“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術ニュース●NEDO、JERAとIHI、JERA碧南火力発電所における燃料アンモニア転換実証試験を開始

2024-05-01 09:38:18 |    エネルギー
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と株式会社JERA、株式会社IHIは、「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/アンモニア混焼火力発電技術研究開発・実証事業」に取り組んでいるが、同事業にて、JERAとIHIは、世界初となる大型商用石炭火力発電機における燃料アンモニア転換の大規模実証試験(熱量比20%)を、JERA碧南火力発電所(愛知県碧南市)で開始した。同実証試験は、2024年6月まで実施する予定。

 水素を低コストで効率良く輸送・貯蔵できるアンモニアは、エネルギーキャリアとしての役割に加え、火力発電の燃料として直接利用が可能であり、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料として、温室効果ガスの排出削減に大きな利点があると期待されている。

 同事業は、日本をはじめエネルギー安定供給の観点から調整電源として火力発電が必要な国にとって、低コストかつスピーディーに脱炭素化を進める第一歩となりうる重要なプロジェクト。

 同事業は、今後の環境負荷の低減に向け、大型の商用石炭火力発電機においてアンモニアへの燃料転換を行い、ボイラの収熱特性や排ガスなどの環境負荷特性を評価し、アンモニアの転換技術を確立することを目的としており、事業期間は2021年7月から2025年3月までの約4年間。

 JERAとIHIは、2022年10月から、JERA碧南火力発電所において、燃料アンモニア転換実証に必要な設備であるバーナ、タンク、気化器、配管などの設置工事を進めてきた。

 IHIは、同発電所5号機における燃料アンモニアの小規模利用試験を踏まえ、実証用バーナを開発し、JERAは同発電所における燃料アンモニアの安全対策や運用体制などを整備してきた。

 このたび実証試験の準備が整ったため、同発電所4号機において燃料アンモニアの大規模転換実証試験を開始した。

 同実証試験では、プラント全体の特性として窒素酸化物(NOx)排出量の調査やボイラおよび周辺機器への影響、運用性などを確認する。

 NEDO、JERAおよびIHIは、実証試験における課題の解決を図ることで、2025年3月までに、社会実装に向けた火力発電における燃料としてのアンモニア利用技術の確立を目指す。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術ニュース●三菱UFJ銀行と日立製作所、環境配慮型店舗の新たな仕組みの有効性の実証実験を開始

2024-04-18 09:31:08 |    エネルギー
 三菱UFJ銀行は、日立製作所と協働し、可動式蓄電池と太陽光発電、電気自動車などを組み合わせた環境配慮型店舗の新たな仕組みを練馬支店(東京都練馬区)に導入し、その有効性の実証を開始する。

 具体的には、下記の6つの取り組みを通じて環境負荷の低減を図る。環境配慮型店舗の運営における課題を抽出し、解決に向け三菱UFJ銀行、日立が共同でソリューション構築を目指す。

 ① 使用する営業車9台を電気自動車に切り替える。

 ② 駐車場にソーラーカーポートを設置し、太陽光発電により得られた電気を、日立が提供するリユースバッテリを活用した可動式蓄電池(バッテリキューブ)に蓄電することを通じ、創出した再生可能エネルギーを最大限活用する。

 ③ ①及び②により、電気自動車を100%再エネで運用すると同時に、店舗のエネルギー自給率を高める。

 ④ 店舗の設備(電灯・空調等)を省エネ性能の高いものに入れ替え、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)最高ランクの5つ星、及び「ZEB Ready(ゼブ レディ)」認証を取得する。

 ⑤ エネルギーマネジメントシステムの導入により、店舗におけるエネルギー自給率を可視化し、社員による自発的な省エネ活動を促す。

 ⑥ 将来的には、運用する電気自動車から取り出したバッテリをバッテリキューブとして再利用するなど、よりサステナブルな資源の活用方法について検討していく。<日立製作所>
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●科学技術ニュース●ヘリカルフュージョン、高温超伝導導体の通電試験を成功させ核融合商用炉の実現へ一歩前進

2024-03-14 09:38:10 |    エネルギー
 ヘリカル核融合炉発電を目指すヘリカルフュージョン(東京都中央区銀座、田口昂哉・宮澤順一代表取締役)は、独自に開発を進める高温超伝導導体(High Temperature Superconductor:HTS)の試験機を用いた実証実験に成功した。

 試験機は、-253度(20ケルビン)の極低温かつ8テスラの強磁場環境下において、電気抵抗のない超伝導状態で19kAの通電試験に成功し、HTSマグネット開発にあたって重要なマイルストーンを達成した。

 同実証実験は、世界でも有数の「⼤型導体試験装置」を所有する核融合科学研究所(岐⾩県⼟岐市) において実施されている。

 HTS試験機は、今回の実証実験⽤にHTS線材であるREBCOを30枚積層し、約3cm四⽅で⻑さ4m強のケ ーブル状導体に製作された。

 「⼤型導体試験装置」及び関連装置の最⼤通電量(20kA)に合わせた試験機が今回準備されたが、将来的には同導体中により多くのHTS線材を積層させることで、 今回実施した実験よりも数倍規模の通電量を実現させ、1平⽅mmあたり100アンペアを超える⼤電流密度の導体開発を目指す。

 代電流密度の導体開発は、よりコンパクトで⾼性能な核融合炉の開発に直結する。

 また、今回の試験機では、将来的な導体の量産化を視野に⼊れ、独⾃のHTS線材の接合⽅法も取り⼊れた。

 究極のクリーンエネルギーと⾔われる核融合炉は、⽶中を始め各国による開発競争が進んでいます。

 その⼼臓部分とも言える⾼温超伝導マグネットの開発は、直近数年は欧⽶企業が先⾏しているが、この開発競争に今回、ヘリカルフュージョンが名乗りをあげた。

 同社は、2023年10⽉に日本政府から20億円のSBIR Phase3補助⾦(核融合分野)に採択され(1社当たり最⼤額)、HTSおよび核融合炉の開発を加速させている。

 超伝導分野において、2025年にコイル状の実証実験、2026年以降に実際の炉に使⽤するヘリカル型コイルの実証実験を進めていく予定。<ヘリカルフュージョン>
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●科学技術ニュース●核融合科学研究所など、35GHz低周波数ジャイロトロンシステムの性能試験で3秒間の1MW級での出力を実現

2024-01-25 09:36:11 |    エネルギー
 京都フュージョニアリング(KF)、核融合科学研究所(National Institute for Fusion Science:NIFS)、筑波大学、英国原子力公社(UK Atomic Energy Authority:UKAEA)およびキヤノン電子管デバイスの国際産学共同研究グループは、35GHz低周波数ジャイロトロンシステムの性能試験において、60GHz以下の低周波数ジャイロトロンでの最大級かつ最長級となる3秒間の1MW級での出力を実現した。

 大型核融合炉であるITERやJT-60SA向けに開発されているジャイロトロンシステムは、電子の回転周波数に合わせて共鳴させる100GHz以上の高周波数のものが主流で、電子サイクロトロン加熱により炉心を加熱する。

 しかし、MAST Upgradeをはじめとする球状トカマク装置においては、その特徴から電子サイクロトロン加熱が難しいため、電子バーンスタイン波という比較的低周波数で高密度プラズマの電子を加速し加熱できる別の方式を取り入れる必要がある。

 そこで、プラズマ加熱実験のために1台のジャイロトロンで28GHzと35GHzが発振できる1MW級低周波数ジャイロトロンシステムを新たに開発することになった。

 筑波大学のノウハウをもとに、ジャイロトロン本体からビームを出力するためのジャイロトロン内部に設置しているミラーと、ジャイロトロン本体から発生したビームを炉心プラズマに伝送するための導波管へ誘導する準光学的結合器(MOU)内のミラーをそれぞれ大きくするとともに、2つのミラー間の距離を可能な限り近づけるように、システムを設計した。

 ミラーを大きくすることにより、発散しやすいビームの伝送損失を最小限に抑え、またミラー間の距離を縮めることで伝送損失や放電を軽減させることが期待できる。

 これらの設計を微調整しつつ、ジャイロトロン本体を稼働させるために高電圧電源や、ビームを発生させるために必要な磁場を形成する超電導マグネットのパラメータを調整しながら、性能試験を重ねた。

 今回、このジャイロトロンシステムの性能試験において、35GHzの低周波数で3秒間の1MW級(ダミーロードでの計測で930kW)の出力を実現した。

 大電力電磁波ビームの発散が大きな課題である35GHzの比較的低周波の領域で、秒レベルのMW級での出力を達成したことは、小型核融合炉開発における大きな貢献となる可能性がある。

 また、再現性と安定性の観点でも高い性能を確認し、合計20回の出力のうち19回は同等の数値での出力に成功した。加えて10回連続の出力でも同等の数値を確認し、信頼性の高い結果を得ることができた。

 このジャイロトロンはUKAEAへと渡り、オックスフォード近郊のカルハムに位置する球状トカマク装置MAST Upgradeにて使用される予定。ここではUKAEAが主導する核融合プラント開発プログラム「STEP(Spherical Tokamak for Energy Production)」に貢献する実験が行われる。<核融合科学研究所(NIFS)>
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●科学技術ニュース●核融合産業協議会の発起人に19社が応募

2024-01-23 09:32:41 |    エネルギー
 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局は、令和5年4月に策定した「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を踏まえ、一般社団法人・核融合産業協議会の今年度中の設立に向け、発起人を募集したが、今回19社が応募した。

 核融合産業協議会は、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を踏まえ、民間企業におけるフュージョンエネルギーに関する情報交換やビジネスマッチング等を促進し、フュージョンインダストリーを育成することを目的とする。

【発起人】(2024年1月15日時点)

    株式会社アトックス
    大和合金株式会社
    株式会社EX-Fusion
    三井物産株式会社
    日揮株式会社
    株式会社フジクラ
    株式会社Helical Fusion
    古河電気工業株式会社
    住友商事株式会社
    京都フュージョニアリング株式会社
    三井不動産株式会社
    日本電信電話株式会社
    株式会社LINEAイノベーション
    三井住友海上火災保険株式会社
    株式会社IHI
    三菱重工業株式会社
    東芝エネルギーシステムズ株式会社
    株式会社INPEX
    三菱商事株式会社
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●科学技術ニュース●量子科学技術研究開発機構、「JT-60SA」において初のプラズマ生成に成功

2023-10-27 09:31:34 |    エネルギー
 量子科学技術研究開発機構(QST)は、日欧共同で実施している幅広いアプローチ活動等を通じて進めてきた、世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置「JT-60SA」において、初のプラズマ生成(初めてのトカマクプラズマの生成)に成功した。

 JT-60SAは、フュージョンエネルギーの早期実用化を目指し、イーター計画と並行して日欧が共同建設した、世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置。

 2023年5月より統合試験運転を再開し、超伝導コイルの冷却、通電試験等を経て、2023年10月23日17:30頃(日本時間)、トカマクプラズマを初めて生成した。

 これにより、各構成機器が連動して、システムとして機能することを実証でき、幅広いアプローチ活動の大きなマイルストーンを達成した。

 QSTは、JT-60SAで得られた知見をイーター及び将来の原型炉に積極的に活かすとともに、フュージョンエネルギーの早期実用化に向けた中核的な拠点として引き続き邁進する。<量子科学技術研究開発機構(QST)>
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●科学技術ニュース●核融合科学研究所、核融合炉の実現と展開を加速する高温超伝導・大電流導体「STARS導体」を開発

2023-09-22 09:53:57 |    エネルギー
 核融合科学研究所(NIFS)は、今回、次世代の核融合実験装置に適用できる2万アンペア級の高温超伝導「STARS導体」を開発した。

 STARS導体は、特に電流密度(電流値を導体の断面積で割った値)が高いことが特徴で、1平方mmあたり80アンペアを流すことを目標としており、同規模の低温超伝導導体に対して約2倍となる。

 電流密度を高くできると核融合炉のマグネットを細くでき、プラズマの周りを取り囲む機器の設置に余裕ができる。STARS導体ではREBCO系線材を15枚積層し、安定化銅ジャケットに収め、外側のステンレスジャケットで強度を確保した。

 全長6メートルの導体を構成し、直径60 cmで3回ほど巻いたコイル形状試験体を製作したところ、温度マイナス253度、磁場強度8テスラにおいて1万8千アンペアの定格電流まで安定に通電できることを確認した。

 これは、目標とした1平方mmあたり80アンペアの電流密度を達成したことになる。また、電流の上げ下げで毎秒1千アンペアという高速通電を行い、これを合計で2百回以上繰り返しても安定に通電されていることが確かめられた。

 一方、大型コイルを巻くためには複数の導体(1本の長さは十m~数百m)を接続することによって延ばしていく必要がある。STARS導体では東北大学大学院工学研究科量子エネルギー工学専攻の伊藤悟准教授らが開発してきた「機械的ラップ接合法」を採用しており、導体内部の高温超伝導テープ線材同士を低抵抗で接続することが可能。

 今回の2万アンペア級導体の試験体でも、この接続方法を応用した電流導入部を製作したことが良好な結果を得ることに役立った。

 核融合科学研究所(NIFS)は、世界に先駆けて2005年から核融合炉の大型マグネットに適用できる高温超伝導大電流導体の開発に着手した。

 これには日本を中心に開発された高温超伝導線材であるREBCO(レブコ)系線材を当初から用いている。REBCO系線材はテープ形状をしており、幅4 mm~12 mm、厚さ0.1 mmというもの。

 NIFSで開発を進めてきたSTARS導体は、逆転の発想でテープ線材を単純に積層するだけとしており、これにより機械的に強い構造が採用できている。

 これは、低温超伝導導体と同様に偏流が生じ大きな電流を担った線材が臨界を超えても、過剰な電流を他の線材に受け渡すのに余裕があり、結果として導体全体の温度を上げないよう保つことができる。

 実際に導体を試作したところ、2014年に10万アンペア(現在でも高温超伝導導体の電流世界記録)を達成し、原理検証ができたが、実用化できる本格導体として仕上げるのに更に8年を要した。

 核融合炉に適用できる高温超伝導大電流導体については世界でも開発が行われている。多くの研究機関や民間スタートアップ企業でいろいろな種類の導体とコイルが開発されているが、いずれも完全な完成には至っておらず、世界における競争は激しさを増している。<核融合科学研究所(NIFS)>
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●科学技術ニュース●東急不動産、伊藤忠商事、パワーエックスと自然電力の4社、系統用蓄電池事業を開始

2023-08-10 09:32:51 |    エネルギー
 東急不動産は、埼玉県東松山市のTENOHA東松山にて系統用蓄電池事業を開始する。同事業は東京都の「令和4年度系統用大規模蓄電池導入促進事業」を活用する。
 
 また、同事業においては、東急不動産、伊藤忠商事、パワーエックス及び自然電力の4社は、同事業の推進および系統用蓄電池事業の拡大に向けたパートナーシップ契約を締結する。

 2050年カーボンニュートラルの実現に向けた動きが加速する中、太陽光発電等の再生可能エネルギーの開発が進むことで、その出力変動に対する「調整力」として蓄電池の需要が高まると見込まれている。

 同事業では、パワーエックスの蓄電池システム(定格出力1.8MW、定格容量4.9MWh)を、系統用蓄電池事業において国内で初めて採用する。

 なお、パワーエックスの系統用蓄電池システムの導入に向けて、伊藤忠商事が蓄電池事業に必要となる蓄電システム全体を設計・構築するアレンジメントを担うとともに、パワーエックスの蓄電池システム以外にも制御装置等の調達を担う。

 自然電力は、東急不動産からの委託を受け、自然電力が開発・運用するアグリゲート・エネルギー管理システム「Shizen Connect」を活用して、当該蓄電池を制御し、これにより生み出される「調整力」を、卸電力市場、需給調整市場、容量市場といった各電力市場で運用する。

 当該蓄電池は、東急不動産が運営する実証実験プラットフォーム「リエネソーラーファーム東松山」内にある「TENOHA東松山」に設置し、2023年度内に建設開始、2024年度上期に運転開始を予定している。

