“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術ニュース●仏エアバス、関西エアポートと川崎重工、水素航空機の運用準備に向け連携を加速

2024-11-01 09:42:10 |    ★水素ニュース★
 仏エアバス、関西エアポート、川崎重工業の3社は、日本において水素航空機の導入・運航を実現するために、関西エアポートが運営する関西地域の3空港(関西国際空港、大阪国際空港、神戸空港)での水素インフラ整備のフィージビティ・スタディ(実現可能性調査)を実施する覚書を締結した。

 同覚書締結により、今後3社は、「Hydrogen Hub at Airports」プログラムの一環として、水素航空機の導入・運航を実現するための初期的なフィージビリティ・スタディを行い、3 空港における航空機への水素供給を具体化させるための連携を強化する。

 3社による新たな取り組みは、関西地域の3空港すべてにおける水素インフラの定義付けと供給に関するロードマップを作成することに焦点を当てている。

 調査結果は、技術、経済性、法的適合性、運用の観点で評価し、調査を通じて明らかになった課題は、実証プロジェクトを立ち上げるなどして、より具体的に検証を行う。

 2022年以来エアバスと関西エアポートは、空港における水素の利活用について協力してきた。関西エアポートは、空港内での水素利活用に先駆的に取り組んでおり、特に空港内の水素ステーションを中心とした燃料電池フォークリフトや燃料電池バスなどの運用については、世界でもトップクラスの実績を誇っている。

 また、関西エアポートが運営する3空港は、それぞれ地理的な特徴や航空機の運用に関する特徴が異なるため、空港内に水素を供給する複数のケースを検討することが可能。
 
 また、仏エアバスと川崎重工は、水素社会実現に向けたインフラの検討について 2022年から協力してきた。

 川崎重工は、水素ソリューションにおいて世界を牽引する企業として、液化水素のサプライチェーン構築の計画をいくつも提案している。また、ハイドラントシステム(航空機給油施設)の整備実績もあり、空港のインフラ整備に知見がある。

 これらの協力により空港における水素インフラに関する強固な理解が得られ、このたび3社による、より統合的なフィージビリティ・スタディの実施へと進展した。

 3社での連携により、サプライチェーン、空港運営の両方の視点を取り込んだ、より実現性の高い検討が可能となる。

 これまでのエアバスによる、3空港における液化水素の需要予測の調査で、水素航空機が導入される初期段階では、1日あたり数トンの液化水素が必要で、2050年頃には1日あたり数百トンまで増加すると予測している。

 また、関西やその他の地域では、様々な政策が打ち出されることにより水素産業が発展しており、水素航空機にとって有望な市場であると予測している。 <川崎重工業>
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●科学技術ニュース●川崎重工、航空機用小型水素エンジンの運転試験に成功

2024-10-30 09:37:00 |    ★水素ニュース★
 川崎重工は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/次世代航空機の開発プロジェクト」として採択された「水素航空機向けコア技術開発」において、小型航空エンジンの水素100%燃料による運転試験に成功した。

 同事業は、水素航空エンジンの実現に向けて水素燃焼技術の開発を進めるもの。

 今回、従来燃料用の自社製小型航空エンジンに同社が新たに開発した水素用燃焼器などを搭載して水素燃焼運転試験を実施した。

 試験は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)・能代ロケット実験場(秋田県)で行い、水素のみを燃料とした着火から回転上昇、定常運転、回転降下、停止までの一連の運転動作において、安定したエンジン運転が可能であることを確認した。

 今回の試験は、2021年より実施している3つの開発項目のうち「水素航空機向けエンジン燃焼器・システム技術開発」の一つとして実施した。

 残る2つの開発項目である「液化水素燃料貯蔵タンク開発」「水素航空機機体構造検討」についても順調に進捗しており、今回の成果と合わせて、水素航空機の機体およびエンジン関連のコア技術開発を推進していく。

 なお本事業は、2021年から10年間をコア技術の開発期間とし、それらを統合したシステムとしての成立性と性能を評価するために、2030年に地上での実証試験を計画している。   

 同社は、航空機と水素関連製品という異なる分野に関する技術や経験を総合することで、航空機のCO2削減に貢献する水素航空機のコア技術開発のみならず、「液化水素サプライチェーンの商用化実証」などの水素事業を推進し、2050年までのカーボンニュートラル実現に貢献する。<川崎重工業>
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●科学技術ニュース●三菱重工、地下の天然水素資源を探査し利用することを目指す米スタートアップのコロマ社に出資

2024-10-24 09:37:37 |    ★水素ニュース★
 三菱重工業は、米国統括拠点である米国三菱重工業(MHIA)を通じ、地中の天然水素の探査に革新的な技術を有する米国のコロマ社(Koloma, Inc コロラド州デンバー)に出資した。

