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“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「もう一歩先へ進みたい人の 化学でつかえる線形代数」(北條博彦/コロナ社)

2025-08-27 09:40:07 |    化学



<新刊情報>



書名:もう一歩先へ進みたい人の 化学でつかえる線形代数

著者:北條博彦

発行:コロナ社

 化学分野の諸問題に潜む線形代数の要素を、化学専攻の目線から解体・解説する。同書は、化学を専攻している人の視点で書いた線形代数の本。化学ではいろいろな問題に出会うが、その中には線形代数的な要素を隠しもったものがたくさんある(特に化学系の学生にとって、量子化学のつまづきは、ほぼ線形代数部分でのつまづき)。同書ではその中から代表的なものを拾いあげ、線形代数の顔をあらわにしながら、あわせて線形代数の用語やルールを説明。【目次】第1章 分子構造 第2章 結晶格子 第3章 対称性と群論 第4章 分子力学 第5章 多変量解析 第6章 量子化学
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「二次イオン質量分析法<第2版>」(日本表面真空学会編/丸善出版)

2025-06-16 09:04:25 |    化学



<新刊情報>



書名:二次イオン質量分析法<第2版>

編者:公益社団法人 日本表面真空学会

発行:丸善出版(表面分析技術選書)

 二次イオン質量分析法(SIMS)は、試料表面にイオンビームを照射し、飛び出した二次イオンの質量を検出して物質を同定し、さらに各物質の試料中での分布をイメージングする手法である。金属や半導体から高分子材料,、生体試料にも適用できる分析法として、多くの研究分野で活用されている。25年ぶりの大改訂となる同書では、重要性の高い基礎的な内容だけでなく、目的別の応用例を大幅に拡充。これからSIMSを使い始める学生はもちろん、現場の実務者にとっても有用な手引きとなる一冊。【目次】1 二次イオン質量分析法(SIMS)とは何か 2  SIMSの原理 3 SIMS装置の基礎 4 SIMSによる測定の実際 5 SIMSの応用・発展
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●科学技術ニュース●九州大学など、AIを活用し化学反応の理解を自動化する仕組みを開発

2025-06-12 09:34:36 |    化学
 九州大学先導物質化学研究所の川島恭平助教、佐藤拓海氏(総合理工学府・博士前期課程修了)、森俊文准教授は、大阪大学大学院基礎工学研究科の金鋼准教授、松林伸幸教授、分子科学研究所/総合研究大学院大学の岡崎圭一准教授とともに、化学反応の遷移状態を予測する深層学習を自動的に構築する手法を開発し、これを用いて多数の原子が存在する系でも遷移状態を適切に予測できることを示した。

 さらに、様々な深層学習モデルを調べることで、モデルの形が異なっても、得られる遷移状態の特徴は変わらないことを明らかにした。

 今回の発見は、深層学習による広範な化学反応の遷移状態予測の実現に重要な一歩であり、AIを用いた化学反応の設計や、深層学習を用いた様々な課題解決の効率化に貢献できることが期待される。

 今回の共同研究グループは、深層学習の煩雑なハイパーパラメータ決定プロセスを自動化する方法を開発し、これを化学反応のシミュレーション解析へと展開することで、多数の溶媒分子を含む環境下での反応であっても遷移状態の予測ができることを実証した。

 研究ではまず、分子動力学シミュレーションと呼ばれるコンピュータシミュレーションによって、ポリペプチド鎖の異性化反応過程に沿った分子構造を多数収集する。また、これらの構造から生成物へと到達できる「確率」をシミュレーションによってそれぞれ求める。

 次に、分子の座標を入力変数、生成物へと到達する確率を出力変数として、両者の関係を学習する深層学習モデルを構築することを目指す。

 従来は、ここで深層学習モデルのハイパーパラメータを指定する必要があるが、今回我々は、ベイズ最適化と呼ばれる最適化手法を用いて、最適なハイパーパラメータを自動的に決定する方法を開発した。これにより、遷移状態へと到達する確率を一番よく再現できる深層学習モデルの自動決定を実現した。

 この手法によりポリペプチド鎖の異性化反応の遷移状態を予測する深層学習モデルを求めたところ、初期条件の違いにより、ハイパーパラメータの異なる様々な深層学習モデルが同程度の精度で得られた。

 これらの深層学習モデルの違いを調べるために、「説明可能なAI」と呼ばれる人工知能の技術を活用して、どのような入力変数(分子構造座標)が反応の成否の決定に寄与しているかを特定した。

 その結果、深層学習モデルの形は異なっても、重要となる入力変数は変わらないことが明らかになった。これにより、深層学習を用いた異性化反応のメカニズムの理解と遷移状態の予測に成功した。

 さらに、これを溶媒として水分子が多数存在する環境下での異性化反応へと適用したところ、これまでほとんど成功例がなかった溶媒存在下での反応座標の決定にも成功した。

 同研究成果は、深層学習の煩雑なモデル作成を自動化することで、複雑な系での化学反応であっても遷移状態を予測できることを実証した例になる。

 遷移状態の予測は、化学反応の選択性・効率の向上や新規反応の設計に直結する。また、酵素反応や生体分子の機能発現など、より複雑な状態変化のメカニズム解明にも応用でききる。さらに、深層学習は、化学反応に限らず広範な利用が期待でき、今回の研究成果を応用すれば、深層学習を用いた物性予測・分子設計理論の深化や、機械学習を用いた様々な課題解決の効率化に貢献できることが期待される。<子科学研究所(分子研)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>「図解入門 よくわかる最新 量子化学の基本と仕組み」(齋藤勝裕著/秀和システム)

2025-06-03 09:42:43 |    化学



<新刊情報>



書名:図解入門 よくわかる最新 量子化学の基本と仕組み

著者:齋藤勝裕

発行:秀和システム

 同書は、「量子化学はわかりやすくて楽しい理論だ」と思っていただける画期的な入門書。20世紀初頭、それまでの科学理論をひっくり返すような二大理論が誕生した。それが相対性理論と量子論。量子化学は、化学に量子論を取り込むことで、さまざまな現象を解明する研究分野。同書は、学生や一般の方向けに量子化学の基礎から分子軌道論まで、ほとんど「数学抜き」で、「言葉と図」だけで丁寧に説明した画期的な入門書。数学はもちろん化学が苦手という方でも、コーヒー片手に「フムフムナルホド」と楽しく読み進めることができる。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「金属有機構造体(MOF)研究の動向と用途展開」(田中大輔ほか/シーエムシー出版)

2025-05-28 09:41:46 |    化学



<新刊情報>



書名:金属有機構造体(MOF)研究の動向と用途展開

著者:田中大輔ほか

編集:シーエムシー出版編集部

発行:シーエムシー出版

 近年、新しい多孔性材料として応用研究が活発化している金属有機構造体(Metal-organic framework;MOF)についてまとめた1冊。ジャングルジムのような分子構造をもつMOFは、多様な金属イオンと有機配位子から合成され、ナノサイズレベルでの構造制御が容易。大きな表面積、大きな細孔容積をもつため、ガス貯蔵,ガス分離、不均一系触媒、センサ、プロトン伝導体、DDSキャリアといった、様々な用途への応用研究が活発化。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「大気を変える錬金術」(トーマス・ヘイガー著/みすず書房)

2025-05-13 09:36:26 |    化学



<新刊情報>



書名:大気を変える錬金術~ハーバー、ボッシュと化学の世紀~

著者:トーマス・ヘイガー

解説:白川英樹

訳者:渡会圭子

発行:みすず書房

 空気から固定窒素をつくるハーバー=ボッシュ法の発明は、化学の力で文字どおり世界を一変する半世紀をひらいた。固定窒素は“賢者の石”であり、「それを探そうとする者はそれぞれ強迫的な思いにとりつかれ、それぞれの悲劇を味わった」発明の前史から説き起こしているが、同書の中心はハーバーとボッシュ、とりわけカール・ボッシュの物語だ。アンモニア合成法の発明によって物質変換の威力の虜となり、一個人には背負いきれないほどの社会的責任を担ってしまった一人の天才的なエンジニアとして、ボッシュの人物像が浮かび上がる。彼が直接間接にかかわった無数の命の重さを考えれば、ときに表層的とも思える描像ではあるが、にもかかわらず読む者を何度も戦慄させるに足る事実がここには書かれている。将来、エネルギーと環境の問題を克服する夢の科学技術が現れるなら、それこそは、人類が絶対にあけてはならないパンドラの箱かもしれない。大量の固定窒素が生物圏全体を変質させ、戦争の形態を変え、ヨーロッパの政治経済を大きく変容させた。発展の裏で人々にもたらされた悲惨、環境への負荷の大きさもまた、計りしれない。最終章では窒素サイクルを変えた人類へのしっぺ返しともいうべき、グローバルな環境影響が明かされる。今日の繁栄の代償の大きさに言葉を失う。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「化学の基礎」(沼田ゆかり、髙田知哉/三共出版)

2025-04-23 09:39:23 |    化学



<新刊情報>



書名:化学の基礎 ~原子から生命現象まで~

著者:沼田ゆかり、髙田知哉

発行:三共出版

 文系・理系を問わず、化学の素養が身につく、教養のテキスト。化学を専門としない学生に向けた初歩的な内容から、化学の専門課程で基盤となる教養の化学を、平易・簡潔に解説。化学的な視点で物事を俯瞰するチカラを養う。【目次】原子の構造、元素の周期律、物質の量の取り扱い、化学結合、物質の存在状態とそれらの間の変化、化学変化にともなう熱、化学平衡、化学反応の速度、酸と塩基、酸化と還元、物質の溶解と溶液の性質、電気化学、有機化合物、高分子化合物、生体関連物質、生命現象と物質
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「例題で学ぶ 物理化学」(村上能規、齊藤貴之、Dr.rer.nat. 、寺門修、水野章敏、岸岡真也、渡辺昭敬/森北出版)

2025-04-16 09:50:31 |    化学



<新刊情報>



書名:例題で学ぶ 物理化学

著者:村上能規、齊藤貴之、Dr.rer.nat. 、寺門修、水野章敏、岸岡真也、渡辺昭敬

発行:森北出版

 同書は、豊富な例題を通して計算力をしっかり身につけることができるテキスト。公式を使った計算の仕方だけでなく、その公式の意味や内容を理解できるように工夫している。各章末には難易度別に問題が用意されているので、理解度チェックや試験対策など、目的に合わせて学習できる。【目次】Chapter 1 気体の運動と状態方程式 Chapter 2 熱力学と熱化学 Chapter 3 化学平衡と液体・固体の性質 Chapter 4 溶液の性質―イオン,コロイド,界面現象 Chapter 5 反応速度と反応機構 Chapter 6 量子化学の基礎 Chapter 7 原子核の崩壊と放射性元素 付録
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「基礎講義 無機化学」(小澤文幸著/東京化学同人)

2025-03-03 09:40:37 |    化学



<新刊情報>



書名:基礎講義 無機化学

著者:小澤文幸

発行:東京化学同人

 同書は、無機化学を基礎とする❝大学化学の入門書❞であり、高校と大学の橋渡しとなる教科書。大学1年生向けに、数式の使用を極力避け、化学の仕組みをやさしく理解できるよう書かれているが、やさしい内容の中にも学問的な厳密さは失われないよう配慮されている。【目次】1章 元素と原子─原子の成り立ちを知る 2章 元素の性質─原子パラメーターにみる元素の特性 3章 元素と化合物─単体と化合物にみる元素の特性 4章 分子の構造と結合Ⅰ─ルイス構造からはじめよう 5章 分子の構造と結合Ⅱ─分子軌道を組立てる 6章 固体の構造と結合─結晶の成り立ちを知る 7章 酸と塩基─酸と塩基の基礎を学ぶ 8章 酸化と還元─酸化還元反応の基礎を学ぶ
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「アトキンス一般化学 上<第8版>」(P. Atkins、L. Jones、L. Laverman、J. Patterson、K. Young著/東京化学同人)

2025-02-26 09:43:05 |    化学



<新刊情報>



書名:アトキンス一般化学 上<第8版>

著者:P. Atkins、L. Jones、L. Laverman、J. Patterson、K. Young

訳者:渡辺 正

発行:東京化学同人

 アトキンス氏が完成度を限界まで高めた決定版“本物の化学力を養う”ための入門教科書の邦訳10年ぶりの改訂版。本格的な“化学の理屈”へと向かう道案内になる教科書の最新版で、高校化学と大学以上の専門化学をつなぐレベル。 確かな解説とともに、「地球がバスケットボールなら、大気の厚みは 1mmしかない」など、学習者がイメージしやすい比喩も随所にあって大変わかりやすい。【訳者があげる7つの美点】①高校化学の復習ができる親切な“序章”②絶妙な全体構成③身近なものや現象にフォーカス④明快な図と写真⑤大切な理論式の導出をコラム化⑥ハッとさせる例示や比喩⑦豊富な例題と復習問題
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