“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

■科学技術ニュース■産総研など、酸化亜鉛粒子を用いた発振特性に優れたランダムレーザー素子を開発

2013-02-28 11:21:55 |    化学

 産業技術総合研究所(産総研)は、北海道大学、九州大学と共同で、産総研で開発したサブマイクロメートル球状粒子作製法(液中レーザー溶融法)により得られた酸化亜鉛(ZnO)粒子からなる薄膜に、光学的な欠陥粒子を導入すると、発振特性に優れたランダムレーザーとして動作することを実証した。

 ランダムレーザーは、高度な材料合成・加工技術が求められる明確なキャビティー構造を必要とせず、また安価で容易に作製できるレーザー素子として注目を集めてきた。

 今回開発したサブマイクロメートルサイズの酸化亜鉛球状粒子を用いた小型ランダムレーザー素子は、低価格で単色性が要求される小型光源、家庭用ヘルスモニター用分光装置、照明用素材、発光素子を要する電子デバイスなどへの幅広い技術応用が期待できる。

 北海道大学の藤原英樹准教授は、これまでのランダムレーザーに関する研究を発展させることで、散乱体のサイズや形状が均一である光散乱体の集合体がある特定の波長範囲で非常に小さな透過率になり一種の鏡として働くことや、均一サイズの光散乱体の集合体中に点欠陥を導入すれば特定の波長領域の光を空間的に閉じ込められることを計算により検証してきた。

 この点欠陥のサイズは光散乱体のサイズよりも大きく、また、欠陥と同様に機能する空隙が存在しないことが重要となる。これを実験で検証することを目指して研究を進めてきた。

 今回、提案した手法の有効性を示すため、既にランダムレーザー発振の報告が多くある酸化亜鉛(ZnO)を光散乱体および利得媒体として選択し、共鳴波長と適合する粒径のZnOサブマイクロメートル球状粒子を使用した。

 ZnOの発光波長は380-390 nmであり、この波長付近の光に対して粒子を鏡のように働かせるために最適な粒径は約200 nmであることが、最近の研究で明らかになってきた。そこで、このサイズの平均粒径をもつZnO粒子を、産総研が開発した液中レーザー溶融法を利用して、市販のZnO粒子(平均粒径:100 nm)原料から作製した。

 今回開発した作製法では、サブマイクロメートルの球状粒子が分散した液に欠陥としてポリマー粒子を添加し、この分散液を塗布するだけでランダムレーザーを作製できる。このため、小型で安価なレーザー素子が容易に作製でき、低価格で単色性が要求される小型光源、家庭用ヘルスモニター用分光装置、照明用素材、発光素子を要する電子デバイスなど、幅広い技術への応用が期待できる。今後、粒子のサイズ均一性向上や他の波長のランダムレーザー開発を目指した物質の探索などに取り組んでいくことにしている。 

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■科学技術書<新刊情報>■「面積の発見」(武藤 徹著/岩波書店)

2013-02-26 10:33:50 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:面積の発見 

著者:武藤 徹

発行:岩波書店
 
 面積というアイデアは,ナイルの氾濫で失われた耕地の測量からはじまり,世界各地で労働時間や収穫量,長さを単位とするさまざまな測定法が発明された。やがて抽象的な面積概念が発達し、論証図形学が誕生する。体積,仕事量,曲線の長さなどの諸量も積分によって求めることが可能になった。面積が数学になるまでの過程をたどる。(岩波書店の紹介文から)

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◆科学技術テレビ番組情報◆NHK「サイエンスZERO」/BS朝日「BBC地球伝説」/TBSテレビ「夢の扉+」/他

2013-02-25 11:00:50 |    ◆TV番組◆

 

<テレビ番組情報>

 

NHKテレビ Eテレ  サイエンスZERO 毎週日曜日 午後11時30分~0時00分
                         
再放送毎週土曜日 昼12時30分~1時00分
 
3月3日(日)  シリーズ原発事故<10>密着!福島第一原発 知られらざる廃炉への道

女優:南沢 奈央/サイエンス作家:竹内 薫/アナウンサー:中村 慶子/
    淺間 一東京大学工学部教授/水野 倫之NHK解説委員
 

 使用済み核燃料が並ぶそのすぐ上で、複雑に重なり合ったガレキを崩さないよう一個一個取り除く。「史上最難のミッション」に挑む技術者たちと、知られざる内実に密着。

BS朝日   BBC地球伝説 午後8時~9時
 
2月25日(月) ヒマラヤ・野生のトラ~最後の聖域に挑む~ 奇跡の発見
2月26日(火) イギリス・華麗なる宮殿の旅 バッキンガム宮殿
2月27日(水) イギリス・華麗なる宮殿の旅 ウィンザー城
2月28日(木) イギリス・華麗なる宮殿の旅 ホリールードハウス宮殿

