マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

GONZO~ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて~

2011-11-15 10:42:23 | 映画ーDVD

GONZO~ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて~ーGONZO: THE LIFE AND WORK OF DR. HUNTER S. THOMPSON

 

2008年 アメリカ

監督=アレックス・ギブニー ナレーター=ジョニー・デップ

 

【解説】

独自の取材スタイル「ゴンゾー・ジャーナリズム」を生み出した伝説のジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンの生涯を追ったドキュメンタリー。激動の1960年代から1970年代に活躍し、今も多くの人々から支持される彼の実像を、『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』のアレックス・ギブニー監督が解き明かす。『ラスベガスをやっつけろ』でハンターをモデルにしたラウルを演じたジョニー・デップがナレーションを担当。インタビューに登場する人々や、ハンター自身の言葉から浮かび上がる破天荒な生きざまに圧倒される。

 

【あらすじ】

激動の1960年代から1970年代に活躍し、その過激な言動が今もさまざまな表現で語り継がれるアメリカの伝説的ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソン。取材対象の中に入り込みその本質を伝える独自の手法で、従来のジャーナリズムを根底から覆した彼は時代の寵児(ちょうじ)となった。ハンター自身の言葉や遺族、友人らへのインタビュー、貴重な記録映像などから彼の実像に迫る。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ハンター・S・トンプソンといっても、日本ではあまり知られていません。

テリー・ギリアム監督の1998年制作の映画「ラスベガスをやっつけろ」の原作者で、自分がモデルとなっているラウル・デューク役をジョニー・デップが演じました。

 

ジョニーは役作りのためにトンプソンとしばらく一緒に行動し、映画が終わってからも親交がありました。

 

トンプソンは、1937年にケンタッキー州で生まれ、ヘルス・エンジェルスを取材した記事で有名になります。

その後、自分の住む町のシェリフに立候補して破れたり、大統領候補のマクガバン候補を応援して、世論を動かすほどの影響力がありました。

しかし、マクガバンはニクソンに破れてしまいます。

そののち、ジミー・カーターの演説を聴いて感銘を受け、彼についての記事を書くが、そのころから、勢いは失われていき、酒に溺れる生活となりました。

そして、2005年に拳銃で自殺しています。

 

この作品は、トンプソンを知る人たちの証言と遺された映像によってトンプソンの生き様を探るドキュメンタリーです。

 

彼は、アメリカニュージャーナリズムの旗手と呼ばれ、1960年代から870年代にかけて、客観性よりも自らその取材対象に身を投じて本質を伝えることを重視する取材スタイルで、GONZO(ならず者)ジャーナリズムと呼ばれました。

 

私は「ラスベガスをやっつけろ」で、ジョニーが演じたラウルに驚いたのですが、トンプソン自身はいつも時代の本質を伝えたかったということが、このドキュメンタリーでわかったような気がしました。

 

彼の暴こうとした「アメリカンドリーム」やニクソン批判、私もその時代を生きて来たので、少しはわかる感じがしました。

時代の寵児ともてはやされ、自分を見失っていったのでしょう。

しだいに文章が書けなくなり、酒に溺れ、妻と別れ、2度目の妻を娶ったけれど、悲しい結末となりました。

 

遺言で企画した巨大なモニュメント。

あんなことは、彼しか考えつかないでしょうね。

 

この作品を彩る時代を表現する音楽の数々、素敵でした。

 


ジーンワルツ

2011-11-15 10:36:12 | 映画ーDVD

ージーンワルツー

2011年 日本

監督=大谷健太郎 原作=海堂尊 キャスト=菅野美穂(曽根崎理恵)田辺誠一(清川吾郎)大森南朋(三枝久広)南果歩(荒木浩子)白石美帆(甘利みね子)桐谷美玲(蒼井ユミ)濱田マリ(妙高みすず)大杉漣(荒木浩子の夫)西村雅彦(屋敷教授)風吹ジュン(山咲みどり)浅丘ルリ子(マリア先生)

 

【解説】

『チーム・バチスタの栄光』『ジェネラル・ルージュの凱旋』の原作者で、現役医師でもある海堂尊のベストセラー小説を映画化した医療ミステリー。産科や地方の医師不足といった医療現場が抱える問題を背景に、禁断の治療をする医師の姿を描く。監督は『NANA』シリーズの大谷健太郎。ある疑惑の医師に、『パーマネント野ばら』の菅野美穂がふんするほか、共演には田辺誠一、南果歩、浅丘ルリ子ら実力派がそろう。

 

【あらすじ】

不妊治療のエキスパートとして帝華大学病院で働きながら、廃院寸前の小さな産婦人科医院で院長代理を務める曾根崎理恵(菅野美穂)。そんな彼女が、禁断の治療をしているという。うわさを聞きつけた上司のエリート医師・清川吾郎(田辺誠一)は、理恵の周辺を探り始めるが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

海堂尊原作の映画『チーム・バチスタの栄光』『ジェネラル・ルージュの凱旋』が面白かったので、この作品も期待してみました。

 

が…。

 

冒頭にいろんな問題が提示されます。

まず、テーマが遺伝子なのかなあ?と思わせるタイトルバック。

そしていきなり始まる医療過誤による医師の逮捕。

 

帝華大学病院の教授の椅子を巡る医局内闘争を示唆するような会話。

 

妊婦のたらい回しによる死亡を扱ったメディアの報道。

 

廃院間近な個人の産婦人科医院。

そして、その医院の最後の患者となる4人の妊婦。

 

一人は望まない妊娠をして堕胎希望のユミ(桐谷美玲)。

無脳症の胎児を持つみね子(白石美帆)。

不妊治療の末やっと授かった高齢出産の浩子(南果歩)。

最後に55歳で人工授精で双子を妊娠している山咲みどり(風吹ジュン)。

 

そして、ストーリーに入っていくとー

帝華大学で教鞭をとり、産婦人科医としても優秀な曾根崎理恵(菅野美穂)は、7ヶ月後に廃院が決まっているマリアクリニックでも毎週水曜日外来を行っている。

このクリニックは院長のマリア先生(浅丘ルリ子)が肺ガンを患っていて、自宅療養中だが、おそらく廃院予定の7ヶ月は持つまいと思われていた。

 

そんな折りに発生した産婦人科医逮捕事件。

逮捕された産婦人科医はマリア先生の息子の久広だった。

 

久広と理恵は、今や帝華大学産婦人科教室の教授候補となっている清川吾郎(田辺誠一)とともに研修時代に学んだ医院だった。

 

理恵は、大学病院の産婦人科のあり方に疑問を感じ、マリアクリニックで理想の産婦人科を実現させようとしていたが、屋敷教授は清川にその動きを阻止することを命じた。

 

しかも、理恵には大きな秘密があった。

 

☆ネタバレ

サスペンスを歌っているから、このネタバレも見る予定のある人は読まないでくださいね。

 

4番目の患者山咲みどりは、理恵の実母だった。

しかも、お腹の子は理恵の卵子を使った受精卵。

つまり、代理母だったのです。

 

清川は理恵を愛しているんだけれども、教授になるためには理恵のスキャンダルは御法度。

それで理恵を亡き者にするのかなあ?

と見ていたら、理恵がさっさと辞表を提出してしまったので、そういうサスペンスへとは発展しませんでした。

 

この作品のクライマックスは、命の尊さを知ったユミが出産を決意したので、10月、台風に見舞われた日、マリアクリニックでは3人の問題のある妊婦が一度に産気づきます。

 

たまたま清川が来ていたんだけど、たった一人の看護婦のみすず(濱田マリ)は台風で交通機関が止まってしまい、来られない。

さらに、庭の立ち木が倒れて診察室は大破、おまけに停電。

 

停電は、自家発電でなんとかなったものの、二人だけでは帝王切開の手術を2つと初産の処置は無理、となったところで、死にかけていたマリア先生が登場。

ユミのお産を担当する。

 

そして二人は帝王切開を2つこなして、無事赤ちゃんが誕生したという結末でした。

 

「生命の誕生は奇跡」というセリフが何度も出てきて、その度に感動はするんだけど、最後のシーンは奇跡の安売りみたいで、ちょっと興ざめしました。

 

「産みたい人が産める」というスローガンはステキだけど、20歳のシングルマザーユミのケースは、子供の身になればそれでいいのか?という気もしました。

経済的な裏付けも語られていなかったし、実母も乗り気ではないとか、出産にも助けに来ないとか、なんか、二人の将来が不安でした。

子供は社会の宝物。

一人では育てられないよ。

いろんな支えが無くちゃ、大変です。

 

代理母問題も、なんかうやむやだし。

精子提供者はほのめかされるものの、ということは、無断で勝手に使ったのかなあと疑問も残り、後味すっきりとはいきませんでした。

 

中絶で子供を産めなくなった理恵自身の双子の赤ちゃん。

産みたいからという理由で、実母を代理母にしてもいいのかどうかは、倫理観で意見の分かれるところでしょう。

私自身を考えて、娘の仮腹になれるか?

うーん、無理かも。

 

なぜなら、出産って本当にリスクのあるものです。

無事に産まれて当たり前のように捉えられがちですが、母体には10ヶ月近くに及ぶ妊娠期間を含めて、命に関わる問題の連続です。

母親は妊娠したそのときから、命の危険にさらされていると言って過言ではありません。

しかも、最終的には帝王切開。

健康であるはずの体にメスを入れるということです。

人生を半ば過ぎた女性には、荷が重過ぎる行為です。

 

しかも前述したように、精子提供者の承諾が無いし。

後に子供が「お父さん!」と会いに行っても、問題だよね。

子供には父親が必要なのは言うまでもないことだし。

 

なんか、どの話も女性が子供が欲しいという点に焦点をしぼり過ぎているように思えて、父親のこととか、社会事情とか、子供を取り巻く問題点を考えたら楽しめなくなりました。

 

特典に付いていたスピンオフ作品「空にいちばん近い幸せ」は、死産した夫婦がその悲しみを乗り越える作品で、とてもよかったです。

久しぶりに矢田亜希子さんがステキな母親役で見られて、そちらの方もなんか安心しました。