“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術ニュース●GMO学術サポート&テクノロジー、「富岳」で研究開発した環境を富士通のクラウドサービス群上で提供開始

2024-04-05 09:31:40 |    情報工学
 GMO学術サポート&テクノロジーは、富士通のクラウドサービス群「Fujitsu Computing as a Service(CaaS)」上でスーパーコンピュータ「富岳」の研究成果を実用化するサービスの提供を開始した。

 今回展開するサービスは、GMO学術サポート&テクノロジーが、「富岳」で研究開発したソフトやデータを「CaaS」上に実装し、研究者に対してハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を活用した膨大な脳MRIデータの解析環境を提供するもの。

 同サービスは、2023年10月から2024年2月に理化学研究所の生命機能科学研究センター脳コネクトミクスイメージングチームによる実証実験でも利用され、今後、脳MRIを用いた精神神経疾患の自動診断の実現などに貢献することが期待されている。

 両社は今後、それぞれが持つ専門的な技術力を組み合せることで、誰もが高度なコンピューティング技術やその上で動作するソフトウェアを活用でき研究成果が迅速に還元される社会の実現を目指す。

 同取り組みは、「富岳」で研究開発したソフトウェアやデータを「CaaS」上に実装し、サービス利用者に提供する初事例となる。

 従来は「富岳」の成果をサービスとして提供する環境がなかったため、「富岳」の成果が社会実装されるまでには多くの期間や工数を必要としていた。

 「CaaS」は「富岳」と同じCPU「A64FX」を採用しているため、「富岳」で利用していたソフトウェアやデータをそのまま利用することが可能。<富士通>
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●科学技術ニュース●TOPPANデジタル、OSTIとサグリ、東アフリカでスマート農業実現に向けた実証を実施

2024-04-03 09:40:19 |    情報工学
 TOPPANデジタル、OS Trading & Investments Pte. Ltd.(本社:シンガポール、OSTI)、サグリの3社は、ルワンダとタンザニアの農園において、スマート農業実現に向けた実証実験を2024年4月より開始する。
 
 同実証においては、衛星観測データを用いた農地の生育/土壌分析や、気象データのセンシングなど、テクノロジーを活用して現地のニーズに適合した、スマート農業ソリューションの開発を目指す。

 OSTIは、東アフリカにおける農園事業「Smart Village Project」を推進している。ルワンダでマカダミアナッツ事業を、タンザニアでは北部Arusha州に保有する1,763ha(中央区の約1.8倍)の広さを持つ農地において、コーヒーを中心とした農園事業を展開している。

 サグリは、衛星データ(SATELLITE)×機械学習(AI)×区画技術(GRID)を掛け合わせ、農業や環境における課題解決を目指す岐阜大学発のインパクトスタートアップ。
 
 一方TOPPANデジタルは、2023年にOSTIと資本業務提携を締結し、TOPPANグループのDX・SXソリューションを活用した、アフリカ地域における現地ニーズや実態に即したスマート農業ソリューションの開発を進めている。

 このような中で、更なるスマート農業ソリューションの強化にむけてTOPPANデジタルとサグリは業務提携契約を締結。これを受け、3社共同でアフリカ地域におけるデータドリブンな農園運営に資する、スマート農業ソリューションの開発に向けた実証実験を開始する。<TOPPAN>

期間:2024年4月~2025年3月
場所:ルワンダ、タンザニアのOSTI運営の農園
目的:現地ニーズに適合したスマート農業ソリューションの開発
概要:・衛星観測データを活用した農園の土壌分析(水分量、ph、CEC、NPKなど)
   ・LPWAネットワーク技術を活用した、現地農園での土壌データや気象データの収集/分析
   ・収穫後の精製条件や加工後のコーヒー豆の品質のデータ分析
   ・データ分析結果を踏まえた、収量アップや品質向上に向けた施策の実行
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●科学技術ニュース●NTTコムウェア、NECと長崎大学、インフラメンテナンス画像認識AIと3Dデータ解析を組み合わせた橋梁点検実証に成功

