“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「異端の統計学 ベイズ」(シャロン・バーチュ・マグレイン著/草思社)

2019-01-31 09:32:06 |    数学

 

<新刊情報>

 

書名:異端の統計学 ベイズ

著者:シャロン・バーチュ・マグレイン

訳者:冨永 星

発行:草思社 

 先端理論として現在注目を集めるベイズ統計。実は100年以上に渡り、学界で異端とされてきた。それはなぜか。逆境を跳ね返した理由は。数奇な遍歴が初めて語られる。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

★科学技術ニュース★大阪大学、機械学習と次世代シークエンス技術の活用により日本人集団の白血球の血液型を解明

2019-01-31 09:31:45 |    人工知能(AI)

 大阪大学大学院医学系研究科の平田潤大学院生、岡田随象教授(遺伝統計学)らの研究グループは、次世代シークエンス技術と機械学習を用いて、日本人集団における白血球の血液型が11パターンで構成されており、その個人差が、病気や量的形質を含む50以上の表現型に関わっていることを明らかにした。

 ヒトの血液に含まれる白血球には血液型が存在し、ヒトゲノム上のHLA遺伝子の配列の個人差で決定される。白血球の血液型は移植医療や個別化医療に際して重要だが、HLA遺伝子構造が複雑で、解読に専門技術が必要なことや高額な実験費用により、HLA遺伝子配列の詳細な個人差の解明は遅れていた。

 岡田教授らの研究グループは、最先端のゲノム配列解読技術である次世代シークエンス技術を駆使して、日本人集団1,120名を対象に33のHLA遺伝子におけるゲノム配列を決定することに成功した。

 得られたHLA遺伝子ゲノム配列情報に対して機械学習手法であるtSNを適用した結果、日本人集団の白血球の血液型を11パターンの組み合わせに分類可能なことが明らかになった。

 これは、複雑なヒトゲノム情報の解釈を、機械学習手法を用いて実現した先進的な成功例と評価することができる。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「数学リテラシー」(竹内 潔、久保隆徹著/共立出版)

2019-01-31 09:30:53 |    数学

 

<新刊情報>

 

書名:数学リテラシー

著者:竹内 潔、久保隆徹

発行:共立出版

 大学数学への最短コース―教育システムの改変に左右されない数学書のリテラシー(読解力)を養成。高大接続と大学数学基礎の学習を同時に実現。高校の教科書のように読みやすい。すべての練習問題に詳細な解答つき。高校数学から消えた空間図形、行列と一次変換を完全復活。集合と写像、論理、イプシロンデルタ論法を一人で学べる。微積分と線形代数の主要な結果を概観できる。より高度な分野にもスムースに入門可能。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

★科学技術ニュース★2019年日本国際賞、名古屋大の岡本佳男・特別招へい教授と米オハイオ州立大のラタン・ラル特別栄誉教授が受賞 

2019-01-30 14:58:31 |    ◆受賞◆

 2019年日本国際賞(国際科学技術財団)の「物質・材料、生産」分野は名古屋大の岡本佳男・特別招へい教授(78)、「生物生産、生態・環境」分野は米オハイオ州立大のラタン・ラル特別栄誉教授(74)が受賞した。

◇  

 岡本佳男博士は、従来の常識を覆すらせん高分子を創製する不斉重合の概念を確立し、その成果を光学活性な医薬品等の実用的分離法へと発展させ、基礎科学と産業の発展に大きく貢献した。同博士は、光学不活性なモノマーから光学活性な高分子を合成する、不斉重合の概念を確立した。1977年には、ラセミ体(鏡像異性体の等量混合物)のビニルモノマーの一方の鏡像異性体のみを、高い選択率(90%以上)で重合させた。次いで、光学不活性なビニルモノマーから、溶液中でも安定な完全に一方向巻きのらせん高分子(光学活性高分子)の選択的合成に成功した。らせん構造はDNAや蛋白質のような生体高分子によく見られるが、光学活性基をもたない高分子が、溶液中でも安定ならせん構造を保持することは、それまで理論的な予測すら存在せず、この発見は化学のみならず周辺領域にも大きなインパクトを与えた。

 ラタン・ラル博士は、2050年までに98億人に達すると予測される地球の人口をいかにして養うか、またその一方で、不適切な生物生産による土壌劣化を防ぐとともに、気候変動を軽減しつつ環境の質を向上させるための土壌管理とは何かという課題を学術的に深化させ、多様な生態系に適合した技術オプションを確立することに成功した。同博士はまず、サブサハラアフリカ農地生態系において、安定した生物生産を保障し土壌侵食を防止するための不耕起栽培システムを1970年に提案し、この考えを広く世界各国で実践した。また博士は、大気中の二酸化炭素を土壌有機物として隔離し貯留するための、持続的土壌管理手法の確立に向けた原理を解明し、それに基づく現場適用可能な具体的技術の開発において、世界の研究をリードしてきた最も優れた土壌科学研究者。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「科学史ひらめき図鑑」(株式会社スペースタイム著/ナツメ社)

2019-01-30 09:34:10 |    科学技術全般

 

<新刊情報>

 

