“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「あれもカガク、これもカガク サクッと錯体」(中沢 浩、西原康師、長谷川靖哉著/化学同人)

2024-09-19 09:33:31 |    化学



<新刊情報>



書名:あれもカガク、これもカガク サクッと錯体

著者:中沢 浩、西原康師、長谷川靖哉

発行:化学同人

 高校化学では錯体や錯イオンなどはいちおう習うが、世の中の人たちは有機化合物や無機化合物は知っていても、錯体はよくわからないという人は多いかもしれない。ところが、身のまわりには意外と錯体が使われている。私たちの身体のなかを流れている血にはヘモグロビンがふくまれているし、植物の葉緑体もクロロフィルという色素を使って光合成をしている。そして多くの錯体には色がついている。血が赤いのも、宝石のサファイアが青いのも、錯体が関係している、同書ではまず色について解説し、だんだんカガクの、そして錯体について説明していく。この本を読み終わったときには、きっと錯体カガクのおおよそのイメージがつかめ、錯体化合物が世のなかの至るところで活躍していることがわかるであろう。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「初歩から学ぶ無機化学」(平川和貴著/コロナ社)

2024-09-11 09:49:26 |    化学



<新刊情報>



書名:初歩から学ぶ無機化学

著者:平川和貴

発行:コロナ社

 同書は、高等学校で学ぶ化学の一歩先を扱っている。読者の皆様には、工学部や理学部、医学部、歯学部、薬学部、農学部などを含めた理系大学生の主に1~2年生、高等専門学校における専攻科生、文系の大学生で教養科目として化学を学ぶ学生、各種資格試験などで大学卒業程度の無機化学を学ぶ必要がある方、化学を学びなおしたい社会人の方を想定している。化学を初めて勉強する方の場合、同書のみを読み進んで頂くこともできるが、高等学校の教科書と併用することで無機化学を一から大学卒業レベルまで学ぶことができる。また,専門用語にはできるだけ英語を併記している。化学を含む理系や技術系の学術用語は、日本語と英語が一対一で対応しているという特徴がある。そこで同書を英語の勉強にも役立てて頂けると幸いである。大学院入試の英語の対策に使えるし、技術系の国際的な仕事に就かれる方の役に立つと思う。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「固体材料開発のフロンティア」(日本化学会編/化学同人)

2024-07-23 09:36:54 |    化学



<新刊情報>



書名:固体材料開発のフロンティア (CSJカレントレビュー:49) ~熱力学的支配を超えた物質合成と新機能開拓を目指して~

編者:日本化学会

発行:化学同人

 力学特性、電気特性、磁性、触媒活性など特異な機能をもつ固体化合物は、構造材料や電子材料、エネルギー材料として極めて有用である。熱平衡条件下での反応により合成可能な固体化合物の構造や機能は限られるが、非熱平衡反応を利用した準安定な組成や構造をもつ化合物に目を向けると広大な未開拓領域が広がっている。同書では、高圧環境、ナノサイズ化、エピタキシャル薄膜成長、電気化学反応やイオン交換などを駆使した合成と機能開発、第一原理計算や機械学習を用いた大規模な構造・機能予測を中心に、固体材料研究の最前線と将来展望をまとめた。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「化学における情報・AIの活用 (CSJカレントレビュー:50」(日本化学会編/化学同人)

2024-07-22 09:43:37 |    化学



<新刊情報>



書名:化学における情報・AIの活用 (CSJカレントレビュー:50)~解析と合成を駆動する情報科学~

編者:日本化学会

発行:化学同人

 日本の叡智を集結した化学総説、CSJカレントレビュー(化学同人社が2010年から発行しているシリーズ)の最終巻は、化学と情報科学の融合を説いた渾身の1冊。これまで化学は、解析と合成を両輪とし理論・実験を行き来しつつ発展し、さまざまな物質を提供してきた。しかし近年、解析と合成に加えて情報という三つの視点で駆動する手法が注目を集め、化学を大きく変えようとしている。この新しい手法の革新性は、化学の研究力、化学産業の生産力に大きな変革をもたらすものと期待される。解析・合成の両輪の融合、化学とプロセスとの連動に向けた最新の研究事例を、広い分野のAI利用化学研究者が紹介。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ファラデーのつくった世界」(藤嶋 昭、落合 剛、濱田健吾著/化学同人)

2024-07-19 09:41:58 |    化学



<新刊情報>



書名:ファラデーのつくった世界~ロウソクの科学が歴史を変えた~

著者:藤嶋 昭、落合 剛、濱田健吾

発行:化学同人

 1本のロウソクを使ったさまざまな実験をつうじて、身のまわりの科学と自然現象を子どもたちに伝えようとした天才科学者ファラデー。有名な電磁誘導の発見以外にも電気モーターの発明や、ベンゼンの発見、半導体現象の発見など、現代の私たちの暮らしを一変させる基本原理をみつけた偉大な科学者だ。もしもファラデーがいなかったら、この世の中はまったくちがったものになっていたかもしれない。同書に掲載しているさまざまな再現実験は、二次元コードで動画をすぐに見られる。知的好奇心をくすぐる1冊。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「表面処理が一番わかる」(小柳拓央著/技術評論)

2024-07-10 09:54:53 |    化学



<新刊情報>



書名:表面処理が一番わかる

著者:小柳拓央 

発行;技術評論社(しくみ図解シリーズ)

 金属の板材などの素材を加工する場合、素地のままで製品にすることはほとんどなく、防錆・防食、耐摩耗性の付加、機能の向上、外観や質感を高めるなどの目的で塗装やめっき、化成処理、アルマイトなどの表面処理が施される。同書は、工業製品の大半を占める金属材料の表面処理に絞って解説することで、表面処理の全体像をつかむことができる。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「基礎 界面とコロイドの化学」(類家正稔著/東京電機大学出版局)

2024-07-04 09:33:54 |    化学



<新刊情報>



書名:基礎 界面とコロイドの化学

著者:類家正稔

発行:東京電機大学出版局

 化学を専攻する学生のために書かれた界面化学およびコロイド化学の入門書。理解が深まるよう家庭でもできる実験課題を用意。界面化学を身近に感じる工夫を凝らした。界面化学特有の数式の証明や導入を丁寧に解説。その他必要となる数学公式や物理定数表を付録に掲載。直感的な理解を促すため図表や写真を豊富に掲載。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「最強に面白い 周期表」(桜井 弘監修/ニュートンプレス)

2024-07-02 09:34:08 |    化学



<新刊情報>



書名:最強に面白い 周期表~小さいけれど本格派! 史上最強の完全元素図鑑!!~

監修:桜井 弘

発行:ニュートンプレス(ニュートン超図解新書)

 ロシアの化学者のドミトリ・メンデレーエフ(1834~1907)は、化学の教科書を執筆しながら、元素をどのように紹介したらいいだろうかと考えていた。「次々に発見される元素をどう整理するか」という問題は、当時の化学者たちの議論の的となっていた。発見された元素を軽い順番に並べてみたところ、何らかの規則性がひそんでいるようだったからである。そこでメンデレーエフは、元素を一つ一つカードに書いて並べて、元素を紹介するのに都合のよい並びを探した。そして1869年、ついに決定版といえる元素の一覧表を発表した。それが、世界ではじめての元素の「周期表」である。同書は、周期表と全118種類の元素を、楽しく学べる1冊。“最強に”面白い話題をたくさんそろえたので、どなたでも楽に読み進めることができる。周期表に並んでいる118種類の元素が、きっと身近に感じられるはず。どうぞお楽しみください。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「文系にもわかる 一気読み! 化学入門」(平山令明著/エクスナレッジ)

2024-05-20 09:41:01 |    化学



<新刊情報>



書名:文系にもわかる 一気読み! 化学入門

著者:平山令明

発行:エクスナレッジ

 化学が苦手な人も、挫折した人も、これから化学を学びたい人も必読の一冊。同書は、多くの書籍で誰よりも化学をわかりやすく説明してきた著者だからこそ実現した、通読して理解できる化学の入門書。この世界のさまざまな物質は、どのように成立ち、どのように変化するのか-化学の要点を基礎から順序立てて説明し、複雑な化学式を覚えなくても、原子や分子、結合、エントロピー、エンタルピーなどについて正しく理解を深めることができる。一見、多様で複雑に見える物質世界の根底にあるルールとは何か?それにより生命活動を含めた多くの現象が一気に理解できるようになれば、化学がもっと面白くなる。【著者】平山令明 1948年、茨城県生まれ。1974年、東京工業大学大学院修了。ロンドン大学博士研究員、協和醗酵工業(株)東京研究所主任研究員、東海大学開発工学部教授、東海大学医学部教授、東海大学糖鎖科学研究所所長、東海大学先進生命科学研究所所長を経て、2022年から東海大学医学部客員教授。理学博士。現在のおもな研究課題は、コンピュータ科学を駆使した、より効果的で、より安全な医薬品の開発。さらに、人間のQOL向上につながる有用物質の探索・創製にも興味を持って研究活動を展開している。著書に『「香り」の科学』『暗記しないで化学入門』『熱力学で理解する化学反応のしくみ』『分子レベルで見た薬のはたらき 第2版』『はじめての量子化学』(いずれも講談社ブルーバックス)、『教養としてのエントロピーの法則』(講談社)などがある。
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●科学技術ニュース●日立造船、オマーンでのメタネーション(メタン合成技術)実証に関する覚書を締結

2024-05-08 09:35:43 |    化学
 日立造船および同社の100%子会社であるHitachi Zosen Inova AG(スイスHZI)は、このほど、オマーン政府や日本の商社などが出資するオマーン国のLNG事業会社Oman LNG LLC(オマーンLNG)と、「メタネーション(触媒を充填した反応容器内で水素と二酸化炭素を反応させ、天然ガスの主成分であるメタンを合成する技術)の事業化に向けた協力覚書」を締結した。

 オマーンは、日本と同じく2050年までに温室効果ガス排出量ネットゼロ達成を目指しており、両国政府は2022年12月に「水素・アンモニア及びメタネーションを含むカーボンリサイクルに関する協力覚書」を交わしている。

 今回の覚書は、両国間の協力覚書に基づいた取り組みとなり、オマーンLNGが保有するLNGプラントにメタネーション装置を実装し、CO2の資源化を目指すもの。

 オマーンLNGは、既存LNGプラントの隣接地に小規模なパイロットプラント(メタネーション装置および水電解装置)を建設し、1,200N ㎥/hの合成メタン(e-methane)を生産する予定。

 同覚書の締結にあたっては、同社および HZIのメタネーションに関する知見や実績の他、メタネーションに必要な水素を製造する水電解技術や水処理技術、大型プラントを建設する EPC(Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設))能力を同社グループが有し、全体システムの最適化を図ることができることが高く評価された。

 なお同社は、経済産業省・資源エネルギー庁が2024年1月に公募した「令和6年度「産油国石油精製技術等対策事業費補助金(石油天然ガス権益・安定供給の確保に向けた資源国との関係強化支援事業に係るもの)」」に採択されており、同覚書のパイロットプラントの基本設計と商業化検討については当該補助金を活用する。

 同社グループは、中東において水処理プラント建設で豊富な実績を有している。また、現在は、HZIを通じてごみ焼却発電プラントの分野でも中東に貢献している。

 国内外でメタネーションおよび水電解に関する事業実証や社会実装の機会創出を目指す中、環境事業の中東へのさらなる展開を図り、日立造船とHZIのそれぞれが有するメタネーションおよび水電解技術の連携を深め、グループの力を結集して同件に取り組む。<日立造船>
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