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●科学技術ニュース●NIMS、北海道大学と明治薬科大学、発電するゲル「ゲル–エレクトレット」の創成に成功

2024-05-23 09:32:05 |    電気・電子工学
 物質・材料研究機構(NIMS)、北海道大学、および明治薬科大学からなる研究チームは、多くの静電荷を内部に安定的に保持できるゲル材料 (ゲル–エレクトレット) を開発した。

 このゲルを組み込んだ自由変形可能な電極は、人体の運動などで生じる低周波の振動を電圧シグナルとして出力するセンサ機能を示すことから、ウェアラブルヘルスケアなどへの応用が期待される。

 今回、同研究チームは、アルキル–π液体に微量の低分子ゲル化剤を加えることで貯蔵弾性率を4千万倍増加させ、固定化や封止が容易であるゲル (アルキル–πゲル) の創成に成功した。

 さらに、このゲルを帯電処理して得られたゲル–エレクトレットは、ゲル化によって内部に静電荷を閉じ込める効果が向上したために、母材 (液体) と比較して24%の帯電量の向上を達成した。

 また、ゲル–エレクトレットを組み込んだ柔軟な電極素子は、17 Hzの低周波振動に対し出力600 mV (液体素子より83%増大) の振動センサ機能を示した。

 今後、帯電特性 (帯電量、帯電寿命) とゲル強度をさらに高めて素子性能を向上させることで、微弱な振動や様々な歪み変形に追従可能なウェアラブルセンサとしての実用化を目指す。

 また、同ゲル材料は回収し、振動センサ素子への再利用も可能なことから、サーキュラーエコノミーに資する材料としても期待できる。
 
 同本研究は、NIMSナノアーキテクトニクス材料研究センター (MANA) フロンティア分子グループ 竪山瑛人研修生 (北海道大学-NIMS連携大学院) 、名倉和彦研究員、中西尚志グループリーダーと、明治薬科大学 山中正道教授らの研究チームによって行われた。<物質・材料研究機構(NIMS)>
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