“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「リサーチのはじめかた」(トーマス・S・マラニー、クリストファー・レア著/筑摩書房)

2023-11-30 09:35:22 |    科学技術全般



<新刊情報>



書名:リサーチのはじめかた~「きみの問い」を見つけ、育て、伝える方法~

著者:トーマス・S・マラニー、クリストファー・レア

訳者:安原 和見

発行:筑摩書房

 最もむずかしいのは、リサーチをはじめる前の段階だ。スタンフォード大教授らが18年かけて磨きあげた、「きみの問い」が見つかるリサーチの極意。【目次】 第1部 自分中心の研究者になる(問いとは?きみの問題は?成功するプロジェクトを設計する) 第2部 自分の枠を超える(きみの“問題集団”の見つけかた“分野”の歩きかたはじめかた)【著者】トーマス マラニー:スタンフォード大学歴史学科教授。コロンビア大学で博士号を取得。専門は中国史。邦訳書に『チャイニーズ・タイプライター』(2021年、中央公論新社)がある。BBCやLA Timesなどで研究が取り上げられるほか、Google、Microsoft、Adobeなど企業での招待講演も多数。/クリストファー・レア:ブリティッシュ・コロンビア大学アジア研究学科教授。コロンビア大学で博士号を取得。専門は現代中国文学。著書にChinese Film Classics, 1922-1949などがある。
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●科学技術ニュース●関西電力、JR西日本、NTTとパナソニック、姫路エリアを起点とした水素輸送・利活用等に関する協業で基本合意

2023-11-30 09:34:16 |    ★水素ニュース★
 関西電力、JR西日本、JR貨物、NTT、NTTアノードエナジーとパナソニックの6社は、兵庫県姫路エリアでのインフラを活用した国内水素輸送・利活用等に関する協業について基本合意した。

 同合意に基づき、6社は2030年代を目途に、安価で効率的な水素サプライチェーンの確立をめざし、姫路エリアを起点とした水素輸送と利活用方法に関する調査、検討を行う。

 各社の役割については、以下の通り。

   ・関西電力:液化水素の安定調達や水素受入拠点、水素利活用先の検討等
   ・JR西日本:線路敷パイプラインおよび水素利活用の検討等
   ・JR貨物:鉄道による全国への水素輸送の検討等
   ・NTT、NTTアノードエナジー:通信管路を活用した水素パイプラインの構築検討等
   ・パナソニック:水素を使った自社製燃料電池の活用の検討等

 今後、6社は各分野での経験・知見を結集し、水素サプライチェーンの確立とゼロカーボン社会の実現に向けて取り組んでいく。<関西電力>
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●科学技術ニュース●NIMS、竹中工務店と淡路マテリア、長周期・長時間地震動に有効なブレース型FMS合金制振ダンパーを中日ビルに初適用

2023-11-30 09:33:52 |    建築・土木
 物質・材料研究機構 (NIMS)、竹中工務店と淡路マテリアは、Fe-Mn-Si系合金 (FMS合金) を用いた長周期・長時間地震動対策に有効なブレース型FMS合金制振ダンパー (2019年開発) を改良し、中日ビル (愛知県名古屋市・2023年7月竣工) に初適用した。

 竹中工務店、NIMS、淡路マテリアの3者は、一般的な鋼材の約10倍の疲労耐久性を有するFMS合金、およびその特長を生かし、複数回の大地震や長周期・長時間地震動に有効で事業継続性向上に寄与する制振ダンパーを共同開発し、2014年よりプロジェクト適用を進めてきた。
 
 2019年にブレース型FMS合金制振ダンパーを開発したが、さらに適用範囲や設計自由度を拡大するためにはダンパー1基当たりの地震エネルギーの吸収性能を高める必要があった。

 今回の開発では、従来技術では困難であったFMS合金どうしの溶接技術を確立した。

 これにより、2019年に開発したブレース型FMS合金制振ダンパーをベースに、地震エネルギーを吸収するダンパー芯材部分を、平鋼を用いる従来型の矩形から、平鋼を溶接して組み立てた十字形にすることができた。