 コロマ社に対しては、ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ、アマゾンのクライメート・プリッジ・ファンド、ユナイテッド航空のサステナブル・フライト・ファンド、エナジー・インパクト・パートナーなども出資している。

 コロマ社は、独自のデータ解析技術、地下探査のノウハウ、人的資本に優れた強みを持ち、それらを活かし天然水素資源の場所を特定して商用生産と利用を目指す天然水素開発スタートアップ。

 同社は現在、米国において脱炭素化に重要な役割を果たす天然水素の探査と評価に取り組んでいる。

 昨今注目される天然水素は、推定される埋蔵量が生産できた場合には、低コストでクリーンな水素として広範な利用可能性があることから、コロマ社のデータ分析に基づくアプローチが世界の天然水素資源の発掘に寄与することを各方面から期待されている。

 三菱重工グループは、革新的技術を有するさまざまなパートナーへの資本参加や協業を行いながら、脱炭素社会実現に貢献する水素バリューチェーンの構築に取り組んでいるが、今回の出資を通じて、脱炭素ソリューションの充実・多様化を図ることにより、カーボンニュートラル社会の実現に向けて貢献していく。<三菱重工業>
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●科学技術ニュース●荏原製作所、液体水素ポンプの実液試験設備を完備した世界初の実スケール商用製品試験・開発センターを新設

2024-09-24 09:31:11 |    ★水素ニュース★
 荏原製作所は、水素社会の実現に貢献するために、水素インフラ関連機器の商用製品試験・開発センターを千葉県の富津市内に新設する。

 世界的な脱炭素化の流れの中、燃焼時にCO2を排出しない水素は、温暖化対策の切り札として期待されている。

 荏原グループでは、水素を「つくる・はこぶ・つかう」のすべての分野で水素関連技術の社会実装に向けて、グループで保有する技術・事業の活用に取り組んでいる。既に、世界初の液体水素昇圧ポンプを上市し、世界各国で販売活動を展開している。

 同センターは、日本や世界各国が進める水素サプライチェーン構築に必要不可欠となる液体水素ポンプの社会実装を確実に遂行するための、液体水素(実液)を用いた製品性能試験や要素技術開発を目的とした拠点。

 液体水素向けポンプの実液を用いた実スケール商用製品試験設備としては、同センターが世界初となる。

 同社は、水素インフラ関連事業を新たな柱として、2030年に売上収益300億円、2040年には2,000億円以上の規模に成長させることを目指している。同センターは、世界の水素サプライチェーン構築に貢献し、水素社会の実現と、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて寄与する。<荏原製作所>
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●科学技術ニュース●大林組、コマツの協力のもと高速道路のり面補修工事にて水素活用に関する実証実験を実施

2024-09-06 09:59:28 |    ★水素ニュース★
 大林組は、大分自動車道の、のり面補修工事において、電動ミニショベルの充電用に可搬式の水素混焼発電機を設置し、建設現場での水素活用に関する実証実験をコマツの協力のもとで実施した。

 同実証実験を通じて、建設現場における水素の活用に向けた課題の抽出と電動化建機の実用性を確認した。

 施工段階のCO2排出削減のためには電動化建機の導入が有効だが、配電網が整っていない地域の建設現場においては、「給電インフラの整備」が課題の一つとなっている。

 同実証実験では、受電が難しい建設現場における電動化建機の運用検証を行うため、大分自動車道ののり面補修工事で、土砂の積み込み作業にGX建設機械に認定されたコマツの電動ミニショベル「PC30E-6」と、その充電用としてコマツの水素混焼発電機を採用した。

 現場実証にあたっては、事前に大林組の西日本ロボティクスセンター(大阪府枚方市)で、建設現場での各機械の運用を想定した検証を行ったうえで、2024年7月に同現場に導入した。

 また、発電機の燃料は、大林組が大分県玖珠郡九重町で製造した水素を供給しており、軽油のみを燃料とした場合と比較して、充電時のCO2排出量を約40%削減することができた。

 大林組は、施工段階で排出するCO2の削減に向けて、今年度より計画的にGX建設機械を導入することとしており、同実証実験における成果を、今後予定しているGX建設機械の導入に活用していく。

 コマツは、ユーザーがカーボンニュートラルを実現する上で、電動化建機を一つの選択肢として安心して選択できるように、水素や発電機に関するノウハウとニーズの蓄積を進めている。<大林組>
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●科学技術ニュース●日東電工、初のCO2ゼロエミッション工場を竣工し太陽光発電による余剰電力の水素変換と水素ボイラーを導入した生産開始