イギリス・華麗なる宮殿の旅(3回シリーズ)

 長い歴史と伝統を誇るイギリス王室。数ある王室の住まいでも「バッキンガム宮殿」「ウィンザー城」「ホリールードハウス宮殿」には時代ごとの歴史が色濃く刻まれ、知られざるエピソードがあふれている。魅力あふれるイギリスの歴史や貴重な所蔵品の数々を、宮殿の中を実際に歩きながら紹介していく全3回シリーズ。

TBSテレビ    夢の扉+ 毎週日曜日 午後6時30分~7時
 
3月3日(日)  東京が油田に!?“天ぷら油”を新エネルギーに再資源化!
                        車も走り、発電も~「環境の英雄」が究極の循環型社会実現に挑む!

ドリームメーカー/東京都墨田区 株式会社ユーズ 社長 染谷ゆみ

ナレーター:坂口憲二

 染谷は、誰も“資源”として見て来なかった、家庭の使用済み天ぷら油を分別回収し、独自の精製技術で、バイオディーゼル燃料化する技術の開発に成功。このバイオディーゼル燃料は、軽油の代替燃料として使えることが証明されていて、都内や埼玉県では、“てんぷら油で走る”エコロジーバスも運行している。そして今、染谷が取り組むのは、天ぷら油燃料で電気を起こすというエコ発電だ。その一歩として、目黒川一帯のイルミネーション点灯に挑む。さらに、大手企業と共同で、コンテナ型の「天ぷら油発電機」の開発にも取り掛かる。
 
NHKテレビ Eテレ   地球ドラマチック 毎週土曜日 午後7時00分~44分
                          
再放送 毎週 午前0時00分~0時44分
 
3月 2日(土) 異変!ホッキョクグマ~氷のない世界で生きる~
 
NHK-BSプレミアム   コズミック フロント 毎週木曜日 午後10時00分~11時00分
                            
 再放送 月曜日 午後11時45分~0時44分
 
2月25日(月) 休み 

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■科学技術ニュース■物質・材料研究機構など、ポリマーがカーボンナノチューブを可溶化する観測に成功

2013-02-22 10:32:17 |    化学

 物質・材料研究機構(NIMS)環境再生材料ユニット、天津大学連携研究センターの内藤昌信主幹研究員と奈良先端科学技術大学院大学は、次世代材料である単層カーボンナノチューブにポリマー(分子の重合体)が巻き付く過程をリアルタイムで解析することに世界で初めて成功した。

 カーボンナノチューブは、有機材料を使うソフトエレクトロニクスや、化学センサー・燃料電池など、環境に優しいグリーン・ライフサイエンス分野での様々な用途が期待されている新しい材料。

 しかし、水や有機溶媒に極めて溶けにくいことがカーボンナノチューブの基礎研究や実用化の際にボトルネックとなっていた。その有力な解決手法として、ポリマーに包んで溶かす「ポリマーラッピング」が盛んに研究されているが、ポリマーがカーボンナノチューブの周りにどのような機序で巻き付くか、その結果、どのようにナノチューブが可溶化していくかをリアルタイムで観測することはできなかった。

 今回の研究では、タンパク質やDNAなどの生体分子の瞬時の動的な構造変化を解析する手法の一つである「ストップトフロー法」を採用し、カーボンナノチューブの動的なポリマーラッピング挙動の解析に初めて成功したもの。

 同研究成果は、溶媒に溶かすことが困難であったカーボンナノチューブをポリマーに包んで可溶化するという量産化、実用化に向けたカギとなる技術でありながら、従来未解明だったメカニズムを明らかにするもので、新たな可溶化剤の開発など効率的な生産に結びつくと期待される。

 

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■科学技術ニュース■京都大学など、フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡により宇宙線陽子の生成源を特定

2013-02-21 09:17:27 |    宇宙・地球

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)、京都大学、広島大学は、フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡を用いた観測によって、宇宙線陽子が超新星残骸で生成することの決定的な証拠を見つけた。

 京都大学の田中孝明助教をはじめとするフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡のチームは、ふたご座の方向にあるIC 443とわし座の方向にあるW44という2つの超新星残骸について、2008年の観測開始から2012年までの約4年間の観測データを解析した。

 いずれの超新星残骸についても、低エネルギー側でエネルギーフラックスが急激に小さくなっており、中性パイ中間子が崩壊することによる放射であると結論付けることができた。

 1912年の発見から百余年、ついに宇宙線陽子の源が特定された。この成果は、フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡のデータ解析方法の改良や較正の精度向上などが進んだことで、はじめて可能となった。
  
 宇宙から地球にやってくる宇宙線(一次宇宙線)の大部分(90%)は陽子で、9%がヘリウムをはじめとする原子核(陽子と原子核の成分を合わせて陽子成分と呼ぶ)、そして、1%が電子。一次宇宙線の大部分は、銀河系内の超新星の爆発に由来するのではないかと考えられてきたが、観測的な裏付けはなかった。

 最近の観測によって、宇宙線の電子成分の源が超新星残骸であるということがようやく突き止められた。地球に降り注ぐ宇宙線の大部分を占める陽子成分についても、超新星残骸で生成されているという示唆はあったが、決定的な証拠は得られていなかった。
  
 この問題の解決には、高エネルギーガンマ線の観測が重要な役割を果たす。というのも、高エネルギーの陽子や原子核が周囲のガスと衝突すると「中性パイ中間子」が生成し、それがすぐに崩壊して特有なエネルギーのガンマ線を出すため。

 超新星残骸から、この特徴的な放射が観測されれば、それは宇宙線の陽子成分が超新星残骸で生成することの決定的な証拠となる。
  
 フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡は、まさに、中性パイ中間子からの特徴的な放射が現れると予測されているエネルギー帯域に感度を持つ。

 フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡は、日本・アメリカ・フランス・イタリア・スウェーデンの国際協力によって開発され、2008年6月にNASAによって打ち上げられた。日本の研究機関では広島大学、JAXA、東京工業大学が開発に大きく貢献した。約1000万電子ボルト以上の高エネルギーガンマ線に感度を持ち、全天をくまなくサーベイしている。

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■科学技術書・理工学書ブックレビュー■「水を科学する」(川瀬義矩著/東京電機大学出版局)

2013-02-19 10:34:39 |    化学

 

書名:水を科学する

著者:川瀬義矩

発行所:東京電機大学出版局

発行日:2011年4月20日第1版第1刷

目次:第1章 水の役割—地球は水に支配されている—
     1 人間にとって重要な水
     2 水の循環が地球の気象を支配している
     3 おいしい水と健康によい水—おいしい水を求めて—
     4 食品の水—料理の味も水次第—
    第2章 水は特殊な液体—水の構造と性質—
     1 水分子の構造—極性を持つ構造—
     2 水の状態—通常の温度と圧力で固体,液体そして気体にもなるめずらしい物質—
     3 水の特性—水は特徴的な性質を多く持った不思議な物質である—
     4 重水と軽水—重水は軽水よりも特異な水—
     5 超臨海水—液体であって気体でもある流体—
     6 高温高圧の水(亜臨界水)と高温高圧水蒸気—反応性に富んだ水—
    第3章 機能水—活性化の方法と利用法—
     1 自然による機能化—自然が活用化した水の利用—
     2 人工的な機能水—意図的に活性化した機能水—
     3 科学的根拠が示されていない機能水—いろいろある「不思議な水」—
    第4章 これからの水と人間—環境に優しい水—
     1 健康に役立つ水
     2 環境に役立つ水
     3 エネルギーに役立つ水

 よく地球は、“水の惑星”と言われる。これは生命が存在できる源が水であり、水が存在しない星には、原則として地球上に見られるような生命は存在しない。そのため、現在、火星で行われている探査では、かつて水が存在していた証拠を探ろうと、懸命な活動が行われている。考えてみると、人間は液体である血液の循環で生命を保っているし、植物も根から水分を吸い上げ、高いところにある葉っぱへ、くまなく養分を送り届けることによって生命を維持している。何故、これが可能かというと水の持つ毛管現象を利用しているのである。もし水がなければ、人間でも、動物でも、植物であっても、全身に養分を送り届けることはできない。そんな重要な水ではあるが、意外に水に正面から取り組んだ書籍は多くはない。特に一般向けに体系的に書かれた啓蒙書に至っては、あまり見かけない。

 そんな、分りきっているようで、実は分り難い水の正体を、平易に解説したのがこの「水を科学する」(川瀬義矩著/東京電機大学出版局)である。平易といっても化学的に厳密に定義をしながら体系的に書かれているので、化学専攻の学生にも大いに読み応えはあろう。例えば「水の特性—水は特徴的な性質を多く持った不思議な物質である—」を見ると、次のように水の特性が紹介されている。①水は氷になって体積を増やす―4度Cの不思議―②水の融点は一般の物質に比べて異常に高い―大きな熱を奪う水―③水は比熱(熱容量)が高い―水は暖まり難く冷め難い―④水の表面張力は多きい―体のすみずみまで血液が行き渡る―⑤水の粘度は温度が高くなると減少する—流体の流れやすさ—⑥水は物質を溶かしやすい—物質を溶かして輸送する—。

 一般的に水道水は不味いと言われる。では、何が原因かと問われれば、普通は、塩素と答えがちだが、実は違っている。不味い水の原因は、塩素そのものの臭いではなく、塩素と水中に含まれているアンモニアと結合してできた三塩化窒素などの化合物によるものだそうである。上水道には、多量の塩素が含まれているが、それは殺菌のため。塩素は水中に長時間残留する性質があるため、送水中の細菌による再汚染を防ぐことができるのである。オゾンの殺菌力は強いが、塩素のように殺菌力は持続しないため、オゾンだけの殺菌力では不十分なのである。というわけで、現時点での最良案はというと、塩素消毒とオゾン消毒を併用し、さらに水道蛇口で中空糸膜フィルタを使う方法である。我々が毎日使う水道水ですら、このように、その化学的根拠を説明してみなさい、と言われると、正確に答えられる人は意外に少ないのではないだろうか。そんな“水の常識”を教えてくれるのも、この書の特徴である。これから重要となる、水の安全性を維持するにも、水の基礎知識は欠かせない。

 今、世界は水資源の確保が重要な課題となっている。その際に必要となるのが海水の淡水化である。豊富にある海水を真水にするには、蒸発法、逆浸透法、冷凍法などがある。これらの方法を基に製品化が進められ、既に世界各国で使われ始めている。また、海洋温度差発電、波力発電、潮汐発電など、エネルギー問題の解決策としての水の活用が喫緊の課題として浮上してきており、これらに対する基礎的な知識も欠かせない要件だ。最後に、筆者は言う。「『不思議な水』がこの世の中にはたくさんある。本当に機能を持っているのであれば、実証実験を行い是非その科学的根拠を明確に示してもらいたい」と。ここでは、「π(パイ)ウォーター」「波動水」「電磁場処理水(磁気処理水)」「活性水素水」が取り上げられており、それぞれの疑問点が挙げられている。少し前、テレビの広告で盛んに「マイナスイオン」という言葉が使われていた。「『マイナスイオン』とは何?『マイナスイオン』が体にいい根拠は?」ということは、そっちのけで商品のPRに使われていたのだ。今、「不思議な水」の正体の解明が待たれる。この書は、化学的な観点から水を厳密に定義し、その上に立って、我々の生活での水の役割を平易に解説した、水をテーマにした貴重な書籍である。
(勝 未来)

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◆科学技術テレビ番組情報◆NHK「サイエンスZERO」/BS朝日「BBC地球伝説」/TBSテレビ「夢の扉+」/他

2013-02-18 10:28:42 |    ◆TV番組◆

 

<テレビ番組情報>                                     
 

 
NHKテレビ Eテレ  サイエンスZERO 毎週日曜日 午後11時30分~0時00分
                                                    再放送毎週土曜日 昼12時30分~1時00分

 
2月24日(日) 46億年目の大逆転!「奇跡の糖」が人類を救う

女優:南沢 奈央/サイエンス作家:竹内 薫/アナウンサー:中村 慶子/
香川大学 特任教授:何森 健
 
 糖なのに、食べると血糖値が低下したり内臓脂肪が減少したり! 太古の地球では「落ちこぼれの糖」だったのが、46億年目に大逆転を果たすまでの、知られざる自然のドラマ!

