“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―                 科学技術研究者   勝 未来

科学技術書・科学書・技術書・理工学書/ブックレビュー・書評/新刊情報/科学技術ニュース   

★炭素ニュース★日本郵船、脱炭素化船「NYK スーパーエコシップ2050」発表

2018-11-20 09:33:36 |    ★炭素ニュース★

 日本郵船グループは、中期経営計画“Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green”の取り組みの一環として、船舶の脱炭素化に向けたイノベーションを結集した新コンセプトシップ「NYKスーパーエコシップ2050」を考案した。

 同船は、自動車専用船をモデルとした2050年のコンセプトシップ。

 船体重量の軽量化や船型の最適化により船体の摩擦抵抗を低減するほか、燃料電池を利用した電気推進や高効率の推進装置の採用等により、現在運航されている一般的な船舶と比べ70%のエネルギー量削減が可能。

 また、太陽光パネルを搭載し、燃料には化石燃料の代わりに再生可能エネルギー由来の水素を使用するため二酸化炭素(CO2)排出ゼロ=ゼロエミッションを実現。

 同社は、2018年3月に、トン・キロメートル当たりの温室効果ガス(GHG: Greenhouse Gases)排出量を2015年比で2030年までに30%削減、2050年までに50%削減する目標を設定した。

 目標達成のために、ハードウェアの技術開発やデジタルゼーション進展より見える化・効率化・最適化に努め、配船、運航や荷役効率の向上、ゼロダウンタイムの実現に取り組んでいる。なおこの目標はSBTイニシアチブから、科学的根拠に基づく目標として認定を取得している。

コメント

★炭素ニュース★中部電力など、CO2フリー電力を活用したEV・PHV向け充電サービスに関する実証実験開始

2018-11-16 09:30:36 |    ★炭素ニュース★

 中部電力は、トヨタ自動車、 トヨタオートモールクリエイト、野村総合研究所と、12月25日より、CO2フリー電力を活用した電気自動車やプラグインハイブリッド車(EV・PHV)向けの充電サービスに関する実証実験を開始する。

 同実証実験は、CO2フリー電力の活用による再生可能エネルギーの利用拡大や、EV・PHVの充電インフラの普及拡大につながる充電サービスの事業性評価を目的に実施するもの。

 具体的には、カラフルタウン岐阜(岐阜市柳津町)に設置されたEV・PHVの充電器で使用される電力を対象に、同社がCO2フリー電力を供給する。

 ユーザーは、専用の充電カードとスマホアプリを利用し、EV・PHVにCO2フリー電力を有償で充電することにより、カラフルタウン岐阜の店舗で利用できるクーポンや、カテエネポイントへの交換や環境団体等への寄付に活用できるエコチャレポイントを受け取ることができる。
 これにより、充電にかかる費用を抑えながら、地球温暖化対策への取り組みに参加できる。

 今後、実証実験の結果を踏まえ、環境性やユーザーの利便性向上に資する新たなサービスの検討を進める。

実証期間:2018年12月25日~2019年3月31日
 
実証場所:カラフルタウン岐阜中央平面駐車場に設置されている充電器3台
 
モニター:EV・PHVの利用者で、充電カードの発行および専用アプリをダウンロード者が対象 

コメント

★炭素ニュース★NIMSなど、炭素材料が微量な窒素導入で活性な酸素還元電極触媒になる仕組みを解明

2018-08-28 09:31:29 |    ★炭素ニュース★

 物質・材料研究機構(NIMS)は、北海道大学、ドイツ・ウルム大学との国際共同研究で、炭素材料が1 at%以下の微量の窒素導入で、燃料電池の鍵である酸素還元反応に対して活性な電極触媒になることを発見し、その活性化の仕組みを説明することに成功した。

 現在、同触媒として用いられているのは、希少な資源である白金族金属。資源的制約のない持続可能な材料を用いたエネルギー生産へ向けて、白金族元素の代替材料として炭素系電極触媒の基礎・応用研究がより活発になることが期待される。

 今回、NIMSを中心とする研究チームは、異なる窒素の含有量と化学構造を持つ複数の清浄なモデル炭素触媒を調製し、それらを用いて反応全体の効率を決めている過程と酸素吸着の仕方を調査した。

 さらに触媒表面の形態や窒素分布を詳細に観察し、実験系が正確に反映された理論モデルを設計して、炭素触媒を用いたORRの微視的電極過程を解析した。

 その結果、微量な窒素導入のみで炭素がORRを活性化させることができることを示し、その具体的な機構を実験と理論により説明することに成功した。

 炭素が電極触媒として活性化する機構を理解していれば、より高活性な炭素系電極触媒の設計や、それらのより詳細な微視的電極過程の解析をする助けになる。

 今後は今回得られた知見を基盤に、より高い特性を示す炭素系触媒を探索することで、ありふれた元素による高効率な電気エネルギーを生産可能とする材料の合成を目指す。

コメント

★炭素ニュース★NIMS、首都大学東京とNBCメッシュテック、一酸化炭素を室温で高効率に無害化する新触媒を開発

2018-08-09 09:34:50 |    ★炭素ニュース★

 物質・材料研究機構(NIMS)は、首都大学東京、NBCメッシュテックと共同で、有害な一酸化炭素 (CO) を室温下で無害化する新触媒を開発した。

 酸化鉄のナノ多孔体に金ナノ粒子を保持させるハイブリッド型にすることで、市販の触媒に比べ5倍以上の除去率を実現した。喫煙室向け空気清浄機フィルターなどさまざまな場面での活用が期待される。

 1グラムあたりおよそ200平方メートルもの非常に高い比表面積をもつナノ多孔体に、金ナノ粒子を均一に分散させて凝集を抑制することで、室温で一時間あたり8.41 molCO/gAuもの高い一酸化炭素の除去能力を実現した。さらにこの触媒は、初期の20%の触媒活性を、長期間維持できることも確認した。

 同研究の技術を使用することで、経済面と環境面の両者に優れた空気清浄機のフィルター開発につながることが期待される。今後は、生産規模拡大や応用製品開発を目指す。

コメント

★炭素ニュース★NIMSなど、ビーカーを使って炭素の輪から作る二次元カーボンナノシートの作成に成功

2018-07-11 09:27:28 |    ★炭素ニュース★

 物質・材料研究機構(NIMS)は、名古屋大学、東京大学と共同で、高い導電性や触媒機能を持ち、新奇の電子材料として期待されるカーボンナノシートを、簡易に合成する手法を開発した。

 ビーカーに水を注ぎ、攪拌した水面に輪状の炭素分子であるカーボンナノリングを展開し、基板に転写し焼成するだけでカーボンナノシートを合成できる。

 高価な装置や高度な技術が不要で、高い導電性などを生かした太陽電池やタッチパネル、燃料電池の触媒膜などへの応用が期待される。

 同研究で用いた薄膜作製法は、これまで均一な薄膜を作製するのが困難であった分子や材料に適用でき、また必要な器具もビーカーと攪拌機のみと簡便なため、広く利用されることが期待される。

 また、1メートル平方のナノシートを作製するために必要なカーボンナノリングは1ナノグラム(10億分の1グラム)と非常に少量。さらに、大面積化することで工業的にも展開可能な技術。

コメント

★炭素ニュース★JAXA、「航空機電動化(ECLAIR)コンソーシアム」の発足

2018-07-03 09:31:26 |    ★炭素ニュース★

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、IHI、川崎重工業、SUBARU、日立製作所、三菱重工航空エンジン、三菱電機および経済産業省との連携のもと、CO2排出などの環境負荷を抜本的に低減する航空機の電動化技術を開発するとともに、わが国の航空産業の飛躍的な拡大に向けて産業界のイニシアチブを醸成することを目的とした「航空機電動化(ECLAIR)コンソーシアム」を7月1日に発足した。

 同コンソーシアムにおいては、JAXA航空技術部門次世代航空イノベーションハブが中核となり、産学官連携のもと、世界に誇る国内の電動要素技術などを航空機技術と糾合するオープンイノベーションの手法によって、抜本的にCO2排出量の削減が可能な「エミッションフリー航空機」の実現と新規産業の創出に向けた活動を行う。

 具体的には、航空機電動化に関する将来ビジョンを策定・共有し、それに基づき技術開発を行うことにより、わが国として国際競争力のある技術の強化を目指す。

 また、今年12月頃に一般公開型の「航空機電動化オープンフォーラム(仮称)」を開催し、将来ビジョンやコンソーシアムの活動を広く紹介する予定。

コメント

★炭素ニュース★東京工業大学など、貴金属、稀少金属を用いないCO2資源化光触媒を開発

2018-06-14 09:32:28 |    ★炭素ニュース★

 東京工業大学、日本学術振興会は、フランス パリ第7大学の研究グループと共同で、JST 戦略的創造研究推進事業 CRESTの国際強化支援のもと、有機半導体材料と鉄錯体から成る光触媒に可視光を照射すると、二酸化炭素(CO2)が有用な一酸化炭素(CO)へ選択的に還元されることを発見した。