 この結果、従来型と比較し、改良したダンパーでは1基当たり約2倍の地震エネルギー吸収性能を確保した。この性能向上により、設置するダンパーの総数を減らすことができるため、より自由度の高い建築デザイン・大空間の実現・空間の有効利用が可能となり、超高層建物・大規模建物への積極的な適用が可能となった。

 3者は今後、疲労耐久性に優れ、長周期・長時間地震動対策に有効な同ダンパーを積極的に展開し、建築分野に加え土木、他産業分野への応用を目指す。また、これまで同様、複数回の大規模地震を受けても被害を最小限に留めることが可能な特徴を生かし、地震後の事業継続性の維持に寄与する。<物質・材料研究機構 (NIMS)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「現代気候変動入門」(アンドリュー・E・デスラー著/名古屋大学出版会)

2023-11-30 09:33:19 |    宇宙・地球



<新刊情報>



書名:現代気候変動入門~地球温暖化のメカニズムから政策まで~

著者:アンドリュー・E・デスラー

監訳:神沢 博   

訳者:石本美智

発行:名古屋大学出版会

 「気候とは何か」といった初歩の初歩から、脱炭素に向けて世界がとるべき対策まで、温暖化に関する科学と政治・経済をバランスよく記述。懐疑論への応答も随所に交えながら、問題の全体像を、理解に必要な深さまで明快に語る、「文系」「理系」双方へ向けたスタンダードかつ最良の書。【目次】 第1章 気候問題序論 第2章 気候は変化しているのか 第3章 放射とエネルギー収支 第4章 単純な気候モデル 第5章 炭素循環 第6章 強制力、フィードバック、気候感度 第7章 気候はなぜ変化するのか 第8章 未来の気候変化の予測 第9章 気候変化による影響 第10章 指数関数的増加 第11章 気候変化政策の基礎知識 第12章 緩和政策 13章 気候科学と政治の小史 第14章 全体のまとめ—— 気候変化に対処する長期的な政策
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「世界で第何位? 日本の絶望 ランキング集」(大村大次郎著/中央公論新社)

2023-11-29 09:34:09 |    企業経営



<新刊情報>



書名:世界で第何位? 日本の絶望 ランキング集

著者:大村大次郎

発行:中央公論新社(中公新書クラレ)

 実は途上国並みの水洗トイレ事情。医師の人数や集中治療室は少ないのに、精神科ベッド数は断トツ世界一。韓国よりも安い賃金、低い製造業の労働生産性、低い大学進学率。子供、若者の自殺大国。外国旅行は「高い買い物」になった日本人……等々、50を超える国際データを比較検証。実質的に世界一の資産大国・債権国ではあるが、少子高齢化が進み、格差が広がる日本の衰退を防ぐ方策はあるか? データ分析のプロ・元国税調査官が読み解く。
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●科学技術ニュース●日本郵政、日本郵便とパワーエックス、カーボンニュートラル社会の促進に向けた協業についての合意書を締結

2023-11-29 09:33:46 |    ★炭素ニュース★
 日本郵政、日本郵便およびパワーエックスは、カーボンニュートラル社会の促進に向けた協業についての合意書を締結した。

 日本郵政グループは、その使命および社会的責任を踏まえ、2050 年のカーボンニュートラル化の達成に向けて、2030年度までに温室効果ガスの2019年度比46%削減を目指すこととしており、その中でも、約2万4千局の郵便局を活用した、地域のカーボンニュートラル化を推進していくことが重要と考えている。

 パワーエックスは、再生可能エネルギーの課題である「安定供給(需要と供給のマッチング)」に対して、大型蓄電池の製造・販売、EV チャージステーションのサービス展開、電気運搬船の開発・製造および再生可能エネルギーなどの電力供給事業を展開している。蓄電池などの活用により
電力を「溜める」、「運ぶ」、「使う」を総合的にデザインすることで、脱炭素社会における再生可能エネルギーの爆発的な普及を目指している。

 今後、双方が有する経営資源・ノウハウを活用した以下の取り組みを通じて、日本のカーボンニュートラル化に貢献していく。

・郵便局における大型蓄電池を活用した電力最適化サービスの導入
・郵便局における再生可能エネルギー電力の利用促進 など

 同合意を踏まえ、日本郵便は、2024年8月以降、岡山郵便局(岡山県総社市)においてパワーエックスが提供する大型蓄電池「PowerX Mega Power」を活用した電力最適化サービスを導入する。

 その結果を踏まえ、今後の更なる展開を検討する。<日本郵便>
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●科学技術ニュース●NIMS、東京大学と東京理科大学、世界初、有機半導体を水溶液中で精密にドーピングする基盤技術を開発

2023-11-29 09:33:15 |    化学
 物質・材料研究機構 (NIMS)と東京大学、東京理科大学からなる研究チームは、真空や窒素雰囲気を扱う特別な設備を用いずに、有機半導体を水溶液中で精密にドーピングする基盤技術を世界で初めて開発した。

 この技術の極めて重要なブレークスルーは、これまで見過ごされてきた「水」を利用するというパラダイムシフト。

 半導体デバイスの製造にはドーピング処理が不可欠。有機半導体の化学ドーピングには酸化還元試薬が使われている。効果的な酸化還元試薬ほど水や酸素と反応しやすいため、真空中や窒素雰囲気で試薬を扱う特別な設備が必要であった。さらに、こうした設備を用いてもドーピング量の精度や再現性は低い状況にあった。これらは有機半導体の産業応用に対して大きな障壁となっていた。

 今回、同研究チームは、大気下・水溶液中でのベンゾキノンとヒドロキノンの酸化還元反応を利用した化学ドーピング技術を開発した。

 この反応の傾向は、pHで表される酸性度によって調節される。これは光合成の電子伝達系などで活用されている機構。有機半導体薄膜をベンゾキノン、ヒドロキノンと疎水性陰イオンの水溶液に浸すと化学ドーピングが生じた。ドーピング・レベルは水溶液のpHによって変化し、電気伝導度は約5桁の広範囲にわたって正確かつ一貫して制御された。

 有機半導体は柔軟、軽量であり、インクジェットなどの低コスト印刷プロセスに適した材料。

 同技術により、フィルム状のセンサーや電子回路、ディスプレイ、太陽電池といったフレキシブルデバイスの産業応用が促進されると期待できる。同技術を用いたフィルム型pHセンサーの原理も実証しており、ヘルスケアやバイオセンシングへの展開も期待される。

 同研究は 、ナノアーキテクトニクス材料研究センター超分子グループの石井政輝 研修生 (東京理科大学 大学院生) 、山下侑(別ウィンドウで開きます) 研究員 (東京大学 客員連携研究員兼務) 、有賀克彦(別ウィンドウで開きます) グループリーダー (東京大学 教授、東京理科大学 客員教授兼務) 、竹谷純一 主席招聘研究員 (東京大学 教授兼務) 、東京大学の渡邉峻一郎 准教授からなる研究チームによって実施された。<物質・材料研究機構 (NIMS)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「AIプロファイリングの法律問題」(福岡真之介、杉浦 健二、古川直裕、木村菜生子編著/商事法務)

2023-11-29 09:32:48 |    企業経営



<新刊情報>



書名:AIプロファイリングの法律問題~AI時代の個人情報・プライバシー~

編著:福岡真之介、杉浦 健二、古川直裕、木村菜生子

発行:商事法務 

 プロファイリングとは、わかりやすくいえば個人の情報を収集・分析してその個人の性質・嗜好・行動などを予測することをいう。そして、その予測に基づいて、プロファイリング対象者に対して何らかの判断がなされる。プロファイリングを利用することで、個人の好みやニーズを把握して、その人に合わせてカスタマイズされたサービスを提供することができるようになり、個人の満足度・利便性を向上させることや、資源配分の最適化による社会の効率性を上げることができるというメリットが生じるが、一方ではプライバシーの侵害、内心の自由の侵害、不当な差別・不公平の助長、民主主義への悪影響、誤った結果利用といった問題もはらんでいる。同書は、2020年7月にAI法務に携わる弁護士および法学者等が中心となって設立したAI法研究会・プライバシー部会のメンバーによる、約2年間にわたる検討の成果をまとめたもの。プロファイリングの法律問題を考える際に必要な、憲法、個人情報保護法から海外の法規制までひろく目配りし、リスクベース・アプローチに基づいたフレームワークを提示する。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「免疫「超」入門」(吉村昭彦著/講談社)

2023-11-28 09:38:13 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:免疫「超」入門~「がん」「老化」「脳」のカギも握る、すごいシステム~

著者:吉村昭彦

発行:講談社(ブルーバックス)

 パンデミックによって感染症や免疫に関する情報を目にすることが多くなり、私たちの知識も増えたように見える。ただ、そこで出てきた情報は、曖昧なものや誤った情報、感情的なものなどもあり、玉石混淆ともいえる。同書ではあらためて、ウイルスなどの病原体がどのように感染を起こし、免疫がどのように働くのか、その複雑なしくみを、基本から正しくわかりやすく解説する。また、身体を守るための免疫が、アレルギーの原因となるなど、ときには自分に攻撃的にもなるメカニズムについて解説。免疫が低い場合についてはもちろん、過剰な場合の脅威にも触れる。後半では、さまざまな病気との関連、特にがんとの関係について、期待される免疫療法を軸に展開する。さらに、免疫は、老化と脳にも深く関わっているという研究が進んでおり、今後の医療への応用も期待できる。認知症や脳梗塞などを、免疫という視点からひもといていく。
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●科学技術ニュース●NTT EDX、同志社大学とNTT西日本、教育・学習活動への生成AI活用実証事業開始

2023-11-28 09:37:49 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報> (2018年5月7日以後)●
 NTT EDX、同志社大学とNTT西日本は、生成AIを利活用した教育・学習支援に関する共同実証の事業を連携して実施し、学生や教職員らを対象とした新たな「教えと学び」の仕組みづくりに取り組む。

 同事業では、高等教育機関における学生個別の学習ニーズに最適化された学習環境を提供する仕組みを構築し、生成AIを効果的に利活用できる学習のあり方の確立をめざす。

 同志社大学では、「数理・データサイエンス・AI教育」に関して、全学部の学生を対象とした全学共通教養教育科目として2022年度から「同志社データサイエンス・AI教育プログラム(DDASH)」を開始し、生成AI等の革新的情報化技術を正しく理解し、利活用できる人物の育成に取り組んでいる。(DDASH:Doshisha Approved Program for Data Science and AI Smart Higher Education)

 今回の実証事業では、DDASHの授業科目において、教育・学習向けの生成AI利用環境を整え、新たな教えと学びの仕組みを生み出す。<NTT>


<生成AI利活用の概要>

(1)学生への学習支援の仕組み
(2)教職員の教育支援の仕組み
(3)生成AIの回答を電子教科書・電子教材に限定した利用検証
(4)生成AIの仕組みを学習向けにチューニングするノウハウの展開

 生成AIは、AIモデルをセキュアな環境で利用できる「Azure OpenAI Service」を採用し、電子教科書は、日本全国約250の高等教育機関の学生・教員が利用中のNTT EDXの電子教科書配信サービス「EDX UniText」にて提供する。(NTT EDXでは、個人情報や機密情報、著作権の保護等も踏まえ正しく活用するための仕組みを用意)

 生成AIと電子教科書の親和性は高く、効果的で利便性の高い学習環境を提供するとともに、学習状況を可視化することも可能。加えて、電子教科書を生成AIの学習源として利用することで、生成AIが返す回答の正確性を検証し、AIを活用する学習環境の信頼性を高める。

 これらの組み合わせによる教育・学習向けの生成AI環境では、学生や教職員が入力したデータを同志社大学のセキュアな情報環境内で、安心して利用できる仕組みとする。
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