BS朝日   BBC地球伝説 午後8時~9時
 
2月18日(月)よみがえった名画の謎 ~天才画家カラヴァッジオが描くキリスト~
2月19日(火)驚きの新発見!知られざる生き物ベスト10
2月20日(水)ヒマラヤ・野生のトラ~最後の聖域に挑む~ わずかな手がかり
2月21日(木)ヒマラヤ・野生のトラ~最後の聖域に挑む~ さらなる秘境へ

TBSテレビ    夢の扉+ 毎週日曜日 午後6時30分~7時

2013年2月24 日 休み 

NHKテレビ Eテレ   地球ドラマチック 毎週土曜日 午後7時00分~44分
 
2月23日(土) 分解!巨大メカ 1~大型旅客機の秘密~

 飛行機はどうして空を飛べるのか。イギリスの航空会社が6年に1度行う大型旅客機の分解・総点検に密着し、普段は見られない航空機の仕組みを紹介する。点検期間は5週間。エンジンや計器類、座席やトイレまで取り外し、すべて点検した上で組み立て直す。また、機体が落雷に耐えられるかを調べる耐久テストも取材し、旅客機の安全を支える人々の姿を伝える。一方、寿命を迎えた航空機の“その後”も取材。航空機の“一生”を追う。

原題:Engineering Giants-Jumbo Jet Strip Down

制作:イギリス 2012年

NHK-BSプレミアム   コズミック フロント 毎週木曜日 午後10時00分~11時00分
                                                         再放送月曜日 午後11時45分~0時44分

2月18日(月) 再放送 ムーンラッシュ! 月開発最前線

 人類が初めて月面に降り立ったアポロ計画から40年以上たった近年、再び月に人を送りこむべく月探査が活発になっている。中国やインドが狙うのは月の資源。月に大量にあるといわれるヘリウム3は新しいエネルギー資源となる。「これを手に入れればエネルギー問題はすべて解決!」とロケットを次々と打ち上げている。一方、アメリカは月を惑星探査の拠点とするために月面基地の建設をもくろむ。そのために打ち上げた衛星が水を発見した。これらの動きの先駆けが2007年に打ち上げられた日本の月周回衛星「かぐや」だ。かぐやが収集したデータは膨大で今も解析が進むが、月と地球の誕生、進化の謎解明につながる成果や月面基地に最適な場所の情報など、月の新たな姿を次々と浮き彫りにしている。そして民間も月を目指す。それは賞金総額3000万ドルという史上最大級の賞金争奪レースだ。今、国が民間が熱い視線を注ぐ月。その開発最前線に迫る。

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■科学技術ニュース■九州大学など、水素から電子を取る新しい貴金属フリー触媒を開発

2013-02-15 10:48:25 |    化学

 九州大学、総合科学研究機構、茨城大学の研究グループ(代表:九州大学小江誠司教授)は共同研究により、自然界に存在する水素活性化酵素「ニッケル-鉄ヒドロゲナーゼ」をモデルとして、同様の働きをする新しいニッケル-鉄触媒を開発し、この触媒を用いて、常温常圧で水素から電子が取り出せることを示した。

 これまで、自然界の酵素をモデルとすることで、安全・高性能・低コストな人工触媒の開発が多く試みられてきた。これまでの、最良の機能モデルは、2007年に九州大学の同研究グループが開発したもので、「鉄」ではなく貴金属である「ルテニウム」を使用したニッケル-ルテニウム触媒であった。

 今回、ルテニウム(240円/g)の代わりに、約1/4000の価格の鉄(0.06円/g)を使用した系での水素の活性化に初めて成功し、学術的な価値だけでなく、今後の燃料電池用の触媒などへの応用を考えると画期的な進歩といえる。

 自然界では、水素活性化酵素「ニッケル-鉄ヒドロゲナーゼ」が常温常圧という温和な条件で、エネルギーキャリアーである水素から電子を取り出しているが、これまで同様の反応を同条件で人工的に行うことはできなかった。

