“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「意識はなぜ生まれたか」(マイケル・グラツィアーノ著/白揚社)

2022-06-30 10:05:31 |    人工知能(AI)



<新刊情報>




書名:意識はなぜ生まれたか~その起源から人工意識まで~

著者:マイケル・グラツィアーノ

訳者:鈴木光太郎

発行:白揚社

 生命進化の過程で〈意識〉はいつ生まれたのか? 私たちの〈心〉はどのようにして形づくられるのか?〈機械〉に意識を宿らせることは可能なのか? 「物質である脳から、なぜ非物質的な意識が生まれるのか?」 名だたる学者が挑んできたこの難問に、プリンストン大学で神経科学ラボを率いる著者が、まったく新しい「答え」を提示する。ときに哲学や文学の文脈で語られる意識の謎にメカニカルな視点から迫った同書は、意識の進化的起源から私たちの心の仕組み、さらには人工意識をつくる試みまで、意識研究の最前線を描き切る。
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●科学技術ニュース●JAXA、小惑星リュウグウ試料の第1回「国際研究公募(国際AO)」で40件(9カ国)の研究提案を選定

2022-06-30 10:04:58 |    宇宙・地球
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウ試料について、科学的成果の最大化を図るために、世界中より研究を広く公募するための第1回「国際研究公募(国際AO)」を実施していたが、この度、40件(9カ国)の研究提案を選定した。




【第1回「国際研究公募(国際AO)」の概要】

(1)目的

・世界の研究者から研究提案を募り、研究成果が期待できる研究者に試料を提供することで、「はやぶさ2」プロジェクトの科学的成果の最大化を図る。
・国際AOを通じて世界の研究者に試料を提供することにより、世界の惑星科学の発展に貢献する。

(2)経緯

・2020年12月、「はやぶさ2」カプセルの帰還。
・2021年6月以降、JAXAの試料分析業務として、各大学と連携し、初期分析を実施。
・2021年12月17日、科学的成果の最大化を図るため、世界中より研究を広く公募する第1回国際AOを発出。
・2022年3月25日、意思通知書(Notice of Intent)募集締切。105件(19か国)を受付。
・2022年4月22日、公募受付締切。57件(12か国)の研究提案を受付。

(3)選定結果

・リュウグウ試料研究公募委員会(AOパネル)で審議し、57件のうち40件(9か国)(74試料、約230mg)を選定し、2022年6月13日、はやぶさ2サンプル配分委員会(Hayabusa2 Sample Allocation Committee「HSAC」)はAOパネルの選定結果を承認。
・選定された40件のリストはこちら:https://curation.isas.jaxa.jp/topics/22-06-17.html

(4)今後の予定

・6月末からリュウグウ試料を分配予定。
・今後も半年ごとに、合計4回の国際AOを実施予定。<宇宙航空研究開発機構(JAXA)>
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●科学技術ニュース●産総研、数式から自動生成した大規模画像データセットを用いてAIの画像認識モデルを構築する手法を世界で初めて開発

2022-06-30 10:03:31 |    人工知能(AI)
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」において、今回、産業技術総合研究所(産総研)は、数式から自動生成した大規模画像データセットを用いて人工知能(AI)の画像認識モデル(学習済みモデル)を構築する手法を世界で初めて開発した。

 同手法は、AIが学習で使用する大量の実画像やそのプライバシーの確保、ラベル付けコストなど商業利用の際の課題を解消するとともに、実画像や人の判断を経た教師ラベルを用いる現在の手法と同程度以上の画像認識精度を実現している。

 今後、自動運転や医療、物流などさまざまな環境のAI構築で応用が期待できる。

 この学習済みモデルで、画像認識性能のベンチマークに活用されるImageNetの画像データセットを認識させたところ、実画像や人の判断を経た教師ラベルを用いる現在の手法よりも精度が優れており、実利用できるレベルに達していることを確認できた。

 同データセットおよび学習済みモデルは、下記のHP(Formula-driven Supervised Learning)で公開。

 同事業では、学習済みモデルの公開を通して、さまざまな産業分野でのニーズを聞き取りながら、動画や距離情報が含まれた画像など入力データを拡張するとともに、モーション認識や画像領域推定などより多くのタスクにも対応する。

 また、数式からデータと教師ラベルを生成するという概念は、画像認識AIの開発に広く利活用できるポテンシャルがある。これを生かし、実データや人が判断した教師ラベルを用いなくてもあらゆるタスクにおいて基盤となる「汎用学習済みモデル」を開発する予定。同モデルは今後、医療分野や物流現場、交通シーン解析などさまざまな環境でAIを構築する際に役立つと考えられる。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「図解即戦力 工作機械業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」(永井知美、山口智也著/技術評論社)

2022-06-30 10:02:46 |    機械工学



<新刊情報>



書名:図解即戦力 工作機械業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書

著者:永井知美、山口智也

発行:技術評論社(図解即戦力シリーズ)

