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“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「原子力の現在地」(深田 智著/技術評論社)

2025-07-16 09:59:29 |    エネルギー



<新刊情報>



書名:原子力の現在地~放射線の利用から次世代原子炉まで~

著者:深田 智

発行:技術評論社(科学の扉シリーズ) 

 同書は、放射線の発生原理や種類といった基礎知識から始まり、医療・工業・環境分野での応用、人体への影響と防護、そして原子力発電の仕組みや安全対策までを幅広く解説。さらに、放射性廃棄物の処理や次世代原子炉の動向までを含む構成で、科学的・中立的な立場から情報を提供している。専門的な内容も、図解や具体例を交えて平易に説明しており、理系初心者や原子力に関心を持つ読者にとって有用な一冊。時事的な課題にも触れながら、「原子力とどう向き合うか」を考える視点を与えてくれる。【目次】第1章 放射線の発生と原子炉内で起こる核反応 第2章 放射線の利用と放射線の人体への影響 第3章 原子力発電を安全に稼働するための方策 第4章 原子力発電から出る放射性廃棄物の管理と処分 第5章 新しいタイプの原子炉 付録 放射線発見の歴史 発電原子炉誕生までの核分裂発見と核爆弾開発の歴史 原子力平和利用への道(発電原子力発電の歴史【筆者】深田 智 九州大学総合理工学研究院名誉教授。専門は、核融合炉燃料サイクル、原子力工学、特に核燃料サイクル工学。著書に『溶融塩物性と利用ー新型溶融塩原子炉の実用をめざしてー』(九州大学出版会)と『核燃料サイクルと放射性物質の移行、原子力安全性向上への取り組み』(大学教育出版)がある。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「マッキンゼー エネルギー競争戦略」(瓜生田義貴、板橋辰昌、柿元雄太郎著/日本経済新聞出版)

2025-06-16 09:06:09 |    エネルギー



<新刊情報>



書名:マッキンゼー エネルギー競争戦略

著者:瓜生田義貴、板橋辰昌、柿元雄太郎

発行:日本経済新聞出版

 マッキンゼーが読み解く「エネルギーの未来」。エネルギー転換の現在地……世界の脱炭素は順調か?エネルギー業界が直面する課題と機会を包括的に分析し、未来に向けた具体的なアクションプランを提示する。・マッキンゼーが想定するエネルギーシナリオ・S+3Eに加わる経済競争力という4つ目の“E”・電化を軸としたエネルギーエコシステム転換の方向性【目次】第1章:複雑化する世界のエネルギーの潮流 第2章:新しいグローバルゲームと日本のポジション 第3章:日本の電力のシミュレーションと今後の方向性 第4章:日本の電力事業者が直面する課題 第5章:産業変革の道筋と電力会社の業態変革
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「図解でわかるエネルギーDX」(内藤克彦、蝦名雅章著/技術評論社)

2025-05-16 09:52:25 |    エネルギー



<新刊情報>



書名:図解でわかるエネルギーDX~デジタルで効率化する電力システム大転換技術⁠~

著者:内藤克彦、蝦名雅章

発行:技術評論社(未来エコ実践テクノロジーシリーズ)

 2050年カーボンニュートラル達成に向け、エネルギー産業も大転換期を迎えている。欧米ではDXをうまく活用して需給バランスを決め、効率よく電力を供給している。アジア諸国でも、欧米の送電オペレーションシステムを導入し、電力の効率的な送配電をおこなっている。それにならい、日本でもDXを取り入れた電力システムの改革に乗り出した。同書では、現状の日本の電力システムの問題点を挙げ、DXその先のGX(再エネの大量導入電力網)を本格的に行う上で、これからどのようなシステムを構築していかなければならないかを技術面、ビジネス面から解説する。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「経営に活かす生成AIエネルギー論」(岡本 浩、高野雅晴著/日本経済新聞出版)

2025-04-18 09:58:42 |    エネルギー



<新刊情報>



書名:経営に活かす生成AIエネルギー論~日本企業の伸びしろを探せ~

著者:岡本 浩、高野雅晴

発行:日本経済新聞出版

 AIのせいで電力が足りない!?「横割り思考」と「エネルギー効率」ですべてを再定義せよ!スマートグリッド第一人者、緊急書き下ろし!生成AI×エネルギーの最新動向がわかる。電力システム、スマートグリッドの構築に長年かかわってきた著者とIT専門家が、生成AI台頭に伴う電力不足・データセンターブームなどの最新動向を踏まえて、再エネとAIを組み合わせた戦略発想の必要性を提示する独自の啓蒙書。AIの第一人者、東京大学・松尾豊とDX専門家の西山圭太氏と著者の特鼎談も収載した。本格的な生成AI時代の到来前夜の今、経営層に向けて、適時・適地のエネルギー調達・データセンター活用戦略をベースにした、AIの活用と、イノベーションの促進を説く。生成AIとデータセンターに関する各国の最新動向や、AIを最大限活用したDX事例、効率的な電力システム事例を盛り込むほか、福岡・糸島市の再エネを活用した地域再生例なども紹介。AI×エネルギーに関心あるビジネスパーソン、経営者にとって未来志向で有益な手引きとなる。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「「夢のエネルギー」核融合の最終解答」(アーサー・タレル著/早川書房)