2024-03-13 09:32:21 |    情報工学
 NTTコムウェア、NECと長崎大学は、点検・診断・措置・計画というメンテナンスサイクル構築による橋梁の維持管理高度化をめざし、2023年10月より共同研究および技術的連携を開始しましたが、連携の第一弾として2024年1月、橋梁等インフラ構造物の維持管理における長崎大学の工学的知見に基づく、NTTコムウェアのインフラメンテナンス画像認識AIとNECの3Dデータ解析技術を活用した橋梁点検の実証に成功した。

 日本の道路や橋梁といったインフラ構造物の多くは高度経済成長期に整備されており、今後老朽化が進行していく。

 特に、橋梁は構造物として部材の種類が多く、点検・診断には熟練者のスキルや川辺・高所など多様な環境条件への対応が必要で、メンテナンス品質や安全性を確保することが課題となっている。さらに将来を見据えた修繕計画策定や予防保全といった全体のメンテナンスサイクルの構築による、戦略的な維持管理とライフサイクルコスト(LCC)最適化が必要となっている。

 このような背景のもと、NTTコムウェア、NECと長崎大学は、橋梁の維持管理高度化を実現するソリューション提供に向け、メンテナンスサイクルの点検・診断工程での実証を行った。

 同実証は、NTTコムウェアのSmartMainTechのインフラメンテナンスで培ってきた画像認識AIによる劣化検出技術とNECの3Dデータ解析技術を連携し、長崎大学の橋梁診断の知見を得て実現したもの。

 ソリューション化にむけては、点検・診断・措置・計画のメンテナンスサイクルの各工程をAIで支援するとともに、基盤上にデジタルツイン化して記録を蓄積、統合的なデータ活用を可能とする。

 同実証では2024年1月、長崎市内のコンクリート橋梁2基を対象に、インフラメンテナンス画像認識AIによる損傷検出や、3Dモデルでの損傷個所管理などNTTコムウェアとNECの技術を組み合わせて点検データを取得し、長崎大学の診断モデルへ連携することに成功した。

 メンテナンスサイクルにおいて、AIによる点検判定をデジタル出力し診断を行うまでの処理フローを確立、デジタルツイン化による点検業務の省力化と品質の均一化の実現性を確認することができた。

 これらの技術が点検・診断業務に活用されることにより、点検・診断業務に要する時間の約3割削減を見込んでいる。<NTT>
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●科学技術ニュース●NEC、システム全体のコンピュータ機器の真正性を遠隔から確認可能とする技術の実証に国内で初めて成功

2024-03-12 09:32:18 |    情報工学
 NECは、コンピュータ機器の信頼性と安全性を高める国際業界標準規格を制定する業界団体「Trusted Computing Group」(TCG)が、2024年2月に開催したOpen Workshopに、サプライチェーンにおけるサイバーセキュリティ対策として、遠隔からコンピュータ機器の改ざんを検知可能とする「リモート検証基盤」を公開した。

 同リモート検証基盤を活用して、Open Workshopに参加した企業・大学のサーバやノートパソコン、IoTデバイスなどの様々なコンピュータ機器について遠隔からの真正性(コンピュータのハードウェア構成およびソフトウェアが正常な状態であること)の確認に成功した。

 複数メーカの機器が混在するマルチベンダ環境での遠隔からの真正性確認の成功は国内初となる。

 同リモート検証基盤は、Internet Engineering Task Force(IETF:インターネットで利用される各種技術の標準化を推進している国際任意団体)が標準化を進めているRemote ATtestation ProcedureSの概念を実現したセキュリティ技術であり、NECの防衛事業部門と株式会社サイバーディフェンス研究所で開発した。

 TCGで仕様策定し標準化されたハードウェアセキュリティ技術であるTPM(TCGが規格化したセキュリティモジュール。安全な鍵管理、暗号化機能を提供)を使うことで、メーカに依存せずにシステム上のコンピュータ機器をセキュアに管理し、サプライチェーンにおけるセキュリティ対策のコストを低減できる。

 同リモート検証基盤では、サーバやノートパソコン、IoTデバイスなどに組み込まれたTPMに、信頼の基点となるハードウェア情報とソフトウェア情報を埋め込んだプラットフォーム証明書(TCGが規格化したデバイスの構成証明書)を格納し、同時に同じ情報を出荷時の正しいデータ(正解値)として検証システムに登録する。

 出荷後に構築されたシステムにおいて、プラットフォーム証明書の情報と検証システムに事前登録された正解値と比較することで、OSが起動するまでの各ステップの状態を検証し、改ざんを検知することができる。

 ハードウェアレベルでコンピュータ機器の構成全体の健全性をリモートで確認できるため、コンピュータ機器に対する改ざんが極めて困難となる他、システム全体の各コンピュータ機器の真正性を自動で確認することができる。

 これにより、特にファームウェアレベルのマルウェアや不正なハードウェアの混入など、生産時を含むサプライチェーン上で発生する脅威リスクからシステム全体を保護することができる。

 昨今、経済安全保障の背景から日本を含むグローバルで求められている、機器等の調達時におけるサプライチェーン上で不正な変更がなされていないかを証明する要求事項に対して、有効な対策となる。<NEC>
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●科学技術ニュース●理化学研究所、シリコン量子ビットの高精度読み出しを実現し半導体系の誤り耐性量子コンピューターの実現に前進

2024-03-07 09:37:21 |    情報工学
 理化学研究所(理研) 創発物性科学研究センター 量子機能システム研究グループの武田 健太 上級研究員、野入 亮人 研究員、樽茶 清悟 グループディレクター(量子コンピュータ研究センター 半導体量子情報デバイス研究チーム チームリーダー)らの国際共同研究グループは、シリコン量子ドットデバイスにおいて、電子スピンの状態を高速かつ高精度に測定することに成功した。

 同研究成果は、半導体量子コンピューターにおいて、量子誤り訂正などの高精度な測定に基づいた条件付きの量子操作を要する技術を可能にすると期待できる。

 今回、同国際共同研究グループは、シリコン量子ドット中の2つの電子スピンに起こるスピンブロッケード現象を用いてスピン読み出しを行うことで、従来の1つの量子ドットのみを用いる方法に比べて量子ビット読み出しの速度と精度を大きく改善した。<科学技術振興機構(JST)>
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●科学技術ニュース●富士通とオランダQuTech、量子コンピュータの量子ビット制御回路を極低温で動作させる技術を世界で初めて開発

2024-03-05 09:32:11 |    情報工学
 富士通はこのたび、デルフト工科大学とオランダ応用科学研究機構(TNO)が共同で設立した世界有数の量子技術研究機関であるQuTechとともに、ダイヤモンドスピン方式の量子コンピュータにおける量子ビットを制御する電子回路を、極低温で動作させる技術を世界で初めて開発した。

 量子ビットが正確に動作するためには量子ビットの温度を極低温(およそ-268℃以下)に下げる必要があるが、量子を制御する電子回路を極低温下で正確に動作させるのが難しく、冷凍機の外に設置する必要があったため、配線が複雑化してしまうことが課題であった。

 今回開発した技術では、QuTechがこれまで培ってきた極低温でも動作する半導体集積回路(クライオCMOS回路)技術のノウハウを応用し、極低温冷凍機に設置したクライオCMOS回路を用いて、ダイヤモンドスピン量子ビットを駆動することに成功した。

 これは配線の単純化を可能にし得る技術であり、高性能かつ大規模集積した量子コンピュータを構築可能になる。

 今回開発した技術は、QuTechがこれまで培ってきたクライオCMOS回路技術や比較的高温(約4K)で動作するダイヤモンドスピン量子ビットに関する技術を活用することで、ダイヤモンドスピン量子ビットと同じ温度 (4 K) に置かれたクライオCMOS回路でダイヤモンドスピン量子ビットを実装することに成功。

 ダイヤモンドスピン量子ビット駆動に必要な磁場印加回路、およびマイクロ波回路を、クライオCMOS回路技術を用いて設計し、量子ビットと同じ極低温冷凍機内に入れた状態で動作させ、ダイヤモンドスピン量子ビットを駆動させるのに十分な強度の磁場、マイクロ波を発生させ、量子ビットを駆動することに成功した。

 これにより、従来、極低温下の量子ビットと常温下の量子ビット制御回路間において量子ビットの数に応じた本数だけ接続する必要があった配線について、量子ビット制御回路を極低温下で動作可能にすることで、将来的に極低温下にある量子ビットプロセッサと直接接続することが可能になり、量子コンピュータのスケーラビリティとパフォーマンスの両立を実現できる。

