“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

◆科学技術書<新刊情報>◆「科学技術大国 中国」(林 幸秀著/中央公論社<中公新書>)

2013-08-30 10:59:39 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:科学技術大国 中国~有人宇宙飛行から、原子力、iPS細胞まで~

著者:林 幸秀

発行:中央公論社(中公新書)

 国力増強の勢いを増し、政治や経済、あらゆる分野で日本を凌駕し始めた中国。では、自動車産業や電子・ロボット工学など、日本が世界をリードしている科学技術の分野ではどうか。同書では、スーパーコンピュータや原子力開発、iPS細胞など、近年注視されている六つの科学技術を取り上げ、中国の現状、日本との差異を分析した。中国は、世界〝最強〟の科学技術大国となりうるのか。その真の実力を探る。

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■科学技術ニュース■分子科学研究所など、有機物に電圧を加え世界で初めて超伝導を実現

2013-08-29 10:44:43 |    物理

 分子科学研究所(協奏分子システム研究センター)の山本浩史教授、須田理行助教、理化学研究所の加藤礼三主任研究員、および同研究所創発物性科学研究センターの岩佐義宏チームリーダー、中野匡規客員研究員(現所属・東北大学)らの研究グループは、最先端のシリコンテクノロジーに用いられている「歪み制御」技術を用いて、有機物に電圧を加えることで動作する超伝導スイッチを世界で初めて開発した。

 この技術は将来、低コスト・省エネルギーで製造可能なフレキシブルデバイスの開発につながる可能性がある。

 有機物も温度を下げると超伝導状態へと変化することは以前から知られていたが、超伝導をより高度に利用するためには、電圧でのスイッチ(トランジスタ動作)が重要。しかしながら有機物を使って超伝導体と常伝導体の間を電圧でスイッチする方法は知られていなかった。

 今回、研究グループは、κ-Br (正式名称はκ-(BEDT-TTF)2Cu[N(CN)2]Br) という有機物質を用いて電界効果トランジスタを作り、その歪みをゲート基板によって制御することによって超伝導スイッチを実現した。

 現在シリコンデバイスで広く用いられている歪み技術では、ゲルマニウムとシリコンの結合長ミスマッチによる歪み生成が用いられているが、今回の実験では有機物(κ-Br)と無機ゲート基板(ニオブをドープしたチタン酸ストロンチウム:Nb-SrTiO3)との熱膨張係数ミスマッチによって歪み制御を実現している。

 この技術により、κ-Brの歪みをちょうど超伝導と絶縁体との間で相転移が起きるぎりぎりのところに制御することができる。

 このような状況でゲート電圧(VG)をかけて電場を加えると、電圧が9Vのところで超伝導状態へと変化して、電気抵抗が突然下がるという現象が観測された。

 

 

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◆科学技術書<新刊情報>◆「人体探求の歴史」(笹山雄一著/築地書館)

2013-08-27 12:23:10 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

書名:人体探求の歴史 

著者:笹山雄一

発行:築地書館

 普段、何気なく使っている器官や臓器の名前だが、昔の人たちは自分たちの体をどのように捉え、それぞれの名前を付けていたのか。現代にまで続く人体探求の歴史と、古代魚の名残である鎖骨、三度作られる腎臓、嗅覚でガンを見つけるイヌの研究、山中教授のiPS細胞が開く難病治療の道など、人体の進化と最新の知見に触れる一冊。
 

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◆科学技術テレビ番組情報◆NHK「サイエンスZERO」/BS朝日「BBC地球伝説」/TBSテレビ「夢の扉+」/他

2013-08-26 10:09:31 |    ◆TV番組◆

 

<テレビ番組情報>
 
 

NHKテレビ Eテレ  サイエンスZERO 毎週日曜日 午後11時30分~0時00分
                          再放送毎週土曜日 昼12時30分~1時00分
 
9月1日(日) 宇宙裁判!西暦775年 謎の大事件

 西暦775年頃、宇宙から来る強い放射線=「宇宙線」が大量に地球に降り注いだという驚きの新事実が発見された。原因は何なのか? その意外な真相に“宇宙裁判”で迫る!

