“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

◆科学技術テレビ番組情報◆NHK「サイエンスZERO」/BS朝日「BBC地球伝説」/TBSテレビ「夢の扉+」/他

2013-09-30 10:33:55 |    ◆TV番組◆

 

<テレビ番組情報>
 
 

NHKテレビ Eテレ  サイエンスZERO 毎週日曜日 午後11時30分~0時00分
                            再放送毎週土曜日 昼12時30分~1時00分
 
10月6日(日) 火星は灰色だった!?火星生命と人類移住計画

 生命の住めない赤い星と思われていた火星に、灰色をした生存可能な環境が広がっていた!?火星探査車キュリオシティがもたらした、従来の火星像を覆す世紀の大発見とは?
 
ゲスト:広島大学准教授…長沼毅,

司会:南沢奈央,竹内薫,中村慶子

BS朝日   BBC地球伝説 毎週火曜日 午後7時~8時54分

10月1日(火)   パイレーツ・オブ・カリビアン 真実の物語
              
          タイタニック 真実の物語

TBSテレビ   夢の扉+ 毎週日曜日 午後6時30分~7時
                                    BS-TBS:毎週木曜日 午後11時~
 
10月6日(日) 究極の分析技術で健康長寿社会を!

 「たった一滴のだ液」から早期発見が難しいがんをあぶりだす、究極の分析技術。ITを駆使して生命科学の常識に挑む、熱き研究者に密着。

ドリームメーカー:慶應義塾大学 先端生命科学研究所 所長 冨田勝

ナレーター:坂口憲二
 
テレビ朝日 奇跡の地球物語〜近未来創造サイエンス〜  毎週日曜日 午後6時30分~6時56分

10月6日(日) 天空の城 竹田城~時空を越えた建築技術~

 日本のマチュピチュとも呼ばれる「竹田城」。空に浮かぶ姿は、まさに天空の城。石を積み上げただけの石垣が400年以上崩れることなく、なぜその姿を保ち続けることができたのか?そこには、あの世界遺産マチュピチュに引けを取らない古の職人たちの知恵が隠されていた。
 
NHKテレビ Eテレ   地球ドラマチック 毎週土曜日 午後7時00分~44分
                           再放送 毎週月曜日 午前0時00分~0時44分
 
10月5日(土) “空飛ぶ車”を作れ!」

 道路が渋滞している時、車ごと空を飛べたら…。そんな夢を実現させようと取り組む人々がいる。これまでに実に2000種の“空飛ぶ車”が設計された!開発の最前線を追う。(2013年アメリカ)

NHK-BSプレミアム   コズミック フロント 毎週木曜日 午後10時00分~11時00分
                            再放送 月曜日 午後11時45分~0時44分
 
10月3日(木) 地球脱出

 75年後、天体の衝突によって地球は滅亡する。その前に人類は地球を脱出しなければならない・・・。もしも、こうした状況に人類が直面したとしたら、私たちは現在の科学でどこまで対処できるのか? 最新のテクノロジーと科学的知見に基づいた、シミュレーション・ドラマで描く。

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◆科学技術書<新刊情報>◆「微笑みのたくらみ」(マリアン・ラフランス著/化学同人)

2013-09-27 10:06:59 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:微笑みのたくらみ~笑顔の裏に隠された「信頼」「嘘」「政治」「ビジネス」「性」を読む~
 
著者:マリアン・ラフランス

訳者:中村 真

発行:化学同人

 笑顔は私たちに欠かせないものであり,やさしい口もとを見れば誰もが引きつけられる.一見,単純に見える笑顔だが,実は複雑な意味を含み,私たちに驚くほど多様な「結果」をもたらす.同書は,笑顔が生まれるしくみと,その表情がどんな結果を生むのかを解き明かしていく「笑顔学」の労作。読み終わった後,あなたはもう今までのようにあの人の笑顔を見ることはできないかもしれない……。


 

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■科学技術ニュース■基礎生物研、植物の成長に必要な糖タンパク質をつくりだす酵素を世界で初めて発見 

