“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「発明は改造する、人類を。」(アイニッサ・ラミレズ著/柏書房)

2021-08-31 11:20:41 |    科学技術全般



<新刊情報>



書名:発明は改造する、人類を。

著者:アイニッサ・ラミレズ

訳者:安部恵子

発行:柏書房

 歴史上、大きな転換点となった偉大な発明はただ一人の人間によって作られたわけではない。そこには、歴史に残らなかった幾多の協力者、ライバル(足を引っ張る者も)がおり、さらには歴史的偶然や必然もあった。これまでの書籍では、おもに発明の中心となった人物に光を当てて記述されているが、同書では、その当人だけではなしえなかった事実を明らかにしつつ、偶然の出会いや、ライバルによる競争、そこに絡む欲得も含め、歴史から欠落した陰の部分も丁寧に掘り下げていく。また、新たな発明は、さらに新しい発明を生み出し、それまでの生活習慣やわれわれの世界についての考え方を次々と変えてしまうことも明らかにする。
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●科学技術ニュース●MELTINと商船三井、外航海運業における遠隔操作ロボット技術の導入検討に関する覚書を締結

2021-08-31 11:20:07 |    ロボット工学
 メルティンMMI(MELTIN、東京都中央区、粕谷昌宏社長)は商船三井と、外航海運事業、それに付随する関連事業、および海洋事業(外航海運事業)における船舶設備への遠隔操作ロボットの設置・導入を目指し、覚書を締結した。

 同覚書は、商船三井が取り組む外航海運事業に関し、MELTINが開発を進める遠隔操作ロボット技術の導入を見据えた共同検討を行うことを目的としている。

 MELTINと商船三井は、かねてより、MELTINの遠隔操作ロボット技術を導入することにより、外航海運業界の多岐にわたる課題を解決する可能性について検討を重ねてきた。

 また、近年、海上における船舶向け高速通信環境の整備が着実に進んでおり、近い将来、MELTINの持つ遠隔操作ロボット技術とのシナジーが期待される。

 そのため、この度、遠隔操作ロボット技術の導入に向けた戦略的な関係の構築、およびより詳細かつ具体的な検討を進めていくこととなり、両社間での覚書締結に至ったっもの。

 今後は、遠隔操作ロボットや関連技術の導入を検討していく船種や航路の特定に向けた具体的な内容や、海上で必要となる通信技術の導入見通し・要求レベルの検討のみならず、実際の使用を想定したPoC(Proof of Concept:実証実験)の実施を視野に、両社で更なる協議・取り組みを推進していく。<メルティンMMI(MELTIN)>
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●科学技術ニュース●東京大学と極地研、氷期における大西洋深層循環の急激な変化は南大洋の温暖化が引き起こしたことを解明

2021-08-31 11:19:17 |    宇宙・地球
 大西洋深層循環の変化は、氷期における急激な気候変動を引き起こしたと考えられているが、東京大学と国立極地研究所の研究チームは、南大洋の温暖化がその引き金となっていた可能性を指摘した。

 大西洋深層循環は南半球から北半球への熱輸送を通じて、地球上の気温分布をコントロールしている一方、南大洋での温暖化が大西洋深層循環の急激な変化につながりうることを、海洋モデルシミュレーションにより明らかにした。

 同研究の成果は、氷期における急激な気候変動をはじめとする数百~数千年の時間スケールで生じる気候変動の仕組みの理解に貢献するもの。

 海のコンベアベルトとも呼ばれる海洋深層循環は、海洋の表層と深層をつなぐ地球規模の循環であり、千年程度の時間をかけて世界中の海を巡っている。

 大西洋北部は海洋深層循環の沈み込み域にあたり、大西洋における海洋深層循環(大西洋深層循環)は、その北向きの熱輸送を通じて気候に大きな影響を与えている。

 そのため、大西洋深層循環は数百~数千年の時間スケールでの気候変動を引き起こす最も重要な要素となる。

 東京大学大気海洋研究所の岡顕准教授らは、海洋大循環モデルによる数値シミュレーションにより、氷期における大西洋深層循環の急激な変化を引き起こす仕組みとして、南大洋での温暖化がその引き金となりうる可能性を指摘した。

 同研究は、氷期における急激な気候変動についての新たな知見を与えるものであり、数百〜数千年の時間スケールで生じる気候変動の仕組みの理解にも貢献する成果。<国立極地研究所>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「<改訂新版>ITエンジニアのための機械学習理論入門」(中井悦司著/技術評論社)

2021-08-31 11:18:50 |    人工知能(AI)



