“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「慶應大生が学んでいる スタートアップの講義」(KPMGコンサルティング ビジネスイノベーションユニット編著/日本経済新聞出版)

2023-07-31 09:35:16 |    企業経営



<新刊情報>



書名:慶應大生が学んでいる スタートアップの講義

編著:KPMGコンサルティング ビジネスイノベーションユニット

発行:日本経済新聞出版

 全28回、2520分を凝縮した「未来をつくる授業」。「身近なところにこそ好機があるのだと気づかされた」「自分もチャレンジしたいと思った」「財務諸表を読むスキルの重要性がよく分かった」――学生たちの熱気が社会を活性化する。大学発ベンチャー増加数トップ(2022年度)の大学のビジネスの始まりから経営のイロハまでが分かる講義で学生たちは何を学んでいるのか?・AIやブロックチェーンなど最先端技術におけるスタートアップのトレンド・カーボンニュートラル、スマートシティなどの最新ビジネステーマ・ビジネスの現場で役立つ会計や財務、法務・税務など必携基礎知識・アメリカ・シリコンバレーに学ぶスタートアップが生まれる環境。若い人はもちろん、すべてのビジネスパーソンが学ぶべき「起業の必要性」と「イノベーションの重要性」を一冊にまとめた。【目次】 第1講 なぜ大学発スタートアップが重要なのか? 第2講 スタートアップとイノベーション 第3講 事業化・産業化におけるイノベーション第4講 スタートアップに必携のビジネス知識 第5講 学生起業家からのメッセージ スペシャル対談:現役、元起業家に聞く「起業」から学べることとは?
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◆科学技術<テレビ番組情報>◆NHK「サイエンスZERO」/BSフジ「ガリレオX」他

2023-07-31 09:34:34 |    ◆TV番組◆



<テレビ番組情報>




居間からサイエンス BSテレ東 毎週水曜日 午後10時~10時55分

8月2日(水)  TOTO トイレのサイエンス

 年商7000億円!トイレの快適さを追求してきたTOTO。そんなトイレ業界の先駆者TOTOの最大のヒット商品、温水洗浄便座「ウォシュレット」に込められたサイエンスから、嫌なニオイを発生させないためのサイエンスまで、堀本幹夫氏・山本政宏氏、2人のエキスパートをお迎えしその知られざるディープな研究の真髄に迫っていく。トイレの中に秘められた熱いサイエンスを加藤浩次と徹底的にトーク。累計出荷台数6千万台を突破!今やトイレにはなくてはならない存在「ウォシュレット」。しかし、きちんとお尻にヒットさせ快適に使えるようにするまでには、300人以上を便座に座らせて角度や位置を研究するなどとてつもない苦労が!常識外の発想をいかに実現させたのか?さらに何が「嫌なニオイ」なのか、どうすれば嫌なニオイが生じないのか、徹底的に探究し続けるエキスパートも。トイレをめぐる珠玉のサイエンスワールド。

出演:堀本幹夫・山本政宏(TOTO)

司会:加藤浩次、須黒清華

コズミック フロント  NHK‐BSプレミアム  毎週木曜日 午後10時~11時00分

8月3日(木) 史上最難関の選抜試験 宇宙飛行士誕生

 われこそは、宇宙に行きたい!熱い思いを胸に4127人が挑んだJAXA宇宙飛行士選抜試験に密着。人類がふたたび月を目指す時代にふさわしい宇宙飛行士の資質とは?

地球ドラマチック  NHK‐Eテレ  毎週土曜日 午後7時~7時45分

8月5日(土) 築200年!ようこそサボテン・ホテルへ

 アメリカの砂漠に立つ大きなサボテン。高さは10mを超え、寿命は200年にも及ぶ。そんなサボテンにはさまざまな生き物が集う。地中から頭のてっぺんまで、鳥や昆虫、小動物でいっぱいの、いわば“サボテン・ホテル”だ。大雨が降ると貴重な水を貯え、花は大切な食料となる。種は動物たちによって運ばれ、砂漠に新たな命が芽生える。あるサボテンの一生、200年の物語が詰まったファンタジー。(ドイツ2023年)

ガリレオX  BSフジ  毎週日曜日 午前8:28〜9:00(隔週新作)

8月6日(日)  人間にとって人形とは何か?(初回放送:2023年4月)

 子どもの頃、お気に入りの人形と何時間も遊んだり、興奮して敵役のキャラクター玩具を放り投げたり、ぬいぐるみを抱いて一緒に眠ったりした記憶が、多くの人にあるだろう。大人になってからも、精巧なキャラクターフィギュアや、高価な人型ロボットを大切に飾っている人が少なくない。古来より呪術や宗教的な意味が与えられてきた人形は、ヒトの歩みと共に変化し、人形はその時代の人間の映し鏡となってきた。人間そっくりの表情や動きができるヒューマノイドの開発も進んでいる。なぜ私たちは人形を好み、あるいは人形を畏れるのか?特別に人形を愛好する文化はどのように醸成されてきたのか?人間を超えたポストヒューマンとして、人間と区別がつかない機械人形が将来もし現われたとしたら・・・。人の形をし、人のように存在し、それでも人間ではないという「人形」とは何かを考える。

主な取材先:菊地 浩平(白百合女子大学)
      藤井 貴志(愛知大学)
      榊山 裕子(芸術批評家)
      武地 実(Gatebox)
      横浜人形の家
      TEPIA先端技術館

サイエンスZERO  NHK‐Eテレ  毎週日曜日 午後11時30分~0時00

8月6日(日) 潜入!科学警察研究所“科学捜査”で事件を解決せよ

 事件・事故を科学の力で解決する「科学捜査」へ潜入!困難な鑑定や研究開発を行う「科学警察研究所」、通称「科警研」では、重なった「指紋」を見分ける宇宙からの観測技術を応用した装置や、防犯カメラに写った容疑者と特定する「三次元モデル」を使った捜査専用のシステムまで開発している。さらにえん罪を起こさせない“中立の目”とは?科学の力が私たちの暮らしの安全を守る“科学捜査” の最前線。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「コーウェン地球生命史<第6版>」(マイケル・ベントン編/東京化学同人)

2023-07-31 09:34:18 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:コーウェン地球生命史<第6版>

編者:マイケル・ベントン

監訳:ロバート・ジェンキンズ、久保 泰

発行:東京化学同人

 文系・理系を問わず、生命の歴史と進化、古生物学に興味のある人すべてを対象にした教科書。化石から進化の流れを解き明かす。生物間の競争,激変する環境,移動する大陸・・・ダイナミックな生命史の本質を一冊に凝縮。最新研究からみえてきた進化の道筋を詳しく解説。ここ20年の研究手法の革新で明らかになった最新知見の数々を網羅。【目次】 1章 生命の起源 2章 初期生命 3章 真核生物の誕生 4章 多細胞動物の進化 5章 カンブリア爆発 6章 変化する地球と生命 7章 初期の脊椎動物 8章 水を離れて 9章 初期の四足動物と羊膜類の起源 10章 初期の羊膜類とその体温調節 11章 中生代の海洋変革 12章 三畳紀の交代劇 13章 恐竜 14章 鳥類と飛行の進化 15章 白亜紀の陸上革命 16章 恐竜の最期 17章 変化する海と気候 18章 哺乳類の起源 19章 新生代の哺乳類 20章 地理と進化 21章 霊長類 22章 人類への進化 23章 氷河期の生物
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「細胞はどう身体をつくったか」(平山令明著/講談社)

2023-07-28 09:34:04 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:細胞はどう身体をつくったか~発生と認識の階層進化~

著者:実重重実

発行:新曜社

 細胞は「主体的な認識力」を備えた1つの生物だ。細胞は遺伝子のタンパク質の設計図を読み取りながら他の細胞や外界とやりとりし、専門化して、身体という巨大な社会をつくっていく。どうやって? 驚きと知的な刺激に満ちた発生の進化の道筋を辿る旅。
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●科学技術ニュース●NECと富士通、ポスト5Gに向けた基地局装置間の相互接続性検証の大幅な効率化に成功

2023-07-28 09:33:40 |    通信工学
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」で、NECと富士通は、ポスト5Gに対応した基地局装置(O-RAN仕様準拠)間の相互接続性を検証する技術の研究開発に取り組んでいるが、両者は英国と米国の拠点で接続性の検証環境を構築し、2021年8月から2023年6月まで、同技術の動作検証を実施した。

 その結果、最適なテストシナリオの抽出や、パラメーターの生成から検証結果の良否判定までの一連の流れを自動化することにより、海外の通信事業者(オペレーター)の商用環境を想定した異なるベンダーの基地局装置(O-RAN仕様準拠)間の相互接続性の検証時間を30%以上短縮するなど、大幅な効率化に成功した。

 同技術には、基地局装置間に接続してフロントホールプロトコルを検証するFHA(FrontHaul Analyzer)、無線子局(RU)の単体試験を行うP-DU(Pseudo-DU)、検証作業の各工程を自動化するテストシナリオ抽出ツール、テストパラメーター変更ツール、検証結果判定ツールなどの独自技術が含まれる。

 今後両社は、同技術と同技術を適用した検証環境を継続して国内外のオペレーターや基地局装置ベンダーとの共同検証に活用することで、異なるベンダーの基地局装置(O-RAN仕様準拠)を組み合わせたシステムの導入までの期間をさらに短縮し、オープン化した5Gネットワークのグローバルな普及と発展を後押しすることにより、通信インフラ市場の活性化に貢献していく。<NEC>
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●科学技術ニュース●QST、世界最高レベルの放射光施設「ナノテラス」の最新円型加速器において3GeV電子蓄積に成功

2023-07-28 09:33:03 |    物理
 量子科学技術研究開発機構(QST)は、官民地域パートナーシップにより産学の幅広い研究者への共用を目的とした世界最高レベルの放射光施設「ナノテラス」の建設・整備を進めているが、今回、ナノテラス円型加速器への3GeV(ギガ電子ボルト)電子の入射・蓄積に成功した。
 
 線型加速器で生成した3GeV高密度電子ビームの円型加速器へ向けた輸送を令和5年5月29日に開始し、6月8日には円型加速器に入射して約300周回させることに成功した。

 その後、電子ビーム入射軌道の詳細な調整と共に、蓄積用の新型加速空胴の調整を行い、6月16日には入射した3GeV電子が円型加速器を周回し続ける電子蓄積に成功し、電子ビームモニタ用の放射光も観測した。

 最新の円型加速器設計であるMBA(Multi-bend achromat)ラティスを国内で初めて採用し、周長を大幅短縮して建設コストを削減すると共に、高輝度性能の指標となる電子ビームエミッタンス1.1nmradを実現する。

 綿密な設計に基づき総数約400台の精密電磁石を開発・製作して円型軌道上に0.05mm以下の高精度かつ高密度で設置する技術、電子蓄積用の新型加速空胴や円型加速器へ電子ビームを精密に入射する技術、円型加速器の周回軌道上に沿った112箇所で電子ビーム軌道を0.1mmの高精度かつ高速で測定する技術等の開発を集中的・効率的に進めることで、3GeV電子蓄積に1.5ヶ月早く成功し、ユーザー運転に向けた蓄積電流の増強に十分な時間を確保することに貢献した。
 
 ナノテラス円型加速器での3GeV電子蓄積の成功は、目標の高輝度放射光源性能達成に向けた大きなステップ。

 今後、蓄積電流を増やすための真空焼出し運転を行うとともに、より安定に電子蓄積を行うための詳細調整を進め、挿入光源から初めて放射光X線を発生させるファーストビーム、さらには令和6年度の運用開始に向けて加速器システムのブラッシュアップを進める。<量子科学技術研究開発機構(QST)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ロヴェッリ 一般相対性理論入門」(Carlo Rovelli著/森北出版)

2023-07-28 09:32:38 |    物理



<新刊情報>



書名:ロヴェッリ 一般相対性理論入門

著者:Carlo Rovelli

訳者:真貝寿明

発行:森北出版

 「時間は存在しない」(NHK出版)や,「すごい物理学講義」(河出書房新社)などで知られる理論物理学者、カルロ・ロヴェッリ。ベストセラーを次々と生み出す彼が、ついに一般相対性理論の教科書を執筆。重力相互作用と時空の幾何学的側面を同一のものとして記述する、驚くべき理論の本質に迫る。計算過程を大胆に省き、アイデアに焦点を当て、全体像を俯瞰しながらわかりやすく解説する。ロヴェッリ著作の特長である、独自の観点からの考察や陽気な語り口は、同作でも健在。彼のガイドのもと、読者は深遠な一般相対性理論の世界を最短経路で駆け抜け、最後には量子重力の美しい未解決問題を垣間見ることだろう。一般相対性理論を学びたい人はもちろん、ロヴェッリの語りに魅せられた人や、ひと味違った教科書を読んでみたい方にもおすすめの1冊。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「教養としてのエントロピーの法則」(平山令明著/講談社)

2023-07-27 09:34:22 |    物理



<新刊情報>



書名:教養としてのエントロピーの法則~私たちの生き方、社会そして宇宙を支配する「別格」の法則~

著者:平山令明

発行:講談社

 この法則を知らずして、資本主義、地球温暖化問題、人類の未来を語ることなかれ。「世の中には、ある一方向にしか動かず、『絶対に』元に戻せないことがある」。たとえば、コーヒーにミルクを入れてかき混ぜると、コーヒーミルクができて、その後再びコーヒーとミルクに分かれることはない。たとえば、熱いコーヒーをそのままテーブルに置いておくと、冷めてしまう。たとえば、コーヒーを床にこぼしてしまうと、元のカップに戻すことはできず飲むこともできない。こうした一見「当たり前のこと」は、じつは「エントロピー増大の法則」という物理法則で説明することができる。この「エントロピー増大の法則」は、数多ある物理法則のなかでも、どんな時、どんな場所でも成り立つ「別格の」法則。私たちの生き方、社会、そして宇宙を支配する法則なのだ。なぜ、経済が成長すると格差が広がるのか?なぜ、SDGsはうまくいかないのか?なぜ、温暖化が大きな問題なのか?その答えは「エントロピー増大の法則」を知ればわかる。今日の情報科学の発展にも寄与した法則を理解するための最適の教科書。
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●科学技術ニュース●東レ、業界初となる感光性ナノカーボン導電ペーストを開発しマイクロLEDや半導体の微細実装・高生産性を実現

2023-07-27 09:33:47 |    化学
 東レは、電子部品、タッチセンサー等の配線材料として事業展開している感光性導電材料「RAYBRID1」に新たにナノカーボンを適用することで、微小な電子部品を既存技術対比30℃以上、半分以下の低温・低圧条件で高信頼に接合できる新規接合材料の開発に成功した。(2025年初頃の量産目標)

 一般的な接合材料であるハンダなどの合金材料は、バンプと呼ばれる接合部の微細化が困難であり、かつ実装時に高温・高圧が必要となるため高速実装に対応できないという課題があった。

 特に次世代ディスプレイとして期待されるマイクロLEDディスプレイは、10~20μmの非常に微小なLEDチップを、大量かつ高速に実装する必要があり、大きな量産課題となっていた。

 そこで東レは、長年培ってきた銀などの金属粒子を含む感光性導電ペーストの技術をベースに、独自のナノカーボン分散技術を融合させて、感光性カーボンペーストを開発した。

 カーボンを使用することにより、より高い信頼性が得られ、幅広い用途において配線との接合に対応できるようになった。<東レ>
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●科学技術ニュース●NIMS、高分子のモノマー配列を質量分析とAIで決定する解析手法を開発

2023-07-27 09:33:21 |    化学
 物質・材料研究機構 (NIMS) は、質量分析にAIを取り入れることで、高分子のモノマー配列を決定する手法を開発した。

 同研究は 、JST 戦略的創造研究推進事業 CREST「実験と理論・計算・データ科学を融合した材料開発の革新」の一環として、物質・材料研究機構 高分子・バイオ材料研究センター 内藤昌信分野長、日比裕理NIMSポスドク研究員らの研究チームによって行われた。

 同解析手法は、高分子材料の基本構造の詳細な理解を可能とし、新たな素材開発やプラスチックのリサイクル問題の解決に向けた切り札として期待される。

 高分子 (ポリマー) は、原料である小さな分子 (モノマー) が百~数十万個も鎖状につなぎ合わさってできた巨大分子。中でも、我々の身の回りにあふれる高分子材料 (プラスチックや樹脂) の多くは、いくつかのモノマーを組み合わせたコポリマーという高分子を設計することで、望みの材料性能を発揮させている。この時、複数種類のモノマーが特徴的な並び方をした部分配列 (短い鎖) を構成し、それがランダムに繋がってコポリマーを形作っている。

 例えば、同じ種類のモノマーが連続する割合が高い・低いといった配列の分布は、材料の性能や劣化挙動などに大きな影響を与えると考えられている。

 この様な関係性に基づいて最適な高分子材料を分子設計するためには、配列分布を定量的に決定できる「ポリマーシークエンサー」の開発が望まれていたが、実験的に配列を決定できる汎用的な解析手法はこれまでなかった。

 今回、同研究チームは、質量分析データをAIによって解析することで配列分布を定量的に決定する、世界初の実用的なポリマーシークエンサーを開発した。

 具体的には、プラスチック材料を室温から徐々に加熱すると、鎖状の高分子は切れやすい部分から連続的に分解する。この高分子の断片を質量分析すると、元々の高分子に含まれていた部分配列の種類とその個数を反映した質量分析データが得られる。

 この実測された質量分析データをAI解析し、元々の高分子を、部分配列ごとに並んだ仮想的な高分子として並び替えることで、高分子の中での配列を定量化した。

 ポリマーシークエンサーによる配列解析は、モノマーの種類や成分数に制約を受けず、広範なモノマーの組み合わせに対しても適用できる。また断片が気化さえすれば、不溶・不融のサンプルや、無機成分を含むコンポジットでも解析できることから、様々な実材料への応用が期待される。

 今後、「ポリマーシークエンサー」を基軸に、高分子材料における配列—物性相関解析や、配列制御重合法の開発を進めることで、高分子材料全般の性能向上を図っていく。これにより、機能的なプラスチックによる環境汚染問題の解決や、サーキュラーエコノミーに資する高分子材料の開発への展開が期待される。<物質・材料研究機構 (NIMS) >
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