 工作機械は、あらゆる機械や部品類の製造に用いられており、性能の優劣が製品の競争力を大きく左右する。そのため,各国とも工作機械産業を戦略的基幹産業と位置付け、その発展に力を尽くしている。同書は、そのような工作機械業界を簡潔かつ網羅的に解説しており、就職・転職・取引にあたっての業界研究で役立つ情報が満載の1冊。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「ロボット工学者が考える「嫌なロボット」の作り方」(松井哲也著/青土社)

2022-06-29 09:50:37 |    ロボット工学



<新刊情報>



書名:ロボット工学者が考える「嫌なロボット」の作り方~ヒューマンエージェントインタラクションの思想~

著者:松井哲也

発行:青土社

 本当にわかりあえるのか。わかりあってしまってよいのか。「ロボットはきちんと操縦できるほうがいい」「AIは「正しい答え」を導いてくれるほうがいい」……そんな常識は打ち捨てて、「他者」としてのロボット/AIに対峙してみるとどうなるのか。人間とロボットとの本当のインタラクションを目指して描かれる、ロボット工学の新展開。【目次】第1章 他者の工学 第2章 異類の工学 第3章 異界への案内人としてのロボット 第4章 ロボットにとっての「信頼」 第5章 「ロボット殺し」が切り開くHAI 第6章 教室の中の天然知能的ロボット 第7章 これからのHAIに向けて
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●科学技術ニュース●ソニー、スマートフォンの各種センサーとAIを活用した独自の測位技術で人の行動データを取得・分析

2022-06-29 09:49:47 |    情報工学
 ソニーは、新たな顧客体験(CX)の創出や企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する、屋内行動分析プラットフォーム「NaviCX(ナビックス)」の提供を開始する。

 スマートフォンの各種センサーとAIを活用した独自の測位技術で、店舗や施設内の客、従業員の行動データをリアルタイムに取得・分析する。

 「NaviCX」は、AIを活用したPDR(Pedestrian Dead Reckoning = 歩行者自律航法)技術をベースに、近距離無線通信のBluetoothLow Energy技術を用いた発信機であるビーコンや地磁気の情報を独自の測位アルゴリズムで組み合わせて、人の位置だけでなく向きの情報まで高精度に取得できる。

 ソニーの提供するSDK(Software Development Kit = ソフトウェア開発キット)を、事業者のスマートフォン用アプリケーションに組み込むことで、店舗や施設内にいるスマートフォン所持者の行動データを取得し、滞在時間や動線、経路などの詳細な分析結果を提供するほか、位置情報に基づいてプッシュ通知を送ることもできる。

 「NaviCX」は、大型店舗内(ホームセンター、ドラッグストア、スーパーマーケットなど)や体験型施設内(水族館やイベント会場など)を含む、GPS等での測位が難しい屋内での活用を見込んでいる。

 大型店舗では、客のリアルタイムの行動データと商品検索機能などを組み合わせて、客の希望する商品の陳列棚までナビゲーションを行ったり、近くに並べられた商品のお薦め情報のプッシュ通知を送ったりするなどのサービス提供ができ、客の体験価値の向上に貢献する。

 また、蓄積した行動データは、屋内の客の流れを分析したマーケティング施策の立案や、従業員の作業内容・時間を分析した業務効率化などに活用でき、企業のDXを支援する。体験型施設では、客のスマートフォンを用いて、行動データに基づく自動音声ガイドなどの展示・演出手法への応用などが可能。<ソニー>
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●科学技術ニュース●ヒロテックなど、フッ素樹脂と金属の新たな高強度直接接合技術を開発し土木・建築業界の土砂などの運搬効率向上に貢献

2022-06-29 09:49:17 |    建築・土木
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」に取り組むヒロテックは、このたび大林道路、大蓉ホールディングス、海洋研究開発機構、大阪工業大学などと共同で、超潤滑・高強度でありながら難接着・難接合材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などフッ素樹脂とステンレス鋼板との直接接合についてレーザーを用いた新たな表面処理と接合技術の開発に成功した。

 さらに、氷点下30℃~175℃と幅広い温度環境下での使用でも同技術による接合強度が維持されることを確認した。

 土木・建築業界ではダンプトラックを使った土砂などの運搬においてエネルギー消費量の大きさが課題となっており、同技術を活用した製品を荷台に設置することで付着残土を大幅に減らすことができ、運搬効率の向上による省エネルギー効果を実現できる。

 今後、同技術を応用したマルチマテリアル化により、各種産業分野の課題である軽量化の実現や、寒冷地などさまざまな環境下での使用、さらに幅広い分野への適用が期待できる。

 このたび同事業でヒロテックなどは、超潤滑・高強度でありながら難接着・難接合材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などフッ素樹脂と金属(ステンレス鋼板)を、レーザーで高強度に直接接合できる金属表面処理技術を開発した。

