“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「爆発する宇宙」(戸谷友則著/講談社)

2021-06-30 09:34:45 |    宇宙・地球

 

<新刊情報>

 

 

書名:爆発する宇宙~138億年の宇宙進化~

著者:戸谷友則

発行:講談社(ブルーバックス)

 インフレーション、ビッグバン、超新星爆発、ガンマ線バースト……宇宙に起こるさまざまな爆発現象。これらは、けっして自明な現象ではない。超新星爆発は、なぜ起こるのか? 実は、その過程にはまだまだ解明されていない謎が多く存在する。同書では、この宇宙の始まりでもある「インフレーション」「ビッグバン」、さらにハッブルによって発見された「宇宙膨張」、「超新星爆発」や宇宙最大の爆発現象「ガンマ線バースト」などの爆発現象を取り上げながら、最新の天文学で考えられているそのメカニズムを起点に、赤色巨星、白色矮星、ブラックホール、中性子星、さらにはダークマターについてなど、さまざまな天体・物質についても詳細に解説。このなかで特筆すべきは、まだ観測されたばかりの謎の爆発現象「高速電波バースト:FRB」を、その観測実例をもとにさまざまな仮説・研究を紹介してる点である。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●東京ガスとSCREEN、低コストグリーン水素製造に向けた水電解用セルスタックの共同開発に合意

2021-06-30 09:34:10 |    ★水素ニュース★

 東京ガスとSCREENホールディングスは、このたび、低コストグリーン水素製造に資する水電解システムの構築に向けて、中核部品である「水電解用セルスタック」および「水電解用セルスタックの製造装置」の共同開発に合意した。

 同開発は、水電解装置の構成要素の中で、コストの大きな比重を占める水電解用セルスタックの低コスト製造技術を2年で確立することを目標に、東京ガスが水電解用セルスタックの仕様検討および評価、SCREENが保有するロールtoロール方式による連続生産技術を応用した水電解用セルスタックの製造技術および製造装置の開発を担当する。

 今後、同開発に併せて水電解装置のシステム化に向けた技術開発も進め、グリーン水素製造の低コスト化を実現することで、政府の掲げる水素供給コスト目標2030年30円/Nm3-H2を早期に達成し、将来的には、更なる水素製造コストの低減を目指す。

 なお、水素の用途としては、直接の利活用や合成メタンの原料としての活用を想定している。(SCREENホールディングス)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●理研、脳の全細胞を解析するクラウドシステムを開発し日本発の全脳全細胞データ解析プラットフォーム構築

2021-06-30 09:33:26 |    人工知能(AI)

 理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター合成生物学研究チームの真野智之研修生(研究当時)、山田陸裕上級研究員、上田泰己チームリーダー、東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻システムズ薬理学教室の史蕭逸助教らの共同研究グループは、全脳全細胞解析を可能にするプラットフォームであるクラウドシステム「CUBIC-Cloud」を開発した。

 同研究成果は、脳全体の遺伝子の働きやネットワーク構造などの膨大な3次元データをクラウド上で保管・解析し、データ駆動型の神経科学を推進するための基盤技術として、神経科学の発展に大きく貢献するものと期待できる。

 CUBIC-Cloudは、組織透明化技術であるCUBICで得られた全脳全細胞データを取り込み、複数の脳画像の位置合わせ(レジストレーション)、定量解析、可視化といった機能をグラフィカルユーザーインターフェースとともに提供する。

 全ての計算はクラウドで実行されるため、強力な計算機環境を持たない研究者でも使用可能。また、CUBIC-Cloudで実行した解析結果はクラウドを通じて世界の研究者に共有・公開することができ、将来的には多数の全脳データを用いたデータマイニングの可能性を提供している。

 CUBIC-Cloudは、全脳解析をより簡便に実行するためのソフトウェア基盤を神経科学コミュニティーに提供する。今後、多くの研究者が同プラットフォームを利用することで、全脳データの収集・解析がさらに加速し、より統一的な脳の理解に貢献するものと期待できる。(理化学研究所<理研>)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「有機スペクトル解析入門」(小林啓二、木原伸浩 著/裳華房)

2021-06-30 09:32:11 |    化学

 

<新刊情報>

 

 

書名:有機スペクトル解析入門

著者:小林啓二、木原伸浩 

発行:裳華房

   有機化学分野で広く利用される、UV-vis、IR、1H-NMR、13C-NMRの各スペクトルおよびマススペクトルについて解説。これらの各スペクトルから得られる情報を統合し、構造決定できる能力を養える。単なるスペクトルの解釈にとどまることなく、豊富な図を用いてその物理的背景から懇切丁寧にわかりやすく解説しているので、構造解析に行き詰まったときに自ら打開する力が身につくであろう。また、最終章の総合問題は、実践的な演習ができるだけでなく、豊富な解説が付されているため、「手引書」としても活用できる。初学者が有機スペクトル解析を学ぶためにきわめて適した入門書。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「岩石と文明<上><下>」(ドナルド・R・プロセロ著/築地書館)

