2点紹介します。(画像をクリックしてください)

1点は利用者自身の声を聞いてほしいと願い作った本です。

 尾藤廣喜氏推薦!(生活保護問題対策全国会議代表幹事)
 
 この本には生きた「当事者」の苦しみ、悩み、叫びがある。生活保護制度は一部の「あの人たちの制度」ではない。誰もがいつ「貧困」に陥るかも知れない可能性がある今、それは「私たちの制度」なのだ。その事実を知るためにまず「当事者」の声を聞くことから出発しよう。

*詳しい内容を見る

2点目は都留民子先生の本です。

 「親族に生活保護受給者がいる著名人のスキャンダルなんてヨーロッパではない。有名芸能人はどんどん稼いでたくさん税金を納めて生活保護財政に貢献すればいい。フランスでは日本の半分の人口・世帯数で、約329万世帯が受給している」

 *詳しい内容を見る

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生活保護バッシングの狙いは何か

2012年05月28日 | 丸ちゃんの喜怒哀楽へなへなジャーナル

 吉本興業タレントの河本さんの高収入を口実にした生活保護利用者へのバッシング報道がものすごいので、そこだけ見ているとついつい感情的に判断してしまい、事の本質が見えなくなる。この件で、生活保護問題対策会議(尾藤廣喜代表幹事)がすっきりとわかりやすい解説付きの声明を発表した。ぜひ目を通しておきたい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2012年5月28日

生活保護制度に関する冷静な報道と議論を求める緊急声明

                      生活保護問題対策全国会議
                      代表幹事 弁護士 尾藤廣喜
                      全国生活保護裁判連絡会
                       代表委員 小 川 政 亮

1 人気お笑いタレントの母親が生活保護を受給していることを女性週刊誌が報じたことを契機に生活保護に対する異常なバッシングが続いている。

  今回の一連の報道は、あまりに感情的で、実態を十分に踏まえることなく、浮足立った便乗報道合戦になっている。「不正受給が横行している」、「働くより生活保護をもらった方が楽で得」「不良外国人が日本の制度を壊す」、果ては視聴者から自分の知っている生活保護受給者の行状についての「通報」を募る番組まである。一連の報道の特徴は、なぜ扶養が生活保護制度上保護の要件とされていないのかという点についての正確な理解 を欠いたまま、極めてレアケースである高額所得の息子としての道義的問題をすりかえ、あたかも制度全般や制度利用者全般に問題があるかのごとき報道がなされている点にある。

  つまり、①本来、生活保護法上、扶養義務者の扶養は、保護利用の要件とはされていないこと、②成人に達した子どもの親に対する扶養義務は、「その者の社会的地位にふさわしい生活を成り立たせた上で、余裕があれば援助する義務」にすぎないこと、③しかも、その場合の扶養の程度、内容は、あくまでも話し合い合意をもととするものであること、④もし、扶養の程度、内容が、扶養義務の「社会的地位にふさわしい生活を成り立たせ」ることを前提としても、なお著しく少ないと判断される場合には、福祉事務所が、家庭裁判所に扶養義務者の扶養を求める手続きが、生活保護法77条に定められていることなどの扶養の在り方に関する正しい議論がなされないまま、一方的に「不正受給」が行なわれているかのごとき追及と報道がなされているのである。
 
 また、そこでは、①雇用の崩壊と高齢化の進展が深刻であるのに雇用保険や年金等の他の社会保障制度が極めて脆弱であるという社会の構造からして、生活保護利用者が増えるという今日の事態はて当然のことであること、②生活保護制度利用者が増えたといっても利用率は1.6%に過ぎず、先進諸国(ドイツ9.7%、イギリス9.3%、フランス5.7%)に比べてむしろ異常に低いこと,③「不正受給」は、金額ベースで0.4%弱で推移しているのに対して、捕捉率(生活保護利用資格のある人のうち現に利用している人の割合)は2~3割に過ぎず,むしろ必要な人に行きわたっていないこと(漏給)が大きな問題であることなど,生活保護制度利用者増加の原因となる事実が置き去りにされている。

