2月6日~8日に実施された実証により、商業用ナフサ分解炉の既存燃料の2割超をアンモニアに切り替えて燃焼することを国内で初めて実証した。
これはIHIの燃焼技術と,出光興産のオペレーションノウハウにより実現した世界でも先進的な技術。
IHIと出光興産は,同事業所においてアンモニアサプライチェーン構築に向けた検討に共同で取り組んでいる。
この協業の一環として,同事業所の既設ナフサ分解炉において燃焼実証を実施した。今回の実証では,IHIがナフサ分解炉用のアンモニア専焼バーナを開発し,実証対象である既設ナフサ分解炉のガスバーナの一部を今回開発したアンモニアバーナに変更した。
また,IHIプラントは,アンモニアの貯蔵タンクや配管などの中間供給設備,ナフサ分解炉におけるアンモニア燃焼設備の設置工事を行った。
IHIは,2021年よりナフサ分解炉用アンモニアバーナの開発に着手した。特性を比較するため複数のプロトタイプバーナを用いて,IHI相生工場(兵庫県相生市)内の基礎燃焼試験炉(1 MWth)で燃焼性能を評価し,最適形状を選定かつNOxや未燃アンモニアの排出規制値といった要求仕様を満足していることを確認した。
開発したバーナの実証は,出光興産のオペレーションノウハウに基づく指導のもと,同社徳山事業所の操業中のナフサ分解炉で実施し,投入熱量比20%程度までの範囲においてアンモニアが安定燃焼可能であることを確認した。
また,適切に燃焼調整することで排ガス中のNOxを排出規制値以下まで低減でき,未燃アンモニアが検出されなかったことから環境性能においても問題がないことが確認できた。
今後,同バーナを他のナフサ分解炉にも展開することで、燃料アンモニアの利用拡大による脱炭素化に貢献できる。また,今回得られた技術的知見は,他の工業炉やバーナへの応用を検討していく。<IHI>