2025-01-31 09:40:48 |    エネルギー



<新刊情報>



書名:「夢のエネルギー」核融合の最終解答

著者:アーサー・タレル

監修:横山達也

訳者:田沢恭子

発行:早川書房

 恒星を創り、地球を救え! 核融合の未来を切り拓く「スタービルダー」たちの奮闘の軌跡。地球上に擬似的な恒星を創り、CO2を排出することなく莫大なエネルギーを生む夢の技術、核融合発電。その実現を目指しひた走る者たちを、人は「スタービルダー」と呼ぶ。官民がしのぎを削る熾烈な競争を制し、栄光を掴む者は誰か――徹底した取材で最前線に迫る。
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●科学技術ニュース●QST、トカマク型超伝導プラズマ実験装置「JT-60SA」がギネス世界記録「最大のトカマク型装置」に認定

2024-11-05 09:33:14 |    エネルギー
 量子科学技術研究開発機構(QST)は、Fusion for Energy(マーク・ラシェーズ代表)とともに日欧共同で実施している幅広いアプローチ活動等を通じて、JT-60SA(JT-60 Super Advanced)計画を進めてきた。
 
 JT-60SA は、フュージョンエネルギーの早期実用化を目指し、イーター計画(日本、欧州、ロシア、米国、中国、韓国、インドの7極の国際協力の下、その建設・運転を通じてフュージョンエネルギーの科学的・技術的実現可能性を実証する計画)と並行して日欧が共同建設した世界最大のトカマク(高温プラズマを磁場により閉じ込める方式の一つ)型超伝導プラズマ実験装置。

 令和5年10月23日に初プラズマを達成した後、統合試験運転(JT-60SA の動作を確認するために行う一連の運転)を継続し、初めてのプラズマ試験として超伝導コイルを用いたプラズマ制御手法の最適化等を進めてきた。

 同試験結果を精査したところ、従来の他装置におけるプラズマ体積100立方メートルの記録を大きく超える、プラズマ体積160立方メートルの達成が確認された。

 この成果は、プラズマの閉じ込め性能はプラズマの大きさにも依存するため、今後の加熱実験において世界最高性能が期待される。

 また、より大きなプラズマを扱うイーターや原型炉(JT-60SA やイーターの成果に基づいて建設される次期装置)に向けた制御法の開発に繋がるものと考えられる。
 
 同成果は、世界最大のトカマクプラズマ(Largest Tokamak:最大のトカマク型装置)のギネス世界記録として、令和6 年9月4日に認定された。
 
 QSTは、JT-60SAで得られた知見をイーター及び将来の原型炉に積極的に活かすとともに、フュージョンエネルギーの早期実用化に向けた中核的な拠点として引き続き邁進する。<量子科学技術研究開発機構(QST)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「水素エネルギーが一番わかる」(白石 拓著/技術評論社)

2024-05-23 09:32:37 |    エネルギー



<新刊情報>



書名:水素エネルギーが一番わかる

著者:白石 拓 

発行:技術評論社(しくみ図解シリーズ)

 トヨタ自動車がガソリン車に代わる脱炭素素車として水素エンジン車を開発し、自動車レースに出場したことで、燃料としての水素が脚光を浴びた。水素が注目されるのは、カーボン・ニュートラルであることのみが要因ではない。水素エンジンは水素燃焼時に生じる水蒸気の爆発的な膨張力(運動エネルギー)で駆動する。また、燃焼の際に発生する熱エネルギーはボイラーや水素火力発電所で使用され、マツダはロータリーエンジンで水素を燃やして発電した電気で電気自動車を走らせている。さらに,イオンとして電気エネルギーを運ぶこともできる。燃料電池は水素イオンと酸素イオンを化合させて電気を発生させる「発電装置」であり、トヨタ自動車は燃料電池でつくった電気でモータを回して走る燃料電池車「MIRAI」を2020年にモデルチェンジした。このように,水素は単に燃焼時に二酸化炭素を排出しない「クリーン・エネルギー」として価値があるだけでなく,さまざまな形態のパワーを発出できるポテンシャルの高いエネルギー源。今後、核融合発電を含め,水素エネルギーの利用がますます広がっていくことが予想されている。同書はこうした状況を踏まえ、水素エネルギーの基礎的な知識をすべて網羅し、わかりやすくまとめた書籍。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「よくわかる最新 核融合の基本と仕組み」(山﨑耕造著/秀和システム)

