聴いてもらえたら元気~子育て相談から②
これも先日、保育園の子育て講演会のときに受けた相談です。
◎5歳になったところですが、近所の子らはもう字を読んだり書けたりしていて、びっくりです。小学校に入学した時から落ちこぼれるのではと不安です(5歳)
聞くと、友だちとはいっぱいしゃべりながら遊んでいるし、絵とか描くのも好きだと言います。大丈夫です。人との間で会話があり、親の話(言葉)にも耳を傾けることができる。なんといっても絵を楽しく描くことができる。これも素敵です。そして、クレパスや鉛筆を持つこともできる。上下左右もわかっている(文字は、上下左右がわかることも大事)。
そうです、言葉に耳を傾けたり、話したりできる。自分を表現しようとしている。文字を書く時の手首や手の力がある。上下左右もわかってきている。必ず文字に興味を持つ時が来ます(親子で手紙ごっこをしたりすると、興味が出てきます。わが家の息子は折り紙が好きだったので、その本から文字に興味を持ちました)。興味を持ち始めて尋ねられたら、さりげなく教えてあげればいいのです。
大切なことは、文字を覚えると面白いとか、わくわくするような気持ちになることが何より必要なのです。そんな子どもは、学校に来て文字学習が始まると、あっという間に習得しますから安心してください。
◎ほんとうに片づけができません。なんでも出しっぱなし、散らかしっぱなし、毎日叱っていますが、いっこうにやりません(2年生)
大人もそんな人がけっこういますから、はてさてどうしたらいいでしょうね。
私自身の子育て中のことで、強く心に残っていることがあります。全盲のお母さんの子育てに学んだことです。懇談会のときに学校にやって来たお母さんが、机の中がぐちゃぐちゃになっている息子に、片付けさせている姿は、その頃の私には軽い衝撃でした。
机の中からお道具箱を出させ、中の物を出したら左の隅をトントンとして、たまったゴミを捨てさせ、次に雑巾で机の中を拭かせます。洗ってこさせた雑巾を4つにたためと教え、左から右へ拭いていき、もう一度裏返して拭くことを手取り足取り教えていたのです。生きるすべをていねいに教えているのです。
私はと言えば「片づけなさい。何回言わせるの」と大声で叱っているだけ。子育ては、手間ひまかけて生きるすべを自分もしてみせてやらせてみて「できるじゃないか」とほめ励ましながら、辛抱強く続けることなんだと教えてもらったのです。
まずは、片づける場所(何はどこへ置くか)を決め、片づけ方を一緒にやってみましょう。整理されたら気持ちがいいという感覚を養っていくことも大切ですね。
◎下手なマンガばっかり描いていて、宿題もやいやい言わないとやりません。3年生なんだからもっと自覚的にやってほしいです(3年生)
お母さん、息子さんの描いているマンガの絵をゆっくり見られたことがありますか。その絵の中にお話がいっぱい入っていますよ。聞かれたことがありますか。せっかく描いたマンガを大人にはゴミに見えて、丸めてポンと捨てているって、それ可愛そうですね。
好きなことのある子、それに熱中できる子は育ちます。マンガなんて…と思っているのでしょ。マンガも素晴らしい文化の一つです。
息子の描いたマンガを見ながら話を聞いてやり「面白いなあ」と共感してあげてください。紙切れに描いたマンガを画用紙にでも貼って大切にしてあげてください。
そして、宿題はいつするのか、子どもに決めさせて、決めたらきちんとやることを促してください。お母さんの言う通り、自覚的な3年生になっていきますよ。
子育てに悩みはつきもの。どなたも持っているのです。ご近所の人にでも、懇談会の場ででも「こんなことで困っています。力貸し手ください」と自分が心開いて語ってみると必ず力になって返ってきますよ。
(とさ・いくこ 和歌山大学講師)
ぜひよろしくお願いします♪