 同事業を通して4社は、系統用蓄電池システムの枠組み構築を行い、今後も他案件への取り組みを進めることで日本の電力システムの安定化に貢献する。<東急不動産>
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●科学技術ニュース●東京電力など、分散型エネルギーリソースを活用した実証事業を開始  

2023-07-26 09:52:56 |    エネルギー
 東京電力ホールディングス、Goal connect、東京電力パワーグリッド、NEC、本田技研工業、エフィシエント、OKIクロステック、京セラ、グローバルエンジニアリング、サニックスおよび東京電力エナジーパートナーを含む13社は、コンソーシアムを形成し、経済産業省が環境共創イニシアチブ(SII)を通じて公募する実証事業「令和5年度 蓄電池等分散型エネルギーリソース次世代技術構築実証事業費補助金(分散型エネルギーリソースの更なる活用実証事業)<分散型エネルギーリソース活用実証>」に申請していたが、2023年6月22日、SIIから採択結果が公表されたことを受け、リソースアグリゲーション事業の実現を目的とした分散型エネルギーリソース活用実証を開始した。

 近年、太陽光発電等の再生可能エネルギー(再エネ)による出力変動や余剰電力の発生等、電力系統の安定運用に影響を及ぼす課題が顕在化しつつある。電力系統の安定化には、発電所等による調整が必要だが、発電設備を保有・維持するにはコストがかかる。

 このような中、継続的な再エネ導入と電力系統の安定化を低コストで両立するため、分散型エネルギーリソースを積極的に活用した新たな仕組みが必要とされている。

 東京電力ホールディングスを幹事社とする同コンソーシアムは、2016年度から2020年度に活動した経済産業省の実証事業「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金」、また2022年度に活動した「蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金」において、アグリゲーションコーディネーター(AC)システムの開発をはじめ、多様な技術実証メニューでリソースの制御精度向上等に取り組んできた。

 今年度は、これまでの実証成果等を踏まえ、分散型エネルギーリソースの利用促進に向け、同コンソーシアムにてACシステムの更なる高度化や制御精度の一層の向上、リソースアグリゲーター(RA)事業者が市場参入しやすくなる機能の充実、市場制度の課題やビジネスモデルの検討を2024年2月中旬まで実施する。

 アグリゲーションビジネスにおける全てのステークホルダー(送配電事業者、小売電気事業者、システム/ICT事業者、エネルギーリソースプロバイダー等)が参加する同実証事業を通じて、世界的なエネルギー・環境問題を解決するための革新的なエネルギーマネジメントシステムとリソースアグリゲーション事業のビジネスモデルの確立を目指す。<NEC>
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●科学技術ニュース●三菱造船と日本郵船、「アンモニア・液化CO2兼用輸送船」の基本設計承認を日本海事協会から取得

2023-07-11 09:32:24 |    エネルギー
 三菱重工グループの三菱造船ならびに日本郵船は、アンモニア輸送と液化CO2(LCO2)輸送を兼用可能な「アンモニア・液化CO2兼用輸送船」の基本設計承認(Approval in Principle : AiP)を、日本海事協会(NK)から取得した。

 LCO2輸送船は、低・脱炭素社会を実現する手段の1つとして注目されているCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)バリューチェーンにおいて、回収し液化したCO2を貯留地もしくは有効利用地へ効率的に輸送する手段の1つとして重要な役割を担う。

 また、アンモニアは、燃焼時にCO2を排出しない次世代のクリーンエネルギーとして世界的に関心が高まっており、脱炭素化の流れの中でアンモニアを戦略的に活用する動きが活発になっている。

 三菱造船と日本郵船はそれぞれ、アンモニアとLCO2の各専用輸送船の技術開発に取り組んでいる。両社は大型LCO2輸送船の技術開発ではすでに協力体制を構築しており、今回のAiP取得を通じて、両社が蓄積したアンモニアとLCO2に関する知見を生かし、同一船舶によるアンモニアとLCO2の安全かつ経済的な輸送を目指す。

 同一船舶によるアンモニアとLCO2の輸送が可能となれば、往路でアンモニアを火力発電所に輸送し、復路で火力発電所から排出されたCO2を貯留地へ輸送するといった、専用船とは異なるオペレーションが可能となる。<三菱造船>
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