2024-04-30 09:36:41 |    エネルギー



<新刊情報>



書名:よくわかる最新 核融合の基本と仕組み~SDGsとGXを推進する燃料豊富な革新エネルギー源~

著者:山﨑耕造

発行:秀和システム

 核融合炉は、脱炭素時代の持続可能なエネルギー源として実用化が期待されている技術。日本では2023年4月、核融合に関する国家戦略が決定され、関連国内産業を創出する必要性が強調されている。海外でも米英を中心に、さまざまなスタートアップ企業が設立され、期待が高まっている。同書は、核物理学やプラズマ物理学など核融合の基礎知識と、核融合炉実用化に必要な技術や課題について図解でわかりやすく解説した入門書。
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●科学技術ニュース●産総研、メタンハイドレートが分布する海底のメタン動態から好気性・嫌気性微生物の共存がメタン消費のカギであることを発見

2024-03-20 09:47:11 |    エネルギー
 産業技術総合研究所(産総研)地圏資源環境研究部門 地圏微生物研究グループ 宮嶋 佑典 研究員、燃料資源地質研究グループ 吉岡 秀佳 研究グループ長、環境創生研究部門 鈴村 昌弘 研究部門付、環境生理生態研究グループ 青柳 智 主任研究員、堀 知行 上級主任研究員らを中心とする研究グループは、2020年、メタンハイドレートが分布する山形県酒田市沖の海底の堆積物を対象に、化学分析と微生物分析、安定同位体トレーサー培養試験の結果を用いて、微生物がメタンを消費する速度を推定した。

 また、海底下の酸化還元境界層において、生育に酸素を必要とする微生物(好気性微生物)と必要としない微生物(嫌気性微生物)が共存してメタンを消費していることを新たに発見した。これらの知見は、重要なエネルギー資源であり温室効果ガスでもあるメタンの海底での収支の正確な理解に貢献する。

 産総研は、経済産業省の委託により、将来の国産エネルギー資源として期待される表層型メタンハイドレートの研究開発を実施している。

 当該プロジェクトでは、資源量の把握や深海における掘削・揚収技術などの検討に加えて、メタンハイドレートの開発に伴う海洋環境や生態系への影響評価についても重要な課題として取り組んでいる。

 2020年からは、日本海の山形県酒田市沖や新潟県上越市沖の表層型メタンハイドレートが分布する海域において、海洋観測船や遠隔操作型無人潜水機(ROV)を用いた海洋環境調査を継続的に実施してきた。

 これらの海域では、メタンを含む水の湧き出し(メタン湧水)を示す微生物マット(微生物の集合体)に表面が覆われた特徴的な海底面が多数存在することが確認され、微生物マット直下の堆積物に重金属などが濃集していることがわかった(詳細は2022年11月7日 産総研「主な研究成果」)。

 今回はこの微生物マットで覆われた海底下の堆積物中における微生物活動とメタン消費に焦点を当てた研究を実施した。

 濃度分析の結果、微生物マットで覆われた海底面から15cmまでの深度には、参照地点の堆積物と比較して高濃度のメタンが溶存していた。
 
 また、海底直上の海水は酸素を豊富に含むが、微生物マット直下の堆積物では酸素が急激に減少し、表面の5mm以内でしか検出されないことがわかった。

 これは、参照地点では酸素が海底面から1.5cm程度の深さまで比較的ゆるやかに減少し、それ以深で検出限界以下となる結果と対照的。

 遺伝子・脂質解析の結果は、酸素を利用してメタンを消費する「好気性メタン酸化バクテリア」と酸素がない環境でメタンを消費する「嫌気性メタン酸化アーキア」が、微生物マット直下でのみ共存していることを示していた。

 また、微生物マットで覆われた海底下の堆積物について、微生物によるメタンの消費速度を推定するために、炭素の安定同位体をトレーサーとした培養試験を実施した。

 メタンは微生物により二酸化炭素に変換されるため、堆積物に安定同位体濃縮メタンを添加して培養を行うと、二酸化炭素の炭素同位体比が時間とともに増加する。

 この同位体比の増加速度から、メタンの消費速度を推定した。海底に近い温度で、培養開始時に酸素を与えた系と無酸素の系とで培養を行った結果、培養の初期において、前者のメタン消費速度は後者のそれの4倍近いことがわかった。<産業技術総合研究所(産総研)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「電力の自由化と原子力発電」(森田 章著/幻冬舎ルネッサンス)

2024-02-12 09:36:05 |    エネルギー



<新刊情報>



書名:電力の自由化と原子力発電

著者:森田 章

発行:幻冬舎ルネッサンス

発売:幻冬舎

 原発事故に係る膨大な費用はどのように対処されているのか。「国(政府)」が今後とるべき方針とは?「原発」「福島原発事故」に関わる関連法規や豊富な判例を読み解くことで、「電力自由化」=資本主義の本質に迫る。【著者】森田 章 1949年生まれ。同志社高校卒業。神戸大学法学部卒業。1977年神戸大学大学院法学研究科修了(法学博士)。1978~79年米国イェール・ロー・スクール客員研究員。1991年から同志社大学教授。公認会計士試験委員、法制審議会会社法部会臨時委員、司法試験考査委員を歴任。現在は同志社大学名誉教授、弁護士法人三宅法律事務所客員弁護士。
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