書名:科学史ひらめき図鑑~世界を変えた科学者70人のブレイクスルー~

監修:杉山滋郎

著者:株式会社スペースタイム

発行:ナツメ社

 燦然と輝く発見・発明にも、必ずあった「行き詰まり」。同書は、そんな苦難を乗り越えるきっかけとなった、科学者達の「ひらめきの瞬間」に焦点を当て、ビジネスパーソン向けに紹介した。ピタゴラスから山中伸弥まで、各時代の天才達が導き出した「論理的ひらめき」を豊富なイラストで解説。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

★科学技術ニュース★NICTなど、90GHz帯を用いて時速240kmで走行する列車と地上間で毎秒1.5ギガビットのデータ伝送に世界で初めて成功

2019-01-30 09:32:43 |    通信工学

 日立国際電気と鉄道総合技術研究所(鉄道総研)、情報通信研究機構(NICT)は、時速約240kmで走行する列車と地上間において、ミリ波(90GHz帯)無線通信システムを用いて、現行の高速鉄道で利用されている対列車通信システムの750倍となる毎秒1.5ギガビットのデータ伝送実験に世界で初めて成功した。これは、地上無線局をファイバ無線(RoF: Radio over Fiber)でネットワーク接続した点が特徴。
 

 具体的には、北陸新幹線(富山~金沢間)の地上機器室に中央制御装置、線路脇の約2kmの区間に地上無線局を4局、列車の後部運転席内に車上無線局を設置し、伝送試験を行った。

 地上無線局は光ファイバで中央制御装置に接続されており、ファイバ無線ネットワークを介して列車を自動追尾し、必要最小限の電波放射で安定した高速通信を維持する機能をもっている。

 その結果、時速約240kmで走行する列車と地上に設置した中央制御装置間で毎秒1.5ギガビットの大容量データ通信が維持されることを実証した。

 今後は、今回基本技術を確立したミリ波通信とRoF技術を活用した高速鉄道システムに適した新しい無線通信システムを実用化するため、さらなる技術検討と並行し、国際電気通信連合(ITU)において同実験に用いた周波数帯を含む、92.0~109.5GHzの鉄道無線応用に関する国際標準化活動を推進していく。また、鉄道・航空などインフラ向け電波システム海外展開の一環として、国内外の共同研究機関と協力し積極的な展開に取り組む予定。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「60分でわかる! ディープラーニング 最前線」(ディープラーニング研究会著/技術評論社)

2019-01-30 09:25:17 |    情報工学

 

<新刊情報>

 

書名:60分でわかる! ディープラーニング 最前線

著者:ディープラーニング研究会  

監修:関根嵩之(株式会社リクルート)

発行:技術評論社(60分でわかる!シリーズ)

 話題のIT技術のしくみを解説する「60分でわかる」シリーズのディープラーニングをテーマとした書籍。今話題のディープラーニングについてわかりやすく解説。ビジネスパーソンから技術に興味のある人まで、ディープラーニングの基礎から、ディープラーニングをビジネスに活用するうえで参考となる知識までが網羅されている。この1冊があればディープラーニングの原理やしくみを短い時間でしっかり理解でき、実例を豊富に掲載されているおり、ゼロからでも確実に知識が身に付く。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

★科学技術ニュース★理研など、K-中間子と2つの陽子からなる原子核を発見

2019-01-29 09:31:49 |    物理

 理化学研究所(理研)開拓研究本部岩崎中間子科学研究室の岩崎雅彦主任研究員らの国際共同研究グループは、大強度陽子加速器施設「J-PARC」にて、クォークと反クォークが共存する「中間子束縛原子核」の生成実験に世界で初めて成功した。

 同研究成果は、量子色力学における核子の質量の起源や、中性子星の中心部にできる超高密度核物質の解明などの基本的理解に貢献すると期待できる。

 原子核内に陽子と中性子をつなぎ止める“糊”の役目をする中間子は、原子核から真空中に取り出すこともでき、固有の質量と寿命を持った「実粒子」として振る舞う。しかし、実粒子として振る舞う中間子が、陽子や中性子とともに原子核を作ることができるかは分かっていなかった。

 今回、国際共同研究グループはJ-PARCにおいて、K-中間子ビームをヘリウム3原子核標的に照射する実験を行い、K-中間子と二つの陽子(p)が結合した中間子束縛原子核“K-pp”を作ることに成功した。

 この状態の束縛エネルギーは50メガ電子ボルト(MeV)であり、これは通常の原子核の束縛エネルギーの約10倍にも達し、かつK-中間子自身の質量エネルギーの10%に達することが分かった。

 ここから、この結合状態はコンパクトな高密度状態であると予想され、極めて特異的な高密度核物質が自発的に形成されたと考えられる。

 K中間子と原子核が束縛状態を作ること自体はさまざまな理論研究から予想されていたが、予想される束縛エネルギーは、理論の枠組みの違いによってさまざまであった。

 今回、K-中間子が原子核内でも中間子の実粒子としての特性を失わずに存在し、陽子二つと非常に深い束縛状態を作ることや、その束縛エネルギーが非常に大きいことが分かった。

