物質・材料研究機構(NIMS)の環境・エネルギー材料部門 ジオ機能材料グループの佐久間博主任研究員と、東北大学大学院理学研究科の市來雅啓助教からなる研究チームは、地下10~70km程度の高温・高圧環境でNaCl水溶液 (塩水) がどの程度の電気伝導度となるかを理論的に解明することに成功した。
地中の電気伝導度の計測データと照らし合わせると、地下深部で塩水が存在することを示唆しており、地震発生や火山噴火に地下に存在する塩水が影響するという説を裏付けるものと考えらる。
同研究チームは、水の超臨界状態を再現する分子モデルを開発することで、海水の6分の1から3倍のNaCl濃度の範囲で、実験では観測困難な高温高圧 (温度 : 673~2000 K、圧力 : 0.2~2 GPa) での塩水の電気伝導度を導出することに成功した。
この電気伝導度データから、東北地方の地下を計測した際に見られた高い電気伝導度が、海水程度の塩濃度を持つ塩水の存在で説明できることが明らかになった。
今後、この成果を各地の地殻の電磁気観測と組み合わせて、沈み込み帯などの地震・火山活動が活発な地下深部での塩水の存在を明らかにし、地震発生や火山噴火発生メカニズムの解明を目指した研究を実施していく方針。