“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―                 科学技術研究者   勝 未来

科学技術書・科学書・技術書・理工学書/ブックレビュー・書評/新刊情報/科学技術ニュース   

★科学技術ニュース★東京大学、人工知能により専門家の約2万倍の速さでスペクトルを解釈

2018-09-14 09:27:58 |    人工知能

 東京大学の研究グループは、物質解析に広く利用されるスペクトルを、人工知能で「解釈」と「予測」する新手法を開発した。

 スペクトルを「解釈」し、原子配列や電子構造の情報を獲得するには、研究者が専門知識を使って高度なスペクトルの理論計算を実施し、その結果を職人技で解析する必要がある。

 内殻電子励起スペクトルの理論計算には、数時間から数日を要し、膨大な数のスペクトルを理論計算で解釈することは、現実的に不可能。

 そのような旧来の「研究者駆動型」のスペクトル解釈の限界を乗り越えるために、同研究グループは人工知能で用いられている機械学習法を利用した。

 今回開発した手法では、「物質情報の樹形図」と「スペクトルの樹形図」という、2つの樹形図(2本の木)を使う。互いに相関した2本の木を利用することで、高速かつ高精度に内殻電子励起分光スペクトルの「解釈」ができる手法の開発に成功した。また、同手法を使えば、物質の構造情報を入力することで、スペクトル形状を「予測」することも可能。

コメント

★科学技術ニュース★NEDO、優れたAIベンチャー企業の研究テーマ6件を採択

2018-08-14 09:27:51 |    人工知能

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、AIの社会実装を進めることを目的に、優れたAIベンチャー企業の研究テーマ6件を採択した。

 全国30件の応募の中から、コンテスト方式で研究テーマを選定した。各社は最大2年間の研究開発を実施する。

 NEDOはベンチャー企業支援を通じて、政府の「人工知能技術戦略」に基づき、AIの重点分野への社会実装を促進し、新たな需要の創出や既存分野との融合による産業競争力の強化を目指す。

【採択テーマおよび委託予定先】

<生産性分野 最優秀賞>

株式会社DeepX

食品(非定形・軟体物)を定量でピックアップするAIアルゴリズムの研究開発 

45百万円

<健康、医療・介護分野 最優秀賞>

PuREC株式会社/名古屋大学

AIによる高純度間葉系幹細胞の品質検査高度化の調査研究 

45百万円 
 
<空間の移動分野 最優秀賞>

該当無し

<審査員特別賞>

(健康、医療・介護)

    株式会社MICIN

    機械学習を用いた認知機能リスク因子の探索 

    30百万円

(生産性)

    IDECファクトリーソリューションズ株式会社/Rapyuta Robotics株式会社

    AI、クラウド、センサ、画像処理を活用したミドルウェア汎用ロボットコントローラの調査研究 

    20百万円
 
(生産性)

    MI-6株式会社

    MI(マテリアルズ・インフォマティクス)による材料探索に関する調査研究 

    20百万円

(生産性)

    株式会社ロックガレッジ

    AI/クラウドソーシング・ハイブリッド型広域人命捜索システム 

    20百万円 

コメント

★科学技術ニュース★理化学研究所と国立がん研究センター、AIで早期胃がん領域の高精度検出に成功

2018-07-27 09:30:36 |    人工知能

 理化学研究所(理研)と国立がん研究センターの共同研究チームは、少数の正解データにより構築された人工知能(AI)による、早期胃がんの高精度な自動検出法を確立した。

 同研究成果は、検診における胃がんの見逃しを減らすことで、早期発見、早期治療につながると期待できる。

 今回、共同研究チームは機械学習の方法の一つ、ディープラーニングを使って、内視鏡画像から早期胃がんを自動検出する方法を考えた。

 ディープラーニングを画像中の物体検出へ応用する場合、一般には数十~数百万枚の正解画像が学習用データとして必要だが、早期胃がんの場合、良質の正解画像を大量に収集することは困難。

 そこで、少数の正解画像から小領域をランダムに切り出し、さらにデータ拡張技術を利用して画像を約36万枚まで増やした。その画像をコンピュータに学習させた結果、陽性的中率(コンピュータが「がん」と判断した画像中、実際に「がん」であった割合)は93.4%、陰性的中率(コンピュータが「正常」と判断した画像中、実際に「正常」であった割合)は83.6%であった。

 さらに、早期胃がんの有無に加えて、その領域まで高精度で自動検出することに成功した。

 同研究で畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の学習用データとして使用した約200枚の画像のうち、医師ががん領域を示した画像はわずか100枚であった。にもかかわらず、コンピュータは平均して約90%という高い確率で「がん」または「正常」を判断できた。この結果は、内視鏡専門医の判断に迫るもの。

