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★水素ニュース★NIMS、機械学習により世界最高クラスの磁気冷凍材料を発見し、水素液化の高効率化実現

2020-05-15 09:48:33 |    ★水素ニュース★

 物質・材料研究機構(NIMS)は、機械学習を用いて、水素液化に用いる世界最高性能の磁気冷凍材料を発見した。これにより水素社会実現への大きな壁となっている液化水素製造コストの削減が期待される。

 同研究グループは、機械学習を用いて、二ホウ化ホルミウム(HoB2)が水素液化温度付近で世界最高性能の磁気冷凍材料として機能することを発見した。

 今回、高性能な磁気冷凍材料を探索するために、エントロピー変化が既知である約1600個の物質データを論文から集め、組成とエントロピー変化の関係を機械に学習させた。

 その学習を基に、エントロピー変化が未知の約800個の強磁性体についてエントロピー変化を機械に予想させたところ、比較的高い値を示す候補物質が34個見つかった。

 その中から2元素で構成された材料に絞り込み、最も高い値が予想された物質を実際に合成し、評価した結果、HoB2が水素液化温度である-253度(20ケルビン(K))付近では世界最高の、非常に大きなエントロピー変化ΔS=0.35(J/cm3K)を示すことが分かった。

 この材料を磁気冷凍装置に組み込むことにより、水素液化温度付近で高い冷凍能力を示すことが期待される。今後、粒状または線状への加工や耐水素コーティングなど、磁気冷凍装置で活用するための研究を進め、効率のよい水素液化装置開発を通じて、水素社会の発展への貢献を目指す。( 科学技術振興機構<JST>)   


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