
ーその土曜日、7時58分ーBEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD
2007年 アメリカ/イギリス
シドニー・ルメット監督 フィリップ・シーモア・ホフマン(アンディ・ハンソン)イーサン・ホーク(ハンク・ハンソン)マリサ・トメイ(ジーナ・ハンソン)アルバート・フィニー(チャールズ・ハンソン)ブライアン・F・オバーン(ボビー)ローズマリー・ハリス(ナネット・ハンソン)マイケル・シャノン[俳優](デックス)エイミー・ライアン(マーサ・ハンソン)サラ・リヴィングストン(ダニエル・ハンソン)アレクサ・パラディノ(クリス)
【解説】
ある兄弟が企てた強盗計画が、とある誤算を引き金に思いがけない悲劇を招いていくサスペンス・ドラマ。監督は『ネットワーク』など、硬派な人間ドラマを撮り続けてきた巨匠シドニー・ルメット。『カポーティ』のフィリップ・シーモア・ホフマンと『トレーニング デイ』のイーサン・ホークが主人公兄弟を演じている。斬新でスリリングな展開と人間の本質をあぶりだす重厚な人物描写、さらには豪華実力派キャストのリアルな熱演が見どころだ。(シネマトゥデイ)
【あらすじ】
一見誰もがうらやむ優雅な暮らしをしていたニューヨークの会計士アンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、離婚した元妻のもとにいる娘の養育費もまともに払えない弟ハンク(イーサン・ホーク)を誘い、実の両親が営む宝石店へ強盗に入ることに。しかし計画決行の土曜日、7時58分。事態は最悪な方向へと突き進んでしまう。(シネマトゥデイ)
【感想】
この邦題を付けた人も悩んだとは思うけど、この原題はいいなあ。
「悪魔があなたの死を知る前に」さっさと、天国の門を通り抜けてしまいなさい。ーということらしい。
いきなり激しいセックスシーンで、先が思いやられるーと思うけど、以後は大丈夫です。
この行為が、主人公にとってはとても大事なことなんです。
このお話は、宝石店強盗という体裁をとっているけど、あくまでハンソン家の家族崩壊の話。
たたきあげで今の地位を築き上げた会計士のアンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は妻ジーナ(マリサ・トメイ)と二人暮らしだが、倦怠期を迎えていた。
アンディの弟ハンク(イーサン・ホーク)は両親に溺愛されて育ったダメ男で、妻とは離婚、一人娘のダニエル(サラ・リヴィングストン)への毎月の養育費にもことかくありさま。
お金に困っているハンクに、アンディは宝石店を襲う計画を持ちかける。
映画は、現在と過去を行きつ戻りつ、家族ひとりひとりのその時を映し出していく。
☆ネタバレ
アンディは、不毛な性生活の埋め合わせをするように、麻薬に溺れている。
そのお金を工面するため、会社のお金手をつけていたのだ。
もうすぐ監査が入り、自分の背任が明かされるだろう。
その前に、どうしてもお金を工面しなければならなかったのだ。
ハンクを巻き込んで計画した宝石店強盗は、実はふたりの両親の営む店だった。
「よく知っているから大丈夫」とアンディはハンクに言って聞かせる。
小心者のハンクは恐ろしくて仕方がない。
酒場で働くならず者のクリス(アレクサ・パラディノ)を実行犯に雇った。
その土曜日。
1週間の売り上げが金庫にある。
奪っても、保険がかかっているので誰も損はしない。
店番は母の友達のドリスーのはずだった。
しかし、ドリスは孫のお守りで都合が悪く、父チャールズ(アルバート・フィニー)は免許の更新で、この日店の鍵を開けたのは母ナネット(ローズマリー・ハリス)だった。
単純に宝石店を襲うと思っているクリスは、それがハンクの母親とも知らず、抵抗するナネットに発砲し(これもアンディの計画ではおもちゃの銃のはずだった)、母も気丈に応戦して、クリスは死亡、母も脳死に陥った。
