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“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「金属バイオマテリアル」(塙 隆夫、米山隆之著/コロナ社)

2025-08-29 09:45:02 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:金属バイオマテリアル~医療用金属材料~

著者:塙 隆夫、米山隆之

発行:コロナ社
  
 金属材料工学や医歯学の知識がなくても金属バイオマテリアルの全体像を概観できる。2007年に発刊した「金属バイオマテリアル」(バイオマテリアルシリーズ1)を大幅に改訂。材料工学を専門とする学生,大学院生,技術者などで金属バイオマテリアルに関する知識を必要としている方々、また工学系他分野や医歯学系で金属材料を学んでいない方々を対象として、金属材料工学や医歯学の知識がなくても全体像を概観できるという同書の趣旨は引き継ぎ、めざましい進展を遂げている金属バイオマテリアルの研究開発の現状を踏まえて、現状と一致しなくなった箇所を最新の内容に差し替えた。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「エピゲノム情報解析」(中戸隆一郎著/コロナ社)

2025-08-25 09:39:38 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:エピゲノム情報解析

監修:浜田道昭

著者:中戸隆一郎

発行:コロナ社(バイオインフォマティクスシリーズ 7)

 エピゲノム・立体構造情報を全ゲノム的に調査するエピゲノム情報解析の全体像を解説した。次世代シークエンサーを用いた全ゲノム解析は今日極めて一般的なものになっている。その中にはChIP-seq, ATAC-seq, Hi-Cなど様々な分野(アッセイ)があり、それぞれで用いられている解析技術は異なるが、そのような情報解析技術の全体について詳細が書かれた書籍は多くない。同書書ではそのようなエピゲノム解析の全体像を把握するための入門書となることを目指し、エピゲノム解析、ゲノム立体構造解析を中心に情報解析の概要と要点について解説(一部シングルセル解析も含む)。各アッセイの詳細なプロトコルや具体的なツールの利用法などは割愛し、その背後にあるゲノムデータの特性、その解析で認識しておくべき普遍的な考え方や歴史的な潮流を紹介することに注力している。エピゲノム解析に関する講義の参考図書。
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●科学技術書・理工学書●分子生物学15講ー発展編ー(清水光弘、胡桃坂 仁志編/オーム社)

2025-08-22 09:39:31 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:分子生物学15講ー発展編ー

編者:清水光弘、胡桃坂 仁志

発行:オーム社

 遺伝子・ゲノム工学の技術・解析法がかわる。同書は、現在の生命科学の研究で使われている、比較的最新の解析法や技術を理解することを目的に、アドバンスコースの分子生物学のテキスト。分子生物学を学んだ学生や現役の研究者でもブラックボックスになりそうな部分を、その技術や解析法の基礎となる事象と原理、その方法によって得られる情報について、丁寧にわかりやすいことを念頭にまとめている。生命科学分野の研究室に所属する学生が、論文の読解やゼミ発表準備などの日々の研究活動や、学会に参加する際に有用。生命科学を専攻する学部での専門科目や大学院修士課程での講義のテキストとしても使いやすいように15 講として構成している。
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●科学技術ニュース●静岡県立大学など、祖先配列再構成法をモジュール型ポリケタイド合成酵素(PKS)に初めて適用し新たな立体構造解析法開発

2025-08-22 09:39:03 |    生物・医学
 静岡県立大学食品栄養科学部の伊藤創平准教授、中野祥吾准教授、千菅太一助教、および東京大学大学院農学生命科学研究科 宮永顕正准教授、寺田透教授、唐澤昌之特任研究員、神奈川大学化学生命学部 工藤史貴教授、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 千田俊哉教授らは、祖先配列再構成法をモジュール型ポリケタイド合成酵素(PKS)に初めて適用することで、その立体構造決定を可能とする新たな立体構造解析法を開発した。

 モジュール型PKSは、抗生物質として利用される天然物群であるポリケタイド化合物の生合成に関与し、ポリケタイド化合物の化学構造多様性に寄与する重要な酵素。

 モジュール型PKSの酵素機能の分子メカニズムを理解するためにその立体構造解明が進められている。しかし、モジュール型PKSは複数の触媒ドメインからなる巨大タンパク質である、という特徴を有するためにその立体構造解析は一般に困難。そのため、モジュール型PKSの立体構造解析を可能とする手法が求められていた。

 今回同研究グループは、祖先型タンパク質に着目した。

 祖先型タンパク質は熱安定性や可溶性に優れる、という立体構造解析を進める上で有益な特徴を持つことが知られている。そこで同研究では、モジュール型PKSが持つ複数の触媒ドメインのうち、1つを祖先タンパク質に置き換えた祖先融合モジュール型PKS(現存-祖先キメラ酵素)を用いて立体構造解析を実施する手法を開発した。

 祖先融合モジュール型PKSは、X線結晶構造解析、およびクライオ電子顕微鏡による単粒子解析の2つの立体構造解析手法において解析を行いやすい性質 (結晶性・単分散性)を持ち、同手法の有用性が実証された。

 さらに、同研究ではモジュール型PKSに祖先型タンパク質を融合する新規立体構造解析法の開発に成功しただけでなく、祖先型タンパク質が単分散性にも優れることを初めて示すこともできた。

 同手法は、対象タンパク質が限定されない汎用的な手法であり、これまで立体構造解析が困難だった様々なマルチドメインタンパク質への応用が期待される。<高エネルギー加速器研究機構(KEK)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ネコは(ほぼ)液体である」(服部 円著/KADOKAWA)

2025-08-19 09:34:42 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:ネコは(ほぼ)液体である~ネコ研究最前線~

監修:子安 ひかり

著者:服部 円

発行:KADOKAWA

 著者が小学校1年生のときに取り組んだ自由研究「ねこは、みぎききひだりきき?」がXで話題になり、「ハフポスト」「ねとらぼ」でも紹介された。イグ・ノーベル賞受賞「ネコは液体」、遺伝子レベルでマグロ好き、障害物をスタスタ避けられる理由……「あるある」や「そうだったの」とネコを見る目が変わる。かわいいだけじゃない、おもしろ研究を一挙に紹介。【目次】第1章 科学でネコの心を調べてみた 第2章 ネコ好きほどネコが嫌がることをしている? 第3章 なぜ「液体」になるのか? 第4章 気分屋なネコの意外な法則 コラム ネコの「かわいい」の仕組みに挑む ネコを多角的に知る10冊 ほか。
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●科学技術ニュース●名古屋大学と国立情報学研究所、世界初、CT画像をAIが比較・解析し日本語の所見文を生成

2025-08-19 09:33:38 |    生物・医学
 名古屋大学大学院情報学研究科の森 健策 研究室、国立情報学研究所医療ビッグデータ研究センターの共同研究グループは、経過観察のために撮影された2つの3次元X線CT画像を解析し、自然な日本語所見文を生成する世界初の生成AIを開発した。

 同生成AIを利用し、2つの異なるCT像画像を比較して、その結果を日本語文章として出力することができるようになった。

 これによって、放射線科医の正確なCT画像読影所見文の作成を支援することが期待される。
 
 大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)の実現を端緒とする生成AIはまたたく間に社会に浸透し、今や人間の知的活動を支える重要なツールとなっている。LLMを言語以外の他のモダリティ、例えば画像と組み合わせた生成AIを用いると、画像内容の説明を文章で出力する、逆に、文章で指示した内容を画像として描画することが可能。

 こうした異なる文章を含むモダリティを統合して処理・認識することは知性の核であり、生成AIは人間の知的活動に類するものを機械が獲得する第一歩と言える。
 
 医療行為はさまざまな症状や画像、検査結果などを統合して処理・認識し、所見文の記載と共に診断することが最初に求められる。このような知的活動は知識と経験を有する医師のみが可能で、これまでの医療AIは単一モダリティの医療画像などから疾患の有無や種類を判定するような簡単な医療支援に止まっていた。

 医療文書に関するLLMをベースにして画像認識などを組み合わせた生成AIを実現することで、根拠となる所見を文章で示しつつ診断を示唆する、いわば医師の知的活動を支援する医療AIを実現することができる。
 
 名古屋大学大学院情報学研究科の森 健策らの研究チーム(教授 森 健策、准教授 小田 昌宏、博士後期課程学生 Nguyen Cong Khang)は、国立情報学研究所医療ビッグデータ研究センターとの共同研究で、撮影日時の異なる2つの3次元X線CT画像から特徴を読み取り、その経時的変化を所見文として出力するLMM (Large Multi-modal Model)の研究開発に成功した。
 
 このLMMは生成AIの一種であり、同じ患者の異なる時点の2つの3次元X線CT画像を読み込み、その経時的変化を所見文として自然な文章で出力する。これは、これまで放射線科医しかできなかった経過観察を支援し、より迅速で精確な読影所見の記述や病変の定量評価の実現につながるもの。<国立情報学研究所(NII)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「推し アンモナイト図鑑」(土屋 健著/技術評論社)

2025-08-13 09:33:54 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:推し アンモナイト図鑑~研究者14人が胸躍らせる化石たち~

著者:土屋 健 

発行:技術評論社(生物ミステリー<生物ミステリーPRO>シリーズ)

 日本だからこそ実現した、他に類をみないアンモナイト本。名前は知られている。けれど、本当の魅力はまだ広く知られていない——それがアンモナイト。1万種を超える多様性を持ち、日本には世界的な化石産地が数多く存在する。そんな“アンモナイト大国”である日本で、第一線の研究者14名に取材し、「あなたの推し標本」「あなたの推し話題」という2つの問いを投げかけた。同書は、その回答をもとに、研究者たちがどうしても紹介したい標本や、語らずにいられない話題を詰め込んだ、他に類をみないアンモナイト本。標本は“種”ではなく“実物”にこだわり、同じ種でも異なる推しが登場。話題も、教科書的な内容から最新研究まで、多彩に盛り込んだ。研究者たちの熱い想いとともに、妖しく美しいアンモナイトの世界を、初心者にも専門家にも楽しめる構成でお届けする。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ゴジラは自然の逆襲か?」(池田淑子編集/大阪大学出版会)

2025-08-12 09:33:39 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:ゴジラは自然の逆襲か?~Global Monsters Beckoning the Future~

編集:池田淑子

著者:中川涼司,グレゴリー・M・フルークフェルダー,アーロン・レフラー,ジークムント・シェン,デイビッド・カラハン,カール・ジョセフ・ユーファート

発行:大阪大学出版会

 日米両国のゴジラ映画を環境問題を中心に縦横断的に分析し、日本のゴジラ映画が米国ゴジラの発展に及ぼした影響を検証する。ゴジラ映画は1954年の第1作以降2021年の米国制作『ゴジラvs コング』(Godzilla vs. Kong)に至るまで、核兵器の恐怖や拡散、冷戦、そして原子力発電の安全性や地球温暖化、経済至上主義、大気・海洋汚染など、さまざまな人間がもたらす環境破壊やその要因について語り、長期にわたり警鐘を鳴らしてきた。3.11 以降、日米でゴジラ映画が再評価されて復活し、日本では令和シリーズが、米国ではモンスター・ヴァース・シリーズが制作された。確かにゴジラ映画は観客を集客するのが目的の娯楽映画であり、フィクションである。しかし、「非人間」の存在である怪獣表象には、人間の未知のものに対する恐怖や欲望が投影されており、それがフィクションの中で過去・現在、そして未来の姿として現れる。ゴジラ映画はこれまで起きた事実や現状を反映するだけではなく、人の心の底に潜むまだ曖昧で抽象的な考えや無意識の心情といったものを示唆し、近い将来に起こりうる出来事も予告してきたのである。同書では、ゴジラは「自然の復讐である」という田中友幸プロデューサーの言葉とともに、国内外で初代作品が繰り返し言及され引き継がれてきた日米両国のゴジラ映画を、環境問題を中心に縦横断的に分析する。また同時に、前編著の『アメリカ人の見たゴジラ、日本人の見たゴジラ― Nuclear Monsters Transcending Borders』(2019)の後を継ぎ、平成シリーズ以降、日本のゴジラ映画がどのように米国で受容され、それが米国製のゴジラの誕生・発展に結びついてきたかについても、歴史学、経営学、英文学、精神分析学、比較文学、記号論、SF小説を中心とするカルチュラル・スタディーズ、映画研究など幅広い日米の研究者たちと検証する。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ネアンデルタール人再発見」(ディミトラ・パパギアーニ、マイケル・A・モース著/創元社)

2025-08-08 09:46:06 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:ネアンデルタール人再発見~科学が再構築した新しい人類史~

著者:ディミトラ・パパギアーニ、マイケル・A・モース

監訳:篠田 謙一

訳者:武井摩利

発行:創元社

 私たちのDNAには、ほんの少し、ネアンデルタール人に由来する部分が混じっている。ネアンデルタール人が絶滅して4万年が経つが、私たちの中に彼らの遺伝子が受け継がれているということは、ネアンデルタール人が完全に消え去ったわけではないということだ。2010年に初めてネアンデルタール人のゲノムが発表されて以来、ネアンデルタール人についての、そして彼らと私たちの関係についての理解は劇的に変化した。かつてはネアンデルタール人は単純で残忍だという固定観念があったが、考古学者と分子生物学者による近年の新事実の発見によって、従来とは異なる、より私たちの身近に感じられる「像」が描かれるようになった。ネアンデルタール人は死者を埋葬し、病人の世話をし、洞窟の壁に顔料でペイントまでしていた。今や私たちは、DNAの研究を通じて彼らのヨーロッパでの進化やアジアでの移動の様子を追跡し、断片的な情報をつなぎあわせて、彼らがどのように生き、どのように死んでいったかを驚くほど詳細に推測できる。アメリカ考古学協会図書賞受賞(2015年)。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「遺伝子は不滅である」(リチャード・ドーキンス著/早川書房)

2025-08-06 09:37:49 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:遺伝子は不滅である

著者:リチャード・ドーキンス

訳者:大田 直子

発行:早川書房

 ドーキンス進化論の集大成。ガーディアン、フィナンシャル・タイムズほか年間ベストブック。現存する生き物の姿かたちや生態、遺伝子は、その祖先たちが生きていた世界のあり方を記録した「本」として読むことができる――。進化生物学の金字塔『利己的な遺伝子』の考察をさらに深め、卓抜な表現で綴られたドーキンス進化論の決定版。カラー図版多数。
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