  さらに、今回の一連の報道は、厳しい雇用情勢の中での就労努力や病気の治療など、個々が抱えた課題に真摯に向き合っている人、あるいは、苦しい中で、さまざまな事情から親族の援助を受けられず、「孤立」を余儀なくされている高齢の利用者など多くの生活保護利用者の心と名誉を深く傷つけている。

2 ところで、今回のタレントバッシングの中心となった世耕弘成議員と片山さつき議員は、自民党の「生活保護に関するプロジェクトチーム」の座長とメンバーである。そして、同党が2012年4月9日に発表した生活保護制度に関する政策は、①生活保護給付水準の10%引き下げ、②自治体による医療機関の指定、重複処方の厳格なチェック、ジェネリック薬の使用義務の法制化などによる医療費の抑制、③食費や被服費などの生活扶助、住宅扶助、教育扶助等の現物給付化、④稼働層を対象とした生活保護期間「有期制」の導入などが並び、憲法25条に基づき、住民の生存権を保障する最後のセイフティーネットとしての生活保護制度を確立するという視点を全く欠いた、財政抑制のみが先行した施策となっている。

 かつて、小泉政権下においては、毎年2200億円社会保障費を削減するなどの徹底した給付抑制策を推進し、その行きつく先が、「保護行政の優等生」「厚生労働省の直轄地」と言われた北九州市における3年連続の餓死事件の発生であった。今回の自民党の生活保護制度に関する政策には、こうした施策が日本の貧困を拡大させたとして強い批判を招き、政権交代に結びついたことに対する反省のかけらも見られない。

  さらに問題なのは、社会保障・税一体改革特別委員会において、自民党の生活保護に関する政策について、現政権の野田首相が「4か3.5くらいは同じ」と述べ、小宮山厚生労働大臣が「自民党の提起も踏まえて、どう引き下げていくのか議論したい」と述べていることである。

 そこには、「国民の生活が第一」という政権交代時のスローガンをどう実現していくか、また、「コンクリートから人へ」の視点に基づき、貧困の深刻化の中で、この国の最低生活水準をどう底上げしていくのかという姿勢が全く見られない。
 
 そもそも、生活保護基準については、2011年2月から社会保障審議会の生活保護基準部会において、学識経験者らによる専門的な検討が進められているのであり、小宮山大臣の発言は、同部会に対して外部から露骨な政治的圧力をかけるものであって部会委員らの真摯な努力を冒涜するものと言わなければならない。
 
 そのうえ、小宮山大臣は、「親族側に扶養が困難な理由を証明する義務」を課すと事実上扶養を生活保護利用の要件とする法改正を検討する考えまで示している。しかし、今回のタレントの例外的な事例を契機に、制度の本来的在り方を検討することなく、法改正を行うということ自体が乱暴極まりない。また、生活困窮者の中には、DV被害者や虐待経験者も少なくなく、「無縁社会」とも言われる現代社会において、家族との関係が希薄化・悪化・断絶している人がほとんどである。かつて、札幌市白石区で25年前に発生した母親餓死事件は、まさに、保護申請に際して、この扶養をできない証明を求められたことが原因となって発生した事件であった。

 かかる点を直視することなく、法改正を行えば、ただでさえ利用しにくい生活保護制度がほとんど利用できなくなり、「餓死」「孤立死」などの深刻な事態を招くことが明らかである。小宮山大臣は、国民の生活保障に責任をもつ厚生労働大臣として、マスコミに対して冷静な対応を呼びかけるべき立場にありながら、混乱に翻弄されて軽率にも理不尽な法改正にまで言及しており、その職責に反していると言わざるを得ない。

