情報通信研究機構(NICT)は、東京都板橋区と豪雨予測技術に関する研究開発における協力に関する協定を締結し、地上デジタル放送波が送信所から各家庭まで空中を伝わるときに大気中に存在する水蒸気の影響で発生する、わずかな遅延をピコ秒精度(ピコ:1兆分の1)で精密に測定することで、大気中の水蒸気量を推定する技術の実証を目的とした試験観測を開始する。
大気中の水蒸気は凝結して雲粒になり、大きく成長し雨粒になると、雨となって地上に落ちてくる。この水蒸気の分布を正確に知ることが天気予報の改善につながり、降る場所と時間の予測が困難なゲリラ豪雨の予測精度の向上が期待できる。
NICT がこの地デジ放送波による水蒸気観測技術に関して、自治体との協定を結び、試験観測を開始するのは板橋区が全国初。
推定された水蒸気量分布のデータは、気象数値予測モデルのデータ同化に利用される。気象数値予測の精度向上が実現できれば、ゲリラ豪雨による大雨予測、突風・強風予測の向上が実現し、防災・減災や日常生活の利便性の向上につながる。