現場から逃げ出したハンク。
しかし、レンタカーにクリスの私物のCDが残っていた。
しかも、クリスの妻に自分の正体もばれていたのだ。
クリスの義理の兄に揺すられるハンク。
ダニエルにも約束の遠足費用が渡せず、決別されてしまった。
アンディはハンクのへまをののしるが、わめいても金はないし、母は死んだ。
母の葬儀の日、父親は、ハンクを溺愛しアンディに冷たく接して来たことを謝るが、アンディは受け入れられない。
激情を抑えられないアンディ。
妻は、豹変したアンディを嫌い、去っていく。
ハンクと浮気していたことを告白して。
そのことがさらにアンディを凶暴に変えていく。
二人は、麻薬を扱っている売人を襲い、射殺。
大金を強奪して、さらにクリスの家に向かう。
クリスの義理の兄を射殺するが、兄弟争いをしている隙にクリスの妻に撃たれる。
ハンクは、現場からお金を持って逃走した。
二人をずっとつけていたチャールズは、搬送されるアンディとともに病院へ。
意識不明のアンディの息の根をとめてしまうー
「悪魔がおまえの死を知る前にー」となるわけです。
シドニー・ルメット監督。
「12人の怒れる男」は中学生の頃、日曜洋画劇場で見て、興奮しました。
「狼たちの午後」は劇場で見て、これもすごく面白かった。
で、何歳?と思えば、1924年生まれの、ことし85歳!!
恐れ入ります。
確かに俳優もいい。
演技派の豪華キャストです。
時系列がばらばらなことがとても効果的で、ひとりひとりの心理描写や背景が克明に描かれていくので、すごく引き込まれてみてしまいました。
人格者を装ったアンディの心の闇。
それに引きずられていく弟の弱さ。
兄弟の悪事を知った父親の後悔と悲しみ。
「悪魔がお前の悪事を知る前に天国へ行けよ」
父親が息子へ送る、せめてもの情けなのでしょう。
でも、待てよ。
この父親、盗品を扱う故買屋と昔なじみそうだったし、やばい過去がある人なのかなあ。
そう思うと、妻を襲った犯人探しを執拗にやっているところも、兄弟の後をつけていくのも、最後に息子を手にかける手際よさも、元々犯罪に手を染めた人間ゆえのような気もしてきました。
悪魔が知る前に、平凡な幸せを手に入れたのは父親の方で、それが息子たちへとツケが回って来たというこことなのでしょうか?
因果応報?
ギリシャ悲劇のような、どこにも救いがない話ですが、そういう深読みもできそうな作品でした。
ただ、大金を持って逃げ出したハンクのその後が描かれていなかったので、少し消化不良の気分です。
でも、クリスの妻の証言で、そのうち捕まっちゃうのでしょうね。
2007年 アメリカ/イギリス
シドニー・ルメット監督 フィリップ・シーモア・ホフマン(アンディ・ハンソン)イーサン・ホーク(ハンク・ハンソン)マリサ・トメイ(ジーナ・ハンソン)アルバート・フィニー(チャールズ・ハンソン)ブライアン・F・オバーン(ボビー)ローズマリー・ハリス(ナネット・ハンソン)マイケル・シャノン[俳優](デックス)エイミー・ライアン(マーサ・ハンソン)サラ・リヴィングストン(ダニエル・ハンソン)アレクサ・パラディノ(クリス)
【解説】
ある兄弟が企てた強盗計画が、とある誤算を引き金に思いがけない悲劇を招いていくサスペンス・ドラマ。監督は『ネットワーク』など、硬派な人間ドラマを撮り続けてきた巨匠シドニー・ルメット。『カポーティ』のフィリップ・シーモア・ホフマンと『トレーニング デイ』のイーサン・ホークが主人公兄弟を演じている。斬新でスリリングな展開と人間の本質をあぶりだす重厚な人物描写、さらには豪華実力派キャストのリアルな熱演が見どころだ。(シネマトゥデイ)
【あらすじ】