3 今年に入ってから全国で「餓死」「凍死」「孤立死」が相次いでいるが,目下の経済状況下で、雇用や他の社会保障制度の現状を改めることなく、放置したままで生活保護制度のみを切り縮めれば、餓死者・自殺者が続発し、犯罪も増え社会不安を招くことが目に見えている。

 今求められているのは、生活保護制度が置かれている客観的な状況を把握し、制度利用者の実態に目を向け、その声に耳を傾けながら、冷静にあるべき方向性を議論することである。

 当会は,報道関係各位に対しては、正確な情報に基づく冷静な報道を心掛けていただくようお願いするとともに、民主党政権に対しては、今一度政権交代時の「国民の生活が第一」の原点に戻った政権運営を期待し、自民党に対しては、今回の生活保護制度に関する政策の根本的見直しを求め、本緊急声明を発表する次第である。

以 上

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

刈込池に映る逆さ白山連峰三ノ峰

2012年05月28日 | 丸ちゃんの私的時間

 一昨日は急遽思い立って気分転換に福井県大野市奥の刈込池に行ってみた。朝5時に吹田の自宅を出発、名神に乗ろうとしたらなんと工事中で大津まで通行止め。6時には終わるということだったが待っているのも時間がもったいないので、門真から第2京阪~京滋バイバスで草津で名神に合流。そのまますっ飛ばし北陸道福井ICで降りて大野市を経て九頭竜川の支流に沿いながらどんどん山奥へ。

 右側が断崖絶壁のくねくね道を慎重に運転しながら鳩ケ湯温泉を過ぎ、さらに上へ上へ。標高900メートルぐらいはあるのか、午前9時ごろ刈込池への出発点の駐車場へ着いた。

 池に行くには直登50分の600数十段の階段コースか、80分かかるなだらかな山道コースのどちらかを選んでいく。時間もあったのでなだらかコースを選んで登って行った。ちょっと季節はずれなのか、ほとんど他には人がいない。どうやらハイシーズンは紅葉の時期のようだ。この池の水面に映る白山連峰三ノ峰の姿が目的だ。 (写真はクリックで拡大)

 刈込池への登山入口。奥に三ノ峰が見える。

 ブナの原生林を抜けながら山道を歩く。

 上高地の徳澤園で知った二輪草がここにもあった。

 これが刈込池。水面に映る逆さ白山連峰三ノ峰。なんとなくミニ上高地の雰囲気。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

出版テーマの全体像をようやくつかむ。

2012年05月24日 | 編集・営業ふらふら雑記

 今日は出庫作業のあと取材準備で資料とみらめっこ。なかなか詳細がわかる面白い資料でこれなら本に使えそうかなと思う。

 午後、自交総連大阪地連に。先週から3回の訪問だ。松下書記次長に1時間40分ばかり取材インタビュー。とりあえずこれで出版テーマのほぼ全体像がつかめた感じをえた。まだ資料あたりがいくつかあるが、それは来週の仕事にしておこう

 さて、どのようにまとめていくか、、とりあえず文字化作業にかかるとするか!

 取材を終えて地下鉄に移動。珍しく目的地にどのようにいけばいいのかわからなくなり、駅員さんに聞いた。

 今度はある企画のことで相談ごと。いい話じゃない。うーむ、どうしたものか…。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ご案内~市民による自然エネルギー普及を学ぶ上映会

2012年05月21日 | 行事のご案内&報告

どなたでもご参加いただけます。ぜひ、お越しください。

映画「シェーナウの想い」(ドイツ、2008年、ドキュメンタリー、60分)

ドイツ南西部のシェーナウ市の親たちが、チェルノブイリ事故をきっかけに「自然エネルギー社会を子どもたちに残そう」という想いから、ドイツ史上初の「市民の市民による市民のための電力供給会社」を誕生させるまでの軌跡をつづるドキュメンタリー映画。

●と き  5月31日(木)18時30分~

●ところ  大阪機関紙会館1階   地図→コチラ

●参加費(資料代) 500円

●申込・お問合せ
 日本機関紙協会大阪府本部
 TEL:06-6465-1201
 FAX:06-6465-1205
 E-mail kikanshi@nike.eonet.ne.jp

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

またあしたね~土佐いく子の教育つれづれ〈9〉

2012年05月17日 | 土佐いく子の教育つれづれ

家族のぬくもりを確かめ合う

■安心のふところ

 五年生になった菜々子ちゃん。高学年になり勉強も難しくなって、友達関係にも気をつかいながら、自分という人間を見つめる思春期の入り口にさしかかっています。イラだちもあれば、焦りや不安もあり、自分を否定したくなる時もあるでしょう。自立への階段を登り始めても、甘えられる安心のふところを求めます。いえ、そのふところがあるからこそ、自立へ向かっていけるのです。ある日の作文です。

  ◆   ◆   ◆

わたしが乗っていたベビーカー
      五年 菜々子

 ある日、ろう下にお母さんが屋根うら部屋からいろいろ出してきました。わたしが「なんでこんなん出してんの?」と聞いたら、お母さんが「明日、燃えないゴミの日やから」と言いました。わたしは、その燃えないゴミを見てみたら、ベビーカーがありました。わたしは「これも捨てるん?」と聞いたら、お母さんが「うん」と言いました。わたしは「乗ってみたいー」と言って、乗れるかなあと思いながら乗ってみました。ふつうに乗れました。足をおろしてみたら、足が床に着きました。それを見ていたお母さんが「それハンドル前後にできんねんで」と言って、やってくれました。

 それから、お母さんが「背中もたれれんねんけど」と言いながら何かさがしていると、「あっ、そうや、ここを引っぱんねんや」と言って、何やら引っぱったら、背もたれがゆっくり倒れていきました。それは、それは、すっごく気持ちがよくて、すっごくリラックスしました。しまいには寝そうになりました。ねむそうになっているところをお母さんが前へ押したり後に引いたりとしてくれました。

 お母さんが「これは、りょうすけ(兄)が乗って、そうた(兄)が乗って、なな子にまわってきたんやでー。おぼえてる?」。「全然おぼえてない」と言いました。

 そのばん、わたしが、お母さんに「これおもしろいから、まだおいといてくれへん」と言ったら、「わかったー」と言いました。

 二日に一回ぐらいベビーカーに五分ぐらい乗ってリラックスしています。(樋口学級)

■愛された思い出を胸に

 ああ、いい親子がいい時間を過ごしていますよね。今からゴミに出して片付けようと分かっているのに、乗って遊び出すんですから。「ええかげんにしいや」とベビーカーを取り上げてしまうのではないかと思いきや「前に押したり、後に引いたりとしてくれた」んですよね。

 お母さんは小さく可愛いかった頃の菜々子を思い出し、大きくなったもんだと目を細めながら押したり引いたりされていたんでしょうね。菜々ちゃんも、あの日の安らかな気持ちと母のぬくもりを膚で感じながら揺られていたのでしょう。今も乗ってリラックスしながら心を休ませ、明日のエネルギーをつくっているのでしょう。親子にこんな時間がある、一幅の美しい絵を見るようです。

 この作文を読んだ大学生が、次々と語り出しました。

「ランドセル、傷もそのままの状態で、少し小さくして、今も残してあるんですよ」

「野球のグローブ小さいのから歴代のやつを置いてくれています。中三の頃から父より僕の方が球が速くなり、今は、お前とやるのいややと言います」

「絵本が好きで、『どうぞのイス』の本を大切に残していて、今も読みます」

「お雛様を毎年出すのが楽しみで、小さい頃は見上げてたのに、今は足元にあるみたいで、私って大きくなったんだと思って眺めていました」

 これを語り、聞いていた大学生の顔がまたなんとも可愛く、その場の空気は幸せそのものでした。愛されていることを確かめ合っているのでしょう。

 家族が家族であり続けることに困難を抱えているこの時代です。菜々子ちゃんの作文が心に染みてきますね。

(とさ・いくこ 和歌山大学講師・大阪大学講師)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週末はクレオ大阪北館で抗議のギターを弾くのだ!

2012年05月16日 | 丸ちゃんの喜怒哀楽へなへなジャーナル

 今週末、19日の土曜日、クレオ大阪北館前に急遽ギターを引っさげて行くことになった。原因は橋下大阪市長にある。大阪市男女共同参画センター・クレオ館全5館の廃止をぶち上げたからだ。その反対のための集会抗議行動が建物前で行われるので、それを盛り上げるために知人から要請されたのだ。何しろ5カ所で同時に行うらしいから、ギターの弾き手が足らなかったらしくこちらに回ってきたようなのだ。出勤日だけど半休とって行くしかあるまい。

 クレオには図書館があり実はウチの本なども結構置いてもらっているのだが、そもそも、こういう大事な施設を廃止するという発想自体が一体いつの時代の話やねんというような気がするからだ。そういう感覚が恐ろしいですね。

 廃止反対運動を行っているあるサイトにクレオ館の役割について触れながら抗議声明が書かれてあったので、以下に紹介させていただく。

【声明文】

 本年4月5日、大阪市改革プロジェクトチームより提示された「施策・事業見直し(試案)男女共同参画センター管理運営」(以下PT試案)に関する見直し内容について、男女共同参画社会基本法、第3次男女共同参画基本計画、大阪市男女共同参画推進条例および大阪市男女共同参画基本計画に反するものとして「見直しの考え方」と「見直し内容」に反対いたします。理由は以下の二点です。

(1)PT試案は「女性問題等に関する相談への対応や情報提供等は、地域により身近な場所で行うことが効果的である」とし、「館で実施している事業については、相談事業、情報提供事業及び啓発事業のみ継続することとし、区役所・区民センター等で実施する」としています。

 しかし「女性問題等に関する相談への対応や情報提供」は男女共同参画センターで行われていることにこそ意義があります。
 男女共同参画センターには、DV被害者や、性暴力被害者、母子家庭の母など、まさに男女共同参画問題にかかわる、さまざまな困難を抱えた女性たちが訪れます。

 このような人々にとって、男女共同参画の視点に立ったセンターは不可欠です。なぜなら、男女共同参画の視点がない相談窓口では、母子家庭という状況に対して心ない言葉を浴びせられたり、暴力被害に対して配慮のない聞き取りをされたりという二次被害を受けることが多いからです。また、女性たちの多くは、一つの困難というより、複合的な困難を抱えています。その相談や情報提供において、女性たちの問題に対してさまざまにアンテナを広げてきた男女共同参画センターにまさる場所はありません。さらに、困難を抱え、力を奪われてしまった女性たちにとって、同じ立場の女性たちと出会える場、女性たち自身が集まり活動している場に参加することによって、次第に力を取り戻していくことができます。そういったことができるのも、男女共同参画の視点に立ったスタッフにより運営される男女共同参画センターならでは、なのです。

 PT試案ではまた、女性問題等に関する相談は、区役所や区民センターという身近な場所で行うことが効果的である、と述べていますが、これは認識不足といわざるを得ません。DV被害者にとって、身近な場所は、加害者とのつながりの可能性を秘めているとても危険な場所でもあるのです。そのような場所に被害者が相談に行くことはできません。また、性暴力被害者にとっても、身近であることは、個人が特定されやすくプライバシーが守られないという不安を抱えることにもなります。被害を受けた女性たちは、ただでさえ相談をためらいます。少しでも不安があれば、相談に行くことはできません。男女共同参画センターが市内に5館あるということで、被害者は安心して相談できる場所を自ら選ぶことができるのです。

 男女共同参画センターの廃止は、このような困難を抱えた女性たちを、相談の場から排除し、孤立のうちにいっそうの困難の中に落とし込むことになります。

(2)PT試案は「男女共同参画に寄与する事業に重点化し、効率化を図る」として「相談事業、情報提供事業及び啓発事業のみ継続する」としていますが、これまでクレオ各館で行なってきた事業は、全て大阪市男女共同参画推進条例および大阪市男女共同参画基本計画に基づいて大阪市長の名の元に行なってきた事業です。

 大阪市男女共同参画基本計画は「クレオ大阪が今後も重点的な取組みを推進する拠点となり、その機能を今後もいっそう発揮し、本計画を推進する役割を果たしていく」、として、

※就業の場での男女共同参画を推進するために、企業における自主的な取組みを支援するとともに、女性のチャレンジを支援する。

※地域において男女がともに参画し、大阪市の魅力の創出や活性化にもつなげていくまちづくりの活動を支援する。

※女性への暴力の根絶をはじめ、男女の心と体の健康に向けた相談・支援の充実として、男女の心と体の健康のために、男女共同参画の視点を活かして相談と支援する。

などを主な取り組みとして定めています。

 PT試案にあるように、相談事業、情報提供事業及び啓発事業以外の事業が男女共同参画に「寄与しない」とすれば、どのような条例や基本計画のどの条項に反するのかの客観的な指摘が必要です。何も根拠を示さず、恣意的に「寄与しない」と決めつけることは、これまで条例および基本計画に基づいて行なってきた自治体の施策そのものの否定であり、その上位の法である男女共同参画社会基本法に反する違法な行政運営といえます。

 そもそも地方自治体は地方自治法、第一条の二で規定するように「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」ものです。

 住民福祉の増進の基本を担う施設を廃止し、総合的な施策の実施を縮小することは、何よりも福祉の増進を担うべき本来の地方自治体の姿勢とはかけ離れたものになると言わざるをえません。

 クレオ大阪の事業はいずれも男女共同参画に寄与する事業に他ならず、今回の見直しは明らかに施策の後退です。国際的に見ても男女の格差が大きく、女性の貧困問題が深刻化している今、男女共同参画施策の後退はとうてい納得のできるものではありません。

 以上の理由により、大阪市改革プロジェクトチーム「施策・事業案見直し(試案)」「男女共同参画センター管理運営」に関する見直し案に反対します。 

2012年5月1日
大阪の男女共同参画施策をすすめる会
連絡先 556-0005 大阪市浪速区日本橋5-15-2-110
女性のための街かど相談室 ここ・からサロン内
 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新刊本、さっそくご紹介いただきました!

2012年05月15日 | 書評・紹介記事

一昨日、「慰安婦」問題学習会に講師で来ていただいた永田浩三さんのブログでさっそく紹介いただきました。

ありがとうございます。→コチラです。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なぜ「慰安婦」問題を消そうとするのか? 真実を学ぶ[講演とディスカッション]に多くの参加者!

2012年05月14日 | 行事のご案内&報告

昨日の「なぜ『慰安婦』問題を消そうとするのか?真実を学ぶ[講演&ディスカッション]」は当初の主催者予想を超える130人以上の人たちの出席で無事終了、「慰安婦」問題解決へ向けて気持ち意を新たにし、具体的な一歩を踏み出す契機となった。(写真はすべてクリックで拡大してください)

 共同代表の安達克郎さんが「慰安婦」問題の経緯に触れながら主催者あいさつ、時間通りのスタートとなる。

  最初に米澤清恵さんが紙芝居「『慰安婦』にされた少女たち」を上演、注目を集めた。

 第1部は永田浩三さん(武蔵大学社会学部教授)の講演。「慰安婦」問題を取り上げた番組を政治的圧力によって改変されたNHKの元プロデューサーだ。「クローズアップ現代」や「NHKスペシャル」やハイビジョン放送の編集長としてもバリバリ番組を作り、そして時の権力者から政治圧力を受けるような番組を作ったということで、いったいどんな人だろうかと思っていたが、全く想像とは違ったその人柄と語り口がとても魅力的な人だった。

