“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「図解入門ビジネス 最新電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本<第4版>」(木舟辰平著/秀和システム)

2024-06-05 09:33:49 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:図解入門ビジネス 最新電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本<第4版>

著者:木舟辰平

発行:秀和システム

 東日本大震災後にはじまった電力システム改革は、現時点では残念ながら成功とは言いがたい状況にある。たとえば夏冬の需要期における電力不足や、世界的な燃料価格高騰を背景にした電気料金の大幅な上昇など深刻な問題が山積みである。同書は、日本の電力システムに興味を持つ一般の方に向けて、現在と次世代の電力システムの全体像と各構成要素をわかりやすく解説した入門書。最新の政策動向や脱炭素、発電・送配電、電気料金まで仕組みと概要がわかる。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「できる無線回路の製作全集」(漆谷正義著/CQ出版)

2024-06-05 09:33:11 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:できる無線回路の製作全集~送信・発振・受信・測定・給電…理解の早道!~

著者:漆谷正義

発行:CQ出版
 
 同書は、無線と高周波の技術解説マガジン「RFワールド」に連載した製作記事の集大成。“RF”とはRadioFrequency,ラジオに使われるような無線周波すなわち高周波を意味する。今日のRFは放送、通信、測位/測距、気象レーダや医療機器などのほか、電力伝送などのエネルギー利用へと用途が広がっている。RF回路は,手を近づけると周波数がふらついたり、異常発振したりする。アンテナに指で触れたとたんに感度が良くなったり、悪くなったりする。RF回路は、その振る舞いを体験することが理解につながる。うまく動作しない原因を見つけて期待どおりに動かすことができたという成功体験が重要であり、理解への近道であろうと考える。回路技術を学ぶのに「ディジタル1年、アナログ3年、高周波10年」といわれる。高周波が難しいのは可視化したり数値化しにくい部分があることや、回路図に現れない要素を読み取らねばならないからである。同書の製作物はRF回路の基本を理解できるよう、マイコンや専用SoCをできるだけ使わずに構成している。無線や高周波回路のふるまいはシミュレーションではわからない。実際に回路を製作し、そのふるまいを体験することで興味と理解が深まることであろう。ホビーや教材に使えるものから、シンプルながら実用的なものまで、無線と高周波の製作事例をまとめた。
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●科学技術ニュース●ENEOSとPreferred Networks、世界初、AI技術による原油処理装置の自動運転を開始

2024-06-05 09:32:46 |    人工知能(AI)
 ENEOSとPreferred Networks(PFN)は、ENEOS川崎製油所において、原油処理を行う常圧蒸留装置でAIシステムによる安定的な自動運転を 開始した。

 同AIシステムは、大規模かつ複雑であることから長年の経験に基づいた運転ノウハウが求められる石油精製プラントの自動運転を可能にするもの。

 人の技量に左右されないプラントの安定運転確立により、保安力の向上に貢献するシステムとして、2018年度よりENEOSとPFNが共同で開発に取り組んできた。

 中でも、常圧蒸留装置は、温度、圧力、流量、製品性状など、制御対象としている要素数(24個)や予測に用いる入力センサー数(930個)が多く、運転制御・操作には熟練の技術や知識が必要とされるもので、同装置におけるAI技術を用いた常時自動運転は世界で初めてとなる。

 24個の運転重要因子の常時監視と13個のバルブを同時に操作することで、原油処理量の変更や原油種の切り替え時の変動調整作業にも対応し、手動操作を超える経済的で安定的かつ高効率な運転を達成している。

 今後は、ENEOSの他製油所への展開並びに、ソリューションパッケージとして一般販売することを計画している。

 両社は、同取り組みを通じて、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の目標9「産業と技術革新の基礎をつくろう」のゴールである「強靱なインフラ構築、包摂的かつ 持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」などの達成に貢献する。<ENEOS>
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●科学技術ニュース●IHI、出光興産徳山事業所のナフサ分解炉においてアンモニア燃焼技術を実証  

2024-06-05 09:32:03 |    化学
 IHIおよび株式会社IHIプラントは,出光興産が、同社徳山事業所(山口県周南市)で実施した商業用ナフサ分解炉でのアンモニア燃焼実証において、アンモニア専焼バーナを提供するとともに、アンモニア貯蔵タンクや配管などの中間供給設備の設置工事を行った。

 2月6日~8日に実施された実証により、商業用ナフサ分解炉の既存燃料の2割超をアンモニアに切り替えて燃焼することを国内で初めて実証した。

 これはIHIの燃焼技術と,出光興産のオペレーションノウハウにより実現した世界でも先進的な技術。

 IHIと出光興産は,同事業所においてアンモニアサプライチェーン構築に向けた検討に共同で取り組んでいる。

 この協業の一環として,同事業所の既設ナフサ分解炉において燃焼実証を実施した。今回の実証では,IHIがナフサ分解炉用のアンモニア専焼バーナを開発し,実証対象である既設ナフサ分解炉のガスバーナの一部を今回開発したアンモニアバーナに変更した。

 また,IHIプラントは,アンモニアの貯蔵タンクや配管などの中間供給設備,ナフサ分解炉におけるアンモニア燃焼設備の設置工事を行った。
 
 IHIは,2021年よりナフサ分解炉用アンモニアバーナの開発に着手した。特性を比較するため複数のプロトタイプバーナを用いて,IHI相生工場(兵庫県相生市)内の基礎燃焼試験炉(1 MWth)で燃焼性能を評価し,最適形状を選定かつNOxや未燃アンモニアの排出規制値といった要求仕様を満足していることを確認した。

 開発したバーナの実証は,出光興産のオペレーションノウハウに基づく指導のもと,同社徳山事業所の操業中のナフサ分解炉で実施し,投入熱量比20%程度までの範囲においてアンモニアが安定燃焼可能であることを確認した。

 また,適切に燃焼調整することで排ガス中のNOxを排出規制値以下まで低減でき,未燃アンモニアが検出されなかったことから環境性能においても問題がないことが確認できた。

 今後,同バーナを他のナフサ分解炉にも展開することで、燃料アンモニアの利用拡大による脱炭素化に貢献できる。また,今回得られた技術的知見は,他の工業炉やバーナへの応用を検討していく。<IHI>
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