 両者は今後、1量子ビット操作から2量子ビット操作への拡張や、量子ビット読み出し機能の実装など、他に必要な機能を開発していき、より大きな量子プロセッサへのスケールアップを目指した研究開発を加速させていく。<富士通>
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●科学技術ニュース●分子科学研究所、国産初となる冷却原子方式量子コンピュータ開発へ向け10社と連携

2024-02-28 09:45:03 |    情報工学
 分子科学研究所(分子研)は、大森賢治教授が主導する研究グループの成果を用いた量子コンピュータ開発を目指して「事業化検討プラットフォーム」(PF)を設立し、企業や金融機関など10社の参画を得て事業化に向けた活動を始めた。

 同PFへの参画企業はblueqat株式会社(東京都渋谷区)、株式会社日本政策投資銀行(東京都千代田区、DBJ)、富士通株式会社(東京都港区)、株式会社グルーヴノーツ(福岡県福岡市)、浜松ホトニクス株式会社(静岡県浜松市)、株式会社日立製作所(東京都千代田区)、日本電気株式会社 (東京都港区、NEC)など計10社。
 
 同PFでは、スタートアップ設立、国産量子コンピュータ開発、量子コンピュータの実用化研究やサービス展開といった事業化にかかわる事項について、参画各社の強みを生かした助言や支援を得る予定。

 スタートアップは、2024年度中に設立し、「冷却原子(中性原子)方式」の量子コンピュータ開発を始める計画。

 コンピューティング技術の応用領域拡大、人工知能(AI)ブーム、社会課題の複雑化などを背景に膨大な計算量を要する問題が増えており、従来型のコンピュータでは難しい領域で高速計算が可能な量子コンピュータの実用化が期待されている。
 
 量子コンピュータは世界中で様々な方式による開発競争が進んでいるが、実用化には規模の拡大、計算中に発生するエラーへの対策といった課題がある。

 これらの課題の克服を期待できる画期的な新方式として近年、急速に世界の産学官で注目が高まっているのが、原子1個1個を量子ビットとして用いる「冷却原子(中性原子)方式」であり、室温で動作し冷凍機を必要としない点も冷却原子(中性原子)方式の特長の一つ。
 
 分子研の大森研究室はこの冷却原子(中性原子)方式の量子コンピュータ開発で世界をリードしている。

 計算に用いる高品質な「量子ビット」を平面上で多数制御する「光ピンセット」技術と顕微鏡技術、そして超高速レーザーを使って僅か6.5ナノ秒で2つの量子ビット間に「量子もつれ」を生じさせる「超高速2量子ビットゲート」技術など、多数の技術優位やコアコンピタンス(競合他社に真似できない核となる技術)を有する。
 
 特に2量子ビットゲートは量子コンピュータの並外れた計算速度の源泉となる重要な中核技術。大森研究室の超高速2量子ビットゲートは、2022年に従来の冷却原子(中性原子)方式の2量子ビットゲートを一気に2桁加速する非連続的なイノベーションを達成した。
 
 これら大森研究室の数々の技術優位とコアコンピタンスを活かして、実用的な量子コンピュータを早期に実現するため、産業界と連携した実機開発、実用化体制を築く。<分子科学研究所(分子研)>
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●科学技術ニュース●富士通、量子シミュレータの量子回路計算を200倍高速化する技術を開発

2024-02-23 09:42:01 |    情報工学
 富士通はこのほど、量子シミュレータ上で、量子コンピュータの初期の使用方法として提案されている量子・古典ハイブリッドアルゴリズムを、従来のシミュレーション所要時間と比較して200倍高速に実行できる技術を開発した。

 従来の量子・古典ハイブリッドアルゴリズムを活用した量子回路計算においては、解きたい問題の規模に応じて量子回路計算の回数が増大してしまい、特に材料や創薬分野のシミュレーションのように多くの量子ビットを必要とする大規模な問題では数百日も要しており課題となっていた。

 今回開発した技術は、繰り返し実行される膨大な量子回路計算を複数グループに分散し同時処理を可能にした。

 さらに同社が開発した世界最大級の量子シミュレータを使うことで、規模が大きな問題では、精度の劣化を抑えつつ問題を単純化できる手法を導出した。

 これらを合わせて、従来方式では200日かかると想定されていた量子シミュレータでの計算を、わずか1日で実行可能にする技術を世界で初めて開発した。

 これにより、これまで難しかった大規模量子計算のシミュレーションを現実的な時間で完了できるようになり、量子・古典ハイブリッドアルゴリズムでより大きな分子を計算した場合の挙動をシミュレーションし、アルゴリズム開発につなげることが可能になった。

 同社は今後、同技術を同社のハイブリット量子コンピューティングプラットフォーム「Fujitsu Hybrid Quantum Computing Platform」に搭載し、金融や創薬をはじめとする様々な分野での量子コンピュータの実用化検討を加速し、さらに同技術を応用して、量子シミュレータのみならず、量子コンピュータでの量子回路計算を加速できることを検証していく。<富士通>
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●科学技術ニュース●NEC、ソフトウェアに潜む脆弱性をバイナリコードから検出する技術を開発しソフトウェア検査の効率を40%向上

2024-02-20 09:56:24 |    情報工学
 NECは、企業や組織のサプライチェーンのセキュリティ強化に向け、ソフトウェアに潜む脆弱性を、ソースコードを用いることなく実行ファイルのバイナリコードから検出する技術を開発した。

 同技術により、これまで専門家による対応が必要となっていたソースコードを利用できないソフトウェアの静的解析による検査について、その一部を自動化し、検査効率を40%向上する。

 一般的なソフトウェアの静的解析技術がソースコードを対象とするのに対し、同技術では、ソフトウェアの実行形式であるバイナリコードに対して静的解析を行う。

 特に、外部から入力されたデータがソフトウェア内のどの処理で使われているかを追跡し、コマンド実行処理など機微な処理の制御に用いられている場合に、バックドアの疑いのある不審な実装として検出する。

 同技術の特長は、1. ソースコードのないソフトウェアの検査が可能 2. ビルド環境汚染の懸念にも対応可能 3. 検査品質の均一化が可能など。

 NECは、2024年度内に同技術をリスクハンティングサービスに適用することを目指す。これにより、サプライチェーンの中で調達・納品されるソフトウェアの安全性検査を強化し、より安全・安心なシステムの構築とサプライチェーンセキュリティの強化に貢献しまする。<NEC>
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●科学技術ニュース●NTTデータ、国内初の共同利用型勘定系システム向け「統合バンキングクラウド」の開発に着手

2024-02-16 09:42:55 |    情報工学
 NTTデータは、地銀共同センター参加行13行とともに、2028年1月に地銀共同センターに「統合バンキングクラウド」を適用することを決定した。

 これに伴い、2024年4月より「統合バンキングクラウド」の開発に着手する。

 統合バンキングクラウドは、NTTデータが独自に構築するクラウド上に、複数の共同利用型勘定系システムを搭載できる、国内初の共同利用勘定系システム向けバンキング専用国産クラウド。

 2004年1月に地銀共同センターでサービス開始した勘定系アプリケーション「BeSTA」の20年目の節目に、今後も安心・安全・安価に永続的なバンキングサービス提供を可能とするべく、地銀共同センターのオープン化と「統合バンキングクラウド」の開発に着手する。

 今後は、MEJARなど他システムへの展開、他業態の金融機関への採用拡大を目指すことで、日本最大のバンキング専用クラウドへと発展を目指す。

 NTTデータは、3段階でNTTデータの提供する共同利用型勘定系システムを段階的に統合バンキングクラウドに搭載することを目指す。本年オープン化を実現したMEJARについては2030年頃の適用を目指す。

 加えて、STELLA CUBE、BeSTAcloudおよび、しんきん業態等の他業態への拡大を検討し、NTTデータの提供する共同利用型勘定系システムを段階的に統合バンキングクラウドに搭載することで、日本最大のバンキング専用クラウドとしての拡大と発展を目指す。

 さらに、NTTデータが推進する「Open Service Architecture(OSA)」のコンセプトに基づき、統合バンキングクラウド等の共通インフラ領域とアプリやAPI活用等の戦略領域の「両利きの経営」で、金融機関の新たな顧客体験を目指したDX対応力向上の推進に貢献していく。<NTT>
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