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●科学技術ニュース●京都大学など、小惑星リュウグウの砂のごく表面が窒化した鉄に覆われていることを発見

2024-01-16 09:33:39 |    宇宙・地球
 京都大学白眉センターの松本徹 特定助教、理学研究科の野口高明教授、三宅亮准教授、伊神洋平助教、化学研究所の治田充貴准教授、および国際的な共同研究者のグループは、地球の近くに軌道をもつ小惑星リュウグウの砂を電子顕微鏡で調べ、砂のごく表面が窒化した鉄(窒化鉄:Fe4N)に覆われていることを発見した。

 太陽から遠く離れた場所で生まれた氷天体や彗星には、アンモニウム塩のような窒素化合物が大量に貯蔵されている。

 このような窒素を含む固体は生命の材料物質としてとても重要だと考えられているが、地球軌道の地域に輸送される証拠は見つかっていなかった。

 窒化鉄は、磁鉄鉱と呼ばれる鉄原子と酸素原子の鉱物の表面で見られる。

 同研究グループは、氷天体からやってきたアンモニア化合物を大量に含む微小な隕石がリュウグウに衝突して、磁鉄鉱の表面で化学反応が起こり、この窒化鉄が形成したと考えた。

 小惑星の表層では、太陽から吹くイオンの風(太陽風)の照射などによって磁鉄鉱の表面から酸素が失われていて、アンモニアと反応しやすい金属鉄がごく表面に形成している。

 このため、磁鉄鉱の表面ではアンモニアに由来する窒化鉄の合成が促されたと推測している。

 この微小隕石は太陽系遠方の氷天体からやってきたかもしれず、これまで気づかれてきたよりも多くの量の窒素化合物が太陽系の地球付近に輸送されて、生命の材料となった可能性がある。<海洋研究開発機構(JAMSTEC)>
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