国立天文台副台長:渡部 潤一

女優:南沢 奈央/サイエンス作家:竹内 薫/アナウンサー:中村 慶子

BS朝日   BBC地球伝説 午後8時~9時

8月26日(月) 神秘の大宇宙   Episode 1 宇宙と時間
8月27日(火) 神秘の大宇宙 Episode 2 宇宙の起源
8月28日(水) 神秘の大宇宙 Episode 3 重力の秘密
8月29日(木) 神秘の大宇宙 Episode 4 光の謎

神秘の大宇宙(4回シリーズ)
 
 太陽系の謎に迫るシリーズ「神秘の太陽系」で案内役を務めた物理学者ブライアン・コックス教授による、シリーズ第2弾。今回はテーマを宇宙に広げ、時間、重力、光、宇宙の起源など、さまざまなテーマからその神秘に迫る。

TBSテレビ   夢の扉+ 毎週日曜日 午後6時30分~7時
                                    BS-TBS:毎週木曜日 午後11時~
 
9月1日(日) 疲労大国ニッポンを救いたい!

 疲労大国ニッポンを救う医学博士。投じた予算は30億円!世界で始めて証明した驚きの疲労回復食品とは!?

ドリームメーカー:大阪市立大学 特任教授・医学博士 渡辺 恭良 

ナレーター:坂口憲二
 
テレビ朝日 奇跡の地球物語〜近未来創造サイエンス〜  毎週日曜日 午後6時30分~6時56分

9月8日(日) 富士山が見つめる日本列島~異常気象2013~

 巨大積乱雲が引き起こす雷と、日本列島を襲う異常気象に迫る。世界遺産登録で賑わう富士山。その山頂で研究者が突き止めようとしているもの・・・それは「雷の正体」 富士山頂は、雷の謎を解明する研究の最前線でもあった。一方地上では、雷の一瞬の光を撮影しようと雷雲を追いかける写真家がいた。長年雷を追いかけてきた彼も驚いた今年の激しい雷雨。7月から9月にかけてのゲリラ豪雨の回数は、昨年の2.7倍になると予測されている。雷を生み出す積乱雲が、猛暑により巨大化しているという。一体、日本列島に何が起きているのか?

NHKテレビ Eテレ   地球ドラマチック 毎週土曜日 午後7時00分~44分
                            再放送 毎週月曜日 午前0時00分~0時44分
 
8月31日(土) ヘラクレイオン 海に沈んだ古代エジプト都市

 古代の史書に記された伝説の都市ヘラクレイオンはどこにあるのか?エジプト沖を発掘調査した結果、驚くべきものが見つかった。今、2000年の時を経て、謎が明らかに!ヘラクレイオンは、古代エジプトの玄関口として栄えたとされる。しかし、その位置すら分からず、当時栄えたもうひとつの町トーニスとともに、幻の都市とされてきた。発掘調査をしたのは海洋考古学者のフランク・ゴディオ。事前探査でエジプト北部アブキール湾の海底にヘラクレイオンが眠っていると考えた。数年に及ぶ調査でついに海底から石の塊を発見。ヘラクレイオンが永い眠りから目覚めることに…。(2012年ドイツ)

NHK-BSプレミアム   コズミック フロント 毎週木曜日 午後10時00分~11時00分
                            再放送 月曜日 午後11時45分~0時44分
 
8月29日(木) キュリオシティの冒険 ~火星探査の1年~

 NASAの探査車キュリオシティが、火星着陸に成功してから1年。この史上最大の火星探査車は、今も冒険の日々を送ってる。人類ははるか昔から、火星に生命の存在を夢見てきた。ところが、これまでの着陸探査によって明らかになったのは、火星大気には想像を絶する酸化力があり、微生物ですら分子レベルにまで分解されてしまうという衝撃の事実。そこでキュリオシティに与えられたのは、酸化が及ばない深さにまでドリルで穴を掘り、そこに生命の痕跡が隠れていないか探し出すこと! メインコンピューターの深刻なトラブルや、通信を妨害する強烈な太陽風など、さまざまな難関をくぐりぬけたキュリオシティは、ついに「大発見」をものにする。着陸以来1年に及ぶ探査車キュリオシティの冒険物語と、地上でそれを支えるクルーたちの壮絶な奮闘。火星に生命を探す一大ロマンが楽しめる。

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◆科学技術書<新刊情報>◆「青い光に魅せられて~青色LED開発」(赤崎勇著/日本経済新聞出版社)

2013-08-23 10:20:04 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:青い光に魅せられて~青色LED開発物語~

著者:赤崎 勇

発行:日本経済新聞出版社

 ひとり荒野をゆく-。長らく実現困難だと思われてきた夢の素子、青色LEDは、私たちの生活を大きく変えた。多くの困難や制約に直面しながら、世界で初めて「青い光」を現実のものにした研究者が開発の物語を語る。

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■科学技術ニュース■東大と農工大、光の電場の向きと波形の自在な制御に世界で初めて成功

2013-08-22 10:24:08 |    物理

 科学技術振興機構(JST)の課題達成型基礎研究の一環として、東京大学 大学院理学系研究科 五神 真 教授および東京農工大学 大学院工学研究院 三沢 和彦 教授らは、光を用いて、物質を分子原子レベルで操作するために重要な、光の持つ電場の向きと大きさの時間変化を自在に制御できる手法を、世界で初めて実現した。

 光は電場と磁場の振動が空中を伝わる波。一方、物質はイオンや電子からできている。光が物質に当たると、物質中のイオンや電子は光の電場に沿った方向に動かされる。

 この電場の向きや大きさを自由に変化させられれば、イオンや電子の運動を自在に操作できると考えられている。このような光を当てることで、物質の組成や構造を精密に分析したり、物質を光で変化させたりすることが可能となる。

 ところが、光の電場の向きと大きさの時間変化を完全に自在に制御するのは、技術の進歩が目覚ましい可視光の周波数領域においてすらこれまで前例がなかった。

 今回、研究グループは、テラヘルツ光を発生させるために結晶に照射する可視光レーザーの振動方向と振幅の時間変化を制御することで、目で見える可視光よりも100分の1ほど低い周波数を持つテラヘルツ光の電場の向きと時間波形を自在に制御することに成功した。

 また、目的のテラヘルツ波を得るために可視光レーザーパルスに必要な条件を求める逆問題を解くアルゴリズムも新たに考案した。

 今回の成果は、光を自在に制御する手法を開拓するという基礎的意義にとどまらず、テラヘルツ光の応用の可能性を大きく広げるもの。

 同研究は、東京農工大学の佐藤 正明 氏、東京大学の樋口 卓也 氏、神田 夏輝 氏の3名の博士課程大学院生(当時)が中心に連携協力のもとで研究を進めたもの。農工大で開発された、光波形制御技術を佐藤 正明 氏が東京大学に持ち込み、神田 夏輝 氏が開発したテラヘルツ波の偏光解析装置と組み合わせ、2人が中心になって実験を行った。東京大学の樋口 卓也 氏は、この研究の重要な要素である波形制御法の理論の構築と、波形制御アルゴリズムの開発を担当した。

 今回の成果は、光を自在に制御する新しい手法を考案し、それを実証したという基礎的意義にとどまらず、テラヘルツ光の応用の可能性を大きく広げる成果。電場の向きや時間波形が自由自在に設計されたテラヘルツ電磁波を使うことで、材料科学・生体分子計測・電波天文学などの基礎学術分野から情報通信・環境計測・医療診断などの実用分野に至る幅広い分野で活用の自由度が飛躍的に広がるものと期待される。現在、光パルスの極短化の研究が加速して進んでおり、この手法はテラヘルツにとどまらず、可視光までの広い周波数帯域に、今後活用されると期待される。

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■科学技術書<新刊情報>■「無限と有限のあいだ」(芳沢光雄著/PHP研究所)

2013-08-20 07:58:13 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

書名:無限と有限のあいだ
  
著者:芳沢光雄著

発行:PHP研究所(PHPサイエンス・ワールド新書) 

 無限という問題に向き合った数学者はいったい何を考えたのか? 数学における「無限と有限」の話題を縦横に熱く論じていく。整数、離散数学、解析、置換群の分野から、以下に述べるような、奇妙で楽しい「無限と有限をめぐる」定理・実例を取り出してみせる。高校数学までを予備知識に読める。
 

 


 

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◆科学技術テレビ番組情報◆NHK「サイエンスZERO」/BS朝日「BBC地球伝説」/TBSテレビ「夢の扉+」/他

2013-08-19 10:07:37 |    ◆TV番組◆

 

<テレビ番組情報>
 
 

NHKテレビ Eテレ  サイエンスZERO 毎週日曜日 午後11時30分~0時00分
                          再放送毎週土曜日 昼12時30分~1時00分
 
8月25日(日) UFO! 科学的に「あり」?「ナシ」?(アンコール放送)

 毎年、世界中で目撃される「UFO」。実はその2割までもが、今の科学では「説明不可」! 長年の水掛け論に決着をつけるべく、宇宙物理の第一人者による驚きの新事実!