 これにより超潤滑材料であるPTFEとステンレス鋼板の高強度直接接合技術の確立に成功し、開発製品をダンプトラック荷台の隅角(ぐうかく)部に設置して性能を検証した。

 その結果、荷台への残土の付着を完全に解消することができ、その効果は年間9.38万kL(2030年市場普及想定数6万台)の燃料消費量削減に相当することを確認した。また、こうした運搬効率の向上により、清掃作業の負担が軽減され、転落事故などのリスクも低減した。

 今後、同技術の開発・普及により、土木・建築業界における土砂などの運搬効率が向上することで省エネルギー化の実現が見込まれるとともに、同技術を応用したマルチマテリアル化により、さまざまな産業分野の課題である軽量化の実現も期待できる。

 ヒロテックは、同事業での研究開発終了後、直ちに開発製品の量産を開始し、2022年3月に初出荷を完了した。大蓉ホールディングスは傘下の会社を販売窓口とし、まずは関東地方を中心に同製品の販売、車両への取り付けを行う。引き続き、ヒロテック、大林道路、大蓉ホールディングスの3社は、豪雪地帯での堆雪運搬をはじめとして同技術の適用範囲の拡大に向けた検討を重ねる。また同技術を進化させるべく対象樹脂や金属種の拡大を図り、さまざまな分野の軽量化などの課題解決を実現し、さらなる省エネ化などへの貢献を目指す。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「Kaggleで磨く 機械学習の実践力」(諸橋政幸著/リックテレコム)

2022-06-29 09:48:23 |    情報工学



<新刊情報>



書名:Kaggleで磨く 機械学習の実践力~実務xコンペが鍛えたプロの手順~

著者:諸橋政幸

発行:リックテレコム

 Kaggleは誰でも気軽に参加できるデータ分析の競技コンペ。コンペで試した技を、実務に応用する──そのシナジーにより、みるみる実力が付く。Kaggleマスターの著者自身がそうして得たノウハウを、惜しげもなく同書では公開。しかし、同書を通じて伝えたいのは、何よりKaggleのワクワク感である。データ分析/AI/機械学習の領域に入っていきたい社会人や学生が増えているが、どうやって取り組んだらいいか、迷っている人が少なくない。そこで、データ分析の実務経験に加え、様々な分析コンペティションに参加してきた著者の経験を活かし、業務に活かせる機械学習の技術や考え方をまとめた。<本書が目指すこと>・分析コンペのプラットフォームで「Kaggle」を活用し、手を動かしながら、機械学習を用いたデータ分析の基本的な進め方を修得する・分析設計を行ない、Pythonを使って「自身の力で」分析スクリプトを作成する・実際に手を動かして、分析の楽しさを感じてもらう
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「寺田寅彦随筆集」(寺田寅彦著/平凡社)

2022-06-28 09:38:14 |    科学技術全般



<新刊情報>



書名:寺田寅彦随筆集

著者:寺田寅彦

編者:串田孫一

発行:平凡社(平凡社ライブラリー)

 物理学者として第一線で活躍しながら、漱石直伝の文筆家として広い視野と自由な思考に根ざした名文を多数残した寺田寅彦。望遠鏡と拡大鏡の眼を合わせ持つ文章家の随筆を精選。
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●科学技術ニュース●JAXA、「航空機ライフサイクルDX コンソーシアム」発足

2022-06-28 09:37:44 |    輸送機器工学
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、IHI、NTTコミュニケーションズ、川崎重工業、SUBARU、全日本空輸、東芝デジタルソリューションズ、日本航空、日本航空機開発協会、NEC、富士通、三菱重工グループ、及び経済産業省との連携のもと、デジタルトランスフォーメーション(DX)による、わが国の航空産業の裾野拡大・国際競争力強化と、将来の航空産業のDX を担う人材育成を目的とした「航空機ライフサイクルDX コンソーシアム」は、発足させた。

 近年、多くの分野でDX技術を活用した取り組みが推進されているが、航空業界においても、欧米ではデジタル技術を活用した航空機設計・整備の効率化等が既に始まっている。

 わが国の航空科学技術分野においても、持続可能な航空産業への転換を図りつつ、国際市場でのシェア拡大を図るために、航空機の設計・認証・製造・運用・廃棄というライフサイクル全体をDX技術により効率化、高速化すべく研究開発を進めている。

 このようなライフサイクル全体にわたる多分野の研究開発を迅速に行うには、航空分野とDX分野のステークホルダが協調することが不可欠であり、同コンソーシアムがその中心的な役割を果たす。

 同コンソーシアムにおいては、産学官の連携及び関連研究を推進し、DXにより航空産業における開発、製品、サービスを革新する。その中核として、サイバー空間での協働が可能となるDX拠点を構築し、各機関の強みを組み合わせたDX技術の実証、ベストプラクティス・メリットの共有を行うことにより、わが国の航空産業の国際競争力強化と将来のDX人材の育成を目指す。  

 JAXAは、これまで培った数値シミュレーションを中心とする解析技術や試験・計測技術等を活かし、同コンソーシアムの活動をけん引することで航空機ライフサイクルDXの発展に貢献する。<宇宙航空研究開発機構(JAXA)>
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