2024-08-15 09:34:40 |    ★水素ニュース★
 日東電工(Nitto)は、自家再生エネルギーを最大利用した、Nittoグループ初となるCO2排出量ゼロを達成する工場を東北事業所(宮城県大崎市)に竣工し、2024年度下期より生産稼働を開始する。

 太陽光発電による余剰電力を使用したグリーン水素の製造・蓄エネや、液化水素から水素ガスを製造し、水素燃料100%のボイラーで蒸気を生成する国内初のシステム構築を通じて、Nittoグループ全体でのCO2排出量実質ゼロの実現を目指す。

 2025年度以降、水素ボイラー増設により、東北事業所全体の蒸気を水素ボイラーだけで賄えるように拡張し、東北事業所全体における脱炭素化を図る。

 来たるグリーン水素の社会実装に備えて水素運用技術と蓄エネ技術を確立し、バリューチェーン全体のCO2排出削減(Scope3:Scope1,2以外の間接排出)に向けた取り組みを加速させる。

 Nittoグループは、ESG(環境・社会・ガバナンス)を経営の中心に置き、社会課題の解決と経済価値の創造の両立を目指している。

 地球温暖化を中心とした気候変動は、人類共通の課題であり、豊かな地球を次世代へ承継していくためにも、解決していく必要がある。

 東北事業所の新工場は、化石燃料を使用しないCO2ゼロエミッション工場としてNittoグループの脱炭素を先導して生産稼働を開始する。

 具体的には、既設のソーラーパネルを1,500KWに倍増し、休日に発電した余剰電力を利用してグリーン水素を製造し水素タンクに貯蔵することが可能になる。

 また従来の化石燃料を用いた蒸気ボイラーに代わり、水素ガスを燃料とした蒸気ボイラーを導入した。大量の液化水素を使用して水素ガスを製造し、蒸気ボイラーを稼働させる本取り組みは国内初の取り組みとなる。<日東電工>
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●科学技術ニュース●岩谷産業とコスモエネルギーHD、資本業務提携し水素事業を強化

2024-05-01 09:37:50 |    ★水素ニュース★
 岩谷産業及びコスモエネルギーホールディングス(コスモエネルギーHD」は、資本業務提携契約を締結した。

 岩谷産業とコスモエネルギーHD は、2050 年のカーボンニュートラルに向けて、エネルギー需要が変化する中、LPガス・石油をはじめとした化石燃料から、水素や再生可能エネルギーへのスムーズな移行に向けて、それぞれが有する経営資源やノウハウを結集しながら、より一層の連携を深めていくことが、新たなシナジーを創出し、両社の企業価値向上に資するとの見解を共有するに至り、資本業務提携を行うことで合意した。

 その中でも、水素分野において、岩谷産業とコスモエネルギーHD は、2022年3月8日に、水素事業での協業検討に関する基本合意書を締結し、2023年2月には、水素ステーション事業協業を目的として、岩谷コスモ水素ステーション合同会社を、2023年11月には、水素関連プロジェクトのエンジニアリング事業協業を目的として、コスモ岩谷水素エンジニアリング合同会社を設立するなど、協業関係を強化しているが、資本業務提携契約の締結を機に、その取り組みを一層強化し、加速する。

 特に水素エネルギー分野に関しては、これまでの協業関係に加え、コスモエネルギーグループが保有するSS(サービスステーション)ネットワークを活用した水素ステーションの整備拡大や、岩谷産業とコスモエネルギーグループが保有する水素事業における知見やインフラ等の経営資源を最大限活用することにより製造から供給そして小売りまでの水素供給ネットワークの構築を検討する。<岩谷産業>
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●科学技術ニュース●岩谷産業とコスモ、国内初、トラックターミナル内における燃料電池商用車向け水素ステーション開所

2024-04-12 09:36:38 |    ★水素ニュース★
 岩谷産業とコスモエネルギーホールディングスのグループ会社であるコスモ石油マーケティングの出資会社である岩谷コスモ水素ステーション合同会社は、「岩谷コスモ水素ステーション平和島」を開所した。

 同水素ステーションは、小型及び今後普及が見込まれる大型燃料電池トラック(FC トラック)への短時間での充填が可能なステーションとしてオープンした。

 同水素ステーションは、日本自動車ターミナルが運営する京浜トラックターミナル内で営業中のコスモエネルギーHD グループ系列 京浜トラックターミナル平和島SS(運営会社:株式会社キタセキ)に併設している。

 トラックターミナル内での水素ステーション設置は国内初であり、国内最大の貨物取扱量を誇る京浜トラックターミナル内での水素ステーションの設置は、FC トラックの国内実証の拠点としても重要な役割を担う。

 岩谷産業ならびにコスモエネルギーHD は、脱炭素社会実現に向けて、水素燃料の社会実装、また水素需要拡大を後押しし、今後も合同会社を通じて、FC 商用車向けの需要に対応した水素ステーション建設を検討する。<岩谷産業>
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●科学技術ニュース●トリシマと京都大学、世界初、大流量の液化水素ポンプの運転試験に成功

2024-04-04 10:22:51 |    ★水素ニュース★
 酉島製作所(トリシマ)と京都大学 工学研究科 中村武恒特定教授は、高温超電導モータを搭載した世界初となる大流量・高効率の液化水素ポンプを開発し、このたび、その運転試験に成功した。

 液化水素の効率的な大量運搬は、水素コストの大幅な低減に寄与することから、水素社会の実現に向けた大きな一歩となる。
 
 カーボンニュートラルの達成には、燃焼時にCO2を排出しない「水素」の活用が欠かせない。しかしその実現には、水素コストの低減が必須。そのためには、水素を液化し800分の1の体積にして大量運搬することが有効な解決策として考えられる。その際に必要不可欠となるのが、-253℃まで冷却した液化水素を、大流量、かつガス化しないよう効率的に移送するポンプ。
 
 「ポンプで世界を救う」を使命とするトリシマは、この開発に果敢に挑戦。2021年、京都大学と共同で開発に着手し、2023年度には、NEDOの助成事業「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」に採択され、開発を加速してきた。

 開発のポイントは、(1)高温・高圧多段ポンプで培った技術を活かし、5,000 min-¹の高速回転を実現(2)超電導モータを利用することで、液化水素のガス化を抑制(3)トリシマと京都大学の技術を融合し、新しい価値を創出

 運転試験の概要は、次の通り。3月6日(水)・7日(木)に、宇宙研究開発機構(JAXA)の能代ロケット実験場(秋田県)で-253℃の液化水素を用いた運転試験を実施。想定通りの性能を確認することができた。液化水素ポンプとして世界最大流量、遠心ポンプによる昇圧量として世界最高圧を達成。技術面・コスト面での大きな課題をブレークスルーする革新的な成果。開発したポンプの仕様は、流量:30.5 m³/hr、圧力:1.6 MPa、回転数:5,000 min-¹。

 今回の成果は、NEDOの助成事業の結果得られたもの。2030年以降の水素サプライチェーン商用化に向けて、さらなる大流量、高圧力をめざして開発を進めていく。これにより、水素供給コストを国が将来的な目標として掲げる20円/Nm³までの低減に貢献する。<トリシマ>
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●科学技術ニュース●産総研グループとAGC、グリーン水素製造の低コスト化を目的とした高圧水電解基礎評価試験の共同研究を開始

2024-03-27 09:33:29 |    ★水素ニュース★
 産業技術総合研究所(産総研)、AGCと株式会社AIST Solutionsは、2024年4月より高圧環境におけるPEM(Proton Exchange Membrane:プロトン交換膜)型水電解技術の特性解明を目的とした共同研究を開始する。

 高圧環境下で製造した水素は含有水分量が少なくなり、乾燥設備の小型化や昇圧設備の削減など投資コストの低下につながるため、同研究はカーボンニュートラル実現に向けた、水素普及への貢献が期待される。

 PEM型水電解は、太陽光発電などの発電量の変動が大きい再生可能エネルギーの活用に適した技術で、グリーン水素製造に必要な技術として注目されている。

 グリーン水素の製造・供給は世界各国で計画されており、燃料電池車など社会インフラにおけるグリーン水素利用の拡大には、水素製造コストの低減が課題。

 その解決方法の1つが高圧で水素を製造する水電解技術で、欧米では高圧環境下(3~5MPa)での水電解装置運転が主流となっている。

 一方、日本では高圧ガス保安法による高い安全基準が定められていることなどから、結果として1MPa以上の高圧で水素製造装置の性能を評価できる公的な設備がないことが課題となっている。

 同共同研究は、産総研福島再生可能エネルギー研究所(FREA)に実験評価設備を新設し、2024年4月から実験を実施する予定で、高圧環境下で水素を製造するための知見を蓄えるべく、両者協力のもと研究を進める。

 AGCは、今回実験に用いる水素製造用フッ素系イオン交換膜FORBLUETM Sシリーズをはじめとした電解膜に関する事業に1975年から取り組んでおり、これまで蓄積した幅広い知見を活用し、高圧環境下での基礎的な膜材料特性の把握と、高圧水電解用膜設計技術の確立を目指す。

 産総研は、これまでにFREAで開発してきた水電解に関連する基礎技術や評価技術を基に、高圧水電解における膜材料評価技術の確立を目指す。

 AGCと産総研グループは、グリーン水素を利用したクリーンエネルギーの普及により、サステナブルな社会実現を目指し、同共同研究を進める<産業技術総合研究所(産総研)>
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