 さらに、その束縛エネルギーのせいで空間サイズが小さいことも示唆されたことから、量子色力学における物質密度とハドロンの質量の関係についても理論的研究の発展が期待さる。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◆科学技術<テレビ番組情報>◆NHK「サイエンスZERO」/BSフジ「ガリレオX」/BS朝日「WILD NATURE 地球大紀行」他

2019-01-29 09:31:23 |    ◆TV番組◆

 

<テレビ番組情報>

 

NHK-BSプレミアム  コズミックフロント☆NEXT 毎週木曜日 午後10時00分~11時00分
                                  再放送 翌週水曜日 午後11時45分~0時44分

1月31日(木) 密着! 地球防衛最前線

 “地球防衛”という言葉を聞いたことがありますか?それは、地球めがけてやってくる小惑星を監視したり、衝突を未然に防ぎ、守ったりすること。2018年6月、アリゾナ州の天文台が高速で動く淡い点を捉えた。NASAが軌道を計算すると、地球に衝突する可能性が判明!「自動車ほどの天体が地球に衝突する」という事態に、世界の関係者が協力して探査に乗り出した。宇宙の脅威から地球を守る技術。その最前線に迫る。

BS朝日 WILD NATURE 地球大紀行    毎週金曜日午後9時~9時54分

2月1日(金) 野生の掟 チーター母子の生存競争

 アフリカ・ジンバブエの草原で、自然写真家キム・ウォルターのカメラは1匹のチーターとそのうしろをついて行く小さな5匹の子供たちの姿をとらえた。子供たちはまだ生後3か月くらいのよちよち歩き。ウォルターは、半年以上もこの雌のチーターを追いかけていて信頼関係を結んでいた。こつ然と姿を消して半年、こうして子供を連れて再び姿を現した。シングルマザーである母親は、か弱い5匹の子供たちを外敵から守りながら乳をあたえ、草原で暮らしていくための術を教えようと目の前でインパラを倒して見せる。

地球ドラマチック  NHKテレビ Eテレ 毎週土曜日 午後7時00分~7時44分
                              再放送 毎週月曜日 午前0時00分~0時44分

2月2日(土)  スカンジナビアの森で  3匹のこぐまの物語

 冬ごもり中に生まれた3つ子のこぐま。春の訪れとともに初めての冒険が始まる。ひときわわんぱくな末っ子は、あるとき森で迷子になってしまう。別のクマの親子におびえ、木から下りられなくなった末っ子。とうとうひとり木の上で夜を明かす。朝日とともに母の匂いを探して森をさまようが、果たして再会することはできるのか?母親との強い絆に守られ、森で生きる力を蓄えていくこぐまたちを見つめる。(2015年ドイツ)


BSフジ   ガリレオX    毎週日曜日 午前11:30~12:00 (隔週新作)

2月3日(日) 休止

2月10日(日)  科学における仮説とはなにか?(再放送)

 「仮説」とは、その真偽はともかくとして何らかの現象や法則性を説明するのに役立つ命題とされる。文明誕生以来、私たちは見上げた空の天体の動きや、身近にある生命現象など、世界の不思議を読み解こうとしてきた。その中で「仮説を立て、実験をし、それを観察して、その結果を調査する」という科学的な検証方法にたどり着き、今では目には見えない素粒子の世界から宇宙の成り立ち、生命発生の起源まで、思いを巡らすことができる。仮説の歴史も紐解きながら、いま注目される最新の仮説を紹介し、科学における仮説とはなにかについて考える。

主な取材先:伊勢田哲治(京都大学)
        中沢弘基(物質・材料研究機構)
        橋本 幸士(大阪大学)
        古川善博(東北大学)

NHKテレビ Eテレ  サイエンスZERO    毎週日曜日 午後11時30分~0時00
                                 再放送毎週土曜日 昼12時30分~1時00分

2月3日(日) さきどり!最新科学スペシャル #2

 私たちの生活を将来豊かにしてくれる可能性に溢れた科学のニュースを一挙に紹介。日本酒を作る発酵の過程で、免疫細胞を強化する物質が新たに生まれることを国立がん研究センターと酒造会社が発見。「うつ病」の診断に機械学習を取り入れ薬の有効性を事前に予測する広島大学の最新研究に密着。日本最大の鍾乳洞「秋芳洞」。去年4月に見つけた新たな空間は果たしてどこまで続いているのか!?

ゲスト:広島大学特任教授…山脇成人

司会:小島瑠璃子、森田洋平

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ロボットメカニクス」(松元明弘、横田和隆著/オーム社)

2019-01-29 09:30:46 |    ロボット工学

 

<新刊情報>

 

書名:ロボットメカニクス~機構学・機械力学の基礎~

著者:松元明弘、横田和隆

発行:オーム社

 ロボット開発に必要な機構学、機械力学、機械要素の基礎知識を解説するとともに、ロボット設計・制御に必要な基礎的な数学やメカトロニクスの基礎を解説。同書は、2009年6月発行「図解ロボット技術入門シリーズ ロボットメカニクス―構造と機械要素・機構―」の改題改訂版。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする