“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「日本一わかりやすい 宇宙ビジネス」(中村尚樹著/プレジデント社)

2024-06-14 09:51:52 |    宇宙・地球



<新刊情報>



書名:日本一わかりやすい 宇宙ビジネス~ネクストフロンティアを切り拓く人びと~

著者:中村尚樹

発行:プレジデント社

 2040年には150兆円規模とも言われる宇宙ビジネスの最前線とは?無人探査機SLIMの月面へのピンポイント着陸、カイロスロケット初号機の打ち上げ、九州のQPS研究所の小型SAR衛星打ち上げをはじめ、国内外で宇宙開発競争が熱気を帯びている。国家事業を請け負うことで進歩してきた宇宙産業は、今世紀に入って構造が大きく変化した。急速に発達したIT技術を活用したビジネスをつくろうと、アメリカを中心とする民間のIT関連企業が宇宙産業に参入してきた。いまや大企業からベンチャー企業まで、様々な企業が宇宙開発に尽力。実際に宇宙関連のビジネスを行う企業は世界全体で約1万社を超え、その企業価値総額は4兆ドルを超えると言われている。同書では、宇宙ビジネスの最前線で活躍する人びとに、元NHK記者である筆者が直接インタビュー。彼らが宇宙にかける熱い思いをひもときつつ、衛星ビジネスから宇宙法の話題まで、様々な角度から宇宙ビジネスの‶今″を紹介。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「並列プログラミングのツボ」(片桐孝洋著/東京大学出版会)

2024-06-14 09:51:27 |    情報工学



<新刊情報>



書名:並列プログラミングのツボ~数値計算から機械学習まで~

著者:片桐孝洋

発行:東京大学出版会

 スパコンからPCまで、その高速化に並列処理・並列プログラミングが重要である。同書は、その要となる考え方と実装のコツに重点を置き、必須処理や機械学習を含む様々な実例を用いて、並列プログラミングの「ツボ」となる考え方と実装のコツを伝授する。付録のサンプルプログラムは、CとFortranで、それぞれで22種(合計44本)を提供する。
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●科学技術ニュース●QSTなど、レーザー光によるイオンビーム発生で世界最高速度を達成し粒子線がん治療装置の小型化へ道

2024-06-14 09:51:01 |    生物・医学
 量子科学技術研究開発機構(QST)関西光量子科学研究所 光量子ビーム科学研究部 先端レーザー科学研究グループ、西内満美子上席研究員、独国ドレスデンヘルムホルツ研究所(HZDR)のTim Ziegler博士研究員、Karl Zeilグループリーダー、英国インペリアルカレッジロンドンのNicholas Peter Dover研究員らの国際共同研究グループは、HZDRの高強度レーザー施設「Dracoレーザー」を用いて、過去四半世紀にわたり超えられなかったレーザーによるイオン加速の世界最高到達速度(光速の約40%、運動エネルギーでは100MeV)を更新し、光速の50%(運動エネルギーでは150MeV)のイオンビーム(陽子)の発生に成功した。
 
 粒子線がん治療は、患者の身体の外側から体内深部にあるがん細胞に向けて高速の陽子や炭素イオンなどのイオンビームを照射し、がん細胞を死滅させる治療法。

 その治療装置には大規模な加速器と専用の建物が必要であり、これが粒子線がん治療装置の普及を妨げる要因の1つとされている。

 加速器の大幅な小型化を可能とする技術として、高強度のレーザーを利用して高速のイオンを発生する「レーザーイオン加速」があり、その技術の高度化が、がん治療装置の大幅な小型化を実現し、その結果として治療の普及につながると期待されている。
  
 そのため、世界中の研究機関が過去四半世紀の間に世界最大規模のレーザー施設を活用して多くのイオン加速実験を実施してきた。しかしながら、これまで光速の40%を超えるイオンビームは発生できておらず、がん治療への応用の障害となっていた。
 
 同研究グループは、これまで、イオンを効率的に加速する多段階の加速手法を提唱していたが、今回その手法の実証実験を小型レーザーであるDracoレーザー(世界最大規模のレーザー施設で発生できるレーザー出力のわずか50分の1程度の出力)を用いて行った。

 レーザー光の条件(時間波形)を最適化することで多段階のイオン加速を実現した結果、世界最高速度に当たる光速の50%のイオンビームを、~20ミクロンメートル程度の領域で発生させることに初めて成功した。
 
 粒子線がん治療には陽子で光速の約55%が必要だが、今回の結果は、その速度の90%に達しており、あと一歩というところまで近づいた。

 今後、より高強度のレーザーを用いることで、既存の加速器を用いることなく、レーザー技術のみでがん治療にそのまま利用可能なイオンビーム発生が実現できると期待され、超小型のレーザー駆動・粒子線がん治療装置の完成に向けた大きなマイルストーンと位置付けられる。

 今回の結果は、四半世紀にわたって破ることができなかった光速の40%(運動エネルギーで100 MeV)の壁を、大きく上回る世界最高記録。

 また、世界最大規模のレーザー施設の出力(約1キロジュール)のわずか50分の1(20ジュール)のレーザーを用いて発生できたことも、重要なポイント。

 レーザー加速技術のみに基づく、次々世代の超小型重粒子線がん治療装置の実現に向けた一つのマイルストーンと位置付けられる。

 同研究結果をさらに進展させることで、陽子を治療に必要な速度に相当する光速の55%に加速する原理実証を目指す。

 将来的には、炭素イオンを治療に必要な速度に当たる、光速の73%まで加速することを目指し、その先にある超小型の重粒子線がん治療装置の実現につなげる。<量子科学技術研究開発機構(QST)>
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●科学技術ニュース●リコーと理化学研究所、技術の実用化の兆しを察知する独自のアルゴリズムを開発

2024-06-14 09:50:34 |    企業経営
 リコーと理化学研究所 数理創造プログラム(iTHEMS)は、このたび、過去に開発したアルゴリズムを応用し、特許と論文に共通して出現するキーワードを多重解析するアルゴリズムを開発した。

 同アルゴリズムは、大学や研究機関などのアカデミアサイドの研究が一段落し、企業などのビジネスサイドで事業化フェーズに移行しつつある技術を、「実用化の兆し」があるものとして捉え、実用化の兆しを数値によって判定することが可能となる(特許出願済み)。

 リコーと理化学研究所は2023年6月に、既存の技術文献データから新しいトレンドの変化点を定量的に測定し把握するアルゴリズムを共同研究により開発したが、その兆しが研究の黎明期にある兆しなのか、実用化に近づいている兆しなのかを定量的に判断することは困難であった。

 このアルゴリズムを応用した今回のアルゴリズムは、特許と論文に共通して出現するキーワードの増減パターンを座標解析によって判別することで実用化フェーズの察知を効率的に実現する。

 近年、世の中の技術トレンドを網羅的かつ定量的に把握するため、データを活用したリサーチ手法の開発と活用が活発化している。

 リコーでは同技術を活用したデータドリブンなリサーチへの取り組みにより、研究開発におけるテーマ探索活動に対する網羅性やスピードの提供を強化し、新たな研究テーマの探索と価値の高い知的財産の創出に貢献していく。<リコー>
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