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ー太陽のめざめーLA TETE HAUTE/STANDING TALL
2015年 119分 フランス
監督・脚本=エマニュエル・ベルコ キャスト=カトリーヌ・ドヌーヴ (判事) ロッド・パラド (フェランド・マロニー) ブノワ・マジメル (ヤン) サラ・フォレスティエ (マロニーの母)
【解説】
第68回カンヌ国際映画祭のオープニングで上映された、名優カトリーヌ・ドヌーヴが主演を務めたドラマ。母親に捨てられた過去を持つ少年、補導された彼を担当する女性判事、少年の教育係を任された男性の姿を追う。メガホンを取るのは、『ミス・ブルターニュの恋』などのエマニュエル・ベルコ。『最後のマイ・ウェイ』などのブノワ・マジメル、『漆黒の闇で、パリに踊れ』などのサラ・フォレスティエらが顔をそろえる。希望に満ちた物語や、少年を演じるロッド・パラドが放つ存在感に注目。
【あらすじ】
育児放棄が疑われる母親(サラ・フォレスティエ)と一緒に裁判所に呼び出された16歳のマロニー(ロッド・パラド)は、判事フローランス(カトリーヌ・ドヌーヴ)の目の前で置き去りにされた過去を持つ。問題を起こしてばかりの彼は裁判所へと送られ、10年ぶりにフローランスと再会する。反省を促すも再び事件を起こしたマロニーに対し、彼女は矯正施設への送致を決める。教育係ヤン(ブノワ・マジメル)とフローランスの支え、指導員の娘テス(ディアーヌ・ルーセル)との恋を経て、更生への道を歩んでいくマロニーだったが……。(シネマトゥデイ)
【感想】
少年の非行や犯罪に、大人はどう向き合うべきなのがというのがテーマ。
日本のシステムはよく知らないけど、この映画に描かれているようなフランスのシステムとは、ずいぶん違うんじゃないかと思いました。
特に、判事フローランス(カトリーヌ・ドヌーヴ)は忍耐強い。
そして、問題の少年に着く教育係の存在。
手厚いと感じました。
シングルマザーの母親(サラ・フォレスティエ)は、育児放棄を疑われて6歳の長男のマロニーと赤ちゃんの次男を連れて判事のフローランスと面談に呼び出された。
育児のやり方を注意されると、逆切れしてマロニーを残して去って行った。
マロニーは施設に送られることとなった。
16歳になったマロニー(ロッド・パラド)。
盗んだ車を乱暴に運転して、事故を起こし、再びフローランスの前に現れた。
マロニーに付いていた教育係は愛想尽かししてやめてしまった。
担当の検事はマロニーに対し、更生が期待できないとして少年刑務所へ入れるように意見を述べた。
しかし、フローランスは教育係にヤン(ブノワ・マジメル)をつけ、矯正施設へ入れることを決めた。
マロニーは心が弱く、一人になると母を求めて泣いているのに、いつも粗野で暴力的。
精神も不安定。
学校や学びへの興味も薄い。
いつもひとりぼっちでイライラしている。
そんなマロニーにも親しい女友達ができた。
施設の教員の娘のテス(ディアーヌ・ルーセル)。
次第に心の安定を得て、更生に向かうと思われたが、やはり些細なことで激高、あろうことか身重の施設長の先生に暴力を振るってしまった。
この件で少年刑務所送りに。
でも、テスはマロニーの子供を身ごもっていた。
テスは中絶を決心して手術を受けようとするが、マロニーは刑務所を脱走してテスの元にやってきた。
この件から、マロニーは刑務所でも模範生となり、出所。
赤ちゃんを抱いて、フローランスを訪れる。
いろいろ考えさせられる映画でした。
母親の愛情を感じずに育った子供は、こんなにも情緒不安定なのか。
でも、それは生育歴だけが問題なのか、本人の資質には問題はないのか。
教育係のヤンも過去にはマロニーのような経験をしているようでしたが、ヤンは結局離婚し、子供も作れなかったようでした。
このように、問題のある育ち方をした人は、大人になっても問題を抱えているのか。
それでも、「悪い子」と決めつけないで、更生の余地を探る社会のシステムは大切だと思いました。
人って弱いなあ、とも思いました。
だから支える人、支える社会のシステムが大切なんですね。
どんなに辛くても、希望を見出して生きていく、生き続けることが一番大切ですものね。
子供を授かったので更生したというストリーには、少し安易すぎる気もするのですが、マロニーとテスのまっすぐな眼差しを信じたいと思いました。
ブノワ・マジメル、スクリーンで久しぶりに拝見しました。
うだつの上がらない中年男性の役があまりにぴったりで、びつくりしました。