<新刊情報>



書名:<改訂新版>ITエンジニアのための機械学習理論入門

著者:中井悦司 

発行:技術評論社

 機械学習を基礎から理論的に学びたい、そんなITエンジニアに向けて執筆された本。初版から約5年が経過し、全面カラー化して「改訂新版」とした。Pythonのコーディング環境もGoogle Colaboratoryに刷新、これまで5回にわたる重版で修正した内容に加え、最新の書き下ろし修正でアップデートした。初版から内容は古びておらず、逆に、機械学習を学ぶうえで重要な理論がほぼカバーされているので、まさに入門の定番書になった。カラー化によりグラフも見やすくなり、理解が進む。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「地球の未来のため僕が決断したこと」(ビル・ゲイツ著/早川書房)

2021-08-30 09:46:36 |    企業経営



<新刊情報>



書名:地球の未来のため僕が決断したこと~気候大災害は防げる~

著者:ビル・ゲイツ

訳者:山田 文

発行:早川書房

 温室効果ガスの排出量をゼロにするしか、我々が生き残る道はない。「気候大災害」を回避するために、ビル・ゲイツは政治・経済・科学のあらゆる側面から分析を進めてきた。10年の調査が結実し、パンデミックをも予期した著者の描く未来像が明らかに。20年ぶりの著作。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー1位。ビル・ゲイツが放つ、将来への提言。
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◆科学技術<テレビ番組情報>◆NHK「サイエンスZERO」/BSフジ「ガリレオX」他

2021-08-30 09:45:58 |    ◆TV番組◆



<テレビ番組情報>



プロジェクトX  挑戦者たち 4Kリストア版  NHK‐BSプレミアム  毎週火曜日 午後9時~9時45分 

8月31日(火) 男たちの復活戦 デジタルカメラに賭ける

 世界で初めてデジタルカメラを大ヒットさせたのはカシオ計算機の若き技術者たちだった。最初の商品は静止画をテレビ画面に映せる電子カメラ。しかし動画の撮れるカメラがはやり始めたため全く売れなかった。プロジェクトは解散となったが、本社に黙って闇で研究を続ける。会社の壁を越え、ライバルメーカーの技術者との勉強会にも参加。試作品は重さ3キロだったが、小型化に成功。パソコンに接続できることが大きな武器となった。

司会:国井雅比古、膳場貴子

語り:田口トモロヲ


コズミック フロント  NHK‐BSプレミアム  毎週木曜日 午後10時~11時00分

9月2日(木) 冒険者たちが語る 太陽系のヒミツ 冥王星

 太陽系の謎を解き明かしてきた科学者たちの貴重な証言で迫る大冒険の舞台裏を紹介するシリーズ。最終回は、冥王星のヒミツに挑んできた探査機や研究をくまなく見ていく。


地球ドラマチック  NHK‐Eテレ  毎週土曜日 午後7時~7時45分

9月4日(土) 休止


ガリレオX  BSフジ  毎週日曜日 午前11:30~12:00分(隔週新作)

9月5日(日) <午後1時30分~2時> 日本人とお米 稲作の今と過去

 日本書紀には日本のことを“神意によって米が豊かに実り繁栄する国”を意味する「豊葦原の瑞穂の国」と記されている。縄文時代後期に日本に伝来したとされる稲作によって食料が安定化し、大規模な共同体が形成され、やがては日本という国が形作られるに至った。しかし何故、日本人は米を主食としたのか?先端科学で見えてきた稲作のルーツや弥生時代の暮らし、更には危機に瀕する棚田の現状まで連綿と続いてきた私達と米の関わりを知ることで日本人にとってお米とは何かを浮き彫りにする。

主な取材先:稲村 達也(奈良県立橿原考古学研究所)
      倉田 のり(国立遺伝学研究所)
      星野 真人(大型放射光施設SPring-8)
      中川 貴雄(明日香村役場)
      濱田 将司(NPO法人 明日香の未来を創る会)


サイエンスZERO  NHK‐Eテレ  毎週日曜日 午後11時30分~0時00

9月5日(日) 休止
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ソフトウェア開発委託契約」(上村 哲史、田中 浩之、辰野 嘉則著/中央経済社)

2021-08-30 09:45:39 |    情報工学



<新刊情報>



書名:ソフトウェア開発委託契約~交渉過程からみえるレビューのポイント~

著者:上村 哲史、田中 浩之、辰野 嘉則

発行:中央経済社

 具体的な想定事例に基づき、登場人物のやりとりを通じて、重要条項のレビューの基本的な考え方をわかりやすく解説。改訂経産省モデル契約、改正民法に対応した最新の内容。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「幾何のはなし」(大村 平著/日科技連出版社)

2021-08-27 09:36:25 |    数学



<新刊情報>



書名:幾何のはなし~論理的思考のトレーニング~<改訂版>

著者:大村 平

発行:日科技連出版社

 数多くの名言を残した哲学者プラトンの有名な言葉に「神は永遠に幾何学する」というものがある。幾何学は人類にとって最大の知的財産であるといわれる。幾何学の理論構築の過程には主観や仮説が入り込む余地は寸分もなく、「ち密」「整然」「壮大」という表現が用いられる。そのため、このような言葉をプラトンに言わしめたのであろう。幾何学は論理的思考の訓練に適しているという意見が多くあるが、その一方で、幾何学のおもしろさを理解するには相当な辛抱がいるともいわれている。残念なことに、図形のおもしろさを伝える本はたくさんあるが、幾何のおもしろさを伝える本に出合うことは多くはない。同書は、物語ふうに書き進め、あまり辛抱しなくても幾何が楽しめる本に挑戦する。
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●科学技術ニュース●IHI、既存トラックに自動運転ユニットを後付け車両運転操作の自動化を実現させた工場構内における自動搬送システムを開発

2021-08-27 09:35:56 |    輸送機器工学
 IHIとグループ会社であるIHI物流産業システム(ILM)は、既存の構内搬送車両に自動運転ユニットを後付けすることで、工場構内における貨物を自動搬送するシステムを開発した。

 製造業における工場では、入出荷・保管・製造の各工程作業場所が離れており、トラックやトレーラーによって貨物のピストン搬送が行われている。

 しかし,ドライバーの高齢化や不足による労働環境の改善と人材確保が課題となり、自動搬送のニーズが高まっている。

 自動車メーカーを中心に自動運転車両の開発が進められているが、搬送車両の特殊性や車両入れ替えに伴う大型投資が必要となることから、自動運転車両の導入は進んでいない。

 IHIとILMは、このようなニーズに対応するため、既存の搬送車両に同システムを活用することで、構内での自動搬送を可能とする技術を開発した。

 同システムは、車両内部に制御装置と操作装置を設置することで、アクセル・ブレーキ・ハンドルを操作し、車両運転を自動化できる点が特徴。

 また、車両の位置や速度を把握するセンサーや障害物を検知するセンサーで、屋外だけではなく屋内を含む事前に設定したルートに沿って、障害物との衝突を未然に防止しながら自動走行する。

 IHIとILMは現在、同システムの試験をパートナー企業と共同で実施している。同システムの機能性能確認のほか、安全確保に関する技術や知見を蓄積し、2022年度の実用化を目指して取組みを進めていく。<IHI>
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●科学技術ニュース●NIMS、COVID-19の簡易診断の感度を劇的に向上させる濃縮・精製法を開発

2021-08-27 09:35:24 |    生物・医学
 物質・材料研究機構 (NIMS) は、エジプト肝臓病センター (ELRIAH) と共同で、COVID-19の簡易診断の感度を劇的に向上させる材料 (Smart Cov) を開発し、COVID-19の簡易抗原検査の感度を従来法に比べて約10倍に向上させることに成功した。

 Smart Covを用いることで、これまでの簡易抗原検査では見逃していた抗原量の少ない陽性患者も迅速に検出できるようになるため、COVID-19の早期収束への貢献が期待される。

 今回開発したのは、低濃度の抗原を、目視の抗原検査で陽性が判断できるレベルまで濃縮・精製することができる手法。

 用いたのはスマートポリマーと呼ばれる特殊な高分子材料で、温度に応答して水への溶解性が劇的に変化する性質を有している。このスマートポリマーをSARS-CoV-2の抗体に結合させた複合体 (Smart Cov) を開発した。

 Smart CovはSARS-CoV-2の抗原を捕捉した後、温めると水に不溶化して沈殿する。これによって誤診断の要因となる夾雑物質を取り除くと同時に抗原を濃縮することができる。この技術により、最低50pg/mL抗原濃度でも陽性ラインを目視できるレベルまで濃縮・精製することに成功した。

 現在、共同研究機関であるELRIAHにてCOVID-19患者のサンプルを用いたSmart Cov法の検証を計画しており、将来的には偽陰性患者を大幅に減らし感染拡大と重症化を未然に防ぐ新たな診断ツールとして実用化を目指していく。(物質・材料研究機構 <NIMS>)
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