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『母べえ』の時代と野上家の戦後〈前半〉~本屋の窓から④

2008年02月19日 | 本屋の窓から

 ■「歴史の法廷は過誤を立証するであろう」
 映画『母べえ』を観て宮本顕治の最終公判(1944.11.30)の陳述を思い出しました。
「社会進化と人類的正義に立脚する歴史の法廷は、我々がかくのごとく迫害され罰せられるべきものではなかったことを、いわんや事実上生命刑に等しき長期投獄によって加罰されることは大きな過誤であったということを立証するであろうことを信ずる」
 映画の原作は、黒沢明監督作品のスクリプター(映画製作現場記録者)の野上照代さん(映画では照美)以下敬称略。
 日中戦争から太平洋戦争に突入する1938年(昭和13)のころ。日本もドイツも他国を侵略・併合を行い、軍国主義一色で国民生活も思想も統制し、侵略戦争を「聖戦」といい、批判は弾圧されました。


 ■当時の社会と映画と歌
 年表では1938年(昭和13)――前年暮れから続く「南京大虐殺事件」。満蒙開拓義勇軍5千人渡満。朝鮮語使用禁止。唯物論研究会解散。関係者検挙。照代の父、検挙される。ドイツ、オーストリア併合。この年の映画は「5人の斥候兵」「路傍の石」「愛染かつら」歌は「旅の夜空」「支那の夜」「麦と兵隊」。
 1939年(昭和14)――ドイツ軍ポーランド侵攻。スペイン人民戦線敗北。ノモンハン事件で日本軍大敗。映画法公布、映画国家管理下に。長髪、パーマ禁止。映画は「「土と兵隊」「暖流」。歌は「九段の母」「長崎物語」「大利根月夜」。
 1940年(昭和15)――ドイツ軍ルーマニアを支配下に。日本軍ベトナムに侵攻。民政党斉藤隆夫、「反軍演説」で衆議院議員除名に。共産党を除く全政党解散。大政翼賛会に参加、議会消滅。全労働組合解散、産業報国会へ。国民優生法実施。内務省、各市町村に部落会、町内会、隣保班、常会の設置を通達。戦費調達のため「源泉徴収」を導入。宮本顕治第1会公判陳述。映画は「西住戦車長伝」「小島の春」「駅馬車」。歌は「海ゆかば」「暁に祈る」「誰が故郷を思わざる」。
 1941年(昭和16)――ホーチミンら「ベトナム独立同盟(ベトミン)」を結成。抗日抗仏戦展開。東條陸軍大臣「戦陣訓」を兵士に通達。国民学校令公布、義務教育8年生に。ゾルゲ、尾崎秀美検挙。劇映画製作10社を松竹、東宝、大映の3社に統合。一般車のガソリン使用禁止。木炭ガス、代用燃料に。日本、米英蘭に宣戦布告。国家非常措置で宮本百合子ら検挙拘束者1000人以上。映画は「馬」「戸田家の兄妹」「みかえりの塔」。歌は「愛国行進曲」「空の神兵」「戦陣訓の歌」。


 ■戦争反対の意見・考えを根絶へ
 この時代について『日本共産党の80年』は書いている。
「天皇制政府は、戦争に対する批判や反対を根絶するために、その弾圧を容赦なく拡大しました。37年12月『人民戦線の結成』を企てたという理由で日本無産党と日本労働組合全国評議会を解散させ、関係者400人を検挙しました。
 翌38年2月には同じ理由で大内兵衛ら労農派といわれる学者グループを検挙しました。関西の雑誌『世界文化』のグループも前年の11月に検挙されました。さらに38年、唯物論研究会の関係者や新劇関係などさまざまな文化団体が、治安維持法によってコミンテルンおよび日本共産党の『目的遂行』の結社として弾圧されました。
 ――36年7月、日本資本主義発達史講座に参加した学者30余人がマルクスの理論研究を理由に、治安維持法違反として検挙されました。こうした迫害は、自由主義的な学者、文化人、仏教者、キリスト者にまでおよび、進歩的作家の執筆禁止も行われるなど、いっさいの進歩的言論と運動への圧殺が強めれらました」  ―後半へ続く―

 

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もう、あかちゃんではないのだ~給食室からみた子どもたち⑨

2008年02月19日 | 給食室から見た子どもたち

 いちご組さん、朝一番、先生と一緒にホールいっぱい飾ってあるクリスマスツリーの見学にやってきた。
「このツリーはそら組さんのお兄ちゃん、お姉ちゃんがつくったんやで」
「これはやま組さんやなあ」
「これはもも組さんのやわ。上手にできてるなあ」
と先生。
 いちご組さんの○○ちゃん、すかさず、
「あかちゃん組みたいやなあ」
と。私、思わず、
「○○ちゃんもまだ赤ちゃんやなあ」
と口から出そうになるのをグッとおさえた。そうなんだ、彼女たちはもう赤ちゃんではないのだ。おしめも取れているし、食事も自分でそれなりに食べている。
 自覚してきているのだ。「反省、反省」。(ほづみ保育園・中尾和子)

 

 

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