自然科学研究機構機構長:佐藤 勝彦
  
女優:南沢 奈央/サイエンス作家:竹内 薫/アナウンサー:中村 慶子

BS朝日   BBC地球伝説 午後8時~9時

8月19日(月) 地中海6つの旅:水と文明
8月20日(火) 地中海6つの旅:塩と文明
8月21日(水) チーター・ワニ・サメ・ハヤブサ その驚異の身体能力に迫る!
8月22日(木) 休止

TBSテレビ   夢の扉+ 毎週日曜日 午後6時30分~7時
                                    BS-TBS:毎週木曜日 午後11時~
 
8月25日(日) 患者さん自身の細胞で未来の再生医療を!

いためたヒザ軟骨を、何と自分の細胞を使って再生。不可能を可能にする、最新の“再生医療”に人生を捧げた男を追った。

ドリームメーカー:J-TEC事業開発室長 畠 賢一郎

ナレーター:中井貴一
 
テレビ朝日 奇跡の地球物語〜近未来創造サイエンス〜  毎週日曜日 午後6時30分~6時56分

8月25日(日) トマト~美味しさの秘密~

 ミネストローネやケーキ、パスタにスープ・・・。トマトは様々な調理方法で食べることのできる野菜。その品種は100種以上。そのトマトの中でも、注目されているのが「甘いトマト」。その甘さは、今やメロンに迫るという。酸っぱかったあのトマトは、なぜフルーツのような甘さを持つまでになったのか?その秘密に迫るため、トマト農家をたずねると、そこにあったのはストレスをかけるという栽培法。何故トマトはストレスをかけると甘くなるのか?そこには科学に裏付けられた美味しさの秘密があった!

NHKテレビ Eテレ   地球ドラマチック 毎週土曜日 午後7時00分~44分
                            再放送 毎週月曜日 午前0時00分~0時44分
 
8月24日(土) 蒸気機関車の“お引っ越し”!?

 南アフリカの車庫に眠っていた古い蒸気機関車を、1万キロ離れたイギリスまで運んで展示することに!もはや自力で走れない100トンの機関車を傷つけずにどう運ぶのか?“お引っ越し”するのは、60年ほど前に製造された蒸気機関車15F。機関車の黄金期を代表する傑作とされる。南アフリカで40年間、豪華列車として活躍後に放置されていたものを、保存して展示するためイギリスまで運ぶ。自力で走れない機関車を、まずは内陸の倉庫から港まで運ぶ。重量オーバーでトラック輸送できないための秘策があった。港では100トンの車体を釣り上げ、船に乗せようとするが…。(2008年アメリカ)

語り:渡辺 徹

NHK-BSプレミアム   コズミック フロント 毎週木曜日 午後10時00分~11時00分
                            再放送 月曜日 午後11時45分~0時44分
 
8月29日(木) キュリオシティの冒険 ~火星探査の1年~

 NASAの探査車キュリオシティが、火星着陸に成功してから1年。この史上最大の火星探査車は、今も冒険の日々を送ってる。人類ははるか昔から、火星に生命の存在を夢見てきた。ところが、これまでの着陸探査によって明らかになったのは、火星大気には想像を絶する酸化力があり、微生物ですら分子レベルにまで分解されてしまうという衝撃の事実。そこでキュリオシティに与えられたのは、酸化が及ばない深さにまでドリルで穴を掘り、そこに生命の痕跡が隠れていないか探し出すこと! メインコンピューターの深刻なトラブルや、通信を妨害する強烈な太陽風など、さまざまな難関をくぐりぬけたキュリオシティは、ついに「大発見」をものにする。着陸以来1年に及ぶ探査車キュリオシティの冒険物語と、地上でそれを支えるクルーたちの壮絶な奮闘。火星に生命を探す一大ロマンが楽しめる。

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◆科学技術書<新刊情報>◆「量子革命」(マンジット・クマール著/新潮社)

2013-08-16 10:31:07 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

書名:量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突―
 
著者:マンジット・クマール

訳者:青木薫

発行:新潮社

 世界の根源には何がある? 量子の謎に挑んだ天才物理学者たちの100年史。20世紀に生まれた量子論は、ニュートン以来の古典的な世界像をどう書き換えたのか。アインシュタイン、ボーア、ハイゼンベルク、ド・ブロイ、シュレーディンガー……彼ら「偉大なる頭脳」たちが火花を散らした量子革命100年の流れを、豊富な逸話をまじえ、舌を巻く物語術で描き切る驚異のポピュラー・サイエンス!著者のマンジット・クマールは、ロンドン在住のサイエンス・ライター。物理学と哲学の学位を取得し、アートとサイエンスを扱う異色の学際雑誌「Prometheus(プロメテウス)」創刊編集長を務める。

 

 

 

 


 

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■科学技術ニュース■理化学研究所など、「粘菌」をヒントに新概念のコンピューターの構築に成功

2013-08-15 10:09:39 |    情報工学

 理化学研究所、情報通信研究機構と東京大学は、単細胞生物「粘菌」の行動原理に基づき、ナノサイズの量子ドット間の近接場光エネルギーの移動を用いて、高効率に意思決定をする全く新しい概念のコンピューター「知的ナノ構造体」が構築できることを、実際のデバイス構成を想定したシミュレーションにより実証した。

 これは、理研基幹研究所 理研-HYU連携研究センター揺律機能研究チーム(当時)の原正彦チームリーダー(現 理研グローバル研究クラスタ 客員主管研究員)、金成主研究員(現 物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点特別研究員)、青野真士研究員(現 東京工業大学地球生命研究所 研究員)と、情報通信研究機構光ネットワーク研究所フォトニックネットワークシステム研究室の成瀬誠主任研究員、東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻及びナノフォトニクス研究センターの大津元一教授らの共同研究グループによる成果。

 動的に変化する不確定な環境下で速く正しい意思決定を要求される局面では、多くの組合せからなる選択肢の中から、最も報酬確率の高い解答を効率良く導き出すことが求められる。

 そのためには「最適解ではなくても極めて最適解に近く、かつすばやく解が得られる」ことが必要となる。

 こうした問題のモデルとして、複数のスロットマシンから多くのコイン(報酬)を得る「多本腕バンディット問題」があり、定式化されている。この問題では、最も報酬確率の高いスロットマシンを正確にかつ速く判断することが要求されるが、そのためにお金や時間を掛けすぎると、速い判断ができずに報酬も減る。

 このような正確さと速さの二律背反が作り出すジレンマ状況での最適な意思決定戦略を探ることは、さまざまな分野での応用課題と密接に関連するため、近年活発に研究されている。また、自然界の生物においても正確で速い判断が生存競争を勝ち抜く上で必要なことから、この問題は生物の行動戦略、さらには社会現象の最適化を探る研究にも関係している。

 理研揺律機能研究チームでは、粘菌を用いて、多数の組合せ選択肢から的確な答えを求める研究を行ってきた。

 そして今回、粘菌の行動観察の結果を使って、多本腕バンディット問題を正確にかつ高速で解決できるアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは、粘菌の行動原理に類似した動的特性を多様な物理プロセスに置き替えることでデバイスに応用可能。

 今回、共同研究グループは、粘菌の行動原理と量子ドット間の近接場光を介したエネルギー移動プロセスに類似性があることを見出し、実際のデバイスに応用可能な近接場光を利用したアルゴリズムを開発したもの。

 そして、このアルゴリズムが多本腕バンディット問題の正解を探索できること、さらに、同問題の解法の中で、最速とされていたアルゴリズム「Softmax法」よりも、速く正確な意思決定が実現できることを、シミュレーションにより実証した。

 今回の成果は、全く新しい原理で動作する“知的コンピューティングデバイス”などを構築できることを示唆するもの。 

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