“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「不老不死のクラゲの秘密」(久保田 信著/毎日新聞出版)

2018-12-31 09:30:09 |    生物・医学

 

<新刊情報>

 

書名:不老不死のクラゲの秘密

著者:久保田 信

発行:毎日新聞出版

 人類の永遠のテーマとされる「不老不死」。世界中に不老不死伝説は存在するが、科学技術が進んだ現在でも、その夢は実現できていない。ところが、クラゲの仲間に、その例外がいることがわかった――。その名も「ベニクラゲ」。 驚異の能力をもつその生物はどんな生態をしているのか、不老不死のクラゲの研究はどのような未来を私たちにもたらすのか。今、生物界で最も注目を集める「死なないクラゲ」のすべてがわかる一冊。

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★科学技術ニュース★東京大学、電気通信大学と日本原子力開発機構、究極のストレージメモリ「レーストラックメモリ」の実現に大きく近づく

2018-12-31 09:29:43 |    電気・電子工学

 東京大学大学院工学系研究科の小山知弘助教、千葉大地准教授、電気通信大学の仲谷栄伸教授、日本原子力研究開発機構の家田淳一研究主幹らの研究チームは、絶縁体を介して磁石に電圧を加える「電界効果」という手法を用いて、秒速100メートルを超える高速な磁気の壁(磁壁: N極とS極の境界)の運動を制御することに世界で初めて成功した。

 これまでは秒速1ミリメートル以下の遅い磁壁移動について主に研究されてきたが、同研究成果はメモリとして実用可能な速度領域において、電圧を用いた情報シフトの高速化が可能であることを実証した世界で初めての成果であり、レーストラックメモリのさらなる高速化・省エネ化を実現する技術に繋がるものとして期待される。

 高度情報化社会を迎え扱われる情報量が爆発的に増加している現在、コンピュータ中で情報の書き込み・読み出しを行うメモリのさらなる高性能化が要求されている。2008年に、ワイヤ状に加工した磁石の中でN極およびS極(磁極)の向きをデジタル情報として担わせ、それらをシフトさせることで情報の読み出しを行う「レーストラックメモリ」がIBMから提案された。このメモリは、磁石が本質的に有する磁極の向きを利用するので原理的に劣化が起こらず、さらに機械的動作が必要ないため高い耐久性を有するという、半導体を凌ぐ究極のメモリとして期待されている。情報のシフト速度の高速化は情報処理能力の向上に直結するため、世界中で盛んに研究されている状況。

 今後は、より大きな移動速度の制御が可能な材料系の探索を行いつつ、電流により駆動される磁壁移動の電圧コントロールにも挑戦する予定。

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「Pythonによるデータ解析入門」(山内長承著/オーム社)

2018-12-31 09:29:15 |    情報工学

 

<新刊情報>

 

書名:Pythonによるデータ解析入門

著者:山内長承

発行:オーム社

 同書は「Pythonによる統計分析入門」の多変量解析編に相当するものだが、前著のより発展的な内容として、ネットワーク解析まで扱っている。Pythonの基本を学びながら、より実践で活用できるデータ解析を習得できる。Pythonの解析ライブラリを使った独習書として、多次元データの解析、アソシエーション分析、ネットワーク解析などを丁寧に解説し、実務的な課題にも応用できるようになっている。

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ワンス・アポン・アン・アルゴリズム」(Martin Erwig著/共立出版)

2018-12-28 09:31:08 |    情報工学

 

<新刊情報>

 

書名:ワンス・アポン・アン・アルゴリズム~物語で読み解く計算~

著者:Martin Erwig

訳者:高島亮祐

発行:共立出版

 同書は、「計算」にまつわる様々な概念を、日常生活やよく知られた物語にたとえて描いている。「ヘンゼルとグレーテル」は森を抜けて家に帰るためのアルゴリズムを実行しており、「恋はデジャ・ブ」は決定不可能な問題の話であり、「シャーロック・ホームズ」はデータ構造を駆使して事件を解決している。「ハリー・ポッター」の世界の魔法は型と抽象化を通して理解でき、「インディ・ジョーンズ」は探索の複雑さを体現していることになる。議論されている内容は、アルゴリズム、記号と表現、データ構造、P=NP問題、言語・構文・曖昧さ、制御構造とループ、再帰、停止性問題、型、アルゴリズムの検証など多岐にわたる。

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★科学技術ニュース★NEDOと住友電気工業、米国初となるレドックスフロー電池の電力卸売市場での運用を開始

2018-12-28 09:30:32 |    電気・電子工学

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と住友電気工業は、長寿命かつ大型化に適した定置用蓄電池「レドックスフロー電池(RF電池)」を米国カリフォルニア州の電力卸売市場に接続し、最も収益が見込める運用手法を検証するための実証運転を開始する。

 同実証では運用上、充放電の深度や回数に制約がないというRF電池の特長を生かし、電力卸売市場が求める周波数調整などの調整力や、エネルギー取引による供給力を最適に組み合わせて提供し、RF電池の経済的価値を高める手法を検証していく。

 同実証は、米国内の電力卸売市場でRF電池を運用する初めての事例。

 米国カリフォルニア州は、2045年までに州内の電力の100%を温室効果ガスが排出しないエネルギーで賄うとする州法SB100を成立させるなど、再生可能エネルギー導入に関して高い目標を掲げている。こうした中、太陽光発電(PV)の増加による朝夕の急激な需要変動や電力品質低下の問題が顕在化しつつあり、この変動調整が急務となっている。そこで、州法AB2514において蓄電設備の導入義務を電力会社に課すとともに、蓄電池で適正な収入を得られるような電力卸売市場の新制度設計を段階的に行っている。

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「研究者のコピペと捏造」(時実象一著/樹村房)

2018-12-28 09:30:06 |    科学技術全般

 

<新刊情報>

 

書名:研究者のコピペと捏造

著者:時実象一

発行:樹村房

 研究不正の原因は、名誉・名声と地位であり、時にはしがらみである。研究者もひとりの人間であり、その倫理性に特別違ったところはない。同書では、研究不正を類型に分けて詳しく分析し、研究者はなぜ不正に手を染めるのか、どうしたら不正を防げるのかについて考える。

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「通信の世紀」(大野哲弥著/新潮社)

2018-12-27 09:57:19 |    通信工学

 

<新刊情報>

 

書名:通信の世紀~情報技術と国家戦略の150年史~

著者:大野哲弥

発行:新潮社(新潮選書)

 明治4年、1本の海底ケーブルに始まった「通信」のパワーゲームを日本はいかに戦ったか。政治、外交、軍事、諜報、経済……あらゆる資源を投下しても埋めきれなかった列強との差。疑心と慢心に敗れた情報戦としての太平洋戦争、そして戦後――。今なお拡大し続ける「情報の戦争」を源流から理解する、技術(テクノロジー)と戦略(ストラテジー)の興亡。

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★科学技術ニュース★JAMSTECと九州大学、人工知能(AI)を用いて気候実験データから熱帯低気圧のタマゴを高精度に検出する新手法を開発

2018-12-27 09:56:33 |    宇宙・地球

 海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球情報基盤センターは、九州大学大学院システム情報科学研究院と共同で、ディープラーニングによって、全球雲システム解像モデルNICAMによる気候実験データから、発生前の熱帯低気圧の予兆を示す雲(熱帯低気圧のタマゴ)を精度よく検出する手法を開発した。

 開発した手法は特に夏の北西太平洋において、発生1週間前の熱帯低気圧のタマゴを高精度に検出可能であることを示した。同成果により、人工知能(AI)技術を活用した新しい台風発生予測の実現に向けて大きな手掛かりが得られたと言える。

 同研究は、これまでの物理方程式に基づく気象モデルを用いたModel-drivenな手法による将来予測の課題を克服すべく、過去に蓄積された大量のシミュレーションデータから現象発生の予兆を示す特徴を直接的に学習し、熱帯低気圧の発生を予測しようとする新たなアプローチの研究と考えられる。

 大量の気象ビッグデータが蓄積されていく現在において、同研究の成果はData-drivenな手法を用いた気象予測の新たな展開を拓くものとして期待される。

 同成果によって、NICAMによる気候実験データを用いた熱帯低気圧のタマゴの検出に限っては、高い検出性能が得られた。一方で、現実の熱帯低気圧の発生を事前に予測するためには、データ同化を行ったシミュレーションデータや、衛星観測によって得られた雲画像に対しても同程度以上の検出性能が得られるよう、最先端の情報科学または統計数理的な手法を取り入れ、引き続き検討を進める。

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「サイバーセキュリティ入門」(羽室 英太郎著/慶應義塾大学出版会)

2018-12-27 09:56:05 |    情報工学

 

<新刊情報>

 

書名:サイバーセキュリティ入門~図解×Q&A~

著者:羽室 英太郎

発行:慶應義塾大学出版会

 スマホのアプリ、テレワークのセキュリティ、クラウドの個人情報……。個人や家庭、企業や組織のセキュリティ管理を的確に行うためには何が必要なのか?スマホやパソコンのユーザー、企業の経営者、セキュリティ部門担当者、これからセキュリティ担当を勉強しようと思うひとなどなど…。すべての立場の方を対象に、Q&A と豊富なイラストで、押さえておくべきセキュリティのポイントと基本を視覚的に理解しながらやさしく解説。スマートフォン、IoT、仮想通貨、フィンッテックなどなど、急速に普及が進むITサービスなど、最新のトピックもおさえた、信頼できるサイバー・情報セキュリティ入門書の決定版。

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「サピエンス異変」(ヴァイバー・クリガン=リード著/飛鳥新社)

2018-12-26 09:36:18 |    生物・医学

 

<新刊情報>

 

書名:サピエンス異変~新たな時代「人新世」の衝撃~

著者:ヴァイバー・クリガン=リード

訳者:水谷 淳、鍛原 多惠子

発行:飛鳥新社

 1万5千年前の「農耕革命」。250年前の「産業革命」。そしてスマホ・AI時代の「現代文明」。これらの衝撃に、私たちの身体は、実はいまだ「適応」できていない―。欧米の歴史教科書に追加されつつある「人新世(じんしんせい)」問題を提起した、衝撃の全英最新ベストセラー。英フィナンシャル・タイムズ紙「2018年ベストブック」選出。 

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