 九州大学の小江誠司教授を中心とする研究グループは、これまでに、水素活性化酵素であるニッケル-鉄ヒドロゲナーゼの人工モデルとなるニッケル-ルテニウム触媒の合成、その触媒を用いて常温常圧で水素から電子の取り出し、および分子燃料電池の開発に成功していた。

 しかし、それらの研究では、高価な貴金属であるルテニウムを使用していることが問題点であった。

 今回の研究の成果により、ニッケル-鉄ヒドロゲナーゼによる水素活性化のメカニズムの解明と、貴金属フリー触媒による水素活性化の研究が飛躍的に前進した。

 今後は、水素エネルギー利用技術の発展、例えば、ニッケル-鉄触媒を用いた白金フリー燃料電池の開発などにつながるものと期待される。

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■科学技術ニュース■理化学研究所、XFELのパルス幅を1京分の1秒以下に圧縮する手法を考案

2013-02-14 10:34:57 |    物理

 理化学研究所は、X線自由電子レーザー(XFEL)施設が発振するX線レーザーのパルス幅を圧縮する新たな手法を考案した。

 この手法を理研のXFEL施設「SACLA」に適用してシミュレーションした結果、波長1.24オングストローム(Å:1Åは10-10m=0.1nm)、パルス幅3 53アト秒(as:1asは10-18秒=100京分の1秒)、ピークパワー4 6.6テラワット(TW:1TWは1012W)という超短パルス・超高強度のX線レーザー発振が可能であることを確認した。

 これは、理研放射光科学総合研究センター(石川哲也センター長)光源物理チームの田中隆次チームリーダーによる成果。

 パルス圧縮とは、回折格子などの光学機器を利用して可視光や赤外線領域のレーザーのパルス幅を圧縮し、そのピークパワーを増強する手法。

 理論的なパルス幅の限界は、波長に相当する距離だけ光が進むのに要する時間となり、波長が短くなるほどパルス幅も圧縮できるといえます。現在、赤外線領域(波長8,000Å)では、そのパルス幅は限界に近い数フェムト秒(fs:1fsは10-15秒)まで圧縮されている。

 一方、X線領域(波長数Å以下)では、パルス圧縮に応用可能な光学機器が存在しない。このため、現在稼働中のXFEL施設で発振しているX線レーザーは、赤外線レーザーよりも波長が4桁ほど短いにもかかわらず、パルス幅は赤外線レーザーと同等の数フェムト秒にとどまっている。

 同研究チームは、XFELのパルス圧縮を実現するため、くし状の電流分布を持つ電子ビームで1個のレーザーパルスだけを効率的に増幅する手法を考案し、SACLAに適用した場合のレーザー性能についてシミュレーションした。

 その結果、適用前の約300倍という高い圧縮率が実現可能であることを見いだした。

 今回考案した手法を実用化して超短パルス・超高強度のX線レーザーを利用できるようになると、従来観測できた超高速運動よりもさらに速い、例えば、化学反応の過程で生ずる原子内の電子運動などをリアルタイムかつ高精度で計測することが可能になる。

 こうした現象の本質を理解できると、これまでとは全く異なるコンセプトの機能性材料や創薬への展開が期待できる。さらにこの手法は、理論限界である究極のX線レーザー、つまりX線の波長に相当するパルス幅(約0.3アト秒)を持つX線レーザー実現に向けた第一歩となる。

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◆科学技術書<新刊情報>◆「宇宙になぜ我々が存在するのか」(村山斉著/ブルーバックス)

2013-02-12 11:18:31 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●


<新刊情報>


書名:宇宙になぜ我々が存在するのか―最新素粒子論入門―

著者:村山斉

発行:講談社

目次:第1章 恥ずかしがり屋のニュートリノ
    第2章 素粒子の世界
    第3章 とても不思議なニュートリノの世界
    第4章 ものすごく軽いニュートリノの謎
    第5章 ニュートリノはいたずらっ子?
    第6章 ヒッグス粒子の正体
    第7章 宇宙になぜ我々が存在するのか

 宇宙の見方が変わる最新素粒子論。私たちは星のかけらからできている。では、その星たちは何からできているのか。宇宙のはじまりにどんどん近づきながら、宇宙はどうやってできてきたのか、どうして私たちがこの宇宙に存在しているのかをニュートリノ、ヒッグス粒子、インフレーション、暗黒物質など最新の知見を手がかりに解き明かしていく。(講談社紹介文より)

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