一見誰もがうらやむ優雅な暮らしをしていたニューヨークの会計士アンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、離婚した元妻のもとにいる娘の養育費もまともに払えない弟ハンク(イーサン・ホーク)を誘い、実の両親が営む宝石店へ強盗に入ることに。しかし計画決行の土曜日、7時58分。事態は最悪な方向へと突き進んでしまう。(シネマトゥデイ)
【感想】
この邦題を付けた人も悩んだとは思うけど、この原題はいいなあ。
「悪魔があなたの死を知る前に」さっさと、天国の門を通り抜けてしまいなさい。ーということらしい。
いきなり激しいセックスシーンで、先が思いやられるーと思うけど、以後は大丈夫です。
この行為が、主人公にとってはとても大事なことなんです。
このお話は、宝石店強盗という体裁をとっているけど、あくまでハンソン家の家族崩壊の話。
たたきあげで今の地位を築き上げた会計士のアンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は妻ジーナ(マリサ・トメイ)と二人暮らしだが、倦怠期を迎えていた。
アンディの弟ハンク(イーサン・ホーク)は両親に溺愛されて育ったダメ男で、妻とは離婚、一人娘のダニエル(サラ・リヴィングストン)への毎月の養育費にもことかくありさま。
お金に困っているハンクに、アンディは宝石店を襲う計画を持ちかける。
映画は、現在と過去を行きつ戻りつ、家族ひとりひとりのその時を映し出していく。
☆ネタバレ
アンディは、不毛な性生活の埋め合わせをするように、麻薬に溺れている。
そのお金を工面するため、会社のお金手をつけていたのだ。
もうすぐ監査が入り、自分の背任が明かされるだろう。
その前に、どうしてもお金を工面しなければならなかったのだ。
ハンクを巻き込んで計画した宝石店強盗は、実はふたりの両親の営む店だった。
「よく知っているから大丈夫」とアンディはハンクに言って聞かせる。
小心者のハンクは恐ろしくて仕方がない。
酒場で働くならず者のクリス(アレクサ・パラディノ)を実行犯に雇った。
その土曜日。
1週間の売り上げが金庫にある。
奪っても、保険がかかっているので誰も損はしない。
店番は母の友達のドリスーのはずだった。
しかし、ドリスは孫のお守りで都合が悪く、父チャールズ(アルバート・フィニー)は免許の更新で、この日店の鍵を開けたのは母ナネット(ローズマリー・ハリス)だった。
単純に宝石店を襲うと思っているクリスは、それがハンクの母親とも知らず、抵抗するナネットに発砲し(これもアンディの計画ではおもちゃの銃のはずだった)、母も気丈に応戦して、クリスは死亡、母も脳死に陥った。
現場から逃げ出したハンク。
しかし、レンタカーにクリスの私物のCDが残っていた。
しかも、クリスの妻に自分の正体もばれていたのだ。
クリスの義理の兄に揺すられるハンク。
ダニエルにも約束の遠足費用が渡せず、決別されてしまった。
アンディはハンクのへまをののしるが、わめいても金はないし、母は死んだ。
母の葬儀の日、父親は、ハンクを溺愛しアンディに冷たく接して来たことを謝るが、アンディは受け入れられない。
激情を抑えられないアンディ。
妻は、豹変したアンディを嫌い、去っていく。
ハンクと浮気していたことを告白して。
そのことがさらにアンディを凶暴に変えていく。
二人は、麻薬を扱っている売人を襲い、射殺。
大金を強奪して、さらにクリスの家に向かう。
クリスの義理の兄を射殺するが、兄弟争いをしている隙にクリスの妻に撃たれる。
ハンクは、現場からお金を持って逃走した。
二人をずっとつけていたチャールズは、搬送されるアンディとともに病院へ。
意識不明のアンディの息の根をとめてしまうー
「悪魔がおまえの死を知る前にー」となるわけです。
シドニー・ルメット監督。
「12人の怒れる男」は中学生の頃、日曜洋画劇場で見て、興奮しました。
「狼たちの午後」は劇場で見て、これもすごく面白かった。
で、何歳?と思えば、1924年生まれの、ことし85歳!!
恐れ入ります。
確かに俳優もいい。
演技派の豪華キャストです。
時系列がばらばらなことがとても効果的で、ひとりひとりの心理描写や背景が克明に描かれていくので、すごく引き込まれてみてしまいました。
人格者を装ったアンディの心の闇。
それに引きずられていく弟の弱さ。
兄弟の悪事を知った父親の後悔と悲しみ。
「悪魔がお前の悪事を知る前に天国へ行けよ」
父親が息子へ送る、せめてもの情けなのでしょう。
でも、待てよ。
この父親、盗品を扱う故買屋と昔なじみそうだったし、やばい過去がある人なのかなあ。
そう思うと、妻を襲った犯人探しを執拗にやっているところも、兄弟の後をつけていくのも、最後に息子を手にかける手際よさも、元々犯罪に手を染めた人間ゆえのような気もしてきました。
悪魔が知る前に、平凡な幸せを手に入れたのは父親の方で、それが息子たちへとツケが回って来たというこことなのでしょうか?
因果応報?
ギリシャ悲劇のような、どこにも救いがない話ですが、そういう深読みもできそうな作品でした。
ただ、大金を持って逃げ出したハンクのその後が描かれていなかったので、少し消化不良の気分です。
でも、クリスの妻の証言で、そのうち捕まっちゃうのでしょうね。
このお話の「悪魔」の正体は・・・
まあ、このDVD見てももう面白くないわね。
私は面白かったよ。
この場合の悪魔は、悪い子をおしおきする「なまはげ」みたいなんだと思うなあ。
秀作だとは思うんですが・・
なぜ、父が息子を殺してしまうのかももひとつ飲み込めず・・・
悪魔がお前の悪事を知る前に~かあ
父は自分と似ている息子が嫌だったのかなあ、と。
隣の女性がそんなようなこと見終わってから言ってたように思います。
でも、気持ち悪いなりに考えていたら、いろいろ膨らんでいく映画でした。
やはり、原題が鍵だと思いました。
「その朝~」では、想像力が働きません。
父親が、長男には期待しすぎて厳しく、次男には甘いと言う話は、身近でもよく聞く話だと思いました。
私は、父親が長男に厳しかったのも、最後に自分で手にかけてしまうのも、自分の分身、あるいは一部と考えていたからかな、と思いました。
今日はボク夜勤ですので 昼は自宅で寝て過ごしてます。 今朝のニュースでフィアンディを演じたフィリップが亡くなったと報じられてました。46歳でしたと。若いですね。
作品もみました。友達と見ましたが なかなか面白かったといってました。 ボクもよかったです。
でもこの兄弟 どっちもバカだと思いました。
身内の宝石店 襲うなんて・・・
"泥棒捕まえたら わが子だった"・・・身内内で収められたらいいが もう弟がならず者のチンピラに強請られることから この兄弟を中心とした家族は崩れていく・・・
>クリスの妻の証言で、そのうち捕まっちゃうのでしょうね。
そう思いますね。 ハンクの別れた奥さんも娘も 元夫や父親がこんな罪を犯したコトを知ったら 十中八九愛想つかして絶縁されるんじゃないかな。 情けなく思って。
ほんと、若いですよね。
私が見た一番早いのは「セイント・オブ・ウーマン」で学生役でした。
「レッド・ドラゴン」では、印象的な役でしたね。
薬物がらみとのこと。
アメリカの病巣は深刻ですね。
とても個性の強い、いい役者さんだったのに、とても残念です。
合掌