 これまで開発されてきた高効率CO2還元光触媒は、ルテニウムやレニウムといった貴金属注や稀少金属を用いたものがほとんどだったが、今回開発した光触媒は、これらの金属を全く使わずに、ほぼ同等の光触媒性能を示すことがわかった。

 同成果により、卑金属や有機半導体材料だけを用いた光触媒でも、太陽光をエネルギー源として、地球温暖化の主因であるCO2を有用な炭素資源へと変換できることが明らかになった。

 今後は、光触媒としての機能をさらに向上させるとともに、地球上に多量に存在し安価な水を還元剤として用いることのできる酸化光触媒との融合を達成することが課題となる。

コメント

★炭素ニュース★千葉大学、2000年代の陸域CO2吸収量が過去100年間で最大になったことを明らかに

2018-05-29 09:34:21 |    ★炭素ニュース★

 千葉大学環境リモートセンシング研究センター近藤雅征特任助教が率いる国際研究グループは、全球を対象とした陸域炭素収支のシミュレーション解析から、陸域の二酸化炭素の吸収量が1960年代から増加傾向にあり、2000年代において過去100年間で最大となったことを明らかにした。

 この主要な原因の一つが、過去の大規模な土地利用変化から回復した植生に起因しており、特に30~50年前に土地利用変化が活発であったアメリカ、ヨーロッパ諸国、中国の植生が、現在において大気CO2の大きな吸収源になっていることを検出した。

 同研究は、植生の再成長によるCO2吸収量を全球で定量化した世界で初めての事例であり、近年の地球温暖化に関連した炭素循環プロセスの理解において重要な役割を担うと期待される。

コメント

★炭素ニュース★産総研と島津製作所、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた高輝度近赤外蛍光イメージングプローブ開発

2018-04-20 11:03:53 |    ★炭素ニュース★

 産業技術総合研究所(産総研)は、島津製作所と共同で、カーボンナノチューブ(CNT)を酸化する簡便な方法を考案するとともに、この方法で合成した酸化CNTを用いて、生体透過性の良い第2近赤外(NIR-II)領域で発光する近赤外蛍光イメージングプローブを開発した。

 今回、紫外線照射で発生したオゾンでCNT薄膜に数分間の酸化処理を行うことで、酸化CNTを合成する方法を開発した。

 この方法は、数時間の反応時間を要する従来法に比べ、短時間に多量の酸化CNTを合成できる。合成した酸化CNTは近赤外光励起によりNIR-II領域で蛍光を発光するため、近赤外蛍光イメージングプローブとして応用できる。

 合成した酸化CNTの表面をリン脂質ポリエチレングリコール(PLPEG)でコーティングして水に分散できるようにし、生体内イメージングプローブとして用いてマウスの血管を長時間高輝度で造影できた。

 また、免疫グロブリンG(IgG)を修飾したPLPEG(IgG-PLPEG)でコーティングしたところ、免疫沈降(IP)反応により、標的指向性を付与できる可能性が確認できた。

 今後は、今回の成果をもとに、島津製作所と共同で高輝度な酸化CNT近赤外蛍光イメージングプローブの実用化に取り組むことにしている。

コメント

★炭素ニュース★TMEIC、カーボンナノチューブの薄膜化に成功

2018-04-06 10:45:02 |    ★炭素ニュース★

 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)は、独自のミスト成膜技術により、カーボンナノチューブの薄膜化に成功した。

 カーボンナノチューブは導電性に優れ、強度と柔軟性を兼ね備えた材料として注目されており、さらにフィルム状にすることで様々な分野へ用途が広がることが期待されている。特に、透明導電性フィルムとして実用化された場合、太陽電池セルの大面積化や自由な形状をした、新しいディスプレイパネル等の実現が期待できる。

 従来の、カーボンナノチューブフィルム化生成方法である塗布方式では、塗布量の微調整が難しく、カーボンナノチューブを薄くムラなく均一な膜として形成することは困難とされていた。

 今回TMEICでは、カーボンナノチューブ原料をミスト化し、最適に噴霧する、独自のミスト成膜技術により、「厚みが100ナノメートルの均一な膜厚」を実現することに成功した。

 また同時に、透明導電性フィルムとしての実用上、不可欠な条件である「透過率90%以上」も達成した。今後、カーボンナノチューブ薄膜の早期実用化に向け、プロセス条件等の一層の最適化を図る。

 TMEICのミスト成膜技術は、膜厚10~100ナノメートルにおいて、ナノ単位での膜生成が可能であり、上記カーボンナノチューブ以外にも導電性高分子やハイブリッド材料(有機/無機)、ナノ粒子分散液などの最先端材料でも適用可能。

コメント