 2000年12月、東京九段会館で開かれた女性国際戦犯法廷で次々に元「慰安婦」被害者たちが証言、日本軍・日本政府、そして昭和天皇の責任を厳しく問い、「人道に対する罪」としてその責任を断罪した。法廷の本番を取材し実際に番組を作ったのはドキュメンタリージャパンだったが永田さんがNHK側の責任者だった。そして番組の放送直前、中川昭一、安部晋三という二人政治家の番組への意見を忖度したNHKの国会担当役員たちの指示によって番組が大幅改変され放送されたのだ。

 改変箇所は、①「慰安婦」、「慰安所」の存在を極力隠す。②日本軍・日本政府の組織的関与のニュアンスを消す。③海外メディアが「昭和天皇の責任」について触れた部分を消す。④女性法廷の歴史的意義を消す。⑤判決・日本政府と昭和天皇の責任に触れた部分を削除…といように、法廷の、番組の意味を無きものにするに等しい痛ましい改変だった。

 女性法廷の主催者団体の一つバウネット・ジャパンは「番組に他する信頼が損なわれた」としてNHKなどを提訴、永田さんは責任を負わされ番組制作現場から閑職に異動、最終的には最高裁でNHK側が勝訴している。

 そしてこの事件以降、NHKでは「慰安婦」問題は一切、報道されなくなった。また政治家の意向が現場に直接降りてくることはなくなったという。事件の詳しいことについては永田さんが書かれた『NHK、鉄の沈黙はだれのために』(柏書房、2010年)にあるのでお読みいただきたい。

 ところで、韓国側から日本政府に対して「慰安婦」問題の解決を求める声が昨年来強まっているが、NHKやフジテレビではこうした動きについて報道するときに「いわゆる慰安婦問題」という表現を使っているそうだ。「いわゆる」と称することで、そのことが注目するにも値しないできごとだというような姿勢をとっているという。皆様のNHK、そしてそのために常に中立・公平の原則をNHKは言うが、実はこれに加えて公正であることがさらに大事なのだと永田さんは強調した。恐れることなく真実に対して踏み込んでいくこと。これが決定的にかけてるのが今のNHKなのだ。

  熱心に永田さんのお話を聴き入る参加者のみなさん。

 第2部はパネルディスカッション。

 石川康宏さん(神戸女学院大学教授)が「慰安婦」問題が消される過程を敗戦時に遡って現在までを解説、加害への反省を避け続けてきた日本社会の現実を指摘、私たち自身の力で「大人の社会」を作ろうと呼びかけた。

 平井美津子さん(中学教師)は学校現場で「慰安婦」問題がどうなっているかを報告。ご自身の教材が右派勢力から攻撃を受けていること、「慰安婦」問題を学んだ中学生たちの率直な意見、「慰安婦」の教科書記述の復活、そして大阪での危険な動きなどについて触れながら「慰安婦」問題が現在の問題であることを強調した。

   若い人たちも多く参加し、意見や質問も出された。

 運営にあたったスタッフのみなさん。

 おかげさまで、会場カンパやアンケートも多数回収され成功裏に閉会、講師ともども近くの打ち上げ会場では恒例の全員発言。

   永田さんにはさらなるNHK話をはじめ、質問にも答えていただいたり、著書にサインもしてもらいました。

 ちなみに、こちらの本もまずますの売れ行きで動き始めました。

 おっと、これは2次会でのなんともなワンショット! みなさん、すごいパワーです。

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新刊『「ナヌムの家」にくらし、学んで』、出来へ!