 一般的に、機械学習の正解率は学習データの質と量によって決まるため、より多くの良質な情報を学習に利用すれば、さらなる正解率の向上が期待できる。

コメント

★科学技術ニュース★NECと産総研、AIとシミュレーションを融合し不具合を効率的に発見する技術を開発

2018-05-16 09:39:31 |    人工知能

 NEC産業技術総合研究所(産総研)は、発生確率が極めて低いため設計段階で事前に発見が難しい不具合を、AI(人工知能)が学習をしながらシミュレーションを繰り返して効率的に見つけ出す「希少事象発見技術」を開発した。

 同技術はAI技術とシミュレーション技術を融合させ、複雑な条件の組合せでまれに起こる不具合の探索を効率化し、製品設計段階で熟練の専門家が費やしていた検証時間の大幅な短縮と複数不具合の見落としリスクを軽減する。

 今回、同技術を光学機器の設計検証に実際に適用したところ、発生確率が1億分の1程度とまれであるものの、性能低下の原因となる「迷光」について、熟練の専門家が1週間を要していた検証作業を約1日に大幅に短縮し、複数の不具合を見落とすことなく発見することに成功した。

 同技術により、今後複雑化する機器の設計/生産や社会インフラの運用において人の判断を支援し、まれであるが重大な結果をもたらす不具合を、設計段階で事前に発見して除去できることで、製品の品質やインフラ運用における信頼性の更なる向上に貢献できる。

 今後、NECと産総研は、光学設計の他にも、橋や建物等の建築構造設計、エンジン等の流体構造設計にも応用を広げ、今後ともAIとシミュレーションを融合させた技術開発と産業応用への貢献に向けて共同で取り組んでいくことにしている。

コメント

★科学技術ニュース★大阪大学、人工知能で太陽電池の高分子材料設計の性能予測に成功

2018-05-15 09:33:11 |    人工知能

 科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業において、大阪大学大学院工学研究科佐伯昭紀准教授と長澤 慎司氏(当時、博士前期課程2年)は、次世代太陽電池として期待されている高分子太陽電池の高分子材料設計において、人工知能(AI)アルゴリズムの1つであるランダムフォレスト(RF)を用いて性能予測・選別する手法を新たに開発した。

 同研究では、高分子フラーレン太陽電池の混合膜材料としてこれまで報告されている高分子の化学構造、および素子性能に関わる物性値を手作業で1,200個集め、このデータを基にランダムフォレストによる分類器(分類アルゴリズム)を構築した。

 この分類器を使って新たな材料候補となる高分子の構造を抽出することに成功し、従来の計算化学では不可能であった溶解性を付与するアルキル鎖の選別も可能になった。

 さらに、実際に選別した高分子を合成し、AIと実験スクリーニング法を融合させた迅速な材料開発法を確立した。

 今後、同研究グループは、RFによる材料設計手法を高分子だけでなく、低分子や3種混合系材料にも展開し、より高効率な高分子太陽電池材料を探索していく。

コメント

★科学技術ニュース★JSTと京都大学、高精度な日中・中日機械翻訳システムの提供を開始

2018-05-10 09:32:59 |    人工知能

 科学技術振興機構(JST) 情報企画部の中澤 敏明 研究員らと、京都大学 大学院情報学研究科の黒橋 禎夫 教授らは、ニューラルネットワークを用いた日中・中日科学技術論文機械翻訳システムを開発した。

 近年、機械翻訳の精度向上への期待が高まるなか、JSTと京都大学は中国科学技術信息研究所(ISTIC)と連携し、科学技術論文などを基にした400万件以上の中国語・日本語の対訳コーパスを整備した。

 これらを、今回開発したニューラル機械翻訳エンジンで学習させるとともに、対訳辞書の整備によって誤訳、訳抜けを低減し、翻訳精度の向上を図った。

 その結果、開発で定めた評価基準において「ほとんどの重要情報が含まれる」が97%、また「情報に過不足がなく容易に理解可能」が約6割の翻訳精度を達成した。

コメント

★科学技術ニュース★NICT、埼玉大学、慶應義塾大学、AIの強化学習をレーザーカオスを用いた超高速化に世界で初めて成功

2017-08-25 11:04:27 |    人工知能

 情報通信研究機構(NICT)、埼玉大学、慶應義塾大学は、半導体レーザーから生じる光カオス(レーザーカオス)を用いて、適応速度1GHz(ギガヘルツ: 1秒間に10億回)を実現する超高速フォトニクスを応用した強化学習に世界で初めて成功した。

 NICTらは、光の高速性に着目し、半導体レーザーにおいて生じるカオス現象が生み出す乱雑な信号と、独自に開発した強化学習方式を組み合わせることで、「当たり確率の未知な2台のスロットマシンから当たり確率の高い台を選ぶ問題」(2本腕バンディット問題)を、光の極限性能を生かし、高速に、物理的に解決をすることに成功したもの。

 レーザーカオス現象の超高速性により、情報が入力されてから出力されるまでの時間(レイテンシ)が1ns(ナノ秒: 10億分の1秒)という高速な意思決定が確認され、また、仮想的に生成した高速な擬似乱数(カラーノイズ)に比べても優れた性能を示すことが確認された。

 より高速なコンピューティングのため計算資源を瞬時に調停するアービトレーションや無線通信における周波数の瞬時な割当てなど、AIやIoTの基盤技術として大きく貢献することが期待される。

コメント

★科学技術ニュース★東京大学、人工知能がコンテンツのハッシュタグを考案

2017-08-03 10:44:12 |    人工知能

 科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業において、東京大学大学院情報理工学系研究科 電子情報学専攻の山崎俊彦准教授らは、人工知能(AI)を用い、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で投稿した画像や映像の人気度(閲覧数やいいね!の数)を向上させられるハッシュタグを推薦する技術を開発した。

 これまで、画像や動画に何が写っているかを判断し客観的に正しいタグ(例えば、「山」「湖」「森林」など)を推薦する技術は多数研究されてきた。人気度を向上させるタグ(例えば上記の例に対して「湖面映り込み」など)を推薦する技術は世界初の試み。このタグ推薦システムは、(1)SNS上でそれぞれのハッシュタグが人気度に影響を与える強さを数値化し、(2)ユーザーが付与したハッシュタグを参考にしたうえで人気度を向上させるのに効果的なタグを任意の個数推薦する、というもの。

 同研究グループは、約6万枚の画像を用いてシステムに学習させ、約2000枚の画像に対して実際にシステムが推薦したタグを追加してSNSに投稿したところ、10日後には人が付けたタグだけを用いた場合と比較して2倍程度の閲覧数を獲得できることを確認した。

 推薦されるタグは元々、人が付与したタグを参考にするため、画像や映像の中身とマッチした正しいタグが推薦されることも約1500名の主観評価によって検証済み。スコアの計算にかかる時間は通常のサーバーで数秒程度と短いため、毎日タグを推薦し直すことも可能。

 今後は、SNS上で商品やサービスなどを効果的にプロモーションするためのハッシュタグ推薦、ECサイトなどでのクリック率向上、オウンドメディアやニュース配信における印象的なヘッドライン作成支援などが考えられる。

コメント

★科学技術ニュース★産総研など、人工知能を用いた打音検査で点検漏れを防止するシステムを開発

2017-06-06 14:23:45 |    人工知能

 産業技術総合研究所(産総研)は、首都高技術、東日本高速道路東北支社、テクニーと、インフラ構造物の打音検査を人工知能でアシストし、異常度マップを自動生成するシステム(AI打検システム)を開発した。

 今回開発したAI打検システムは、点検ハンマーによる打音の違いを機械学習し、構造物の異常箇所と異常の度合いを自動検知する。

 検知結果を点検員にリアルタイムで提示するとともに、点検ハンマーの位置情報と統合して異常度マップを自動的に作成する。これにより、図面化を含めた作業工数が削減でき、また、非熟練者でも見落としなく点検作業が行えるため、熟練点検員の確保が難しい地方をはじめ今後急増すると予想される全国のインフラ点検作業での活用が期待される。

 今後は実構造物での実証試験を重ね、同システムの完成度を高めていく。また平成30年度以降の社会実装を目指して、SIP地域実装支援チームと協力しながら、製品開発体制を平成29年度中に構築する。現在、検査対象は平面構造であるが、さらに、RC床版を桁下から検査できるような冶具を開発し、検査対象の範囲を広げていく予定。

コメント

★科学技術ニュース★NEDO、「次世代人工知能技術社会実装ビジョン」を公表

2016-04-26 11:46:27 |    人工知能

  新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、次世代の人工知能技術の発展に伴い、日本の出口分野においてどのような効果がもたらされるのか、人工知能技術の進展予測とともに、時間軸上に可視化した「次世代人工知能技術社会実装ビジョン」を公表した。

 今後、NEDOとして、同ビジョンを基に、産業界、学術界等さまざまな方面と意見交換を行い、同ビジョンをブラッシュアップしていく。

 また、政府に設置された人工知能技術戦略会議で議論される予定の人工知能の産業化のロードマップ策定にも貢献していく予定。

 同ビジョンでは、現在~2020年、2020年~2030年、2030年以降の3つの時間軸、「ものづくり」、「モビリティ」、「医療・健康、介護」、「流通・小売、物流」の4つの出口分野において、人工知能技術及びその関連技術の進展を、その効果と併せて示している。

 人工知能技術は、第四次産業革命とも称される社会・産業の変革をもたらす基盤技術の一つと言われており、その影響は非常に大きなものとなるとの考えがある一方、その影響が及ぼす範囲が非常に広範であるため、実際に企業や個人に対して、どのような変化をもたらすのかについて議論することが容易ではなかった。

 このため、NEDOでは、関係者の議論の土台となるべく、この道筋や影響を可視化するため、この分野の有識者からなる検討会(次世代人工知能技術社会実装ビジョン作成検討会)を組織し議論を重ね、その結果を同ビジョンとしてとりまとめたもの。

 

コメント