2021-06-29 09:48:17 |    宇宙・地球

 

<新刊情報>

 

書名:岩石と文明<上><下>~25の岩石に秘められた地球の歴史~

著者:ドナルド・R・プロセロ

訳者:佐野弘好

発行:築地書館

 地球が、この地面が、どのようにできてきたのか知りたい・・・富裕層の趣味から出発し、聖書の記述を否定し、サイエンスとしての地球科学を築いた発見の数々と、その発見をもたらした岩石や地質現象を25章にわたり描く。古代都市を滅ぼした火山灰。アルプスで発見された古代人アイスマンが語る銅の時代。ナポレオンが考案した錫の缶詰。岩石の水成論と火成論に決着をつけた露頭。鉄隕石が示す惑星の核の組成。ジルコンの砂粒に含まれる初期海洋の証拠。無酸素の地球で形成された縞状鉄鉱層。どんな岩石にも物語があり、地球の歴史を読み解く貴重な証拠に満ちている。岩石や地質現象が秘めている魅力的な歴史的・文化的背景、それらが人間の地球に対する考え方や暮らしをどう変えたのかを、地質学の謎解きに魅入られ翻弄された人びとの逸話をまじえ、主な岩石・有名な露頭・重要な地質現象に焦点をあてて解説する。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●東芝、SiC MOSFETの高温環境下における信頼性向上と電力損失低減を実現するデバイス構造を開発

2021-06-29 09:47:47 |    電気・電子工学

 東芝デバイス&ストレージは、シリコンカーバイド(SiC)MOSFETの高温環境下における信頼性向上と電力損失低減を実現するデバイス構造を開発した。

 今回開発したデバイス構造を採用した耐圧3.3kVの素子は、175℃の高温環境下において、信頼性低下のない状態で導通可能な電流量が同社従来構造に比較して2倍以上に増加している。

 また、室温における単位面積あたりのオン抵抗は、同社従来構造に比較して、耐圧3.3kVの素子で約2割、耐圧1.2kVの素子では約4割、それぞれ低減した。

 同社は今回、昨年開発したデバイス構造を基に、同構造比で約25%素子を微細化し、SBDによるPNダイオードへの通電抑制能力を強化することなどの構造最適化を行った。これらにより、175℃の高温環境下の耐圧3.3kVの素子においても、信頼性を低下させずに導通可能な電流量が同社従来構造に比較して2倍以上になった。

 また、信頼性を維持しながら電力損失を低減することにも成功し、単位面積当たりのオン抵抗を3.3kVの素子で約2割、1.2kVの素子で約4割低減することを確認した。(東芝)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●NEDOなど、カーボンリサイクル社会を実現する化学品原料(カルボン酸)合成技術を開発

2021-06-29 09:47:02 |    ★炭素ニュース★

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクトに取り組んでいるが、今回、産業技術総合研究所、先端素材高速開発技術研究組合、日本触媒と共同で、計算・プロセス・計測の三位一体による技術開発スキームを活用し、高効率な触媒を用い、ギ酸とアルケンから、さまざまな化学品の基幹原料となるカルボン酸を合成する技術を開発した。

 今回開発した技術は、安全で環境に優しいカルボン酸の合成技術。

 従来技術のような高圧条件を必要とせず、有毒で爆発性の高い一酸化炭素(CO)ガスや環境負荷の大きい添加剤を使用しない。さらに、ギ酸は二酸化炭素(CO2)と水素(H2)から高効率に合成できるので、CO2を利用したクリーンな原料とみなすこともできる。この技術が実用化されれば、CO2を炭素資源として利用するカーボンリサイクル社会実現への貢献が期待できる。

 今回開発した触媒系の反応効率をさらに向上させるために、ロボティクスを活用したハイスループット実験により触媒のさらなる改良を迅速かつ効率的に実施し、最終的には化学品の連続生産技術であるフロー合成に使用できる固定化触媒の高速開発を目指す。(産業技術総合研究所<AIST>)

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ロス・キニー 論理回路 」(C.H.Roth,Jr.、L. L. Kinney、E. B. John 著/東京化学同人)

2021-06-29 09:46:32 |    電気・電子工学

 

<新刊情報>

 

書名:ロス・キニー 論理回路 

著者:C.H.Roth,Jr.、L. L. Kinney、E. B. John 

訳者:佐藤 証、三輪 忍、吉永 努 

発行:東京化学同人
 
 原著は、海外の多くの大学で採用される実績をもつ教科書"Fundamentals of Logic Design(Enhanced 7th Edition)"。日本語版では、原著の良さを消さずに日本の教育現場の事情を考慮したさまざまな翻案を施した。回路設計のテクニカルな面よりも基礎に重点を置き、練習問題は訳者らが厳選したものを掲載するなどして、日本で標準的な半期15コマの授業で使いやすいコンパクトな大きさ・内容になっている。論理回路の標準講義で初学者向け教科書として有用。日本の教育現場に対応した内容構成。【日本語版】原著の良さを消さずに、日本の教育現場の事情を考慮して以下のさまざまな翻案を施した。・論理回路の基礎に重点を置き、VHDL、FPGA、PLD による設計などは割愛・各章の導入部となる学習の手引きも省略・練習問題については訳者らが厳選したもののみを掲載。これらはすべて、日本の大学で行われている論理回路の標準的な講義(半期 15 コマ)で同書が使用されることを想定して、原出版社の了解を得て訳者らが行った。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「Liquid 液体」(マーク・ミーオドヴニク著/インターシフト)

2021-06-28 09:37:04 |    物理

 

<新刊情報>

 

書名:Liquid 液体

著者:マーク・ミーオドヴニク

訳者:松井信彦

発行:インターシフト

 身近にある「液体」の素晴らしく、不思議で、危ない世界へようこそ!・文明を進化させた接着剤・ボールペンは液体工学の天才が生んだ・液体x結晶の「液晶」って?・飛行機のパワフルな燃料が爆発しないわけ・最高においしいコーヒー・紅茶とは?・液体石けんはアイデアの宝庫 ・呼吸できる液体&人工血液・地球は液体の惑星だ・・・体液から地球の芯を流れる液体金属まで、石器時代の道具から最先端のラボオンチップ医療革命まで――液体をめぐる人類の発見とイノベーションの物語。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◆科学技術<テレビ番組情報>◆NHK「サイエンスZERO」/BSフジ「ガリレオX」他

2021-06-28 09:36:32 |    ◆TV番組◆

 

<テレビ番組情報>

 

プロジェクトX  挑戦者たち 4Kリストア版  NHK‐BSプレミアム  毎週火曜日 午後9時~9時45分    

6月29日(火) ロータリー47士の闘い 夢のエンジン開発

 従来のピストン式と違い、小型で高出力、しかも静かな、ロータリーエンジン。200年前から研究が進められ、夢のエンジンといわれてきた。世界で初めて実用化に成功したのが、広島にあった「マツダ」だった。原爆の被害を奇跡的に免れ、三輪自動車を製造していた。リーダーは、設計部次長の山本健一。妹を原爆で失っていた。47人の部下とともに、ロータリーエンジン開発に全てをかける。それは広島の復興につながると信じて。

アナウンサー:国井雅比古、膳場貴子

語り:田口トモロヲ
 


コズミック フロント  NHK‐BSプレミアム  毎週木曜日 午後10時~11時00分

7月1日(木) 東京プラネタリウム〜七夕恋をかなえる星月夜〜(選)

 街明かりで星空を失った大都市・東京。しかし、江戸時代の浮世絵の多くに満天の星が描かれている。東京の明かりが消えたら、いったいどんな光景が広がるのか? 東京・星物語。


 
地球ドラマチック  NHK‐Eテレ  毎週土曜日 午後7時~7時45分

7月3日(土) 徹底解剖! 古代ギリシャのアクロポリス

 2000年以上前に造られ、ギリシャの首都アテネの小高い丘に今もそびえるアクロポリス。パルテノン神殿など、壮大な建造物の遺跡はどのようにして造られたのか。およそ10万トンもの大理石を使い、小高い丘の上に見事な建造物群を造り上げた技術とは。また、建物が最も美しく見えるよう、目の錯覚を利用した工夫とは。最新調査から分かってきた、アクロポリスの建造の秘密に迫る。(フランス2021年)


 
ガリレオX  BSフジ  毎週日曜日 午前11:30~12:00分(隔週新作)

7月4日(日) 世界初のゲノム編集食品 トマトとサバが変える食の未来(再放送)

 2020年12月に、世界で初めて遺伝子操作の技術、ゲノム編集で作られた食品が国の承認を得た。その食品はなんと、食べるだけで健康になれるトマト。今、注目されている機能性成分GABAを5倍も多く含んでおり、高血圧を抑えることが期待されているという。このトマトを生み出したゲノム編集は、将来の食問題を解決する有望な技術と言われているが、不安を持つ人も多い。それはいったいどのような技術なのか?現在どこまで研究が進んでいるのか?最新の研究現場を訪れ、ゲノム編集食品の可能性に迫る。

主な取材先:江面 浩(筑波大学 機能植物イノベーションセンター)
      サナティックシード
      松山 倫也(九州大学)
      アクアバイオリソース創出センター
      唐津市役所
      大望閣
      粟生水産

 

 サイエンスZERO  NHK‐Eテレ  毎週日曜日 午後11時30分~0時00

7月4日(日) 天然染料 藍の科学 抗ウイルスに農業革命も!?(アンコール放送)

 藍は人類最古の天然染料といわれ、古くから日本だけでなく世界中で親しまれてきた。その理由は美しい色合いに加え、抗菌・防臭効果があるとされたため。その驚きの実力が最新科学で次々と明らかに。藍の葉から抽出したエキスの強力な抗菌・抗ウイルス作用が確かめられ、農作物の成長を促す未知の作用まで確認された。さらに、「ジャパン・ブルー」と呼ばれるほど江戸時代の日本人に定着した謎も科学的にひもとく。

司会:小島瑠璃子、浅井理

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする