“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術ニュース●日東電工とエア・ウォーター、バイオマス由来のCO2からギ酸を製造する取り組みを開始

2023-12-28 10:34:23 |    ★バイオニュース★
 日東電工(Nitto)とエア・ウォーターは、Nittoが有するCO2の化学変換技術を活用し、家畜ふん尿バイオマス由来のCO2から牧草の保存に使われるギ酸(化学式<HCOOH>で表される有機酸製品)を製造する取り組みを開始した。

 同取り組みは、国内有数の家畜ふん尿の処理施設である鹿追町環境保全センターにて実施し、家畜ふん尿由来バイオガスから水素を製造・販売する株式会社しかおい水素ファーム(本社:北海道河東郡鹿追町)から各種ガスを供給する。このたびの協業を通じ、CO2の利活用ならびに大気中のCO2を減らす取り組みを加速する。

 製造したギ酸は、酪農地域でサイレージの添加剤などに利用されるため、CO2の有効利用による社会課題の解決と経済価値の創造の両立に貢献する。

 両社は、技術実証と並行して、酪農地域の特性を最大限に生かした家畜ふん尿由来の水素エネルギー及び環境負荷の低いギ酸の活用や普及に向けた取り組みを、自治体や地域社会とともに進めることで、サステナブルな社会の実現に貢献する。(エア・ウォーター)
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●科学技術ニュース●島根大学、NICTと電気通信大学、生体の視覚を模倣した電源不要な新しい撮像技術を開発

2023-11-21 09:32:33 |    ★バイオニュース★
 島根大学教育学部・大学院自然科学研究科の長谷川裕之准教授、坂本海里さん、正村和也さん、佐野由佳さん、情報通信研究機構(NICT:エヌアイシーティー)未来ICT研究所の笠井克幸主任研究員、田中秀吉研究マネージャー、大友明上席研究員、電気通信大学大学院情報理工学研究科の岡田佳子教授の研究グループ(各研究メンバーの所属等は研究実施当時のもの)が、生体の「視覚機能」を模倣した撮像技術(視覚センサー)を開発した。

 このセンサーでは, 生体由来の材料であり高度好塩菌の細胞膜から抽出して得られる光受容膜タンパク質「バクテリオロドプシン(bR)」を用いているところも特徴。

 島根大学教育学部と情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所、電気通信大学大学院情報理工学研究科の3者は,共同研究により、バイオ材料を用いた、視覚センサーなどの視覚情報デバイス(素子)の構築に関する研究開発を行ってきたが、これまで生体材料でセンサーのようなデバイスを作る場合には大きな問題があった。生体材料は一般に熱や薬品、乾燥などに弱いため、例えば半導体の製造技術には適合しない。視覚センサーの作製には様々な形状を造り出す必要があるため、生体材料に適した温和な条件で自在にパターニングする技術が必要であった。

 同研究チームは、まずインクジェット技術によって、温和な条件でbRを自在にパターニングする方法を開発し、問題を解決した。

 次に,この手法を用いて、視覚機能を模倣した2種の視覚センサー、「DOGフィルタ」と「Gaborフィルタ」を作製した。

 これらは通常のカメラと異なり,「DOGフィルタ」は物体の輪郭を認識する機能が、「Gaborフィルタ」は物体の動きや方向を認識する機能が備わっており、一般のカメラとは「見える画像」が異なる。

 Gaborフィルタでは、試行実験として、「生」の文字を読み取らせたところ、縦の線分のみを認識した画像が得られた。この特定方向の線分のみを抽出する特徴を活かして、生産現場での不良品の検出などへの応用が期待される。

 今回の視覚センサーは外部電源が不要である点も特徴。省エネルギーな印刷技術で作製でき、培養で生産できる生体材料を利用した点も相まって、持続可能な開発目標(SDGs)にも合致した、低環境負荷なセンサー技術として、自動運転車やドローンのカメラに代わるセンサー技術として今後の発展が期待されている。<情報通信研究機構(NICT:エヌアイシーティー)>
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●科学技術ニュース●NEDOの開発事業でスギノマシン、CNFを添加した炭素繊維強化プラスチックの中間材料を開発し曲げや衝撃強度約20%向上

2023-10-12 09:34:34 |    ★バイオニュース★
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発」で、(株)スギノマシンは、セルロースナノファイバー(CNF)製造の大幅なコスト削減を目指し、高コスト化の原因となっているプロセスの飛躍的な改良に取り組んでいるが、今回、少量の自社製CNFをエポキシ樹脂に均一に分散・添加させたプラスチックをシート状に複合化し、そのプラスチックを含浸(がんしん)させた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の中間材料(プリプレグ)を開発した。

 これを成形材料としたCFRP(CNF添加CFRP)は、CNF未添加のCFRPと比べて曲げ強度や衝撃強度が約20%向上となったほか、疲労寿命が約19倍、振動減衰率が約17%、界面せん断強度が約45%の向上を実現した。

 CNFの添加量が少量で済むことから、コストを抑えながら性能を高めることが可能となった。

 今後、テニスラケットやゴルフシャフト、釣り竿、自転車のフレームなど、CFRPの疲労寿命や振動減衰性などの向上が求められる用途をターゲットとして、幅広いスポーツ用途への使用が期待できる。

 スギノマシンは、CFRPの疲労寿命向上や振動減衰が求められているスポーツ用品など、高付加価値用途向け開発を進めるためのサンプルワークを開始し、2027年をめどに高付加価値製品として実用化を目指す。

 また、「ウォータージェット法」で製造したCNFを乾燥化することで、熱可塑性、熱硬化性などのさまざまな樹脂体に適用が可能で、応用範囲が広く、優位性がある。今後、これらの特長を生かしてCFRPや光学用途など、比較的高価なCNFでも高付加価値なビジネスとして展開していく。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術ニュース●東北大学など、世界初となる高粘性糸状菌培養に対応したハイブリッド型高効率シングルユースバイオリアクターを開発

2023-10-10 09:31:54 |    ★バイオニュース★
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」プロジェクトで、佐竹マルチミクス(株)、東北大学、合同酒精(株)は、より低動力で効率良く培養液を撹拌(かくはん)し、通気量を確保することが可能な撹拌システムを確立することで、高粘性糸状菌にも利用可能な200Lのハイブリッド型シングルユースバイオリアクターの開発に世界で初めて成功した。

 これにより従来よりも低い導入コストで、消費動力を低減しながら微生物培養が可能になった。

 今回開発した同リアクターの市場供給価格は、従来のリユース型バイオリアクターと比較すると環境整備を含む導入コストで約40%削減を達成した。また、ランニングコストも市場での一般的なコスト水準の3分の1以下に抑制した。

 今後三者は、さらなる培養評価、耐久評価を進め、2023年度中の製品化・販売を目指す。

 従来のバイオリアクターで用いられてきたラシュトンタービン(6FT)は、通気撹拌を行うことで気泡の分散性と培養液の流動性が低下するため、微生物培養における動力効率に課題があった。

 そこで、通気撹拌時の気泡の分散性を向上させた高効率タービン(HS100タービン)と、培養槽内で強力な撹拌作用を有する軸流インペラ(HR100インペラ)を組み合わせた撹拌システムを糸状菌培養に適用することで、より低動力で効率よく培養液を撹拌可能なバイオリアクターを実現した。

 ここで確立した撹拌システムを使用することで、従来よりも低動力で微生物生産を実施できるようになり、バイオリアクターのシングルユース化が可能となった。

 シングルユース型でも、培養槽内(バッグ内)の滅菌処理自体は必要とされるが、佐竹マルチミクス(株)の独自技術による新規滅菌システムをどうリアクターに適用することで、高額な滅菌設備の導入が不要になった。同時に、運転負荷の高い糸状菌培養にも対応できる頑強性を維持するため、培養槽と配管のみをシングルユース化して一式をシステム化することで同リアクターを完成した。

 現在、東北大学と合同酒精(株)は、本リアクターの製品化に向けた培養評価および耐久評価を共同で進めている。これまでの評価で、同リアクターは培養難度が高い糸状菌培養で十分な生産性を達成することを確認した。今後は、糸状菌だけでなくさまざまな微生物生産で利活用を進め、汎用(はんよう)性をさらに高めていく。

 佐竹マルチミクス(株)は、評価結果を踏まえて2023年度中に200Lスケールまでのリアクターの製品化・販売を目指す。これにより、新規参入事業者が導入しやすい微生物用バイオリアクターの普及を促進し、バイオものづくり技術の適用範囲の拡大、バイオエコノミーのさらなる発展に貢献する。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術ニュース●千葉県茂原市にNEDOバイオファウンドリ拠点が完成

2023-06-27 09:34:55 |    ★バイオニュース★
 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「バイオものづくりプロジェクト」で、Green Earth Institute(株)(GEI)が2021年度から建設を進めていたバイオ生産実証を推進する拠点「バイオファウンドリ研究所」が、千葉県茂原市に完成した。

 同プロジェクトでは、同拠点を活用したバイオ生産実証を行う企業・大学・研究機関などを募集し、ラボスケールなどで開発したスマートセルを最大3000Lの発酵槽までスケールアップして検証できる場を提供し、前処理から精製までの製品実用化の橋渡しを目指す。

 また、2023年度からは発酵生産プロセスにおける最適化・スケールアップおよび数値流体解析(CFD)などの解説、NEDOバイオファウンドリ拠点設備を用いた発酵生産プロセスの運転実習を含む教育講座も計画しており、バイオとデジタルの融合を基盤とする環境保全および技術・人材の整備に貢献する。

 バイオファウンドリ事業終了の2026年度まで順次設備を拡充していく計画。2023年度は精製設備の導入を予定している。また、同拠点を活用してバイオ生産実証を行う企業や大学・研究機関を募集する計画。ラボスケールで開発した有用なスマートセルを最大3000Lの発酵槽でスケールアップ培養して検証できる場を提供し、前処理から精製までの製品実用化の橋渡しを目指す。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術ニュース●NEDO、セルロースナノファイバー(CNF)材料のLCA評価などの手法検討および評価に本格着手

2023-06-20 09:34:10 |    ★バイオニュース★
 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「セルロースナノファイバー材料のLife Cycle Assessment(LCA)等評価手法の検討及び評価」で、セルロースナノファイバー(CNF)の社会実装を加速すべく、5つの研究開発テーマを採択し、本格的に着手する。

 同事業は、CNFの特徴である二酸化炭素(CO2)削減効果やリサイクル性の高さなどを、既存の石油原料由来の材料などと比較した結果を可視化し、脱炭素社会におけるCNFの役割を明確にすることで、CNF関連事業を加速させることを目的としている。

 NEDOは、同事業を通じて、CNFの有用性を広く訴求し、社会実装を推し進めることで、カーボンニュートラル社会の早期実現に貢献する。

 同事業では、さまざまな産業のデータベースや、各製造工程などにおける物質・エネルギー・資金のバランスに関するデータなど、プロセスデータを測定・解析することでLCA評価を行う。

 さらに、CNF材料の特徴であるCO2削減効果やリサイクル性の高さなどを、既存の石油原料由来の材料などと比較して可視化する。

 加えて、CNF関連事業などを取り巻く産業連関分析(IOA:Input-output analysis)や、マテリアルフロー分析(MFA:Material flow analysis)などを実施することで、国内産業や経済への波及効果を明確にする。

 LCA評価手法や分析結果などの成果は、国内外の関連学会や学術雑誌などにおいて積極的に発表し、CNFの有用性を広く訴求することで社会実装を推し進め、カーボンニュートラル社会の早期実現に貢献する。

 2050年カーボンニュートラル実現に向けて、NEDOは、2020年度から「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発」を開始し、CNFの社会実装に向けた技術開発を進めている。

 今回、脱炭素社会実現に向けたCNF材料の貢献度や役割を明確化することを目的に、ライフサイクル思考に基づいたLCA評価などの手法検討および評価に本格着手する。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術ニュース●産総研とJST、バイオマス由来の2種のプラスチックを組み合わせた新素材を開発

2023-05-31 09:42:54 |    ★バイオニュース★
 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)触媒化学融合研究センター 吉田 勝 研究センター長、田中 慎二 主任研究員、小野 英明 産総研特別研究員らは、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)と共同で、バイオマス由来のポリエステルとポリアミドを組み合わせた新しいプラスチック素材を開発した。

 この技術は、バイオマスから合成可能な生分解性高分子として知られるポリブチレンサクシネート(PBS、ポリエステルの一種)と、同じくバイオマスから合成可能な生分解性高分子であるポリアミド4(PA4、ポリアミドの一種)を繰り返し結合させた新素材を得るもの。

 この素材は、透明なフィルムとして成形することが可能。このフィルムは、汎用プラスチック水準の強度を示し、また、引き伸ばすほど強度が増すという特徴を有している。

 同複合材料は、汎用プラスチックフィルムや繊維の代替品や医療プラスチックへの応用が期待され、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献する。

 今後は、合成経路を見直し、コストダウンを図る。また、物性や機能性の詳細な評価を通じて、同材料に適する製品群を選定する。さらに、別種のポリエステルやポリアミドの組み合わせの検証を通じて、多様なニーズにも応答可能な新材料の開発を目指す。<産業技術総合研究所(産総研)>
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●科学技術ニュース●関西電力、国内最大のバイオマス発電所となる相生バイオマス発電所の本格運転開始

2023-03-30 09:35:30 |    ★バイオニュース★
 関西電力は、同社が出資する相生バイオエナジーが、2020年2月から木質ペレットを主燃料とする「相生バイオマス発電所」の建設を進めてきたが、2023年3月24日、本格運転を開始したと発表した。

 同発電所は、発電出力20万kW、国内最大のバイオマス発電所となる。

 バイオマス発電は、大気中のCO2を吸収しながら成長する植物に由来する燃料を使用する、カーボンニュートラルな発電方法のひとつ。

 同発電所の年間発電量は約13.5億kWhであり、一般の家庭に換算して約43万世帯分の年間使用量に相当し、年間約55万tのCO2削減を見込んでいる。

 同社グループは、2040年までに国内で再生可能エネルギー500万kWの新規開発、累計900万kW規模の開発に取り組んでおり、今後も引き続き、ゼロカーボン社会の実現を目指す。<関西電力>


事業者:相生バイオエナジー株式会社
出資会社:関西電力(60%)、三菱商事クリーンエナジー(40%)
所在地:兵庫県相生市相生柳山5315番地46
発電出力:200,000kW
発電電力量:約13.5億kWh/年
主 燃 料:木質ペレット
売 電 先(FIT 分): 関西電力送配電
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●科学技術ニュース●神戸大学と理研、光合成が始まる瞬間の代謝機構を解明

2023-03-03 09:37:21 |    ★バイオニュース★
 神戸大学先端バイオ工学研究センターの蓮沼誠久教授、田中謙也特命助教らと、理化学研究所の白井智量上級研究員らの研究グループは、藍藻(シアノバクテリア)における光合成のCO2固定代謝が、光照射開始とともにスムーズに始まるメカニズムを明らかにした。

 今後、明暗が時間変化する自然環境中でも安定した物質生産が可能な藍藻の作出指針となることが期待される。

 同研究では藍藻細胞を暗期から明期へ移した後、秒単位でサンプルを採取することで光合成開始に伴って起こる高速代謝変化を詳しく調べた。

 この結果、解糖系の代謝物である3ホスホグリセリン酸 (3PG)、2ホスホグリセリン酸 (2PG) 、ホスホエノールピルビン酸 (PEP) が光照射後、急速に減少することが分かった。一方、CO2固定を担うカルビン回路のほとんどの代謝物は急激に増加した。

 このことから光合成活性化時には解糖系からカルビン回路への代謝物の変換が最初に起こることが示唆された。

 さらに同位体で標識されたCO2を取り込ませる実験を行うことで、光照射後にどの代謝経路が実際に動いているのか調べた。その結果、解糖系やカルビン回路以外の代謝経路 (たとえばトリカルボン酸回路; TCA回路など) は光照射直後には不活性であることが分かった。

 これらの結果を受けて、光照射後から1分間の代謝物の流れ (代謝フラックス) の変化を計算してみたところ、解糖系の代謝物 (3PG, 2PG, PEP) がカルビン回路代謝物へと変換され、CO2が付加される代謝物であるリブロース1,5-ビスリン酸 (RuBP) が蓄積することが明らかになった。

 また、その間、徐々にCO2固定反応、すなわちRuBPにCO2が付加する反応が増加することも示された。

 この解析からCO2固定反応 (すなわち光合成) を開始するためにはRuBPの元となる解糖系の代謝物の蓄積が必要だと分かった。

 今回明らかとなった光照射に伴って光合成がスムーズに始まる代謝基盤は、環境適応機構において代謝物濃度の適切な維持が重要であることを示唆している。今後、代謝物濃度やその維持機構に着目することで新たな環境適応機構が明らかとなることが期待される。

 一方、解糖系代謝物を暗期で蓄積する有用物質生産株を開発することで、明暗環境変化下において迅速な光合成の開始が可能となり、生産量の安定化や効率化が期待される。<神戸大学>
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●科学技術ニュース●日本製紙、住友商事とGEI、国内初のセルロース系バイオエタノール商用生産およびバイオケミカル製品への展開に向け協業

2023-02-22 09:38:27 |    ★バイオニュース★
 日本製紙、住友商事 およびGreen Earth Institute(GEI)は、「木質バイオマスを原料とする国内初のセルロース系バイオエタノール商用生産およびバイオケミカル製品への展開」に向けた3社による共同検討を開始することに合意した。

 現在、バイオエタノールは、再生可能エネルギーやSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)のようなバイオ燃料の原料、環境負荷の低い化学品原料として、カーボンニュートラル社会の実現に向け世界各国で注目されている。

 木質バイオマスを原料とするセルロース系エタノールは第二世代エタノールに分類され、森林資源が豊富な我が国において、国内森林資源の利活用、エネルギー安全保障やエネルギー自給率の向上といったさまざまな問題を解決できる可能性がある。

 このような状況を踏まえ、3社は日本製紙の工場内で、年産数万キロリットルの国産材由来のバイオエタノールを2027年度に製造開始することを目指し、検討していく。

 製造されるバイオエタノールは、国産材の利活用や脱炭素社会への寄与を考慮して、主に国産SAFなどの原料としての利用を前提とし、バイオエタノール製造で副次的に生成されるカーボンニュートラル由来CO₂を用いたCCU(Carbon dioxide Capture, Utilization:CO2を分離・回収し、資源として作物生産や化学製品の製造に有効利用すること)や発酵プロセスの残渣の有効活用など、脱炭素社会に寄与するカーボンリサイクルの取組みも同時に検討していいく。

 3社が相互に強みを発揮し、国産材を活用した、国内初の純国産セルロース系バイオエタノール商業プラントを実現し、低炭素バイオ燃料の早期社会実装や、我が国のエネルギー安全保障に寄与することを目指す。<日本製紙>
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