2013-09-26 10:04:25 |    エネルギー

  基礎生物学研究所(細胞間シグナル研究部門)の松林嘉克教授と大西真理研究員らは、シロイヌナズナの細胞に微量含まれる、アラビノースをタンパク質に付加させるのに必要な酵素を精製・同定することに世界で初めて成功した。

 シロイヌナズナには、この酵素をコードする遺伝子が3個あったが、遺伝子操作によりこれらが働かないようにした植物体では、細胞壁が薄くやわらかくなったり、受精が妨げられて種子ができなくなるなど、成長に様々な異常が生じることが分かった。

 これは、植物の成長における糖タンパク質群の重要性を直接的に示した初めての例。これらの遺伝子の働きをうまく調節すれば、今後やわらかい食感の野菜や果物を作り出すなどの応用が可能になるかもしれない。

 植物の細胞を取り囲む細胞壁中には、動物には存在しない特殊な糖鎖構造を持つ糖タンパク質が多数存在することが1960年代より知られていた。これらの糖タンパク質には、細胞壁形成時の足場や補強剤としての役割を果たすものや、細胞間で情報を伝えるホルモンとして機能するものなど、植物の成長に極めて重要な分子群が含まれている。

 これまでに、これらの糖タンパク質にはアラビノースという糖が鎖状に連なって付加していること、および、糖鎖が付加することによってはじめてタンパク質のかたちが正しく維持されることが明らかにされていたが、アラビノースをタンパク質に付加させるのに必要な酵素は未だ見つかってなかった。

  同研究は、植物の成長におけるアラビノース付加糖タンパク質群の重要性を直接的に示した初めての例でもある。アラビノース付加ができないhpat変異株の示す特徴的な形態は、100種類を超えると推定される様々なアラビノース付加糖タンパク質群が、どこでどのような機能を担っているかを知る上で重要な手がかりになる。

 

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◆科学技術書<新刊情報>■「宇宙物理学者がどうしても解きたい12の謎」(S・ウェッブ著/青土社)

2013-09-24 10:06:12 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:宇宙物理学者がどうしても解きたい12の謎

著者:スティーヴン・ウェッブ

訳者:松浦俊輔

発行:青土社 

 「宇宙で最初の光」から「地球以外の地球」へ。 理論物理学者と望遠鏡の脅威の進化によって、宇宙をめぐる科学はその姿を一新した。結果として判明したこと―「地球人は想像していた以上に宇宙のことを知らない」。 そもそも全宇宙の5パーセントしか見ることができないなかで、いったい何ができるのか? 観測技術と設備をさらに進化させ続け、はるかな星空を目指すこと。 最新の観測データと図版をもとに、ダークエネルギーから地球外文明探査まで、この宇宙で最もホットな12の謎を全天走破。

 

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◆科学技術テレビ番組情報◆NHK「サイエンスZERO」/BS朝日「BBC地球伝説」/TBSテレビ「夢の扉+」/他

2013-09-23 10:12:48 |    ◆TV番組◆

 

<テレビ番組情報>
 
 

NHKテレビ Eテレ  サイエンスZERO 毎週日曜日 午後11時30分~0時00分
                            再放送毎週土曜日 昼12時30分~1時00分
 

9月29日(日) 祝★打ち上げ成功!新型ロケット イプシロン

 打ち上げ延期を乗り越え、9月14日に打ち上げを成功させた12年ぶりの新型国産ロケット・イプシロン。世界初のコンピューターによる自動化システムにより、開発や打ち上げのコストを大幅に削減する次世代ロケットの誕生で、これまで敷居の高かった宇宙開発や科学探査がぐっと身近に引き寄せられようとしている。その新たな挑戦の苦難と克服の知られざる舞台裏を徹底解剖。JAXAプロジェクト・マネージャー自らが熱く語る!

ゲスト:JAXAプロジェクトマネージャー 森田泰弘

女優:南沢 奈央/サイエンス作家:竹内 薫/アナウンサー:中村 慶子

BS朝日   BBC地球伝説 午後8時~9時

9月23日(月) 休止
9月24日(火) 休止
9月25日(水) 休止
9月26日(木) 世界のランドマーク その裏側に迫る!インド・白亜の霊廟(れいびょう) タージ・マハル 

TBSテレビ   夢の扉+ 毎週日曜日 午後6時30分~7時
                                    BS-TBS:毎週木曜日 午後11時~
 
9月29日(日) 日本発!人工知能ロケットで宇宙開発のトップへ

 ニッポンが誇る新型ロケット“イプシロン”。打ち上げには、たった2台のパソコン!ロケット開発に革命を起こす男に独占密着!

ドリームメーカー:JAXA イプシロンプロジェクトマネージャー 森田泰弘

ナレーター:向井 理
 
テレビ朝日 奇跡の地球物語〜近未来創造サイエンス〜  毎週日曜日 午後6時30分~6時56分

9月29日(日) 高尾山~東京の大自然~

 東京都の西部に位置する「高尾山」。これからのシーズン、鮮やかに紅葉し、見頃を迎える。ミシュランの観光地ガイドで最高ランクの三つ星の評価を受け、 登山客は年間200万人を超える人気の山だ。今回は、女優の石田ひかりさんが植物学者とともに高尾山を探索。そこで出会った東京の大自然。
そして、夜の高尾山では、ムササビたちが姿を見せる。

NHKテレビ Eテレ   地球ドラマチック 毎週土曜日 午後7時00分~44分
                           再放送 毎週月曜日 午前0時00分~0時44分
 
9月28日(土)  「大忙し!海の動物病院」

 米・サンフランシスコに傷ついた野生のアザラシやアシカの治療を専門とする世界でも珍しい動物病院がある。環境汚染の犠牲となった動物たちが次々と運び込まれる…。1965年にNPOによって設立された「海洋哺乳動物センター」。運び込まれるのは、網によるケガや汚染物質による中毒など環境汚染の犠牲になった動物がほとんどだ。(2008年アメリカ)

NHK-BSプレミアム   コズミック フロント 毎週木曜日 午後10時00分~11時00分
                            再放送 月曜日 午後11時45分~0時44分
 
9月26日(木) 天文将軍 徳川吉宗

 今から300年前の江戸時代。日本の天文学に革命を起こした将軍がいた。それが江戸幕府八代将軍、徳川吉宗だ。時代劇の"暴れん坊将軍"のイメージや、享保の改革や目安箱の設置などの江戸幕府中興の祖として知られる吉宗だが、その実像は、「科学者」にして「天文学者」という希有な将軍だった。

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◆科学技術書<新刊情報>◆「数学の想像力」(加藤文元著/筑摩書房)

2013-09-20 10:41:19 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:数学の想像力―正しさの深層に何があるのか―

著者:加藤文元

発行:筑摩書房(筑摩選書)

 数学者、哲学者たちを戦慄させた正しさのパラドクスとは。数学には正解がある。それはなぜ正しいのか。正しさを追い求めた先に数学者たちは大いなるパラドクスを見てしまった。人間にとって正しさとは何かを問い直す。

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■科学技術ニュース■海洋研究開発機構、自転速度の変動が地球磁場に与える影響を解明

2013-09-19 10:28:05 |    宇宙・地球

 海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球内部ダイナミクス領域担当の宮腰剛広研究員と浜野洋三チームリーダーは、氷期―間氷期サイクルによって生じる自転速度の変動が原因となって、地球外核内の液体金属の対流運動が変化し、地球磁場の変動が引き起こされることを世界で初めて定量的に明らかにした。

 そして、自転速度の変動(約2%)に対して遙かに大きな割合で地球磁場の強度に変動(約20~30%)が生じ、自転速度の変動と地球磁場の変動の間には時間のずれが存在することが明らかになった。さらに、自転速度の変動によりコアからマントルへ輸送される熱量にも約10%の大きな変動が生じることも分かった。

 これは、地球磁場に見られる数万年~十万年周期での変動と気候変動との関係について、氷期―間氷期サイクルによる大陸氷床の増減が引き起こす地球の自転速度の変動に着目し、世界で初めて自転速度の変動を考慮した地球ダイナモ(地球コアに存在する液体金属の対流による地球磁場生成過程)シミュレーションにより判明したもの。

 同成果は、地球磁場変動のメカニズム解明に役立つばかりでなく、これまで明らかになっていなかった気候変動と地球磁場変動の関係を解明するための有力な手掛かりになると期待される。

 地球磁場の強さは様々な時間スケールで大きく変動していることが知られている。そして、この地球磁場変動の原因を明らかにすることは、今後の地球磁場変動と地球表層のハビタブル環境(宇宙の中で生命が誕生するのに適した環境と考えられている天文学上の領域。日本語では「生命居住可能領域」と呼ばれる)の未来を知る上で重要な要素の一つと考えられている。

 磁場変動の中で最近注目されているのが、海底堆積物の古地磁気測定から明らかとなった、1万年から10万年の時間スケールでの変動。この変動では磁場が最大約±50%の割合で大きく変化しており、変動の時間スケールや様子が氷期と間氷期が繰り返し訪れる気候変動(ミランコビッチ周期)と似ているために、多くの研究が行われている。しかし、この地球磁場変動の起源や、気候変動との関係についてはこれまで、明らかにされていなかった。

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■科学技術書・理工学書ブックレビュー■「科学の目 科学のこころ」(長谷川眞理子著/岩波書店)

2013-09-17 09:43:27 |    科学技術全般

書名:科学の目 科学のこころ

著者:長谷川眞理子

発行所:岩波書店(岩波新書)

発行日:2010年6月4日 第13刷

目次:1 生物の不思議をさぐる
    2 科学・人間・社会
    3 科学史の舞台裏
    4 ケンブリッジのキャンパスから

 先日、新宿の私の行き付けの書店で、店内に置いてある書籍を見ていたら、入口のもっとも目立つ場所に今回の書籍である長谷川眞理子著「科学の目 科学のこころ」が置いてあるのが目に飛び込んできた。今の書店は、どこでもベストセラー小説など売れる本を一番目立つ場所に置き、科学技術書などの難しい本は、あまり人目に付かない場所に置いてあるのが極当たり前のことだ。何で科学技術の、しかも地味なタイトルのこの本がこんないい場所に置いてあるのか、不思議に思って手に取り、何気なく奥付を見てみたら、1999年7月19日第1刷発行、2010年6月4日第13刷発行と書いてあるではないか。つまり、新刊ではなく、現在の13刷まで続けて印刷されている(つまり売れている)本なのである。これは、内容がしっかりとしたもので、しかもそれが今日まで根強い人気が営々と続いていることを物語っていることに他ならない。早速、購入して読んでみた。内容は期待に違わず、大変参考になり、思わず「そういう見方もあるのか」と一人考え込んでしまうような充実した科学エッセイ集となっていた。つまり、この本はある特定のテーマについて書かれている科学技術書ではなく、行動生態学を専門とする科学者である筆者が、常日頃、考えている事柄をエッセイ風に綴ったものであり、気軽に読める科学読みものなのである。気軽と言っても、それぞれのテーマについての筆者の鋭い視線が感じられ、最後まで緊張感を持って読み進められる。

 筆者の長谷川眞理子氏は、1983年東京大学大学院理学系研究科博士課程終了。理学博士。2000年、早稲田大学政治経済学部教授。2007年、 総合研究大学院大学先導科学研究科生命共生体進化学専攻教授。この本の前書きにも書いてある通り、専門は動物の行動の進化を研究する行動生態学という学問。これまで、ニホンザル、チンパンジー、シカ、ヒツジ、クジャクなど、主に大型の動物を対象にしてきたわけであるが、最近では、人間の行動と心理の進化の研究も始めているとある。岩波書店の雑誌「科学」に、1996年1月から1999年4月までの3年間に渡って連載してきたものに、加筆・修正を加えたのがこの本。筆者は執筆の動機を次のように語る。「本書は、そのようにして、一科学者である私が、科学という人間の営みに関して思うこと、考えることを、書きつづったものである。科学が自然や人間を見る目と心、そして社会が科学を見る目と心について、科学が好きな人にも嫌いな人にも、何か伝えられるものがあればと思う。もちろん、そして、科学の好きな人が一人でも多くなってほしいと願っている」

 全体は、Ⅰ生物の不思議をさぐる、Ⅱ科学・人間・社会、Ⅲ科学史の舞台裏、Ⅳケンブリッジのキャンパスから―の4部構成からなるが、「はじめに」の中に面白い話が紹介されている。19世紀の終わりごろ、プロシア政府は、もうこれで科学的発明発見は底をついただろうと判断して特許局を閉鎖してしまったという。しかし、現在まで科学技術上の発明発見は続いており、さらに今後加速度が付きそうあることを考えると、人間の見通しは、あまりあてにならないということが分かるエピソードではある。「Ⅰ生物の不思議をさぐる」の中の「進化的軍拡競争」では、人間の世界の軍拡競争に似たことが、生物の世界でも日常的に行われていることが紹介されている。例えば、カッコウは、自分ではヒナの世話をせず、ウグイスなどの他種の鳥の巣に卵を産む。カッコウのヒナはいち早く成長をし、宿主の卵を巣の外に放り投げてしまう。そこで、宿主の鳥は、カッコウの卵をいち早く見つけ、巣の外に捨てる対策を取る。カッコウは今度はそれに対応して、宿主の卵に似た卵を生むようになるという。これなどは、人間の軍拡競争を彷彿とさせると筆者は指摘する。

 山中教授によりiPS細胞が開発された現在、生物としての人間の存在が改めて注目されているが、「Ⅱ科学・人間・社会」の中の「ハロー、ドリー!」では、筆者は次のように書いている。「いまのところ、クローン技術をヒトには応用しないということで世界の意見の一致がある。しかし、現在、手持ちの生殖技術の許容範囲に関して、世界各国でガイドラインがまちまちなように、ほうっておけば、いずれ、ヒトにもクローン技術を応用しようとする研究がどこかで出てくるのではなかろうか?」これは今後大きな問題を引き起こすかもしれないことへの警告なのであろう。「Ⅲ科学史の舞台裏」の中の「デカルトの誤りとデカルトの慧眼」では、最近、一部の認知科学者によりデカルトを否定するような動きがあるが、デカルトが、いち早く、精神と物体とを峻別し、二元論を打ち出したことを筆者は、高く評価する。「自分の実感と世界の真の姿との間に、何らかのずれがあるかもしれないなどと気づくのは、なみたいていのことではない」と。最後の「Ⅳケンブリッジのキャンパスから」では、日本と欧米の研究体制の相違が紹介されており、興味深い。その中の「女性研究者はなぜ数が少ないか?」では、自身が東京大学理学部の助手をしていた時の経験が載っている。それは、所属教室の主任から「東大理学部では女性はとらないのだから、出ていきなさい」と言われたというショッキングな実話で、「はるか昔の話ではなく、1990年の話である」と筆者は強調する。何かこの問題の難しさを暗示させる話ではある。(勝 未来)

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◆科学技術テレビ番組情報◆NHK「サイエンスZERO」/BS朝日「BBC地球伝説」/TBSテレビ「夢の扉+」/他

2013-09-16 10:27:05 |    ◆TV番組◆

 

<テレビ番組情報>
 
 

NHKテレビ Eテレ  サイエンスZERO 毎週日曜日 午後11時30分~0時00分
                            再放送毎週土曜日 昼12時30分~1時00分
 
9月22日(日)  コミュニケーションの根源に迫る 自閉症スペクトラム最新研究

 コミュニケーション全盛の現代社会に、対人関係に悩む人たちが急増中!意外にも赤ちゃん時代の「あるもの」の使い方が、その後の人生を大きく左右することが分かってきた。
 
ゲスト:東京大学こころの発達医学分野助教 川久保友紀

女優:南沢 奈央/サイエンス作家:竹内 薫/アナウンサー:中村 慶子

BS朝日   BBC地球伝説 午後8時~9時

9月16日(月) ゴッホ 真実の手紙
9月17日(火) 休止
9月18日(水) ライオン・知られざる生態 群れの謎
9月19日(木) ライオン・知られざる生態 生存の危機 

 ゴッホ 真実の手紙

 世界的に有名なオランダの画家、ビンセント・バン・ゴッホ。ゴッホが弟や知人に残した手紙を元に、オランダでの若き日々から、フランスで命を絶つまでの彼の人生を追っていくドキュメンタリードラマ 。

TBSテレビ   夢の扉+ 毎週日曜日 午後6時30分~7時
                                    BS-TBS:毎週木曜日 午後11時~
 
9月22日(日) 人間の“神業”を未来永劫に残す!

  “神業”と呼ばれる人間の動作を丸ごとコピー!驚きの技術を開発した、若き工学博士。果たしてプロが描く絵を再現できるのか?

ドリームメーカー:慶應義塾大学 准教授 工学博士 桂誠一郎

ナレーター:中井貴一

テレビ朝日 奇跡の地球物語〜近未来創造サイエンス〜  毎週日曜日 午後6時30分~6時56分

9月22日(日) 鳴門鯛~渦潮が育む青い輝き~

 瀬戸内海・鳴門の渦潮。この地でとれる鯛が秋、最も上質と言われる。それが「紅葉鯛/もみじだい」だ。
 上質な鯛が生まれる理由の一つに、潮の満ち引きが大きく関わってきた。春と秋に最大になる鳴門の渦潮は、直径約20m。大型船でなければ巻き込まれてしまう程の大きさだ。この渦潮で育った鯛には不思議な特徴があった。その秘密は、渦の真下に隠されていた。謎を探るため水中撮影に挑む。そこに広がっていた神秘的な光景とは?更に、鳴門海峡の海底地形にも、鯛を育む秘密があった!

NHKテレビ Eテレ   地球ドラマチック 毎週土曜日 午後7時00分~44分
                           再放送 毎週月曜日 午前0時00分~0時44分
 
9月21日(土)  バングラデシュ“船の学校”で村を救え!

 海面上昇で村が次々と水没しているバングラデシュで、水没するなら水上で暮らせばいいと、学校も病院もボートにして浮かべている建築家がいる。彼のアイデアで村は元気に!海抜が低いバングラデシュは、このさき20年間で国土の2割が水没すると言われ、既に住めなくなった村もある。建築家のラズワンは、年に数百もの学校が沈む現状を何とかしようと、廃船を改造した学校を建造した。ソーラーパネルでパソコンも使用可能。世界とつながる機会を得た子どもたちは大きな夢を抱くことに。ラズワンはさらに“浮かぶ”図書館や病院なども作っている! この取り組みには国連も注目。(2012年アメリカ)

NHK-BSプレミアム   コズミック フロント 毎週木曜日 午後10時00分~11時00分
                            再放送 月曜日 午後11時45分~0時44分
 
9月19日(木) 月の神秘 知られざる45億年の隣人

 私たちがいつも見ているのは月の表側。月の自転と公転速度の関係から、地球からは、決して月の裏側を見ることはできない。実は、月の裏側は、表側とは対照的な姿をしている。隕石が衝突したクレーターだらけの凸凹の姿で、さらに地殻の厚さも裏側のほうが2倍も分厚い。いったい、どうして月には、これほど表裏があるのか? その答えは「第2の月」。実はかつて、月が二つあったというのだ。第2の月の正体とは? いったいどこに行ってしまったのか? その謎に最新研究から迫る。

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◆科学技術書<新刊情報>「科学者が人間であること 」(中村 桂子著/岩波書店)

2013-09-13 13:39:42 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

書名:科学者が人間であること 

著者:中村 桂子

発行:岩波書店(新赤版)
 
 「人間は生きものであり,自然の中にある」。大震災以後の社会は、この「当たり前」の原点からしか再生できない。まず誰よりも,科学者が一個の人間であることによって、出来ることがあるのではないか。人間も含んだ生きもの全体の歴史として「生命誌」を提示し続けてきた著者が、私たちの未来への熱い思いをこめて語る。

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