2012年05月11日 | 新刊案内

最新刊、出来上がってきました。ぜひお読みください。

本の詳しい内容はコチラです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なぜ「慰安婦」問題を消そうとするのか? 真実を学ぶ[講演とディスカッション]のご案内

2012年05月11日 | 行事のご案内&報告

 橋下大阪市長と松井大阪府知事が近現代史を学ぶ施設を府市合同で設置する検討に入ったと報じられています。

 その展示内容は、歴史観を巡る賛否両論を併記展示するとしていますが、そこはピースおおさかや大阪人権博物館を毛嫌いする橋下市長のこと、扶桑社版や育鵬社版の歴史教科書編集に関わった有識者から助言を受けるそうで、いよいよ「慰安婦」問題を含む歴史問題についてもこれから大きな争点になっていきますね。

 この集いでもその点について触れるお話が聞けるかと思います。ぜひ多くの方のご参加をお待ちします。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「なぜフランス国民はオランド氏を選んだのか?」に答える本です!

2012年05月11日 | 現在おすすめの本

来ました! ビジネスチャンス!(笑)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

橋下市長の寒々しい記者会見

2012年05月11日 | 丸ちゃんの喜怒哀楽へなへなジャーナル

 橋下市長の記者会見の動画がネット上に流れている。MBS記者とのやり取りだ。それにしても一記者の質問について大阪市長たる立場でこんなにも逆上するとは驚いた! なにか相当痛いところを突かれたのか、それとも気に食わないことがあったのか。

 記者の質問内容は「日の丸・君が代」の起立・斉唱についての、市民的感覚に根差した至極当然の質問だったように思う。それを「ちゃんと調べてから来い! 私の質問に答えなければあなたの質問には答えない!」など、まるで記者に取材する資格がないかのように難癖をつけ、彼女の質問には答えず、逆質問を次々に浴びせている。

 しかし市長が激しく記者を詰問すればするほど、この記者の落ち着いた受け答えが、とても骨のある記者魂を感じさせるものとして強く印象に残ったのだ。その場に他の記者がどれくらいいたのか知らないが、もう一人男性記者がフォロー発言した以外には、キーボードを叩く音しか聞こえていなかったのが、なんだか寒々しい。

 ついでに言えば、ツイッターのTL上にこのMBS記者に対する罵声が次々に書き込まれていて、橋下市長のネット上の支持層の一断面を見せつけられちょっと嫌な気分になってしまった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

舞鶴戦跡めぐり 2

2012年05月09日 | 丸ちゃんの私的時間

引く続き、引揚記念館を紹介します。 (写真はすべてクリックで拡大してください)

 
収容所生活を記録した日記

  
収容所の朝ごはん  昼ごはん         晩ごはん


復元された収容所生活。 冬はマイナス30℃の暮らし。


引揚船の1つ、興安丸の模型


引揚を担当した役所の看板


上陸前夜の船内で行われた演芸会のポスター


大陸で亡くなった人も大勢帰還した


ジオラマの舞鶴港の引揚の様子


桟橋で夫を待つ母子


息子の帰りを待ち続けた端野いせさん


亡くなるまで玄関にずっと息子の表札をかかげた


映画「岸壁の母」のモデルだった

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

電子書籍事業に参加していくか・・・?

2012年05月08日 | 編集・営業ふらふら雑記

 いよいよ、日本の電子書籍ビジネスの市場が本格的に動き始めたようだ。経済産業省が呼びかけた「コンテンツ緊急電子化事業」」(略称・緊デジ)の出版社向け説明会が今日行われた。東京で行われたので参加はできなかったが、会場からのUstream中継を観ることができた。これまでガラパゴス状態であった電子書籍業界にようやく中小零細出版社も参加できる環境が整いつつあるという印象をもった。

 今日は具体的な参加要件やその後の電子化タイトル申請の方法や、フォーマット最終確定版の報告、制作費用とその補助金予定額なども報告され、これなら参加できるのではないかという初めての内容だった。これからどんな本を電子書籍化するか検討し、著作者の了解をとっていかなければならない。

 当面は、在庫なし状態で重版予定が見込めないけど読者から要望がある本やぜひ残しておきたい本、また視覚的要素があって比較的携帯端末での読書にふさわしいような本がいいのかもしれないかな…。


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする